SUPER FORMULA 2020 Round.7 - イベント・レースレポート

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SUPER FORMULA 2020 Round.7

2020年12月22日

SUPER FORMULA第7戦、坪井が今季2勝目。タイトルは山本の手に


決勝は若手の躍進が目立つ展開となり、坪井が今シーズン唯一の2勝目を達成。大湯が前回に続いて表彰台に上がり、助っ人として途中参戦の松下が自身初の3位を手にした。一方、最後までもつれたシリーズタイトル争いは、粘りの戦いを制した山本が自身3度目の王者に。先のSUPER GTでもGT500クラス王者となった山本は、自身2度目のダブルタイトル獲得を果たした。
 

慌ただしくも、コロナ禍で今シーズンの”ニューノーマル”となったワンデーレースの決戦は、直前のウォームアップ走行の時点でNo.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が車両火災を起こしてコースサイドに停止。赤旗が提示され、セッションが中断した。結果、レースは当初の予定よりも22分遅れでフォーメーションラップがスタート。午後2時47分に19台の車両がダミーグリッドを離れた。だが、その中でNo.12 タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)がエンジンストールとなり、オフィシャルの手を借りてマシンを一旦ピットへと戻すことになる。さらに、コース走行中のNo.51 シャルル・ミレッシ(Buzz Racing with B-Max)が13コーナーでスピン。エンジンをストールさせてしまい、戦うことなくレースを終えている。
 

17台がダミーグリッドからシグナル消灯後にスタート。ここで真っ先に1コーナーに飛び込んだのは予選2番手の坪井。これに予選4番手の松下が続き、一方ポールポジションスタートの野尻は3番手から追随する。僅差でのトップ3に続いて4番手には山本。その背後に笹原、また逆転タイトルを目指す平川は6番手までポジションアップすると、3周目の1コーナーで笹原を逆転して山本へと詰め寄る。オーバーていくシステムを多用し、山本攻略を試みる平川。だが、差を詰めることはできても逆転には至らず、しばし硬直した展開となった。
 

レースが動いたのはルーティンのタイヤ交換が可能となった10周を終えてから。トップの坪井が10周目の第1セーフティカーラインを通過した後、逆転優勝を目指す3位走行中の野尻がピットイン。ところが右フロントタイヤのホイールナットがメカニックの手元からこぼれ落ちて大きくタイムロスしたため、アンダーカットを目論んでいた作戦は水泡に帰す。一方、14周終了時点でピットインしたのは平川。対する山本は15周終了時にピットへと戻り、この2台はコース復帰後に激しい攻防線を展開。抜きつ抜かれつのポジション争いを繰り広げる中、最終的に17周の2コーナーで山本が再び平川の前へ出ることに成功した。
 

一方、”見えない相手”との戦いとなるキャシディは20周目にトップへ立つと、毎周のように自己ベストタイムを更新。このあとに控えるピット作業で有利に立つため、気迫に満ちた走りを見せる。しばらく膠着状態だったレース展開に異変が見えたのは、29周目。突然、野尻がスピードを失いコースサイドでストップ。なんと左フロントタイヤがパンクしており、万事休す。戦列を去ることになった。その動揺が残る中、30周終わりでキャシディがピットに滑り込む。7.8秒で作業を終えてコースに復帰したが、タイトル争いをするライバルの山本はひと足先に1コーナーへ。残り10周での逆転を目指し、キャシディは山本を猛追。33周目のコカ・コーラコーナーで気圧されるように山本はキャシディの先行を許してしまった。レースはトップ坪井が2位の松下と1秒を切るシビアな戦いをリードし続けていたが、逆に松下は7番手スタートから着実に追い上げを見せていた大湯にかわされてしまう。大湯はさらにトップ坪井に急接近。前回の鈴鹿に次いでの連勝を目論んだが、もはやこれまで。40周のトップチェッカーは坪井に振られ、シーズン2勝目を達成。そして大湯、松下とルーキーが続いてゴールラインを切り、4番手にキャシディ、そして山本は5位でチェッカーを受け、自身3度目となるスーパーフォーミュラの王者に輝いた。最後の最後まで山本のバトルに挑み、破れた平川は6位フィニッシュ。SUPER GT、そしてこのスーパーフォーミュラも山本に敗れて2位に終わり、無念の涙を飲んでいる。
 

【第7戦富士 決勝結果 トップ3】

1.No.39 坪井 翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)56’13.803 40Laps
2.No.65 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)+0.687
3.No.50 松下信治(Buzz Racing with B-Max)+1.522



