決勝を迎えたSUPER GT第8戦。前日からの雨が残り、午前9時にスタートしたフリー走行もウェットコンディションでのセットアップが続いた。一方で、思いの外気温が高く、コース上の場所によっては霧が発生する不安定な天候となる。決勝もこのままウェットでの決戦になるかと思われたが、お昼を前に雨が上がり、決勝がスタートするや日差しが照りつける天気へと激変。その慌ただしい状況を味方につけて勝利をさらったのは、ポールポジションからスタートを切ったNo.37 KeePer TOM’S RC F(アンドレア・カルダレッリ/平川亮組)だった。
フリー走行が終わり、雨が止んだもてぎ上空。このままスタートが切られれば、決勝中コース上の雨量が減り、レインタイヤからドライタイヤへと交換する可能性が格段高まる。しかしレースウィーク中まだ一度も装着していないドライタイヤでのバトルを繰り広げるには不安要素も多い。結果、決勝直前のウォームアップ走行が通常よりも10分延長されることになり、各チームとも変化するコンディションに合わせたクルマ作り、タイヤ選択に頭を悩ませた。
決勝直前、パレードラップが始まると、待ってましたとばかりに強くまぶしい日差しがもてぎのコースを照りつけた。そのままフォーメーションラップに入り、53周にわたるレースがスタート。高い水しぶきをあげて各車1コーナーへと向っていく。ポールポジションスタートのNo.37 KeePer TOM’S RC Fがトップを死守。その背後では激しいポジション争いが繰り広げられたが、中でも逆転チャンピオンを狙うNo.38 ZENT CERUMO RC Fの立川祐路、そしてNo.12 カルソニックIMPUL GT-Rのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラが激しい攻防戦を展開。38号車が一旦逆転を決めて先行したが、ルーティンワークのドライバー交代後、石浦宏明が痛恨のコースアウト。レース復帰は果たせたが、12号車をはじめライバル達に逆転を許してしまった。
一方でタイトル争いでガチンコバトルを見せた12号車とNo. 1 MOTUL AUTECH GT-R。12号車が36.9秒という好タイムでオリベイラから安田へとチェンジ、コースに復帰したが、その翌周にピットへ戻った1号車は33秒という驚異的な最速タイムでクインタレッリから松田へとステアリングが委ねられた。結果、1号車は12号車のみならず、セッション前半は前を走っていたNo.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTをも逆転。実質2番手の順位を確保し、後半戦に突入した。
その直後、GT500とGT300の車両が接触し、破損したパーツがコース上に散乱するアクシデントが発生。セーフティカーが5周にわたって周回したことから、各車のタイム差が消失。それぞれ1秒を切る僅差でのポジション争いが加熱する。2番手から1号車の松田はトップを守っていた37号車の平川を果敢にプッシュ。幾度かポジションが入れ替わるシーンが見られた。だが、37号車の平川も負けじと応戦。最終コーナーでオーバーランし、トップどころか3番手までポジションを下げるハプニングも跳ね除け、再びトップ争いに加わり、43周目のヘアピンで逆転に成功。このまま最後までトップを死守し、チェッカー!。開幕戦以来となるシーズン2勝目を挙げることになった。
一方、タイトル争いでは1号車が2位入賞を果たしたことから、シーズンチャンピオンを逆転で獲得。松田とクインタレッリのコンビで2シーズン連続戴冠を達成した。シーズン中、ランキングトップにつけていた12号車はレースを4位で終了、ランキング2位に終わっている。
GT300は予選でトップに立ったNo.31 TOYOTA PRIUS apr GT、さらには予選3番手スタートのNo. 0 グッドスマイル 初音ミク SLSが攻防戦を展開するかと思いきや、31号車が序盤から早くも独走体勢を確立、逆に0号車は予選2位のNo.11 GAINER TANAX SLSとメルセデス決戦に多くの時間を割くことになった。
快走を続ける31号車はその後も安泰のレース展開。多くのライバルたちがルーティンワークを済ませる中、そのタイミングを後に延ばして様子見する。だが、ここで思わぬハプニングが。GT500とGT300の接触によるSCランだ。これでタイミングを逃したことで一度は勝利が手からこぼれ落ちたに思われた。事実、待ちわびたルーティンワークを終えてコース復帰を果たすとポジションは4位まで下がっていた。だがしかし、序盤からの速さを武器にまたしてもライバル達を圧倒。瞬く間にトップを奪還する。終盤に入ると、2番手を手にしていた0号車の猛追に苦しんだが、もてぎのコースレイアウトを味方にトップを死守し、このままチェッカー。開幕戦岡山以来となるシーズン2勝目を手にした。
第8戦ツインリンクもてぎ 決勝結果
GT500(TOP6)
1.No.37 KeePer TOM’S RC F(アンドレア・カルダレッリ/平川 亮組)53周 1:43’10.687
2.No. 1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)+0.591
3.No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)+1.389
4.No.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)+1.630
5.No.38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組)+3.112
6.No.39 DENSO KOBELCO SARD RC F(平手晃平/ヘイキ・コバライネン組)+4.375
GT300(TOP3)
1.No.31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一組)50L 1:44’47.407
2.No. 0 グッドスマイル 初音ミク SLS(谷口信輝/片岡龍也組)+0.976
3.No.11 GAINER TANAX SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組)+1Lap
2015年ドライバーランキング
GT500(TOP6)
1.No. 1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)79点
2.No.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)74点
3.No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)60点
4.No.38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組)59点
5.No.37 KeePer TOM’S RC F(アンドレア・カルダレッリ/平川 亮組)56点
6.No.46 S Road MOLA GT-R(本山 哲/柳田真孝組)50点
GT300(TOP3)
1.No.10 GAINER TANAX GT-R(アンドレ・クート)94点
2.No.10 GAINER TANAX GT-R(千代勝正)74点
3.No.31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一組)69点