SUPER FORMULA 2022 Round2
第2戦を制したのは、ディフェンディングチャンプの野尻!
4月10日、静岡・富士スピードウェイにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権の第2戦の予選、決勝レースが開催された。前日にはシーズン開幕戦の予選および決勝が行われ、激闘のトップ争いが繰り広げられる白熱の戦いとなっただけに、この日もどんなドラマが生まれるのか、期待が集まることとなった。
前日同様、穏やかな日差しに恵まれたサーキットは、午前10時25分から始まったノックアウト予選の時点で気温が21度、路面温度は30度まで上昇。その中でまずQ1ではルーキーのNo.54 三宅淳詞(TEAM GOH)がトップタイムをマークする活躍を見せる。一方、全21台から12台が駒を進めたQ2では、ディフェンディングチャンピオンのNo. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)が圧巻のパフォーマンスを披露した。野尻はアタックラップのセクター2でトラックリミットを越えてしまい、アタックをキャンセル。スローダウンし、翌周に仕切り直しのアタックに臨んだ。この間、ライバル達は続々とタイムアップを果たし、まずは前日の第1戦でポールポジションを手にしたNo.15 笹原右京(TEAM MUGEN)が最速ラップをマーク。また、ルーキーのNo.53 佐藤 蓮(TEAM GOH)が連日の活躍で2番手へ。すると、チェッカーが振られたあとにNo.37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)がトップタイムの更新に成功する。そんな中、最後の最後にアタックを終えた野尻が1分21秒522をマークし、トップに君臨。貫禄のパフォーマンスで今シーズン初のポールポジションを掴み取った。
【第2戦富士 予選結果 トップ3】
1.No. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’21.522
2.No.37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)1’21.717
3.No. 15 笹原右京(TEAM MUGEN)1’21.731
眩しい日差しが照りつける中、午後2時30分に41周の戦いがスタート。気温は23度、路面温度は32度と、前日の戦いよりも暑さを感じる中での戦いとなった。ポールシッターの野尻が確実にスタートを決めて1コーナーへ。一方、予選3番手の笹原が前日に続いてまたもエンジンストール! 最後尾からの仕切り直しを強いられた。また、ダンロップコーナーではNo.50 松下信治(B-Max Racing Team)とNo.5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が接触。最後尾からロケットスタートでぐんぐんポジションアップした松下だが、勢い余って牧野をプッシュすることに。牧野はスピンアウトの末にエンジン停止を余儀なくされ、戦列を去った。また、この後に松下にはドライブスルーペナルティが科せられている。なお、この接触で牧野の車両がコースを塞ぐ形となったため、レースはセーフティカーがコースイン。2周目から4周目を終えるまでレースがコントロールされた。リスタートを迎えた5周目。オーバーテイクシステムを使い、ポジショアップを狙ったのはNo.4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)。No.7 小林可夢偉(KCMG)に迫るもブレーキトラブルに見舞われ、オーバーラン。その後はタイヤトラブルも抱えて緊急ピットインを強いられ万事休すとなった。
トップの野尻が10周を終えると、ルーティンのピットインに向かったのが6台。これを境にして周回を重ねるごとにピットイン、タイヤ交換を行うクルマが続く。一方、上位陣では4番手にいたNo.3 山下健太(KONDO RACING)が19周終わりでピットイン。ピット作業を終えたドライバー陣でトップを走るNo.36 ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)よりも先にコース復帰を果たし、事実上ポジションキープに成功した。また、トップ3の中では3番手を走るNo.20 平川亮(carenex TEAM IMPUL)が先にピットイン。予選8位と出遅れた平川だったが、怒涛の走りで18周目には3番手までジャンプアップを果たしていた。すると、2番手を走る宮田が24周を終えて、またトップの野尻が翌周の25周終わりでピットへ戻ってくる。野尻のチームは左リアタイヤの交換に手間取り、先行のふたりに対しピット作業でおよそ1秒の遅れとなったがコース復帰後はハイペースの走りでうしろ2台の接近を許さなかった。一方で、平川はコース復帰したばかりの宮田を攻略。アンダーカットに成功し、2番手に浮上した。
その後もトップ3台は似通った、しかもハイペースの走りを続けるという、群を抜くパフォーマンスを披露。ワンミスがあればすべて終わるというようなヒリヒリとした緊迫の戦いを繰り広げながらチェッカーを迎える。結果、ディフェンディングチャンピオンの野尻が今シーズン初優勝を果たし、2位に平川、3位に宮田が続くことになった。
開幕戦で2レースを行い、緊迫の展開が続いた今シーズンのスーパーフォーミュラ。第3戦の舞台はテクニカルコースの鈴鹿サーキット。僅差の戦いの中、どのドライバーが勝利するのか、目が離せない。
【第2戦富士 決勝結果 トップ3】
1.No. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)1:01’10.882 41L
2.No.20 平川 亮(carenex TEAM IMPUL)+1.659
3.No.37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)+2.494
SUPER FORMULA第1・2戦富士 プレビュー
SF開幕! 富士で第1、2戦を一挙開催へ!
