SUPER FORMULA 2022 Round9
SUPER FORMULA第9・10戦鈴鹿 プレビュー
いよいよチャンピオンが確定! 王座は誰の手に?
前回のもてぎ大会から2ヶ月強。長いインターバルを経て、いよいよ今シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権が最終大会を迎える。その舞台となるのは、三重・鈴鹿サーキット。シーズンの締めくくりに相応しく「JAFグランプリ」のタイトルがかかった戦いとなる。シーズン最後の鈴鹿戦では、どのようなドラマが待ち受けるのか。そして今年のタイトルはどのドライバーが手にするのか。
■短期決戦ならではの見どころ
7大会、全10戦での戦いが繰り広げられることとなった今シーズンのスーパーフォーミュラ。開幕戦の富士、そして前大会のもてぎに続き、最終大会の鈴鹿も土曜、日曜日にそれぞれ予選と決勝を行う2レースで開催される。午前中にノックアウト予選を、そしてほぼ4時間後には決勝が行われるという短期決戦だけに、緊張感もいっそう高まるものと思われる。しかも今回はシリーズチャンピオンが決まる重要な大会。タイトル獲得の可能性があるドライバーはもちろんのこと、JAFタイトルがかかるレースでの勝者となるべく、どのドライバーたちも全力を尽くして戦うことになる。
そのために、まずは予選で理想的な形を構築することが”マスト”。なにしろ、今シーズンのノックアウト予選はとにかくシビアな展開が多い。Q1落ちをしたかと思えば、別の大会ではトップ3にもなる。どのドライバーもポールポジションを手にする可能性を秘めており、またその逆もしかり。まばたき一つできないほどの僅差で”天国と地獄”と言えるほどの差が待ち受ける……そういうタイムアタックがこのノックアウト予選でもあるのだ。言っておくが、これは決して”運の良し悪し”ではない。これ以上ないと言っていいほどの緻密なアプローチによって予選に挑まなければならないのだ。セッション直前の気温、路面コンディションを誰よりもよく把握し、そして味方につけること。誰もがわかってはいても、それが一番難しい。決して容易ではないこのタイムアタックが、レースウィークの流れを左右することになる。
しかしながら、小さなミスひとつ許されないタイムアタックで好ポジションを手にしたとて、決勝で自身が思い描く理想のレースができるわけでもない。完璧なスタートを切り、レースを先導しても、今度はタイヤ交換というピット作業が待ち受ける。つまり、ドライバー自身はもちろんだが、その先はチームスタッフ全員によってパーフェクトなレース運びを作り上げないと、勝利は手に入らないのだ。今大会は土曜、日曜のワンデーレースに備えるための意味合いで、金曜日の午後に専有走行が設けられている。両日の予選が午前中に行われるため、コンディションという意味合いでは若干異なるとはいえ、持ち込みのセッティングを確認したり、変化に対する調整を重ねたりすることは、翌日からの作業にも有効となるはず。どのチームも、与えられた時間をフルに活用することとなるだろう。
■タイトル獲得の可能性があるのは
今シーズン、開幕戦から安定した結果を出してきたのは、ディフェンディングチャンピオンでもある野尻智紀(TEAM MUGEN)。昨シーズン、タイトルを手にした野尻だが、今シーズンは常に勝つための戦いに努め、表彰台に立てないときはどんな戦いをするのが最善かを考えるレースをしてきたように思う。速さと強さが絶妙なバランスを生み出し、緻密なレースを展開している。それは結果を見ても明らかだ。というのも、優勝は第2戦の富士のみだが、予選でのポールポジションはこれまで4回。そして表彰台は6回とダントツの安定感を誇る。そしてこれまでの全レースで入賞し、ポイントを積み重ねてきた。これこそが、野尻の戦闘スタイルと言えるだろう。そしてその結果によって、現在シリーズポイントで113点を獲得してトップに立ってる。
一方、32点差でランキング2位につけるのは、サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)。速さを見せるも、決勝での結果にムラがあるのは正直否めない。だが、レース中の”不運さ”も多く、本人だけの問題ではないため、予選でフロントロウを手にしてレースを牛耳るような形を作ることができれば、伸び盛りのドライバーらしい速さと勝負強さで今シーズン2度目の優勝の可能性も充分にある。それだけに、彼がまず最初に狙うのは当然のことながらポールポジションとなる。ここで1点を追加し、レースに挑むのがファースト・ミッションだ。フェネストラズに続くのは、トップと34点差の平川亮(carenex TEAM IMPUL)。今シーズンはチャンピオン経験もあるSUPER GTのフル参戦を中断し、世界耐久選手権(WEC)へ挑戦。ル・マン24時間レースを初制覇し、WECのシリーズタイトルも手に入れた。大舞台で戦う勝負強さも備わり、あとはシングルシーターのこのスーパーフォーミュラで王座をつかむことが目標になっている。トップ3のドライバーの中で唯一シーズン2勝を挙げている一方、レース中のトラブルに巻き込まれるシーンもあるなど、今シーズンは”アップダウン”の多い展開が続く。しかし、後方ポジションからの追い上げは目を見張るものがあり、その勝負強さはどのドライバーも舌を巻くことだろう。
レースは先述のとおり、ポールポジション獲得時に1点、そして勝利すれば10点の加算となる。フェネストラズと平川にとっては、まず初日、土曜日の予選と決勝でポール・トゥ・ウィンを達成することが”マスト”となる。野尻とのポイント差が大きく、残念ながら自力タイトルが不可能であるため、まず自身がベストを尽くしてあとは”天命を待つ”形での勝負になるためだ。つまり、このふたりのどちらかがポール・トゥ・ウィンを果たしたとて、野尻がこれに続いて2位入賞を果たせば、この時点で野尻のチャンピオンが決定してしまう。相当厳しい条件ではあるが、まずは自身の勝利を目指し戦いに挑むしかない。もちろん、レースはこの3名だけで繰り広げられるものではなく、他のドライバーも今シーズンベストなレースをすべく、そのチャンスを伺っている。いずれにせよ、シーズン最後を締めくくる2戦は、どのドライバーにとっても重要な一戦。それだけに、思いもよらないドラマが見られることもある。波乱に満ちた展開になるのか、それともあっと驚くような逆転劇になるのか……。晩秋の鈴鹿は2日連続で白熱のレースが繰り広げられそうだ。
主なタイムスケジュール
・10月29日(土)第9戦
09:15 – 公式予選(ノックアウト方式)
09:15 – 09:25 Q1(A組→上位6台がQ2へ)
09:30 – 09:40 Q1(B組→上位6台がQ2へ)
09:50 – 09:57 Q2
11:15 – 12:00 ピットウォーク
13:40 – 14:30 スタート進行
14:30 – 決勝(31Laps)
・10月30日(日)第10戦
09:05 – 公式予選(ノックアウト方式)
09:05 – 09:15 Q1(A組→上位6台がQ2へ)
09:20 – 09:30 Q1(B組→上位6台がQ2へ)
09:40 – 09:47 Q2
11:15 – 12:00 ピットウォーク
13:40 – 14:30 スタート進行
14:30 – 決勝(31Laps)