SUPER GT 2021 Round.5
SUPER GT 第5戦SUGOプレビュー
後半戦初戦、条件が異なる中で生まれるドラマに期待!
9月11、12日に宮城・スポーツランドSUGOで開催されるSUPER GT第5戦。ここからいよいよシーズン後半戦の4大会が始まる。前大会鈴鹿から1ヶ月も経たないうちに迎える今大会だが、一方でその舞台となるスポーツランドSUGOでの実施は2年ぶりとなるだけに、参戦するドライバーやチームスタッフはもとより、地元ファンにとっても待ち遠しい戦いになりそうだ。
サクセスウェイトが戦いを左右する!?
SUPER GT好きのファンなら、SUGOと聞いて思い浮かぶことがあるはず。それは「今回のレースではSUGOの魔物が出るのか、否か」。そう、SUGOの戦いはレース中にハプニングが起こりやすく、何かしら思いも寄らないドラマが起こると言われることが多く、いつしか「SUGOには魔物が棲む」と言われるようになった。スルリと勝利が手からこぼれることもあれば、”アンビリーバブル”な展開に、戦う者も観る者もテンションMAXになるようなレースを目の当たりにすることもある。それだけに何かしらのドラマが起こるのではないか、という期待が大きく膨らんでいくのだ。
その起因となるひとつが、サクセスウェイトであることも否めない。シーズン序盤から着実に好成績を手にしてきたチームには、その証としてのウェイトが搭載される。かつては”ウェイトハンディ”と言われたが、秀でたパフォーマンスを見せたから搭載されるウェイトだからこそ”サクセスウェイト”と今シーズンから呼ばれているが、実は、このウェイトこそが、SUGOの戦いのカギともなる。1周が3.7km強と他のサーキットに比べて距離が短いSUGOは、アップダウンを含む中高速コースのため、ライバルに比べて車重が重くなるチームは搭載ウェイトがボディブローのようにじわりと効き、総じて加速が鈍ることになる。クルマ本来のポテンシャルを完全に引き出すのは容易ではなく、歯がゆい状況で戦いに挑まなければならない。その中でレース中のバトルに挑むとなれば、ガマンの積み重ねが気持ちの焦りを呼び、ミスに繋がる可能性もある。コンパクトなコースにGT500のライバルだけでなく、多くのGT300車両が絡んでくるとなればなおさらのことといえるだろう。
もちろん、サクセスウェイトに苦戦する車両を尻目に戦うチームにとっては、絶好のチャンス到来になる。ただ、先述のように他サーキットよりコース幅も狭く、コースのあちこちでGT500>300が入り乱れる形で大渋滞になるSUGOだけに、油断は禁物。調子が良くても魔物は容赦ない、と心したほうがよさそうだ。
3メーカーのアプローチは?
2年ぶりのSUGO戦だけに、各チームにとっても事前の準備は相当入念なものとなるはず。現行車両での戦いが初となるだけにより一層力が入る。加えてSUGOのコースは、シーズン開幕を前にコースおよび施設の改修が行われた。結果的に安全面の確保が可能となり__たとえば、ピットロードの拡張はどのチームにとって大歓迎な点であり、決勝時の緊迫したピット作業を思えば、より安全に作業ができるとなればチームスタッフにとっても喜ばしいことだろう。その一方で、ピット作業後にコースへと復帰するピットロード出口/合流ポイントが大きく変わっていることが、どういう影響を与えるかも気になるところだろう。
しかし、全車両にとって現行車両での実戦データがなく、今大会が”デビュー”戦となる。その中でSUGOとの相性がいいメーカーは”トヨタ”。もちろん、GR Supraでのレースは今大会が初となるが、これまでのデータを参考にしっかりと分析を重ねた上で戦いに挑んでくるのは明白。当然のことながら、GR SupraによるSUGO初勝利をターゲットにしているはずだ。さらに、NSX-GTにおいても同じことが言えるだろう。コーナリングに強みを発揮する車両特性を活かしたアプローチに大きな期待が集まる。中でも今シーズンは速さを存分に発揮しながらもまだ納得のいく結果を残せていないNo.8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組)の勝利への思いはなおさら。加えて、前回の鈴鹿でポールポジションを獲得しながらも、決勝でブレーキングトラブルでレース序盤にリタイヤを喫したNo.64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹組)にとっても、その雪辱を果たす絶好のチャンスになるはずだ。そして、前大会で圧巻の強さを見せつけたNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)をはじめとするGT-R勢の復活にも注目したい。23号車だけでなく、鈴鹿で上位争いを展開しているだけに、引き続きSUGOでもその躍進を見せてくれるのではないだろうか。
■SUGOを得意とするGT300車両は?
鈴鹿戦では熾烈なトップ争いが印象的だったGT300クラス。実力が拮抗しているだけに、サーキットが変わっても、その場所に強い車両が激しい攻防戦を展開すると思われる。そして、SUGOでは、アップダウンとコーナリングに強いクルマが思うようなパフォーマンスを披露するのではないだろうか。中でもNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)は、前回の鈴鹿でポールポジションを手にしながら、レースは10位入賞どまり。第2戦富士で表彰台に上がったものの、持ち前の速さをレースに活かすことができていないレースが先行している。それだけに、なんとしても! の思いが強い中で迎えるSUGOだけに、シーズン待望の優勝を目標に挑む一戦になるはずだ。
一方で、上位争いで安定感を見せてきたチームにとっては”凌ぐ”一戦になることだろう。とはいえ、最終的にチャンピオン争いを考えると、ガマンするだけではライバルに先行される可能性がある。いわゆる駆け引きをも意識したレース運びが必要となってくる。凌ぎつつも、タイトル争いをするライバルの動きを見極め、そつなくレースをまとめ上げる力が問われそうだ。
速さだけでは戦いを制することができないSUPER GT。ピット作業をはじめとするチームとしての総合力の強さが勝敗を左右するシビアな戦いは、シーズン後半戦に突入し、さらにヒートアップすること間違いなし。タイトル獲得への激戦が本格化する中で、まず最初に頭ひとつ飛び出してくるのは果たしてどのチームなのか。楽しみは尽きない。
■主なスケジュール
SUGO GT 300km RACE
9月11日(土)
09:20〜10:55 公式練習(GT300+GT500)
10:55〜11:05 公式練習(GT300専有)
11:05〜11:15 公式練習(GT500専有)
14:30〜14:40 公式予選Q1 GT300 A組
14:48〜14:58 公式予選Q1 GT300 B組
15:03〜15:13 公式予選Q1 GT500
15:23〜15:33 公式予選Q2 GT300
15:41〜15:51 公式予選Q2 GT500
9月12日(日)
10:00〜10:20 SGTドライバートークショー
11:30〜11:55 ドライバーアピアランス
12:10〜12:30 ウォームアップ
12:30〜13:30 スタート進行
13:30〜 決勝 300kmRACE(81周)