SUPER GT 2021 Round.1
SUPER GT第1戦岡山 プレビュー
2021年シーズン、海幕は2年ぶりの岡山が舞台
3月下旬から国内のモータースポーツが次々と開幕戦を迎え、いよいよ今週末、SUPER GTの初戦が岡山国際サーキットで繰り広げられる。昨シーズンは新型コロナウイルス感染拡大の真っ只中で、4月の岡山開催が幻となっただけに、2年ぶりの有観客開催は地元はもちろん、多くのレースファンの期待度はより高まっている。
岡山、オートポリス、SUGOが復活へ
新型コロナウィルス感染拡大の終息はまだ道半ば。その中で迎える2021年シーズンだが、従来のスケジュールに沿って岡山で開幕戦を迎えることができるのはうれしい限り。もちろん、サーキットでは念入りな感染防止策を実施。残念ながらドライバーと身近に交流できるピットウォーク等の開催はまだ復活しないが、現地では趣向を凝らしたファンサービスが行われる予定だ。
年間8戦のスケジュールは変わらないものの、これまで実施されていた海外での開催は見送られ、国内6サーキットがその舞台となる。昨シーズンは栃木・ツインリンクもてぎ、静岡・富士スピードウェイ、そして三重・鈴鹿サーキットの3箇所に限定されたが、今シーズンは岡山、大分・オートポリス、また宮城・スポーツランドSUGOが復活する。3月には岡山、富士で公式テストが行われ、参戦チーム、ドライバーが開幕に向けて綿密な調整作業に取り組んだ。
GT500、新たな若手の活躍に注目
開幕戦の岡山に参戦するのは、GT500、GT300両クラス合わせて44台。うちGT500はこれまでどおり15台がエントリーした。今シーズン、新たにGT500のシートを掴んだルーキーは2選手。No.12 カルソニック IMPUL GT-Rのステアリングを握ることになった松下信治は昨シーズン途中に欧州レースを離れて帰国。スポット参戦でGT300クラスにデビューしたが、今シーズンは日産チームへと電撃移籍。しかも闘将・星野一義氏率いる名門IMPULでの活躍に大きな注目が集まっている。もともとシングルシーターでの活躍がメインではあったが、GTならではのパフォーマンスにも期待がかかる。コンビを組む平峰一貴もグイグイ攻めの走りを見せるアグレッシブな選手だけに、IMPULへ久々の勝利を持ち込む可能性も高そうだ。
No.16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTのシートを得たのは、大湯都史樹。昨シーズン、GT300で速さと強さをしかとアピール。スーパーフォーミュラでもルーキーながらポールポジション獲得、優勝達成と大躍進を見せている成長株だ。また、チームは昨シーズンまでヨコハマタイヤでの戦いを続けてきたが、今シーズンはダンロップへとスイッチ。これまでホンダ勢で唯一ダンロップユーザーだったNo.64 Modulo NSX-GTの実力がしっかりとついてきていることもあり、今シーズンは2台体制でデータ収集もいっそう進み、より力強いレースを繰り広げるのではないだろうか。
なお、ビザの関係で来日が叶わず開幕戦を欠場するNo.37 KeePer TOM’S GR Supraのサッシャ・フェネストラズに代わってステアリングを握るのは、阪口晴南。昨シーズンもNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraで代役参戦を務めた経験値を活かし、ドライバーとしてのアピールしたいところだろう。
決戦は昨年の流れを踏襲か?
コロナ禍で一部変更を余儀なくされているのがレース規定の制限。GT500では空力開発の凍結が続いており、昨シーズンから外観上の変更は見られない。とはいえ、昨シーズンを戦い抜て得たデータ、そして3月に岡山で実施した公式テストからのフィードバックをベースにしかと開幕戦の準備を進めてくるのは言うまでもない。一方、タイヤに関しては、メーカーがよりポテンシャルを高めたタイヤ開発を進めているはず。見た目としては変化はなくとも、つねに進化を求めるのがSUPER GTの真骨頂であるだけに、関係者が持ちうるスキルを全投入し、戦いに挑むことを期待したい。
スポーティングレギュレーションを一部改定
今シーズン、一部改定が行われたスポーティングレギュレーション。内容は変わらずともSUPER GTではおなじみのとある名称が変わる。それがウェイトハンディだ。レースでは、決勝結果に応じて上位10位までにポイントが与えられるが、これに併せて車両にウェイトを搭載するハンディキャップ制度が取られていた。システムそのものは継続されるが、新たに「サクセスウェイト」になる。レースでいい結果を残したことにより与えられるウェイトなので、「サクセス」というわけだ。
一方、使用タイヤ制限にも見直しが行われる。これまでドライタイヤのセット数は各大会で7セットだったが、6セットになった。戦略の見直しが必要となるが、第2戦以降はシーズン中の未勝利チームに限って1セット(ただしドライタイヤ)を追加供給してもらえる。近年、タイヤが勝敗のカギとなるレース展開も多く、シーズンを通して”ひとり勝ち”の状況をできるだけ回避すべき、というSUPER GTならではの”見せ方”を意識した規制改定といえるだろう。
そしてGT300クラスでは、各大会ごとに規則書で定められていた予選の組分けが正式にレギュレーションに則った扱いになった。Q1をA、Bの二組に分け、Q2をかけたタイムアタックが実施されることになる。
なお、岡山での開幕戦は特別規則によって、決勝時には最低1下位のタイヤ交換義務が発生する。これはドライタイヤ(スリック)でスタートすることが前提だが、タイヤ交換も同時に4本交換を義務化。GT300クラスではタイヤ無交換で上位フィニッシュを目論むチームも少なくないため、戦略の変更を強いられるチームもあるのではないだろうか。
今シーズン、各チームの戦闘力を垣間見るのにふさわしい開幕戦。戦いの行方に注目だ。
主なスケジュール
たかのこのホテル OKAYAMA GT 300km RACE
4月10日(土)
09:45〜11:10 公式練習(GT300+GT500)
11:10〜11:20 公式練習(GT300専有)
11:20〜11:30 公式練習(GT500専有)
14:00〜14:10 公式予選Q1 GT300 A組
14:18〜14:28 公式予選Q1 GT300 B組
14:33〜14:43 公式予選Q1 GT500
14:53〜15:03 公式予選Q2 GT300
15:11〜15:21 公式予選Q2 GT500
4月11日(日)
09:00〜09:30 SGTドライバートークショー
10:50〜11:15 ドライバーアピアランス
11:30〜11:45 オープニングセレモニー
11:55〜12:15 ウォームアップ
12:15〜13:30 スタート進行
13:30〜 決勝 300km RACE(82周)