SUPER FORMULA 2022 Round5
スーパーフォーミュラ第5戦SUGO、覇者はフェネストラズ!
6月19日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦の決勝が、宮城・スポーツランドSUGOにおいて開催され、予選2番手のNo.4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)がスタート直後にトップを奪取。レースは序盤に2度のセーフティカーが導入される荒れた展開になったが、その中で冷静沈着に戦い続けたフェネストラズがトップチェッカー。参戦3年目にして初優勝を手にしている。
予選日続き、強い陽射しの中で蒸し暑い天気になったSUGO。午前10時10分からのフリー走行の時点で気温は早くも28度超えとなり、午後からの決勝では体力勝負のサバイバルレースになる可能性もあるかに思われた。
そんな中、決勝前のウォームアップ走行も終わり、グリッド上に各車が試走するタイミングで突然の通り雨が降り始める。一瞬にして雨は止み、決勝までにすっかり路面もドライアップしたことで、レースは何事もなかったかのように午後2時半にフォーメーションラップが切られた。
レッドシグナルが消灯すると、絶妙のスタートを切ったフェネストラズがホールショットを奪う形で1コーナーに進入。逆に野尻はやや加速が鈍り2番手に。一方、中団グループではポジション取りで混戦模様となる中、2台が接触。うちNo.4 山下健太(KONDO RACING)がスピンを喫し、2コーナー進入手前のイン側でストップする。これを受けてセーフティカーがコースイン。1周かけて戻ってくるまでにコース復帰を果たそうと山下は懸命に脱出を試みるが、通り雨によって滑りすくなった芝生の上でタイヤが空転。みるみるうちにクルマの水温が上がったために山下はここでレース続行を断念した。
車両回収が終わり、レース再開となったのは7周終了時。フェネストラズは後方との差をうまく開く形でトップをキープしたが、逆に2位野尻と、最初のスタートで予選5番手から一気に3番手へ浮上していたNo.65 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)から追い立てられる形となる。そんな中、予選12番手から8番手までポジションを上げていたNo.50 松下信治(B-MAX Racing Team)が1コーナーアウト側にコースオフ。タイヤバリアに激しくぶつかり、戦線離脱。ブレーキトラブルによるアクシデントだったというが、これで再びセーフティカーがコースイン。またも車両回収が始まったが、作業に時間を取られ、そうこうするうちにタイヤ交換が可能となる10周目へと突入。結果、セーフティカーランの中、まずはトップのフェネストラズを先頭に上位4台がピットイン、5番手を走っていたNo.37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)はじめ、合計7台がステイアウトを選択した。
フェネストラズは8番手でコースに復帰。ルーティンを終えた車両のトップをキープしたが、野尻はタイヤ交換で時間を要し、大湯にピットで逆転を許してしまう。一方で、ステイアウト組のトップとして周回を重ねる宮田は、14周終了をもってレースがリスタートした後も快走を続け、”見えない敵”であるフェネストラズとのマージンを構築。逆にフェネストラズは自分よりもラップタイムで劣る前方車両に対し、タイヤを温存するために、あえてギャップを設けるなどタイヤマネージメントを行い、前方車両のピットイン後に備えるというレース運びに徹した。
そんな中で宮田はフェネストラズに対して20秒強のマージンを築いたものの、次第にタイムも頭打ちとなり、逆転に必要と言われる36秒までには至らず。また、序盤のセーフティカーが長引いた影響もあり、レースは規定周回の53周終了が難しくなり、70分間のタイムレースになる可能性が出てくる。この状況に、38周を過ぎた頃からステイアウト組は続々とピットイン。最後まで粘った宮田も46周終わりでピットへと戻ってくる。ところが、右リヤタイヤの交換に手間取り、タイムロス。コース復帰した時は6番手になってしまった。
ステイアウト組のピットインが完了し、改めてトップを奪還したフェネストラズは、2番手の大湯との差をきっちりキープ。落ち着かないレース展開をタイヤ同様、見事にマネージメントしてトップチェッカー。待ち侘わびた自身初のスーパーフォーミュラにおける初優勝を果たすこととなった。2位の大湯に続き、3番手には野尻。狙っていたポール・トゥ・ウィンこそ逃したが、手堅くポイントを積み重ねてシリーズランキングでは不動のトップをキープしている。
早くもシーズン前半戦を終えたスーパーフォーミュラ。5戦を終えてウィナーは4人。7月16、17日に富士スピードウェイで迎える第6戦では、どのドライバーが勝ち名乗りを上げるのか。期待が集まる。
第5戦スポーツランドSUGO・決勝結果 トップ3
1.No. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)1:10’32.529 49Laps
2.No.65 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)+5.304
3.No. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)+7.021
スーパーフォーミュラ第5戦SUGO、野尻智紀が今季4連続ポールポジションを手にする!
