SUPER FORMULA 2020 Round.5 - イベント・レースレポート

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SUPER FORMULA 2020 Round.5

2020年12月6日

SUPER FORMULA第5戦、山本尚貴がポール・トゥ・ウィンを達成!


コロナ禍でシーズンの開催カレンダーが大幅に変更された今シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権。三重・鈴鹿サーキットの大会では、第5戦、第6戦の2レースが土曜、日曜それぞれワンデーレースでの実施となる。冬到来となる中、土曜日に予選、決勝が行われた第5戦では、予選からレコードタイムが大幅に更新される”アタック合戦”となった。その中でポールポジションを獲得したNo.5 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が大荒れの展開を物ともせず、今季初のポール・トゥ・フィニッシュを果たした。
 

穏やかな日差しに恵まれた土曜日の鈴鹿。午前9時10分からノックアウト予選がスタートする。時節柄、タイヤへの加熱が認められる中でのタイムアタックはどのようにタイヤを温めてアタックに挑むのか、初めてのアプローチだけにチームとしての総合力も問われることになった。その中でA、B二組に分けて実施されたQ1では、A組に出走したNo.5 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が早速コースレコードを更新する1分35秒153をマーク。一方、B組トップはそのチームメイトであるNo.6 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が1分35秒601で通過を決める。なお、このQ1・B組において、現在トップランカーであるNo.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)の車両にミッショントラブルが発生。スタート直前の出来事に、平川は出走のチャンスを喪失。午後からの決勝を最後尾から挑むという厳しい状況に追いやられた。
 

Q2は全20台のうち、Q1を突破した14台が出走。この中で他車とアタックのタイミングを外し、満を持してアタックした山本がベストラップをマーク。計測1周目に1分35秒055のタイムでQ2トップに立った。一方、ランキング2番手につけるNo. 1 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)はタイムを伸ばせず、まさかのQ2敗退となっている。いよいよ最後のアタック、Q3に進出した8台はうち6台がホンダエンジン、2台がトヨタエンジン搭載車に分かれ、その中でも前回同様にホンダエンジン搭載車が速さを見せることとなった。Q2同様、早めのアタックラップに入った山本は計測1周目に1分34秒749をマークし、またもレコードを更新。するとチェッカーラップのタイミングでQ2を2番手で終えていたNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が、これを上回る1分34秒648をマークし、トップへ。だが、さらにもう1周アタックを続けた山本が1分34秒533とさらにタイムを縮め、トップを奪還。これにより、山本が今季初、また自身通算12回目、鈴鹿では9回目となるポールポジションを手にして予選を終えている。
 

【第5戦鈴鹿 予選結果 トップ3】

1.No.5 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’34.533
2.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’34.648
3.No.6 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’34.917
 

午後を迎えた鈴鹿はさらにたっぷりと日差しが照りつけ、絶好のレース日和に恵まれた。レース直前のウォームアップ走行中に野尻の車両が突然スローダウン。スプーンカーブ手前で完全にストップする。結果、自力でグリッドに着けなかった野尻は最後尾スタートに。一方、フォーメーションラップ中、ハプニングに見舞われたのがNo.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。2コーナー立ち上がりのイン側で停車してしまい、レース出走が断たれた。このトラブルを受け、レースはさらにフォーメーションラップ2周が追加され、もともと30周だったレースは28周で行われることになる。
 

気温16℃、路面温度19℃の中、28周の戦いがついにスタート。今回、予選開始直前にトラブル発生によって出走が叶わなかった平川が怒涛の追い上げを見せ、スタート早々に4台をパス。また、予選6位だったNo. 7 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)が、スタートを決めて3番手へと浮上する。一方でその後方では予選5位スタートのNo.64 牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)が挙動を見出してダンロップコーナーで直進、タイヤバリアに激しく衝突。このアクシデントを受けてセーフティカーが導入され、5周終了までレースがコントロールされた。6周目にリスタートすると、トップの山本はさらにタイムアップ。後続を引き離しにかかる。レースは山本が10周を過ぎたタイミングを境にして、ルーティンワークのピットインに入るチームが現れる。まず、4台がピットイン、さらに翌周に2台とピットインが続き、上位2位、3位の可夢偉、No.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)が13周を終えてピットインへ。ところが、可夢偉はタイヤ交換に時間を要し、コース復帰の際に一貴の先行を許してしまった。
 

