SUPER GT 2021 Round.7
SUPER GT第7戦ツインリンクもてぎ プレビュー
サクセスウェイトが半減、いっそう熾烈なバトルに期待
11月6、7日、栃木・ツインリンクもてぎにおいてSUPER GT第7戦「MOTEGI GT 300km RACE」が開催を迎える。毎戦熱いバトルが繰り広げられ、先の読めない展開を見せる今シーズンの戦いも、早いもので今回のもてぎを含めて2戦を残すのみとなった。もちろん、チャンピオン争いの行方が気になるところではあるが、参加条件が今回から大きく変わる中、どのチームも好成績を残すべく、より激しい攻防戦を繰り広げるのではないだろうか。
今季2戦目は、深秋の戦い
前回のもてぎは第4戦。真夏の一戦だった。シーズン2度目のレースともなれば、実戦のデータも存分に揃っている。とはいえ、大きく異なるのが気温と路面温度。近年のSUPER GTは、僅かな気温、路面温度の変化でタイヤをはじめとするポテンシャルに大きな違いが現れるという、極めてシビアな側面を持っている。それだけに、前回の戦いにおけるデータをどこまで活用できるのかは、チームによって異なるかもしれない。その一方で、昨年も第7戦としてほぼ同じ時期にもてぎでのレースが行われている。当日の天候が似通ったものになれば、そこからのデータも存分に活用が可能になると思われる。
各車のコンディションとして前大会との違いを上げるとすれば、サクセスウェイトにおける条件の変更だろう。第6戦までは、レース結果によって与えられるポイントをそのまま「㎏」に置き換え、それを2倍したものを「サクセスウェイト」として車両に搭載してきた。加えて、ウェイトに準じて燃料流用リストリクター口径のサイズダウンも求められる。リストリクターの調整でウェイトを”相殺”するのだが、レースで上位の成績を残せば残すほど、パワー不足が否めない状態_つまり”手負い”のコンディションで戦ってきたのだが、このもてぎ大会では、搭載ウェイトが半減_つまり、獲得ポイントがそのままウェイトの重さとして用いられることになる。ガッツリ重かったウェイトからそれなりに重いウェイトになることが、どれだけ助けとなるのかならないのか。また、そのウェイトによっては依然として”燃リス”の制限を求められるチームもあるため、クルマがもつ本来の強さ、速さを披露するには至らないだろうが、その中でいかに戦うかは、チームとしての適応能力にもかかってくる。これこそ、SUPER GTがチーム総力戦であることの所以だと言えるだろう。
タイトル争いの行方
今シーズンのGT500の戦いは、正直なところ、必ずしも予選上位のチームが決勝でも好成績を収めるという展開になっていないのが特徴だ。ポール・トゥ・フィニッシュの結果はこれまでの6戦中、ただ一回。第4戦もてぎでNo.1 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)が達成しただけに留まる。今シーズンは、予選一発の強さを見せるチームが続々出てきてはいるが、決勝ではその好調さを活かしきれず、ダイレクトに結果としてつながってはいない。
一方、ランキング争いで上位にいるチームは、半減したとはいえまだ40㎏から60kgのウェイトを搭載中。ストップ&ゴーのレイアウトを持つもてぎでボディブローのように効いてくるウェイトが”足かせ”となり、予選での一発の速さを披露することも難しいはず。となれば、抜きどころの少ないコースゆえ、決勝でも苦労するのではないだろうか。ポイント争いを考慮すれば、闇雲にライバルとの戦いで高いリスクを負うのではなく、”慌てず騒がず”自分たちのレースを着実に進めることが最善策になるはずだ。とりわけ、現時点でランキングトップをひた走る、ディフェンディングチャンピオンの1号車だけは、ウェイトが半減(60㎏)しても”燃リス”ダウンが条件に課せられるため、実際は43㎏の搭載ウェイトと1段階ランクを落としたリストリクターでの戦いになる。今シーズンは予選で後方に沈んでしまっても、決勝では安定した速さを武器にコツコツとポジションアップを果たし、表彰台に上がるという底力も見せてきたが、さすがに今大会は最終戦を前にした”最後のガマンのしどころ”的な戦いになりそうだ。
逆に、シーズン中に満足のいく結果を残せていないチームにとっては追い風に乗れるチャンスが巡ってくるのかもしれない。うまく路面にマッチしたタイヤを選択し、強い走りを見せることができたなら、自ずと結果も付いてくるのではないだろうか。中でもこのもてぎがホームコースであるホンダ勢は、予選での一発をどのチームでも出せる力があるだけに、アタック合戦はもちろんのこと、決勝のバトルにも注目が集まる。ホンダ勢でポールポジションを手にしているものの、未だ優勝を果たせていないNo.16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹組)やNo.64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹組)の躍進にも期待したい。
もちろん、ホンダに限らず、他のエンジンメーカーチームの活躍からも目が離せない。前回のオートポリスで3基目のエンジン搭載によるペナルティで、一旦は後方に沈みながらもレース中のさまざまな要因を味方につけ、するするとポジションアップして表彰台を獲得したのがNo.38 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組)だった。シーズン未勝利では終わるわけにはいかないベテランコンビによる今大会の戦いも気になるし、ほぼ似通った条件で挑むGR Supra勢の反撃が見られるやも知れない。日産勢もこの季節にパチっとあうタイヤを味方に速さをアピールできる可能性もある。いずれにせよ、レースウィークのコンディションに一番合う条件を揃えたチームに、大きなチャンスが訪れることだろう。
ウェイトなんてなんのその。実力派が台頭!?
オートポリスで衝撃の結果を残すことになったのが、第5戦SUGOで待望のシーズン初優勝を果たしたNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)。GT300の上限ウェイトにあたる100㎏を搭載してもなお、予選2位、決勝3位という驚くべき好成績をあげたことで、ライバル達の警戒心が一層高まったはずだ。一方、同じように100㎏超の条件で戦っていたNo.56 リアライズ日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ組)は11位、No.244 たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威組)も17位に甘んじ、ここまで僅差だったタイトル争いで差をつけられてしまい、逆に自分たちは後続のライバルたちに終われる形へ変わったことから、今回のレースでは、いかにライバルよりも高得点を上げるかが第一の目標になるのではないだろうか。このほか、ウェイトの軽い好条件のクルマも含め、必勝体制で臨むクルマが多いだけに、相当な攻防戦になる可能性が高い。
佳境に入った今シーズンの戦い。まずは最後まで走り切り、少しでもライアルの前でチェッカーを受けることを目指して熱い戦いを繰り広げるはずだ。
主なスケジュール
MOTEGI GT 300km RACE
11月6日(土)
09:25〜11:00 公式練習(GT300+GT500)
11:00〜11:10 公式練習(GT300専有)
11:10〜11:20 公式練習(GT500専有)
14:20〜14:30 公式予選Q1 GT300 A組
14:38〜14:48 公式予選Q1 GT300 B組
14:53〜15:03 公式予選Q1 GT500
15:13〜15:23 公式予選Q2 GT300
15:31〜15:41 公式予選Q2 GT500
11月7日(日)
09:40〜10:00 SGTドライバートークショー
10:45〜11:15 オールドライバーズアピアランス
11:40〜12:00 ウォームアップ
12:00〜13:00 スタート進行
13:00〜決勝 300km RACE(63周)