SUPER FORMULA 2020 Round.1
ポールポジションを獲得した平川が完勝。
ポールポジションを獲得した平川が、好スタートを切った決勝では、理想の形でレースを運んで完勝。自身通算2勝目を上げた。
今季もまた僅差のアタック合戦となった予選から3時間余り。決勝レースは午後2時15分に号砲となった。給油禁止、タイヤ交換の義務付けもない35周、約160kmのガチンコバトルは、気温33度、路面41度の下でスタートが切られると、ポールシッターの平川がホールショットを奪い、トップをキープ。逆に初のハンドクラッチスタートに苦戦した予選2位のフェネストラズは予選3位山下に逆転を許す。同時に山下はその勢いのままトップ平川を猛追。S字までに攻略を、と願ったが叶わず、2位での周回となる。一方、オープニングラップでポジションを上げたのは、ベテランのNo.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)。前を走るルーキーNo.65 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)を逆転し、4位につけた。
ガソリンがほぼフルタンク状態のSF19をソフトタイヤで周回する今大会。高い路面温度ゆえにタイヤマネージメントに気を配りつつ、レースをコントロールすることが求められたといっても過言ではない。そんな中、平川は山下、フェネストラズ、さらに4番手の中嶋までのタイム差が周回を重ねても広がらないことを強く意識。ストップ&ゴーのレイアウトを持ち、背後に迫られても逆転するのは難しいもてぎの特性を最大限活かすようなレース運びを心がけた。事実、上位4台はつねに1〜1.5秒差での周回を長く続けてはいたが、抜きつ抜かれつの状態には至らず、残り周回数が減っていく展開となり、結局そのままチェッカーを迎えている。
一方、後方では接触やコースオフ、タイヤマネージメントが厳しいのかタイヤ交換を行うなど順位の変動も見られたが、予選9番手の福住はスタートから攻めの走りを貫き、徐々にポジションアップ。最終的には5位を獲得した。
中団グループではコース上でのアクシデントやピットインを強いられるなど、思わぬ結果によって戦列から遅れを取るドライバーが続出する中、福住に続いたのはディフェンディングチャンピオンのNo. 1 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)。Q2で敗退を喫して11番手からのスタートとなったが、粘りの走りで6位チェッカー。以下、No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)、No.38 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、No.64 牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)、No.14 大嶋和也(ROOKIE Racing)までが入賞を果たしている。
・第1戦もてぎ 決勝結果 トップ3
1.No.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)56’35.530 35Laps
2.No. 3 山下健太(KONDO RACING)+0.610
3.No. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)+2.721
4ヶ月遅れで開幕のSUPER FORMULA 予選トップは平川
待望のシリーズが開幕した2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権。従来よりもおよそ5ヶ月遅れとなる初戦の舞台が栃木・ツインリンクもてぎで行われ、猛暑の中で”新たな日常”に沿った形でスケジュールが進んだ。予選、決勝を1Dayで行う中、午前の予選ではNo.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がポールポジションを獲得。
2019年の最終戦からほぼ10ヶ月。コロナ禍で開幕が大幅に遅れたスーパーフォーミュラは、ひと足先に開催しているSUPER GTとは異なり、上限5000人の有観客での初戦を迎えた。予選、決勝を1日で行う”1Day”イベントながら、現地では金曜日から公式テストや専有走行、フリー走行などを実施。土曜日からは待ちわびたモータースポーツ観戦を楽しむ観客の姿もあった。
