SUPER FORMULA 2022 Round1
22年シーズン開幕! 第1戦は平川亮が美酒に酔う!
4月9日、2022年の全日本スーパーフォーミュラ選手権の幕が上がり、この日は早速第1戦の予選、決勝レースが実施された。今シーズンは全7大会中、3大会で2レースが開催されることになったが、いきなり開幕から各日予選と決勝が行われることになったが、その初戦から実に見応えあるレースが繰り広げられ、会場を大いに盛り上げた。
まず、午前中に行われたノックアウト予選でポールポジションを手にしたのは、No.15 笹原右京(TEAM MUGEN)。自身初のポールポジション獲得だ。昨シーズンまではコロナ禍で出走が叶わなかったドライバーの代役として参戦してきたが、ようやく今シーズンはレギュラーシートをゲット。その恩返しとばかり、TEAM MUGENに開幕戦のポールポジションをプレゼント。本人も予選での躍進に破顔一笑だった。続いて2番手に入ったのは、No.53 佐藤 蓮(TEAM GOH)。こちらは今シーズンデビューを果たすルーキードライバー。またチーム自体も新規参戦ながら、ポテンシャルの高さを見せるけるパフォーマンスを披露することとなった。そして予選3番手にはNo.20 平川 亮(carenex TEAM IMPUL)。今シーズンはSUPER GTのレギュラーシートに代わって世界耐久選手権(WEC)の最高峰クラスに参戦するために多忙なシーズンとなりそうだが、是が非でもこのカテゴリーでの王者獲得を狙いたいと意気込む。
【第1戦富士 予選結果 トップ3】
1.No. 15 笹原右京(TEAM MUGEN)1’21.404
2.No.53 佐藤 蓮(TEAM GOH)1’21.668
3.No.20 平川 亮(carenex TEAM IMPUL)1’21.708
予選終了から4時間あまり。いよいよ41周にわたる決勝がスタートする。給油作業はないが、レース中はタイヤ交換が義務付けられる。午後2時30分、気温23度、路面温度30度と午前の予選時よりも高い数値を示す中、強い追い風が吹き抜け、シグナルが消灯し戦いの幕が上がった。だが、いきなりここでハプニングが発生。ポールポジションスタートの笹原は痛恨のエンジンストール。一方のフロントロウ、佐藤もまた加速が鈍り、代わって平川がトップを奪取し、1コーナーへと突き進んだ。また、これに予選5番手のNo. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)、予選8番手からポジションアップしたNo.19 関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)がヘアピンで予選4番手のNo.37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)を攻略、3番手で続いた。
レース序盤からプッシュを続けたフェネストラズ。昨シーズンはコロナ禍で在留ビザが下りず、来日がなかなか叶わずようやく終盤に参戦を果たしたという苦い経験から、今シーズンは初戦から満を持して臨んでいる。平川との差を縮めたフェネストラズは、6周目へと向かうメインストレートでオーバーテイクシステムを使って逆転に成功。トップへと躍り出た。そのフェネストラズが10周を終えると、可能となるピットインを実行したのは5番手で走行していたNo. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)。予選を6番手に留まった野尻だが、タイヤ交換後、コース復帰後のペースは申し分なく、ピットインせずに周回する上位グループと”見えないギャップ”を虎視眈々と縮めていく走りを続けた。そんな中、平川がフェネストラズを攻略、14周目に入るメインストレートで再びトップを奪取し、今はまだ”見えない敵”である野尻を意識し、ペースアップを始める。
レースは19周を終えたところから、上位陣が次々とピットイン。トップ平川も25周を終えてタイヤ交換を済ませてコースに復帰。ピットロード出口を出る寸前に、野尻が一足先に1コーナーへと突入した。その後、全車がタイヤ交換を終えたのが29周時。この時、野尻を猛追する平川とのバトルが激化。両者はOTSを使った攻防戦を繰り広げ、ときにラインをクロスさせてドッグファイトを披露し、ついに30周のGRスープラコーナーで平川が野尻を攻略。首位奪還に成功した。その後、2番手野尻との差はじわりじわりと広がり、41周のチェッカーが振られる頃には5.6秒もの差をつけて勝利する。平川にとっては2020年第1戦以来となる勝利で、自身通算3勝目を上げることとなった。
2位の野尻に続いたのは、フェネストラズ。こちらも2020年第1戦以来の表彰台、自己ベストタイの結果を手にしている。
【第1戦富士 決勝結果 トップ3】
1.No.20 平川 亮(carenex TEAM IMPUL)58’25.743 41L
2.No. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)+5.623
3.No. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)+6.717
SUPER FORMULA第1・2戦富士 プレビュー
SF開幕! 富士で第1、2戦を一挙開催へ!