レースは折返しを過ぎ、トップ山本に対し、2番手以降はピット作業を終えていない車両が続き、事実上の2番手は8位走行の一貴。18周終わりでピットに向かった山本は7.3秒とそこそこのタイムで作業を終えてコースへと復帰する。だが、その同一周回で130Rを走行中のNo.50 松下信治(Buzz Racing with B-Max)がリアタイヤトラブルによってコースアウトし、クラッシュバリアに直進。マシンのリアを大破する。このアクシデントを受け、レースは2度目のセーフティカーがコースイン。間一髪でピット作業を終えていた山本はセーフティカー走行下で首位キープに成功し、さらに一貴、No.18 国本雄資(carrozzeria Team KCMG)、No.15 笹原右京(TEAM MUGEN)が続く形でレースは23周目にリスタートした。
 

だが、このリスタートでまさかの大波乱が訪れる。メインストレートから1コーナーにかけて4位以降4台の車両が激しいバトルを展開。挙動を見出した1台に絡む形で1コーナーから2コーナーにかけて多重クラッシュが発生する。結果、笹原の車両はクラッシュバリアにヒットし、横転。さらに平川もその2コーナー進入手前でコースアウトして車両を止めた。一方、No.39 坪井 翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)はこのアクシデントでタイヤとフロントウィングを傷め、緊急ピットイン。車両を下りた。その中でアクシデントをかわした可夢偉は4番手でコースを続行するが、レースは3度目のセーフティカーランとなる。再々に渡るセーフティカーランを経て、2周後の26周終わりでレースは再開。残り2周のバトルとなったが、トップ山本と2番手一貴の差は2秒近く離れており、もはや山本の独走状態。結果、山本がポール・トゥ・フィニッシュを決め、合計23点を計上。シリーズランキング争いでもこれまでトップだった平川に4ポイント差をつけて逆転している。2位表彰台に上がったのは、一貴。開幕以来の入賞、今季初表彰台に立った。3位の国本も今季初の表彰台を手にしている。
 

多くの波乱を生んだ第5戦に対し、明日の第6戦はどのようなドラマを見せるのか。興味は尽きない。
 

【第5戦鈴鹿 決勝結果 トップ3】

1.No.5 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1:03’27.718 28Laps
2.No.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)+1.349
3.No.18 国本雄資(carrozzeria Team KCMG)+3.946



2020年12月4日

SUPER FORMULA第5&6戦鈴鹿 プレビュー


いよいよタイトル争いも佳境! 鈴鹿戦はダブルヘッダーのタフな一戦に

 

シリーズ後半戦を迎える全日本スーパーフォーミュラ選手権。今週末は、第5戦および第6戦が三重・鈴鹿サーキットにおいて開催される。気温がすっかり下がる中、各チーム、ドライバーはどのようなパフォーマンスを披露するのか。タイトル争いが佳境に入る中での戦いに注目が集まる。
 

■シーズンの山場は寒さとの戦いに!?

2020年シーズンのSUPER GTは11月最終週で全戦を終えているが、日本最高峰のフォーミュラーレースである全日本スーパーフォーミュラ選手権ではまだ3戦が残っている。12月に入り、本来であればシリーズチャンピオンも決まり、どのカテゴリーも”オフシーズン”を迎える頃だが、コロナ禍で大幅に開催スケジュールが遅れたモータースポーツ界において、このSUPER FORMULAでは12月に2大会3レースを開催することになっている。
 

幸い、今週末の天気は安定しているようでウェットタイヤでのレースは避けられそうだが、どうしても気がかりなのは装着タイヤの発動だと思われる。元来、SUPER FORMULAではタイヤへの加熱はレギュレーションで禁止されている。だが、12月開催という状況を鑑み、今大会と最終戦富士の全3戦は加熱作業が容認されることになった。ただし、F1等で使用されている個々のタイヤをブランケットのようなもので包み込む「タイヤウォーマー」は使用を禁じており、布やパネルなどで個々あるいはセットごとに覆うことも不可となっている。タイヤを温める、とは言うものの、やみくもに熱を入れるものではなく、提供されるタイヤをいかに上手く発動させるかを見極める力が求められる。幸い、前大会オートポリス戦からノックアウト予選に与えられる時間の見直しがあり、これまで7分間だったセッションがすべて10分間へと変更された。タイヤ加熱のノウハウ、またそのタイヤでのアタックラップへのアプローチ。そして10分間の使い方…。これらすべてがうまく噛み合ってこそ、好タイムが期待できるわけで、まさにチーム一丸となったアタック合戦にも期待が集まる。
 