なお、”新たな日常”に沿う形で迎えた今シーズンは、レースフォーマット等レギュレーションを暫定的に改定。もてぎではノックアウト予選のQ1をA、B2組に分けて実施、また決勝レースも従来の250kmから160kmへと短縮。結果、レース中の給油は禁止され、タイヤ交換の義務も廃止された。また、今後もコロナ禍でレース開催がどのような形で継続されるか、加えて参戦ドライバーにおけるタイトル争いへの影響を勘案。今シーズンに限って選手権の得点を一部見直すことになり、結果、1大会での予選と決勝レースの合計得点の上位最大5大会分で獲得した合計得点を選手権の有効得点とする「有効ポイント制」の導入が決まった。また、従来は予選でポールポジション(PP)を獲得したドライバーのみに与えられる1得点に代わり、PPに3点、予選2位に2点、予選3位に1点を加点。そして、決勝結果によって与えられる得点も、従来の8位入賞までではなく10位までに付与されることになった。
レースウィークのもてぎは厳しい残暑を感じさせる天気が続いた。照りつける太陽、スーパーフォーミュラに加えて他のカテゴリーレースも開催されたことを受け、コースコンディションが都度変わり、その影響がドライバーの走りにも出るほどだった。日曜朝8時にフリー走行が行われ、20分間のセッションでトップに立ったのはNo.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。昨季第5戦が行われた同じもてぎで自身初優勝を飾った平川は絶対的な自信を持っており、その勢いはその後のノックアウト予選でも変わることはなかった。
今回、Q1は出走全19台をA、Bの二組に分けて実施。Q1のA組ではNo.39 坪井 翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が1分31秒877を叩き出してトップ通過。以下、チャンピオン経験のあるNo. 5 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、WEC参戦後に帰国、ギリギリのタイミングでレース参加が認められた3選手のひとりでもあるNo. 3 山下健太(KONDO RACING)がこれに続いた。続くQ1のB組は、今大会がスーパーフォーミュラのデビュー戦となるNo. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)が奮闘。A組トップタイムを上回る1分31秒577のタイムで一旦暫定トップに立つ走りを見せた。だがその後、平川さらにNo. 6 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が最速タイムを更新。福住が1分31秒440のタイムでクラストップとなった。
Q2にはQ1各組上位7台ずつが出走。計14台によるアタック合戦となる。ここからQ3へ進出できるのは、上位8台。厳しい暑さ、高い路面温度をいかに味方につけるかがアタックのカギとなった。開始早々、ユーズドタイヤでアウトラップを済ませて一旦ピットに戻るクルマもいたが、大半はピットで待機してアタックのタイミングを伺う態勢を取っていた。まず、Q1各組トップタイムを上回ったのが、フェネストラズ。コースレコード更新となる1分31秒281がターゲットタイムになった。その後、各車自己ベストタイムをマークするも、フェネストラズのタイムには届かず。だが、最終的には満を持してアタックした平川が1分31秒096でトップに浮上。フェネストラズは2番手をキープし、これに山下が続いた。
いよいよ最終予選となるQ3。Q1、Q2に比べて気温、路面温度が若干下がる中、7分間のセッションが始まると、ひと呼吸置いてフェネストラズがコースへと向かう。残り時間3分を切るころには全8台がコース上を走行。フェネストラズが真っ先にトップタイムとなる1分31秒396を出したが、間髪入れず平川が1分31秒083をマーク。Q2で自身が更新したコースレコードを再び上回り、トップに。平川、フェネストラズ、そしてラストアタッカーとなった山下が3番手に続き、Q2と同じ顔ぶれがトップ3を獲得した。
第1戦もてぎ 予選結果 トップ3
1.No.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1’31.083
2.No. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)1’31.396
3.No. 3 山下健太(KONDO RACING)1’31.535
SUPER FORMULA第1戦もてぎ プレビュー
ついに開幕、SFは有観客での開催へ!