今週末、ついに日本最高峰のフォーミュラレースである全日本スーパーフォーミュラ選手権が号砲。場所柄、富士スピードウェイのある静岡・御殿場界隈は桜の開花がやや遅いことでも知られることから、まだ満開にはなっておらず、レース開催に合わせて見頃になりそう。そんな中、今シーズンの戦いは参戦ドライバーの顔ぶれやチームもさることながら、レースフォーマットの変更などイベントそのものがさまざまな”トライ”に着手しており、新たな魅力となりそうだ。
全7戦から全10戦へ! 大会数には変化なし
北は宮城・スポーツランドSUGOから南は九州の大分・オートポリスまで、全国5箇所のサーキットにおいて開催されるスーパーフォーミュラ。大会数は全7大会とこれまでと変わりはないが、1ウイーク2レース制の新たな施策が導入され、うち大会でこれを実施することに。その結果、昨シーズンより3戦多い全10戦で開催される。1大会2レースは、前述のとおり今週末の第1・第2戦のほか、第7・第8戦の栃木・モビリティリゾートもてぎ(8月20、21日)、そしてシーズン最終大会になる第9・10戦の三重・鈴鹿サーキット(10月29、30日)がこれに該当。なお、富士と鈴鹿においては1大会1レース形式のイベント開催もあることから、各戦で異なる観戦の楽しみが味わえることになる。
予選フォーマットは? レース結果による得点は?
これまでスーパーフォーミュラでは、1大会1レースの場合、土曜日の午前にフリー走行を行い、午後から予選を実施。翌、日曜日は朝のフリー走行2回目を経て午後からの決勝を迎える形だった。今シーズンも1大会1レース開催時は同様のフォーマットとなる。一方、1大会2レースを実施する際は、まず金曜日に非公式の専有走行(※フリー走行は公式セッション扱いとなる)を実施、土曜日はフリー走行を設けずにそのまま午前中に予選突入となる。そして午後からの決勝に挑む形となった。日曜日も土曜日と同じ流れになるようだ。金曜日にクルマのセットアップを見極め、その流れで土曜、日曜の戦いに挑まなければならず、仮にレース前、あるいはレース後にセッティングを変更したところで、フリー走行がないために状況確認することができないため、セッティング変更はある意味”ギャンブル的”要素を含むことになるのではないだろうか。
また、ノックアウト方式の予選もこれまでのようにQ1、Q2、Q3と3セッションを通して随時出走台数を減らしていくのではなく、Q1、Q2と2回のセッションに変更。開催側としては、よりスピーディに、緊迫感を増長することを狙いとしているようだ。また、結果としては装着タイヤ本数の削減につながるため、環境負荷低減に向けた取り組みとしても考えられる。
なお、レース距離が1大会1レース、2レースどちらであっても1戦につき177.637km(もてぎ)〜196.308km(オートポリス)と大きな変化もないことから、レース結果における獲得得点もすべてのレースにおいてフルポイントになる。昨シーズンまで2レース開催時は、1レースあたり通常の50%のポイントの付与だっただけに、今シーズンからは結果によっては1大会2レースで大量得点が実現することとなる。戦う側にとっても”1度で2度おいしい”レースをモノにするため、いっそう緊張感ある戦いを披露してくれるはず。また、今シーズンのチャンピオン争いにおいても、有効ポイント制から全戦の獲得ポイント数の累計でチャンピオンを争う従来のスタイルに戻っている。それだけに、1大会2戦が開催される大会が持つ意味合いが大きくなるとも言える。そう考えると開幕イベントの富士は、現地観戦するファンが早速その魅力を堪能する絶好のチャンスとなるわけだ。人馬一体ではないが、クルマとドライバーが万全の体制で結果を出せるか否か。シーズン初戦からテンション高まる激戦が期待できるだろう。
■新参チーム&ドライバーは?
今シーズンの参戦チーム数は12。昨シーズンと同様だが、ドライバーは2名増えて21選手が出走する。ルーキードライバーとしてでビューを果たすのが、佐藤蓮と三宅淳詞のふたり。すでにSUPER GTではおなじみの選手だが、昨シーズンまでスーパーフォーミュラ・ライツで腕を磨いてきた。ふたりはともに新規チームとなるTEAM GOHからの参戦となる。一方、昨シーズンまでスポット参戦を繰り返してきた笹原右京とジュリアーノ・アレジが正式にフル参戦が実現している。アレジに関しては、スポット参戦ながら優勝を果たすなど昨シーズンから大注目のドライバーだったが、引退した中嶋一貴に代わり名門トムスのエースドライバーとして成長が期待されており、その活躍からは目が話せないだろう。
ベテラン勢としては世界耐久選手権(WEC)との掛け持ちを続ける小林可夢偉やWECにフル参戦が叶った平川亮、さらにディフェンディングチャンピオンの野尻智紀やタイトル奪還を虎視眈々と狙う山本尚貴、そして試合巧者の関口雄飛らの奮闘も気になる。もちろん、勢いある若手ドライバーの躍進もしかり。いずれにせよ、シングルシーターならではのガチンコバトルは、今シーズンも健在であることに違いはない。
主なタイムスケジュール
・4月9日(土)第1戦
09:30 – 公式予選(ノックアウト方式)
09:30 – 09:40 Q1(A組→上位6台がQ2へ)
09:45 – 09:55 Q1(B組→上位6台がQ2へ)
10:05 – 10:12 Q2
13:40 – 14:30 スタート進行
14:30 – 決勝(41Laps)
・4月10日(日)第2戦
10:25 – 公式予選(ノックアウト方式)
10:25 – 10:35 Q1(A組→上位6台がQ2へ)
10:40 – 10:50 Q1(B組→上位6台がQ2へ)
11:00 – 11:07 Q2
13:40 – 14:30 スタート進行
14:30 – 決勝(41Laps)