SUPER FORMULA 2020 Round.3
SUPER FORMULA第3戦、キャシディが今季初勝利を挙げる!
初レースながら、ポールポジションからスタートを切ることになったセッテ・カマラ。午後2時51分からの53周の戦いは、”魔物が棲む”と言われることが多いSUGOならではの展開となる。まず、スタート前のウォームアップ走行で、No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がコースアウト。車両回収のため、赤旗が提示される。結果、レースは11分遅れでスタート。午前中に出ていた日差しは消え、うすい灰色の雲があたり一面広がる中での決戦を迎えた。
スタートを決めたのは、予選2番手の平川。初レースのセッテ・カマラはホイールスピンを喫して出遅れる。さらに予選3番手のフェネストラズも失速、後方のキャシディに先行を許しただけでなく、出遅れたことでイン側からブレーキロックして態勢を崩した中嶋から衝突されて1コーナー外側へと押し出されてしまう。コース復帰は果たしたものの、車両ダメージが大きくその後ピットイン。このままレースを終えた。また、中嶋もフロントノーズを損傷しただけでなく、このアクシデントに対してドライブスルーペナルティが課せられ、大きく後退することになった。
荒れたオープニングラップが終わると、トップ平川の後ろにセッテ・カマラ、さらにキャシディを攻略した山本がトップ3を構築。山本は積極的にオーバーテイクシステムを使い、19周目にはセッテ・カマラを逆転して2位までポジションを上げた。その後、キャシデイ、さらにはNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)までもがセッテ・カマラに急接近。タイヤコントロールが難しくなったのか、セッテ・カマラは18周終わりでピットインしてタイヤを交換。だが、このときに右リアタイヤ交換に時間を要してしまった。さらにアウトラップの4コーナーでタイヤをロックアップさせてコースアウト。タイヤバリアにヒットし、そのままクルマを止めてしまった。
このアクシデントを受け、レースが動く。まず2台がルーティンのタイヤ交換にピットイン。その後、セーフティカーがコースインしたため、上位陣が20周を終えて続々とコースインした。レースは27周を終えたタイミングで再開。平川が絶妙のタイミングでリスタートを決めるた。一方、その後ろでは最終コーナーから山本をロックオンしたキャシディがメインストレートで先行。その勢いでトップ平川にも猛追して30周目の最終コーナーで背後につけると、またもストレート上で逆転を果たした。また、山本も平川とのバトルに挑んだが、山本はオーバーテイクシステムを使い果たしており、逆転には至らなかった。このあと、トップのキャシディが水を得た魚のように快走を披露。トップ3は次第に”ひとり旅”へと変わり、攻防戦は見られないままチェッカーを迎えた。
キャシディは待望のシーズン初勝利。平川は開幕戦以来の表彰台を獲得、シリーズランキングでは依然としてトップを堅持している。また、3位の山本も今季初表彰台となっている。
【第3戦SUGO 決勝結果 トップ3】
1.No. 1 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)1:08’11.981
2 No.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)+3.974
3.No. 5 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+11.895
予選は、セッテ・カマラがポールポジション
今シーズン3戦目を迎えた2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権。戦いの舞台はみちのく仙台へと移動し、スポーツランドSUGOとなる。前日には冷たい雨に見舞われ、気温も大きく下がったが、10月18日のワンデーレースでは天気が回復。風は肌寒いものの青空が広がる秋晴れに恵まれた。予選では、今大会からようやく出場となったルーキーのNo.50 セルジオ・セッテ・カマラ(Buzz Racing with B-Max)が初レースでいきなりポールポジションを獲得するという激震が走ったが、決勝では、スーパーフォーミュラでのタイトル経験者であるNo. 1 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)が試合巧者ぶりを存分に発揮、今季初勝利を果たした。
