SUPER FORMULA 2022 Round4
スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス、平川亮が今季2勝目をあげる!
5月22日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の決勝が行われた大分・オートポリス。前日よりも強い日差しと青空に恵まれる一方、レースはヒートアップする内容で、早くも序盤から2度に渡るセーフティカーの導入となった。その中で落ち着いたレース運びと緻密な戦略を味方につけたNo.20 平川 亮(carenex TEAM IMPUL)が予選8位からの大逆転勝利を達成。開幕戦に次ぐ、今シーズン2勝目をマークしている。
初夏の爽やかな天候に恵まれたオートポリス。午前10時15分に始まった30分間のフリー走行では、決勝を見据えたロングランのシミュレーションおよびタイヤの内圧等を確認するなど、各車は最後まで時間の許す限り多くのメニューにトライしていた。
決勝は午後2時30分、気温24度、路面温度44度のコンディションの中で42周の戦いがスタート。フォーメーションラップを終えた各車が一斉にダミーグリッドを離れた。その中でポールポジションのNo. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)が難なくスタートを決めて、ホールショットを奪取。その後方では、予選3番手のNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が予選2番手のNo.37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)に並び、逆転に成功した。一方、間隙を縫ってポジションアップに成功したのが、平川。予選8番手からするすると前に出て、1コーナーの飛び込みを前に、前方のKONDO RACINGの2台_No.4 山下健太とNo.3 サッシャ・フェネストラズを抜き、さらに3コーナーでライン取りで挙動を乱したNo.55 三宅淳詞(TEAM GOH)とその背後にいたNo.15 笹原右京(TEAM MUGEN)をもパス。一気に3位へと浮上した。一方、その後方では3コーナーアウト側で2台がコースオフ、うち1台_No.65 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)がクラッシュし、早くもセーフティカーがコースインする事態となった。
レースは3周終了時に再開。トップの野尻が後続とのギャップを築こうと一気に加速。背後の牧野もオーバーテイクシステム(OTS)を稼働して野尻に迫ったが、ポジションは変わらず。逆に、OTSが使えないタイミングで平川に詰め寄られ、5周目に入った1コーナーでOTSを味方にした平川に逆転を許すこととなった。一方、その後方では2コーナーで激しい鍔迫り合いの末に接触のアクシデントが発生。No. 7 小林可夢偉(KCMG)がタイヤをバーストさせてコース上にクルマを停止したことから、再びSランとなる。
クルマの回収を終えてリスタートしたのは、9周終了時。トップの野尻が10周目に入った途端、後方にいたNo.12 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)がルーティンのピットインを行ったが、実際には1周早いタイミングでタイヤ交換をしたことになり、最終的にはタイヤ交換義務の未消化という扱いに。結果、失格という厳しい裁定が下っている。その後、問題なくピットイン可能となった10周を終えてクルマをピットに戻したのは4台。一方で、第1ヘアピンでは2台による接触が発生し、うち1台_No.14 大嶋和也(docomo business ROOKIE)が左リヤタイヤのパンクチャーに見舞われた。
早々に波乱が続いたレースだったが、快調にトップを走っていた野尻が15周終わりでピットインすると7秒2と申し分のない作業時間でピットを後に。結果、ひと足先にピットインを済ませていた牧野よりも前でコース復帰を果たし、冷えたタイヤでクルマをコントロールすると、牧野の猛追をシャットアウトしてみせた。そんな中、見た目のトップを走っていた平川が20周を終えてピットイン。急きょタイヤ交換のスタッフが変更されたことで若干作業に時間を要したものの、チームとしては想定内だったとのこと。平川も懸命の走りを見せ、野尻を押さえる形でアウトラップを済ませ、野尻を抑え込むことに成功した。これでトップに立ったのは、フェネストラズ。クリーンエアの中、速いペースで周回を重ねることが可能となり、タイヤマネージメントも奏功。また、そのうしろにつけていたNo.55 三宅淳詞(TEAM GOH)も、うまくタイヤを操りながら周回を重ねていく。