今週末、ついに日本最高峰のフォーミュラレースである全日本スーパーフォーミュラ選手権が号砲。場所柄、富士スピードウェイのある静岡・御殿場界隈は桜の開花がやや遅いことでも知られることから、まだ満開にはなっておらず、レース開催に合わせて見頃になりそう。そんな中、今シーズンの戦いは参戦ドライバーの顔ぶれやチームもさることながら、レースフォーマットの変更などイベントそのものがさまざまな”トライ”に着手しており、新たな魅力となりそうだ。
全7戦から全10戦へ! 大会数には変化なし
北は宮城・スポーツランドSUGOから南は九州の大分・オートポリスまで、全国5箇所のサーキットにおいて開催されるスーパーフォーミュラ。大会数は全7大会とこれまでと変わりはないが、1ウイーク2レース制の新たな施策が導入され、うち大会でこれを実施することに。その結果、昨シーズンより3戦多い全10戦で開催される。1大会2レースは、前述のとおり今週末の第1・第2戦のほか、第7・第8戦の栃木・モビリティリゾートもてぎ(8月20、21日)、そしてシーズン最終大会になる第9・10戦の三重・鈴鹿サーキット(10月29、30日)がこれに該当。なお、富士と鈴鹿においては1大会1レース形式のイベント開催もあることから、各戦で異なる観戦の楽しみが味わえることになる。
予選フォーマットは? レース結果による得点は?
これまでスーパーフォーミュラでは、1大会1レースの場合、土曜日の午前にフリー走行を行い、午後から予選を実施。翌、日曜日は朝のフリー走行2回目を経て午後からの決勝を迎える形だった。今シーズンも1大会1レース開催時は同様のフォーマットとなる。一方、1大会2レースを実施する際は、まず金曜日に非公式の専有走行(※フリー走行は公式セッション扱いとなる)を実施、土曜日はフリー走行を設けずにそのまま午前中に予選突入となる。そして午後からの決勝に挑む形となった。日曜日も土曜日と同じ流れになるようだ。金曜日にクルマのセットアップを見極め、その流れで土曜、日曜の戦いに挑まなければならず、仮にレース前、あるいはレース後にセッティングを変更したところで、フリー走行がないために状況確認することができないため、セッティング変更はある意味”ギャンブル的”要素を含むことになるのではないだろうか。
また、ノックアウト方式の予選もこれまでのようにQ1、Q2、Q3と3セッションを通して随時出走台数を減らしていくのではなく、Q1、Q2と2回のセッションに変更。開催側としては、よりスピーディに、緊迫感を増長することを狙いとしているようだ。また、結果としては装着タイヤ本数の削減につながるため、環境負荷低減に向けた取り組みとしても考えられる。
なお、レース距離が1大会1レース、2レースどちらであっても1戦につき177.637km(もてぎ)〜196.308km(オートポリス)と大きな変化もないことから、レース結果における獲得得点もすべてのレースにおいてフルポイントになる。昨シーズンまで2レース開催時は、1レースあたり通常の50%のポイントの付与だっただけに、今シーズンからは結果によっては1大会2レースで大量得点が実現することとなる。戦う側にとっても”1度で2度おいしい”レースをモノにするため、いっそう緊張感ある戦いを披露してくれるはず。また、今シーズンのチャンピオン争いにおいても、有効ポイント制から全戦の獲得ポイント数の累計でチャンピオンを争う従来のスタイルに戻っている。それだけに、1大会2戦が開催される大会が持つ意味合いが大きくなるとも言える。そう考えると開幕イベントの富士は、現地観戦するファンが早速その魅力を堪能する絶好のチャンスとなるわけだ。人馬一体ではないが、クルマとドライバーが万全の体制で結果を出せるか否か。シーズン初戦からテンション高まる激戦が期待できるだろう。
■新参チーム&ドライバーは?
今シーズンの参戦チーム数は12。昨シーズンと同様だが、ドライバーは2名増えて21選手が出走する。ルーキードライバーとしてでビューを果たすのが、佐藤蓮と三宅淳詞のふたり。すでにSUPER GTではおなじみの選手だが、昨シーズンまでスーパーフォーミュラ・ライツで腕を磨いてきた。ふたりはともに新規チームとなるTEAM GOHからの参戦となる。一方、昨シーズンまでスポット参戦を繰り返してきた笹原右京とジュリアーノ・アレジが正式にフル参戦が実現している。アレジに関しては、スポット参戦ながら優勝を果たすなど昨シーズンから大注目のドライバーだったが、引退した中嶋一貴に代わり名門トムスのエースドライバーとして成長が期待されており、その活躍からは目が話せないだろう。
ベテラン勢としては世界耐久選手権(WEC)との掛け持ちを続ける小林可夢偉やWECにフル参戦が叶った平川亮、さらにディフェンディングチャンピオンの野尻智紀やタイトル奪還を虎視眈々と狙う山本尚貴、そして試合巧者の関口雄飛らの奮闘も気になる。もちろん、勢いある若手ドライバーの躍進もしかり。いずれにせよ、シングルシーターならではのガチンコバトルは、今シーズンも健在であることに違いはない。
主なタイムスケジュール
・4月9日(土)第1戦
09:30 – 公式予選(ノックアウト方式)
09:30 – 09:40 Q1(A組→上位6台がQ2へ)
09:45 – 09:55 Q1(B組→上位6台がQ2へ)
10:05 – 10:12 Q2
13:40 – 14:30 スタート進行
14:30 – 決勝(41Laps)
・4月10日(日)第2戦
10:25 – 公式予選(ノックアウト方式)
10:25 – 10:35 Q1(A組→上位6台がQ2へ)
10:40 – 10:50 Q1(B組→上位6台がQ2へ)
11:00 – 11:07 Q2
13:40 – 14:30 スタート進行
14:30 – 決勝(41Laps)