第3戦レース前日のSUGOは、朝から小雨模様となった。午前中に行われた1時間の専有走行には、コロナ禍でこれまで来日が叶わなかったセッテ・カマラはじめ、9月のWECル・マン24時間レース後の出走が許可されなかったNo. 3 山下健太(KONDO RACING)、No. 7 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、No.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)も開幕戦以来となるSF19をドライブ。決戦に向けて着々と準備に勤しんだ。また、今回もNo.12 塚越広大(ThreeBond Drago CORSE)とNo.15 笹原右京(TEAM MUGEN)が代役参戦を果たしている。
予選はこれまで同様にノックアウト予選を実施、さらにはQ1をA、B2組に分けて実施された。まず、Q1A組のトップタイムを刻んだのは、キャシディ。1分04秒613をマーク、これに前回岡山大会で初優勝を果たしたNo.39 坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が続いた。一方、B組はセッション残り約3分の時点で自己ベストタイムをマークしたばかりのNo.65 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)がSPコーナーで痛恨のオーバーラン。縁石に乗ったマシンはコーナーで止まりきれず、スピードに乗ったままクラッシュパッドに突っ込む形でストップ。これを受け、セッションが赤旗中断となる。およそ15分強の時間を経て再開されたアタックタイムだが、出走10台のうち、Q2進出可能な上位7台のポジションに変動はなく、残る3台の中でセッテ・カマラが自己ベストタイムを更新して8番手に浮上する。この結果、赤旗の原因となった大湯はベストタイム抹消となり、変わってセッテ・カマラが”首の皮一枚”の状態でQ2進出のチャンスを手にした。
続くQ2には14台が出走。Q3出走に向け、上位8台の座を目指して激しいポジション争いが展開された。真っ先にアタックラップへと入ったNo. 5 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が1分04秒988をマークしたが、その直後から次々とペースアップする車両が出てポジションダウン。結果、このセッションでトップを奪ったのは1分04秒565をマークしたNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)だった。一方、坪井やSUGOのコースホルダーでもある山本はタイムを伸ばせず、敗退を喫している。
ラストアタックとなるQ3でまずトップタイムを刻んだのは、No. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)。1分04秒325をマークしたが、その直後にNo.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が1分04秒288でこれを上回る。だが、寸分違わずのタイミングで、なんとセッテ・カマラが1分04秒235のタイムを叩き出してトップへ浮上。このままセッション終了を迎えたことから、初のスーパーフォーミュラ、初のSUGOとなる予選でセッテ・カマラがポールポジションを手にするという衝撃の結果に終わっている。開幕戦から連続してポールポジションだった平川は2番手、そしてフェネストラズは前回の岡山大会に続いて3番手からのスタートとなった。
【第3戦SUGO 予選結果 トップ3】
1.No.50 セルジオ・セッテ・カマラ(Buzz Racing with B-Max)1’04.235
2.No.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1’04.288
3.No. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)1’04.325
SUPER FORMULA第3戦SUGO プレビュー
第3戦SUGOは、秋本番の一戦に!
今年8月下旬にシーズンスタートとなった2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第3戦が、10月18日に仙台・スポーツランドSUGOを舞台に行われる。本格的な秋の到来を迎える東北での一戦は、前大会よりもぐっと気温が下がる中での戦いになるものと思われる。毎回緊迫した戦いが繰り広げられるだけに、今大会もどんなドラマが待ち受けているのか、期待が膨らむ。
SUGOにはレギュラードライバーが多数復帰
ル・マン24時間レースに参戦していた日本人ドライバー3名を含め、レギュラードライバーの欠場が多く見られた前回の岡山戦。代替ドライバーとしてビッグチャンスを手にした若手ドライバーたちが予選から伸び伸びとSF19を操り、速さあるパフォーマンスを披露したのは記憶に新しい。一方、決勝レースになれば百戦錬磨のベテランドライバーはじめ、レギュラー陣が本領を発揮。見どころある戦いを繰り広げてくれた。
