SUPER FORMULA 2022 Round8
SF第8戦、前日に続くワンデーレースの勝者は・・・!
第8戦 予選
8月21日、全日本スーパーフォーミュラ選手権の第8戦が栃木・モビリティリゾートもてぎにおいて行われ、前日に続いて予選、決勝がワンデーレース形式にて行われた。レースは・・・
前日の第7戦は、レース直前に降り出した雨の中、セーフティカーに先導されながらスタートを切り、ウェットレースでの37周の戦いとなったが、第8戦はドライコンディションでのバトルが繰り広げられた。
これに先立ち午前中に行われたノックアウト予選では、No.65 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)が気を吐く。前日、チームメイトのNo.64 山本尚貴が久々のポールポジションを手にしたが、今日もQ1・A組でトップタイムをマーク。するとB組で出走した大湯もこれに感化されたように、トップタイムを叩き出す。すると続くQ2のアタックでもその勢いをキープ。セクタータイムで全体トップを刻むと、1分30秒313の好タイムをしてトップへと躍り出た。一方、2番手時計をマークしたのは、No. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)。昨日の予選も2番手につけており、前回大破したクルマを新品同様にして臨む大会としては、いい流れを味方につけたようだ。そして3番手につけたのは、No. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)。前日の予選は4番手だったが、決勝で一つポジションを上げて3位フィニッシュ。チャンピオン争いでも独走態勢を築く野尻としては、3番手のタイムに悔しさを見せつつも、理想的なレース展開を構築する形となった。
【第8戦もてぎ 予選結果トップ3】
1.No.65 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)1’30.313
2.No. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)1’30.462
3.No. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’30.497
第8戦 決勝
シリーズの天王山に位置づけられるもてぎ大会。第8戦の決勝は前日同様に午後2時30分に幕を開ける。一方で、天候はみるみるうちに回復。気温31度、路面は45度まで上昇し、厳しい夏の強い日差しがコースを照りつける中での戦いとなった。なお、ダミーグリッドについた車両のうち、18番手スタート予定だったNo.36 ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)は電気系トラブルにより、ピットに戻って修復を行う。結果、最後尾からのスタートを強いられた。
フォーメーションラップを経てスタンディングスタート、自身初ポールポジションから抜群のタイミングを決めた大湯が先行したが、2番手のフェネストラズはやや出遅れ、逆に予選3番手の野尻が前で1コーナーに入った。またフェネストラズは4番手スタートの僚友、No. 3 山下健太にも1コーナーアウト側から並びかけられるが、イン側のラインに留まり、防御。一方の山下は目前に野尻がいたことでフェネストラズを逆転するには至らなかった。
その後方では予選7番手のNo.19 関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)が一気に5番手に浮上。スタート直後から前にいたチームメイトのNo.20 平川亮(carenex TEAM IMPUL)と競り合い、早速にオーバーテイクシステムを活用しながら攻防を繰り広げた。オープニングラップでは関口が先行したが、翌周には平川が90度コーナーで関口をパス。ポジションを取り戻した。スタートから後続を引き離したいトップ大湯だが、思うようにペースが上がらず。また他の上位グループも変わらぬペースで僅差のまま周回を重ねていく。トップ大湯と2番手野尻との差も1秒は切るものの、バトルには至らず。それを見越してか、上位陣に動きを起こしたのはルーティンワークが可能となる10周終わりだった。
真っ先に飛び込んだのは、6番手を走行する関口。この周には他に2選手もピットインする。さらに翌周には4台がピットへ。ところがうち1台、山下はルーティンのタイヤ交換ではなくシフトチェンジができなくなるトラブルでペースを落とす形でピットイン。修復作業のため、一旦クルマがガレージへと収められた。上位陣で序盤のピット作業を選択したのは、関口とNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。タイヤ交換をこの後に控える車両との差をぐんぐんと縮めるパフォーマンスを披露した。このハイペースに慌てたのが野尻。15周終わりでピットに戻って関口よりも早い作業時間でコース復帰を果たしたが、一足早く関口が1コーナーへと進入。野尻は関口の先行を許し、加えて牧野の猛追にも遭遇する。迫る牧野は、3コーナーから4コーナーにかけて野尻を制圧。関口、牧野はアンダーカットを成功させ、ポジションアップを果たしたといえる。
この流れを受け、トップ大湯も16周終わりでピットへ。さらに暫定2番手のフェネストラズも同一周回で作業を実施。大湯は左フロントタイヤの交換に時間を要したが、それでもフェネストラズの先行を許さず、ポジションを守る。一方で関口と牧野はすでに1コーナーを通過しており、大湯は事実上のトップを明け渡すことに。加えて1周先にピットインを済ませた野尻にも4コーナーで逆転を許し、厳しい中盤となってしまった。
この時点でタイヤ交換を済ませていないのは5台。中でもトップを走る平川は、フレッシュタイヤに交換したライバルよりもむしろ速いペースで周回を重ね、最終的には30周終了時点でピットへ。誰よりも遅いタイミングでタイヤ交換を行い、これに応えるかのようにスタッフも5.6秒という素早い作業でコースへと送り出すことに成功した。しかし、その平川でも敵わなかったのが、関口。平川とは真逆の戦略でいち早くタイヤ交換を済ませ、ハイペースで周回し続けた結果、平川を押さえてトップを奪取する。関口、そして牧野の後ろでコースに復帰した平川だが、その直後から背後に迫る野尻とのサイド・バイ•サイドを展開。1コーナーは野尻が先行したが、タイヤが温まった32周目の90度コーナーで逆転を果たすと、勢いは止まらない。コース上で一番フレッシュなタイヤを味方に、34周目の5コーナーで牧野を捕らえて見せた。これでIMPULの2台がワン・ツーを構築。だが、このままランデブー走行でチェッカーを受けるようなチームではない。1秒を切った2台のバトルが一気にヒートアップし、激しい攻防戦となる。互いに残り少なくなってきたOTS(オーバーテイクシステム)を切り札にしつつ、そのまま最終ラップへと向かっていく。最後の勝負どころとも言える90度コーナーでは平川がアウト側から関口に並びかけたが、関口がイン側を死守。逆に平川はアウト側にはらむ形となって態勢が乱れてしまう。これで関口に軍配が上がり、2019年第2戦オートポリス以来となる通算7勝目を掴み取った。チームメイト同士によるヒリヒリするバトルで場内を沸かせた2位の平川に続いたのは、牧野だった。第7戦、第8戦と新たなウィナーが誕生したもてぎ大会。シーズン終盤で新たな展開を見せる内容となったが、一方でチャンピオン争いにおいては依然として野尻がトップを独走中。残す鈴鹿大会の2戦で繰り広げられるドラマによって、どのようなシーズンエンドを迎えるのか。興味は尽きない。
【第7戦もてぎ 決勝結果 トップ3】
1.No.19 関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)59’31.699
2.No.20 平川亮(carenex TEAM IMPUL)+0.943
3.No. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+2.450