8月23日、栃木・ツインリンクもてぎにおいて2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権が幕を開ける。新型コロナウィルス感染症拡大の防止策から開催が長らく延期されていたが、4月上旬の第1戦開催予定からほぼ5ヶ月弱遅れて一戦を迎える。コロナ禍で変則的なスケジュールを強いられる一方、有観客での開催が実現。待ちに待ったレースにドライバーもテンションアップして挑む戦いになりそうだ。
■初戦は19台でスタート
4月上旬に三重・鈴鹿サーキットで開幕を予定していた今シーズンのスーパーフォーミュラ。感染予防の観点から開催延期が発表され、開催カレンダーも大幅に変更されることになった。そんな中、海外ではフォーミュラレースの頂点でもあるFIA F1やフォーミュラeが次々と開幕。加えて国内でもひと足先にSUPER GTが7月に初戦を迎えていた。スーパーフォミュラの開催が8月下旬とかなり遅いタイミングでの開幕となっただけに、開催を待ちわびるモータースポーツファンの心境は穏やかではなかったはずだ。とはいえ、現時点でいまだ無観客開催を継続しているUPER GTとは異なり、このカテゴリーは開幕戦から観客を迎え入れての実施となる。両カテゴリーに参戦中のドライバーにとっては直に声援を受けながらの戦いを繰り広げられるのは喜ばしいことに違いない。
なお、今シーズンは11チーム、20名のドライバーによる戦いを予定していたが、今大会に出場するのは11チーム19名のドライバーとなる。また、シーズンエントリー予定だったドライバーのうち、日本への入国許可が下りていないドライバーが4選手おり、その代役として日本人の3選手がステアリングを握るチャンスを手にしている。
実のところ、開幕戦に出走出来るか否か、ぎりぎりまでわからなかった日本人も3選手いた。No.3 山下健太(ORIENTALBIO KONDO SF19)、No.7 小林可夢偉(KCMG Elyse SF19)、No.36 中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM’S SF19)の3選手は、今シーズンのWEC(世界耐久選手権)にシリーズ参戦しており、欧州と日本でレース活動をしている。スーパーフォーミュラ開幕に先立ち、実施が延期されていたWECも8月15、16日に再開され、3人はベルギー・スパ・フランコルシャンでの一戦に出場していた。レースを終えて日本にすぐさま帰国、PCR検査等を済ませて自主隔離を続けながら、スーパーフォーミュラへの参戦許可が出るのを待っていた。そして、この25日にJRP(日本レースプロモーション)が「万全の感染対策防止策を施し、大会期間中の行動範囲も厳しく管理した上で参戦すること」を決定。晴れてSF19のステアリングを握ることが確定している。
■感染拡大防止に対応したレースフォーマットを採用
場内では従来どおり有観客開催になるとはいえ、サーキットでのスケジュールでは、感染拡大防止を強く意識した対策が講じられている。予選を土曜日、決勝を日曜日に行うのではなく、日曜のみの1デイイベントにしたこともそのひとつ。またレース距離も250kmから開幕戦では160km強へと短縮され、給油、タイヤ交換のピット作業の義務は伴わない。つまり、スタートすればドライバー同士のガチンコ勝負に直結する展開を期待することができるのだ。
レース距離の短縮、タイヤ交換義務化撤廃という変更点に基づき、供給されるタイヤ(ドライタイヤ)もセット数が4から3へと削減。前レースからの持ち越しタイヤと合わせて6セットになることはこれまでどおりだが、1セット削減されたことがこの先の戦略にどのような影響を与えるかも興味深い。ノックアウト予選がQ1、Q2、Q3と3セッション実施されるスーパーフォーミュラならではの”悩みどころ”であり、”腕の見せどころ”になるかもしれない。
いずれにせよ、ピットでの”一発逆転”を戦略として取り入れることが極めて難しい状況になった今シーズン、ドライバーがまず最初に確実なものとしたいのが、予選での好グリッド獲得であることはもちろんだ。いっそう重要になるポジション争いに向け、短い時間のタイムアタックの駆け引きはヒリヒリとした緊迫感が伝わる見どころとなるだろう。なにしろ、この予選結果にも今シーズンはポイントが与えられる。従来はポールポジションのみ貴重な1ポイントが与えられたが、今シーズンはPPに3ポイント、予選2位に2ポイント、同3位に1本とを付与するため、トップ3をターゲットに腕を振るうドライバーの躍進にも注目したい。
今シーズンは、タイトル争いに関しても有効ポイント制を限定的に導入するスーパーフォーミュラ。まだまだ収束の方向がはっきりと見えてこない中でのイベント開催とあり、いかなる状況にもしなやかに対応できるよう、様々な策を講じてシーズンを進めていくことになる。
■主なタイムスケジュール
・8月30日(日)
08:00 – 08:20 フリー走行
10:05 – 公式予選(ノックアウト方式)
10:05 – 10:15 Q1(A組10台→7台)
10:25 – 10:35 Q1(B組10台→7台)
10:45 – 10:52 Q2(A+B上位7台・計14台→ 8台)
11:02 − 11:09 Q3
13:30 – 14:15 スタート進行
14:15 – 決勝(35Laps or 70minites・160kmレース)