2020年12月21日

SUPER FORMULA第7戦、予選は野尻が今季2度目のポール


真冬の寒さの中で迎えることになった今シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権最終戦。雪化粧した富士山が静かに見守る中、その舞台となる静岡・富士スピードウェイでは予選から白熱の戦いが繰り広げられ、コースレコード更新が続出した。
 

今シーズンは新型コロナウイルス感染拡大防止策としてワンデーレースでの実施となるスーパーフォーミュラ。前日には午前に専有走行、午後からはフリー走行が行われたが、曇天模様となったセッション中の気温は4〜6度、路面温度にいたっては2〜6度とタフなコンディション下での走行を強いられた。しかし、最終決戦の日曜日は、朝から穏やかな日差しが照りつけるすっきりとした冬晴れに恵まれ、午前10時前に始まったノックアウト予選は気温7度、路面温度10度まで上昇した。
 

前大会の鈴鹿戦からタイヤへの加熱が可能となったことから、今大会でもタイヤウォーマーによるプレヒーティングを活用する形での予選がスタート。気温は低いものの、絶好のアタックチャンスとなるドライバーにとってはコースレコードをブレイクする機会となり、早速Q1からレコード更新が果たされる。なお、チャンピオン獲得に向けてその権利を持つドライバーは4人。うち、4番手からの逆転を狙うNo. 1 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)はQ1で4番手のタイムをマークするも、ベストラップさらにセカンドベストタイムが抹消される事態に。これは両アタックでのトラックリミット違反が判明したため。これにより、キャシディはQ1・A組の10番手となり、あろうことかQ2進出のチャンスを喪失。決勝レースも最下位の20位スタートを強いられてしまった。そんな中、Q1・A組のトップタイムはNo.15 笹原右京(TEAM MUGEN)がマーク。今シーズンは来日できなかったドライバーに代わっての参戦であったが、結果的にフル参戦を果たしている笹原は右肩上がりに調子を上げている。一方、Q1・B組はチャンピオン争いでランキングトップに立つNo.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がトップに。これにランキング3位からの逆転を狙うNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が着け、調子の良さをアピールする。
 

続くQ2では、各車さらにタイムアップ。じっくりとタイヤに熱を入れてからのアタックをするドライバーと、ピットでじっくりと待機、満を持してのワンラップアタックに挑むドライバーとに分かれたが、周回を重ねてタイムアップを果たしたNo.50 松下信治(Buzz Racing with B-Max)がトップタイムをマーク。これに笹原が続いたが、彼もまたベストタイムがトラックリミット違反の対象となってタイムが抹消されるもセカンドベストラップが8番手となりQ3通過を果たした。
 

いよいよ迎えた最後のアタック、Q3。8選手のうち、4選手は開始早々にコースインしてウォームアップを終えると一旦ピットイン。一方、前回第6戦で初優勝を遂げたNo.65 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)はQ2と同じくフロントタイヤにニュータイヤを装着してタイヤをスクラブ、一旦ピットへクルマを戻す。それぞれ異なるアプローチを見せる中、アタックラップを迎えたドライバーからまずトップに立ったのは笹原。1分20秒219をマークする。その後、続々とタイムアップするドライバーが現れる一方で平川はタイムを伸ばせず、セッションが終わってみれば8番手のポジションに甘んじてしまった。逆にタイムアップを果たしてトップに立ったのは、No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)。1分19秒972のタイムで今季2度目のポールポジションを手にした。2番手にはトヨタエンジンユーザーのNo.39 坪井 翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が続き、3番手には逆転タイトルを狙うNo. 5 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。この結果によって山本は貴重な1点を計上。最終決戦を前にランキング争いで平川を抜いてトップから戦いに挑むこととなった。

 

【第7戦富士 予選結果 トップ3】

1.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’19.972
2.No.39 坪井 翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)1’19.989
3.No. 5 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’20.155
 



2020年12月18日

SUPER FORMULA第7戦 プレビュー


富士で迎える最終決戦は、冬本番の中での一戦に

 

ついに今シーズン最後の戦いを迎えることになるSUPER FORMULA。新型コロナウイルス感染拡大防止対策によって開幕が8月末となり、従来11月上旬にシーズンエンドを迎えていたものが大幅に遅れた。一方、これまで全レースでウィナーが異なるほどの混戦を見せており、チャンピオン争いも条件次第で可能性のある選手を含めると4名になる。冬本番の富士では、どのような戦いを繰り広げるのか。
 