6月18日、宮城・スポーツランドSUGOにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦の予選が行われ、第2戦からポールポジション獲得を続けるNo.1 野尻智紀(TEAM MUGEN)がライバルを圧倒する速さで今シーズン連続となる4度目のポールポジションを獲得した。自身通算11回目となる。
朝から青空が広がるもところどころに薄い雲が広がっていたSUGO。しかしながら前日の雨の影響か湿度が高く、蒸し暑さを覚える天気となった。朝のフリー走行開始時の気温は25度、路面温度は36度を記録。1時間半のセッションにおいて走り出しから野尻が好タイムをマークしつつ、一方で、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGのNo.5 牧野任祐やNo.6 大津弘樹のペースも良く、チームとしての戦闘力の高さをアピールした。一方、シーズン序盤から結果を残せず苦しい戦いが続いていたTCS NAKAJIMA RACINGの2台_No.64 山本尚貴、No.65 大湯都史樹の上位に名を刻み、復調の兆しが見え始めた。
午後2時、予選Q1のA組セッションがスタート。ところが開始早々赤旗が提示される事態に。これは、最終コーナー近くに現れた動物がコースを横断したため。安全を確保した上で5分後にセッションは再開
する。開始から残り4分をきり、各車アタックに入ると、まずは大津が暫定トップタイムをマーク。だがこれを上回ったのが山本。1分05秒148のタイムでクラストップ通過を果たした。一方、大番狂わせともいえる結果になったのがNo.20 平川 亮(carenex TEAM IMPUL)。アタックラップに臨む中、スピードを落としていた他車に行く手を阻まれる形となり、ペースアップならず。翌周も再アタックするが、Q2進出可能な上位6番手には残れず。1週間前のル・マンで自身初優勝を飾った直後のレースで思わぬ苦渋を舐めることとなった。同じく、ル・マンで総合2位だったNo. 7 小林可夢偉(KCMG)もQ1敗退の結果となった。
Q1・B組には、第2戦からポールポジションを獲り続けている野尻が出走。ライバルより早めにトップタイムをマークしたが、その後、チェッカー直前にNo.18 国本雄資(KCMG)が1分5秒を切る好タイムをマーク。これで決まったに思われたが、その直後、牧野がこれを上回り、トップを奪取した。結果、牧野を先頭に、国本、野尻と続くことになった。
ラストアタックとなるQ2は午後2時40分にスタート。全12台がタイミングを見計らって各自コースへと向かう。こんシーズン、初めてQ2進出を果たしたNo.12 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)が真っ先に1分4秒台を刻んで暫定トップに立つと、間髪入れず大津が最速タイムを更新。すると、チェッカーフラッグが振られる中、No. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)が1分4秒706でトップを奪取する。だが、その直後、チェッカーを受けた野尻が1分4秒349という驚異的なタイムを叩き出し、他者を寄せ付けず。圧倒的なパフォーマンスでシーズン4戦連続という申し分のない形でポールポジションを手中に収めることに成功した。2番手のフェネストラズに続いたのは、大津。フェネストラズ同様、今季自己ベストのグリッド獲得を果たしている。
1周の距離が短いSUGOの戦いは、荒れる展開になることが珍しくない。タイヤのマネージメントはじめ、気温によるタイヤの摩耗にも気を配りながら、53周先のゴールを誰が最初にくぐるのか。レースは午後2時30分に号砲となる。
第5戦スポーツランドSUGO・予選結果 トップ3
1.No. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’04.349
2.No. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)1’04.539
3.No. 6 大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’04.785
SUPER FORMULA 第5戦SUGO プレビュー
シーズン折り返しを前にした一戦。ドラマチックな戦いになるか?
今週末、杜の都・仙台からほど近い場所にあるスポーツランドSUGOで繰り広げられる全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦。今年は年間10戦で繰り広げられるため、今回のSUGO戦は、ちょうど前半の締めくくりの戦いに位置付けられることになる。4戦を終えた時点でウィナーは3名。毎戦、ドラマチックな展開になることが多いSUGOでは、新たなウィナー誕生となるのか、はたまた上位ランカーが強さを見せつけるのか。
難コースのSUGO、まずは予選から激戦必至!