レースウォーク初日の金曜日は、午前9時45分から専有走行が1時間実施されたが、その中ではタイヤバーストを起こすチームなどもあったという。タイヤに限らずクルマのセットアップ等とコンディションを確認するために、金曜日は午前の専有走行、そして午後からのフリー走行では多くのミッションを次々とこなしたことだろう。
 

■ダブルヘッダーの戦いに求められる即戦力

今シーズン、すべての日程において予選と決勝を同日に行う「ワンデーレース」が行われてきたSUPER FORMULA。レーススケジュールの進め方という点では、どのチームもすでに手慣れたものになっているだろう。だが、今大会はそのスケジュールが土曜日、日曜日とそれぞれ1戦ずつ実施される「ダブルヘッダー」の形式に。ただし、これまでの戦いよりも若干短く、今大会は30周・180kmでの戦いになる。
 

トップドライバーであっても、2日間の両日で予選と決勝を消化するという極めてタフなスケジュールは、いくら冬場の戦いとはいえ肉体的にも精神的にもハードワークになることが予想される。その中で問われるのは、やはり精神的な強さになってくるのではないだろうか。もちろん、その強靭な精神力は健全な肉体があってこそ。つまり、ドライバーとしてのスキル、ポテンシャルが明確に現れてくるだけに、また別の意味でも興味深い点といえる。
 

■第5戦と第6戦との違いは

今大会におけるレースフォーマットはこれまでと変わりはない。第2戦岡山大会以降導入されているタイヤ交換義務(トップ社業が10周回を終えてから最終ラップに入るまでの間に終えることが必要)が生じる。一方、給油作業は認めていない。今シーズンを見る限り、レースの展開次第ではどのタイミングにルーティンのピットインを済ませるかで明暗が分かれることもあった。特にセーフティカー導入のタイミングは、ときにチーム戦略を大きく揺るがしかねない。それだけに、”不確定要素”に戦いの邪魔をされないよう、と早めのタイミングでピットインを実施するチームもあるやもしれない。特に、ピットで温めていたタイヤを手早く装着するメカニックの技量も問われる今回は、すべてにおいてひとつのミスも許されない状態にある。ひりひりとした緊張感の中で戦いが進んでいくこと、間違いなしだ。
 

なお、レース中の攻防戦に有効となるオーバーテイクシステムについては今回変更がみられる。第5戦ではこれまで通りトータルで100秒間の使用が可能となるが、日曜日決戦の第6戦ではその時間が2倍へ。つまりトータル200秒が使用できることになるため、激しいポジション争いの中でどのような作用を生むのか、見どころが多くなると思われる。
 

冬晴れの中、果たして鈴鹿の2レースを制するのはどのドライバーか。タイトル争いも絡む終盤の戦いから目が離せそうにない。
 

■主なタイムスケジュール

・12月4日(金)
09:45 – 10:45 専有走行
13:45 – 14:45 フリー走行
 

・12月5日(土):第5戦
09:10 – 公式予選(ノックアウト方式)
09:10 – 09:20 Q1(A組→上位7台)
09:30 – 09:40 Q1(B組→上位7台)
09:50 – 10:00 Q2(A+B上位7台・計14台→ 8台)
10:10 − 10:20 Q3
12:30 – 13:15 スタート進行
13:15 – 決勝(30Laps)
 

・12月6日(日):第6戦
09:15 – 公式予選(ノックアウト方式)
09:15 – 09:25 Q1(A組→上位7台)
09:35 – 09:45 Q1(B組→上位7台)
09:55 – 10:05 Q2(A+B上位7台・計14台→ 8台)
10:15 − 10:25 Q3
12:30 – 13:15 スタート進行
13:15 – 決勝(30Laps)





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