そして迎える第3戦SUGO。日本人のレギュラードライバーは全員顔を揃えたものの、一方でまだ新型コロナウイルス感染防止の観点に基づき、参戦を見送ることになった外国人ドライバーも。ヨーロピアンル・マンシリーズに参戦したThreeBond Drago CORSEのタチアナ・カルデロン選手は十分な検疫期間が確保できないとされ、欠場が決定。第2戦に続き、塚越広大が代役を務めることになった。さらに、TEAM MUGENもユーリ・ビップスが依然として来日できず、これまで同様に笹原右京がステアリングを握ることが発表されている。結果、SUGOには全19名が出場。うち、初レースを迎えるのがBuzz Racing with B-Maxから参戦するセルジオ・セッテ・カマラだ。
ブラジル出身のカマラは若干22歳。だが、レースキャリアは華々しく、アストンマーティン・レッドブル・レーシング、またスクーデリア・アルファタウリのテスト兼リザーブドライバーも務める伸び盛りの選手でもある。とはいえ、彼がSF19をドライブしたのは、昨年12月、富士スピードウェイで行われたテスト以来。今シーズン、コロナ禍でレーススケジュールが大幅に変更され、実走行の時間が激変。今大会も土曜日に1時間✕2回の走行時間が与えられるのみで、日曜日は1Dayレースとして予選と決勝に挑まなければならない。また、舞台となるスポーツランドSUGOは中高速コーナーのレイアウトを持ち、平均速度が開催サーキットの中で2番目に高いテクニカルコース。しかもアップダウンに富み、コース幅もタイト、しかも全長も決して長いとは言えず、ドライバーには極めて厳しい国内屈指の難コースとして知られる。それだけに、タフなレースウィークになりそうだが、どこまで実力を行使できるかにも注目が集まることになるだろう。
問われる路気温への対応
これまで、スーパーフォーミュラでのSUGO戦はシーズン的に夏の開催が多く、遅くても9月での実施であったが、今回は10月中旬での一戦となる。それだけにやはり気がかりなのは、天候ではないだろうか。とくに東北地方ともなれば朝晩の冷え込みも大きく、仮に好天に恵まれたとしても寒暖の差もあるだけに、クルマのセットアップ、タイヤマネージメントに配慮した準備が必要となるはずだ。
今週末の天気予報はというと、土曜日に雨が降る可能性が高く、週末を通して最低気温は10度を下回り、日中も20度を割ると予想されている。第1、第2戦までとは大きく異る天候の中、コンディションに左右されることなく戦いを推し進めることができるか否か、それが勝敗にも大きく影響を与えるのは言うまでもないだろう。
なにしろ、過去のSUGO戦を振り返っても荒れた展開になる確率が高く、スーパーフォーミュラに限らず、レース開催のたびに「SUGOには魔物が棲む」というフレーズが飛び交うことでも有名。それほどここのサーキットは、ドライバーのチャレンジスピリッツを掻き立てるのか、あるいはSUGOにいるレースの神様が気まぐれなのか…。いずれにせよ、シングルシーターのドライバーズレースであるスーパーフォーミュラならではの戦いへ挑む、ドライバーたちの果敢なパフォーマンスは必見といえる。
タイヤ交換を含む戦略にも着目
開幕戦こそタイヤ交換は実施されなかったが、前大会より特別規則が適用され、交換が義務付けられた。そのルールは今大会も継続される。交換作業はレース開始10周目以降から最終周までに完了しなければならない、というものだが、セオリー的にはトップ争いをしている場合、早々にピットインしてタイムを稼ぐか、ギリギリまでピットインを我慢するか、どちらかのタイミングになるやもしれない。
一方で、今大会のSUGOは全長が他のサーキットよりも短いだけでなくピットも狭いため、近隣のチームとタイヤ交換のタイミングが重なるのは避けたいところ。スタート後、どのポジションで走行しているか、あるいは前方車両との混戦に巻き込まれていないか、自身のレースペースを保つことができているか…など、コース上での状況も含め、最適なタイミングでピットインできるかどうかによってコース復帰後の戦いにも影響が出かねない。”見えない”ライバルとのポジション争いも念頭に戦うドライバーたちの心理戦にも注目したいところだ。
また、気になるタイトル争いだが、今季は有効ポイント制を特別導入しており、上位最大5大会の得点合計が適用されることになっている。全7戦中すでに2戦を終えているため、今大会から先は何が何でも結果を残し、ポイントを取りこぼすことがないような戦いをしていく必要がある。今大会で表彰台獲得が実現すれば、まだまだチャンピオン争いに加われるチャンスも多いだけに、かなりヒートアップした戦いになるだろう。
主なタイムスケジュール
・10月17日(土)
10:20 – 11:20 専有走行
13:40 – 14:40 フリー走行
・10月18日(日)
10:20 – 公式予選(ノックアウト方式)
10:20 – 10:30 Q1(A組→上位7台)
10:40 – 10:50 Q1(B組→上位7台)
11:00 – 11:07 Q2(A+B上位7台・計14台→ 8台)
11:17 − 11:24 Q3
13:55 – 14:40 スタート進行
14:40 – 決勝(53Laps・190kmレース)