フェネストラズは、充分なマージンを築いたことを確認した上で28周終わりにピットイン。しかし、左フロントタイヤのナットがうまく外れず、作業時間が9.3秒と長引くことに。だが、コース復帰後は背後に迫る野尻の猛追を見事コントロールして封じ込めた。また、これより5周あとに、サッシャに代わってトップを走っていた三宅がピットインする。ルーキーの三宅はチームの戦略と自身のタイヤコントロールが奏功、全車がルーティンのピットワークを終えると、これまた野尻より前でコースに復帰し、そのままポジションキープに成功。トップの平川、2番手のフェネストラズに続くという願ってもない形で終盤に向かう。
そんな中、ペース良く周回を重ねていたのがフェネストラズ。だが、トップの平川はこの動きをチームからの情報できっちりと把握。タイヤを温存しながらペースよく周回を重ね、フェネストラズの追随を許さない力走を披露した。フェネストラズも最後まで諦めずに平川を追ったが、攻防戦に持ち込むまでには至らなかった。結果、平川が開幕戦に次ぐ今シーズン2勝目を達成。オートポリスを前に、ランキングでトップの野尻とは16ポイントあった差を一気に7ポイント差まで縮めることになった。2位のフェネストラズも今季2度目の表彰台に上がったが、自身、そしてチームにとってもシーズンベストの結果だった。そして3位となったルーキーの三宅。自身、またチームにとってもシーズン初のうれしい表彰台となっている。
予選トップ3が表彰圏内からドロップアウトするという厳しいレース展開となったオートポリス戦。これまでのシーズン以上に激戦の様相を見せる中、次の一戦は宮城・スポーツランドSUGOが舞台となる。コンパクトなコースはクルマのセットアップも難しく、また梅雨の時期に開催されることから天候にも左右されやすいと考えられる。それだけに、ドライバー、チームの総合力の高さが物を言う一戦になりそうだ。
第4戦オートポリス・決勝結果 トップ3
1.No.20 平川 亮(carenex TEAM IMPUL)1:11’58.025 42Laps
2.No. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)+2.309
3.No.55 三宅淳詞(TEAM GOH)+12.507
スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス、野尻智紀が今季3連続でポールポジション獲得!
5月21日、大分・オートポリスにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の予選が行われ、No.1 野尻智紀(TEAM MUGEN)がトップタイムをマーク。ディフェンディングチャンピオンの貫禄を見せつける形で今シーズン3連続でのポールポジションを手にした。自信通算10回目となる。
前日夜から通り雨に見舞われたオートポリス周辺。早朝、サーキットへの道中は小雨がフリ、深い霧に見舞われる不安定な天候となった。朝のフリー走行はスタートこそウェット宣言の中で始まったが、次第にダンプコンディションからドライへと推移。スリックタイヤでの走行が可能となった。このセッションでトップタイムをマークしたのは、No. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)。昨シーズンはコロナ禍で来日ができず参戦を見送り、また一昨年は決勝の序盤にタイヤトラブルに見舞われ、完走できていないというフェネストラズ選手だったが、今回は走りはじめからしっかりと手応えを得ていい流れを作った様子だった。
午後の予選を迎えると、Q1出走前には気温21度、路面温度33度となり、日差しも出ている状態。特に路面温度が午前とは大きく変わる中、アタックラップのタイミングを見計らいタイヤの内圧等の調整にも少なからず影響を与えることとなった。11選手が出走したQ1・A組をトップ通過したのは、No.5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。A組の中で真っ先にニュータイヤを装着してアタック開始。午前の走行中、ジェットコースターストレートにおいてコースアウトを喫し、オーバーランして肝を冷やした牧野だったが、ここで見事な挽回を果たしてみせた。また、Q1・B組では、アタックのタイミングが異なる選手によってアプローチが違ったが、チェッカーが出される直前にアウトラップを終えてすぐにアタックに入っていた野尻が1分24秒724とタイムアップ。B組のトップに躍り出た。
10分間のインターバルを挟み、Q2が午後3時25分にスタート。さらに強い日差しがコースに照りつけるコンディションの下、計12台がポールポジション目指してラストアタックに挑んだ。セッション開始とともに、4台が次々ユーズドタイヤでコースイン。アウトラップを終えてピットに一旦戻り、タイヤ交換を行った。一方、残りの車両はニュータイヤを装着した上で、コースインのタイミングを見計らっていた。