SUGOの特徴というよりも、SUGOでレースが開催されるたびに言われるキーワードがある。それは”魔物が棲む”という言葉だ。”不意をつかれた”、あるいは”好事魔多し”とも言われるように、思わぬところで驚くような展開になることが少なくないからだろう。とはいえ、細かくデータを取って分析しているわけでもない。しかし、のちにレースを振り返ってみれば、思わぬハプニングがそのレースのカギを握る出来事につながっていることが多く、その内容もドラマチックというか、インパクトが大きいため、どうしても脚色染みた言葉として伝えられるのかもしれない。
しかしながら、その言葉に裏付けされるように、SUGOのコースは難コースとして知られており、セットアップを手掛けるエンジニア泣かせのサーキットでもある。1周のコース長が国内の他のサーキットよりも短く、あっという間にホームストレートにクルマが戻ってくるショートコース。またアップダウンに富みコーナーによっては抜きどころもある。しかし、タイトなコースサイド_つまりエスケープゾーンも決して存分にあるわけでもなく、コーナー飛び込みは一種の度胸試しのようなもの。それに一つ間違いが起こればクラッシュに繋がり、ドライバーにとってはギリギリの攻めの走りが求められる。今回も、展開次第で予選、決勝問わずアクシデントひとつで大きく流れが変わってしまう可能性もあるため、ドライバーには速さと強さに加え、”運の強さ”もいつも以上に必要になるのが、このSUGOとも言えるだろう。
となれば、まず問われるのが決勝グリッドの位置。つまり予選のアタックの出来がレースの行方を左右するのは言うまでもない。コースインのタイミングがちょっとでもずれてしまえば、自分のリズムでアタックすることは難しくなるだろうし、ライバルのことばかりを考えているうちに、自分のアタックどころではなくなる。とはいえ、ショートコースゆえに、いかに優位なコンディションでアタックを遂行
できるかどうか、ここはチーム総力戦としての見どころになるはずだ。コンディションが向上する後のタイミングでアタックしたいところだが、癖のあるコースでもし他者がトラブルを起こすようなことがあれば、自身のアタックは水泡に帰す。そのリスクをしっかりと踏まえた上でここぞというタイミングでアタックに臨まなければならない。特に、今シーズンからノックアウト予選はQ1、Q2の2回に変更されている。つまりポールポジションが決まるQ2には、合計12台が出走する。Q1の各組よりも台数が増えるというシビアなコンディションの中、アタックラップを決めなければならないため、ドライバーの勝負強さを垣間見る予選セッションになるだろう。
ル・マンウィナーが見せる走りにも注目!
SUGOの1週間前、フランスにおいて開催されたル・マン24時間レースには平川亮と小林可夢偉が参戦。ハードワークを戦い終えた二人の選手にとっては帰国後初の一戦になるわけだが、その中でも平川にとっては特別な一戦になるかもしれない。なにしろ、ル・マン24時間レースにおいて、トップクラスのハイパーカークラスに今年から参戦、3戦目となるル・マンで総合優勝を果たすという偉業をやってのけた。世界耐久レースの頂点とも言えるル・マンを制したことで、ドライバーとしての”何か”が変わったかもしれないだけに、今回はどのような戦いを披露してくれるのか、注目が集まる。
折りしも、レースウィーク直前の16日(木)には、東北地方も梅雨入りした模様と天気予報で伝えられたばかり。現在のところ、天候の崩れは心配する必要はなさそうだが、レースそのものが波乱含みの荒れた展開になるやいなや……。シリーズ後半戦を前にした、”まとめのレース”として、各ドライバーとも結果を残そうと闘志を燃やしているはずだ。
主なタイムスケジュール
6月18日(土)
09:10 – 10:40 フリー走行
11:45 – 12:30 ピットビューイング
14:00 – 公式予選(ノックアウト方式)
14:00 – 14:10 Q1(A組→上位6台がQ2へ)
14:15 – 14:25 Q1(B組→上位6台がQ2へ)
14:35 – 14:32 Q2
6月19日(日)
10:10 – 10:40 フリー走行
11:00 – 12:00 ピットビューイング
13:40 – 14:30 スタート進行
14:30 – 決勝(53Laps)