冬本番の一戦、タイヤウォーマーがカギを握る

12月上旬に三重・鈴鹿サーキットで開催された第5、第6戦のダブルヘッダーは、予想だにしない展開と結末が待っていた。今シーズンは大会規定を一部見直し、予選と決勝を1日で実施する「ワンデーレース」方式がレースフォーマットとして採用されており、前回の鈴鹿大会は土曜日、日曜日にそれぞれ予選および決勝を行うタイトなスケジュール下で実施されることになった。
 

本格的な冬を迎える中、懸念されたのが装着タイヤのパフォーマンス。結果、タイヤへの加熱が特別に認められ、ブランケット等で個々のタイヤを包み込んで温める方法ではなかったものの、ジェットヒーター等の熱源を用いるやり方でタイヤを加熱できるようになった。とはいえ、これまでタイヤウォーマーを取り入れていないことで”様子見”の部分もあったこともまた事実で、どのチームも自信を持って用意できたかどうかは定かではない。試行錯誤を重ねつつ、鈴鹿で得た経験値を今大会の舞台となる静岡・富士スピードウェイでどう発揮できるかは、チームの総合力にもよるところだろう。
 

前回の鈴鹿では、両日とも比較的穏やかで温かい日差しに恵まれ、気温、路面温度も高くなり、レースを行う環境としては申し分ない状況だった。ただ、やはり吹き下ろす風は冷たく、走行中のタイヤへの影響がどれほどあったか、これも気になるところ。ここのところ、決勝では、寒さの中でタイヤを充分に温めるためにフォーメーションラップを2周設けているが、「レーシングスピードよりも遅い走行では、タイヤウォーマーで温めたタイヤが冷めてしまう」という声も上がっていると言い、いかに優れたコンディションのタイヤを確保することが難しいかがわかる。それだけに、前回の鈴鹿でどこまで”コツ”をつかんだかどうか、今大会の予選で何らかの違いとなって表れてくるかもしれない。
 

自力王者の権利を持つのは平川と山本の2選手

第4戦オートポリス戦を終えた時点でランキングトップにいたのは、No.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。これにNo. 1 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)が11点差で続き、3番手にはトップと15点差のNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)がつけていた。だが、その後の鈴鹿は両レースで安定した成績を残すことができなかった選手が大半を占めるというまさかの展開になる。結果、オートポリスと鈴鹿での第5戦でノーポイントに終わったものの、第6戦で7位入賞を果たした平川がトップをキープ。これにオートポリス戦から調子を上げ、第5戦鈴鹿でポール・トゥ・ウィンのフルマークを達成したNo. 5 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が同ポイントで2位につけている。なお、同ポイントながらランキング2位というのは、上位成績を比べた結果に基づく。平川も山本同様、開幕戦でポール・トゥ・ウィンを達成しているが、第3戦SUGOでは予選2位、決勝2位の成績を残しており、これが山本の他の戦績を上回ることからランキングでもトップになる。なお、タイトルを巡るふたりの争いは、シンプルに自身が優勝すればチャンピオンが確定するという「自力チャンピオン」の条件に当てはまる。さらに、仮に勝てなくとも決勝2位以上あるいはは予選でポイントを獲得して決勝を3位以内で終えることができれば、ライバルの順位に関係なくタイトルが手に入る。
 

ランキング3位の野尻、そして同4位のキャシディにおいてはポール・トゥ・ウィンを一番の目標に、あとはライバルの結果次第というシビアな条件がつく。加えて、今シーズンは有効ポイント制を採用しており、全7戦のうち上位最大5大会のポイントを採点する。過去のレースすべてにおいて入賞しているふたりは、全ポイントを加点できないのが残念だ。また、キャシディにおいては、前回のレースをエンジントラブルで終えていることから、富士に向けてエンジン置換が必要となる。この行為が10グリッド降格ペナルティとなるかどうかは、最終戦の審査委員会で裁定されるため、結果によって状況が激しく変わることになる。
 

タイヤウォーマーを有効的に活用し、ノックアウト予選で申し分のないアタックが出来るか否か。前回の鈴鹿でのレース展開を考えれば、必ずしも予選順位で戦いの行方が決まるわけでもないが、いずれにせよ、今シーズンの集大成になる一戦は見どころ盛りだくさんになるはずだ。
 

主なタイムスケジュール

・12月19日(土)
10:00 – 11:00 専有走行
15:00 – 16:00 フリー走行

・12月20日(日)
09:45 – 公式予選(ノックアウト方式)
09:45 – 09:55 Q1(A組→上位7台)
10:05 – 10:15 Q1(B組→上位7台)
10:25 – 10:35 Q2(A+B上位7台・計14台→ 8台)
10:45 − 10:55 Q3

13:40 – 14:25 スタート進行
14:30 – 決勝(40Laps・180km)





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