各車が動き始めたのは、残り時間5分を切ったあたりから。計測2周目でアタックに挑むプランを立てたクルマが次々とコースに向かった。その後、ワンラップアタックを予定する車両がコースイン。最後にピットを離れたのは、山下。残り時間2分30秒を切った時点でコースへと向かっている。
計測2周目でアタックに挑む選手が多いこともあり、コース上では一部渋滞が見られたが、そこでのタイムロスが響きタイムアップできなかったドライバーもいた模様。Q1からアタックの方法を変えたNo.37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が、まずターゲットタイムとも言える1分24秒798をマーク、その直後に牧野が1分24秒803のタイムで続いたが、ほぼチェッカーと同時のタイミングで野尻が1分24秒529という圧巻のタイムを叩き出してトップに浮上。アウトラップからウォームアップラップを経てそしてアタックを行うというスタイルを貫き通し、トップに立って見せた。これにより、野尻は第2戦富士から3連続でポールポジションを獲得。さらにドライバーポイントにおいて3点を加点することに成功した。なお、野尻のチームメイトであるNo.15 笹原右京が開幕戦でポールポジションを獲っているため、TEAM MUGENとしてはここまでの4戦すべてでポールポジションを手中に収めるという快挙となっている。
昨シーズンは雨のため、存分な形でレースができずにおわったオートポリスでの決勝。今年はどうやらドライコンディションでの開催が可能となりそうだ。しかも、天気が回復し、さらに暑さが厳しくなるという予報も。スペックが変わったリヤタイヤでのパフォーマンスも”未知数”だけに、明日の決勝ではどんなドラマが待ち受けているのか、そのあたりも含め、展開が大いに気になるところだ。決勝は午後2時30分、42周での戦いを迎える。
第4戦オートポリス・予選結果 トップ3
1.No.1 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’24.529
2.No.37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)1’24.798
3.No.5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’24.803
SUPER FORMULA第4戦オートポリス プレビュー
SF、早くもシーズン3戦目が鈴鹿で開催
&bnsp;
今週末、全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦が大分・オートポリスで開催される。今シーズンは、7大会 全10戦で展開する戦いは、開幕から2ヶ月強ではや4戦を消化することになる。開幕を前に実施された公式テストを皮切りに、テンポよくレースが実施される中、ルーキーを含め、勢いに乗るドライバーがいる一方でいまだ思うようなレース展開ができず、厳しい戦いを強いられているドライバーもいるだけに、今回のオートポリス戦がなにか新たな転機となるか、さまざまな要素が入り乱れそうな感じだ。
&bnsp;
”年イチ”開催のオートポリス
風光明媚な大分・阿蘇山麓の外輪山を走り抜けたどり着くサーキット、オートポリス。観光地はじめ温泉地からもほど近く、観光気分が味わえるサーキットでもある。山々に囲まれ、盆地状の中にある全長4.7kmのコースはアップダウンに富み、低、中、高速コーナーがあちこちに配置され、チャレンジングなレイアウトになっている。テクニカルコースゆえに、タイヤへの負荷も大きく、またトラックエンジニアにとってはセッティングに悩むコースでもある。また、他の国内サーキットと異なる点として、ピットガレージの位置がコースの外側にあり、ピットからは視覚的に他のサーキットと逆周りになる。
”ひとクセ”あるオートポリスだが、スーパーフォーミュラが開催されるのは、シーズン中1度だけ。もちろん、事前のテストもない。頼りになるのは、これまでのレースデータのみということになる。各チームともSF19でのレースデータはあるものの、実のところ今年は装着するリヤタイヤが新しくなっており(構造が変わっている)、そのパフォーマンスをどう見極めていくかが大きなポイントにもなりそうだ。ここはまず、予選日の朝に行われる1時間30分のフリー走行でうまく調整していかなければならないだろう。
今回、新たに用意される新品タイヤは3セット。ここに前回鈴鹿大会までの持ち越し分として3セットが追加される。鈴鹿は決勝日がウェットコンディションとなりレインタイヤでの決勝だったため、未使用もしくはほぼ新品に近いユーズドタイヤを持つドライバーも多いと考えられる。これを踏まえると、朝のフリー走行の終盤では積極的にアタックシミュレーションを行うドライバーもいるのではないだろうか。また、タイヤのもちを確認するための試走もしたいところ。いずれにせよレースウィークの天候の推移を見極めつつ、チームは様々なメニューを用意してくるはずだ。
中盤戦の戦いで流れをつかむのは!?
ルーキードライバーの躍進が否応なしに目立つ今シーズン。予選アタックで見せる躍進が、他のドライバーに多かれ少なかれプレッシャーを与えている感じだ。とくに今シーズンは開幕戦の富士大会で第1戦、第2戦が開催されたが、このときは各日予選と決勝を行う形となり、フリー走行は金曜日の1回だけだった。これまで以上に時間が限られ、”短期決戦”スタイルで予選と決勝を戦うフォーマットをうまく味方につけたかどうか、そこで明暗が分かれた可能性もある。そんななか、ルーキーは経験値がないことを逆手に取り、思いっきりの良さで勝負に出たことが幸いしたのではないだろうか。ノックアウト予選でもQ1、Q2と駒を進め、荒削りながらも速さあるパフォーマンスを見せた。
続く鈴鹿戦では、通常のレースフォーマットということもあり、チームとしてのデータ量やドライバーの経験値が結果にも表れたようだが、今度は決勝日の雨_ウェットコンディションによる状況変化がまたカギとなり、レースの流れが変わった。結果として道筋を読むことが難しく、最後の最後まで見どころあるレースになったといえよう。SUPER GTのようなチーム戦ではなく、シングルシーターの戦いはシンプルだからこそ最後はコース上で競うドライバーの”腕一本”によって勝敗が決まるのだ。とはいえ、彼らを支える”縁の下の力持ち”としてのエンジニアリングも重要なポイントであることは言うまでもない。
第3戦を終え、ドライバーズポイントでトップにつけるのは、ディフェンディングチャンピオンの野尻智紀(TEAM MUGEN)。第2、第3戦でポールポジションを手にしており、どのサーキットでもキラリと光る速さを見せる強さを意識させるドライバーでもある。また、決勝でのレースの組み立てにおいても、駆け引きの旨さが際立つ。一方、ベテランの域に達しつつある平川亮(carenex TEAM IMPUL)もWEC(世界耐久選手権)との掛け持ちではあるが、過去にオートポリスでポールポジションを手にしているだけに、このレースで野尻より良い結果を手にして、ポイントランキング2位からの逆転、もしくはその点差を縮めるべく、尽力するはずだ。そして、ランキング3位以下は接戦状態。ワンチャンスで大きくポジションが変わるだけに、それぞれのパフォーマンスから目が離せない。
昨シーズンのオートポリス戦は決勝日が雨になり、霧が立ち込める難しいコンディションから最終的には赤旗終了を迎えるという幕引きだった。季節柄、天気が良ければ絶好のレース日和になるだけに、今シーズンはぜひとも晴天の下で見どころあるバトルを盛大に繰り広げてほしいものだ。
主なタイムスケジュール
5月21日(土)
09:40 – 11:10 フリー走行
12:30 – 13:10 ピットウォーク
14:50 – 公式予選(ノックアウト方式)
14:50 – 15:00 Q1(A組→上位6台がQ2へ)
15:05 – 15:15 Q1(B組→上位6台がQ2へ)
15:25 – 15:32 Q2
5月22日(日)
10:15 – 10:45 フリー走行
10:55 – 11:35 ピットウォーク
13:40 – 14:30 スタート進行
14:30 – 決勝(42Laps)