SUPER GT 2015 Round.1
SUPER GT第1戦岡山、目まぐるしい天候の変化を味方にしたNo.37 KeePer TOM’S RC Fが岡山2連覇!
4月5日、岡山県・岡山国際サーキットにおいて、2015年SUPER GT第1戦決勝レースが行われた。濡れた路面の中でスタートした決勝レースで勝利したのは、ポールポジションからスタートを切ったNo.37 KeePer TOM’S RC F(アンドレア・カルダレッリ/平川亮組)だった。
レースウィーク中、終始不安定な天候に左右されることが多かった開幕戦は、300kmのレース中も波乱の展開を含む一戦となった。前日の予選は薄曇りのドライコンディション。だが決勝日前夜に雨が降り、日曜日朝のフリー走行はレインタイヤを装着することとなった。だがその後は雨が上がり、午後2時30分からの決勝直前には、灰色の曇り空がサーキット一面に広がる。
近づく決勝を前に、大半のチームはコース上でスリック/レインどちらのタイヤを装着するのか苦渋の選択に迫られる。最終的にGT500では全15台のうち1台が、そしてGT300では全27台のうち5台がスリックタイヤを装着し、82周先のチェッカーを目指した。
オープニングラップをクリアラップで終えた決勝レースは、ほどなくすると装着したタイヤのキャラクターによってポジションに変動が見られはじめる。レインタイヤとはいえソフト/ハードなど性質に違いによって、あっという間に勢力図が変わったのだ。しかしながらトップNo. 37 RC Fのスタートドライバーを務めたカルダレッリは安定したタイムを刻み続け、その背後からはディフェンディングチャンピオンのNo. 1 MOTUL AUTECH GT-Rのロニー・クインタレッリがひたひたと詰め寄り、2台が激しいバトルを展開。ラインを交差しつつ、1号車GT-Rがトップの座を奪取した。
だが、好事魔多し。1号車はその直後、左リアタイヤから白煙をあげて緊急ピットイン。ブレーキアッセンブリー交換するために時間を要し、勝機を逃してしまった。37号車 RC Fはこれで逃げ切り可能かと思いきや、さらに新たなライバルが追随する。結果、タイヤマネージメントやその後の天候の変化によって、レースは何度もトップが入れ替わる不安定な展開となった。
近づくルーティンワークを前に、天候も下り坂となり始め、次に装着するタイヤ選択に多くのチームが頭を悩まされることになったが、これを好機と捕らえたNo.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)がトップを奪取。国内レース復帰初戦の伊沢が快調に走りを重ねていった。しかし、終盤を迎える頃、サーキットに再び雨が落ちはじめる。本降りとなった雨にハード系レインタイヤを装着していたNo.100 NSXは大苦戦。2位から猛追する37号車の平川が見る見る間にトップとの差を詰めてしまった。そしてついにチェッカーまで残り10周ほどの時点でまたも37号車がトップへと上り詰める。
前日の予選で自らポールポジションを手にした平川は、今年GT500フル参戦。ニューカマーらしからぬ落ち着いたドライビングで後続車との差を大量に築き上げてそのままチェッカー! 大役を果たした。コンビを組むカルダレッリは昨年も開幕戦を勝利しており、37号車としての2連覇達成となる。なお2位には厳しいコンディションに耐え抜いた100号車、そして3位には粘りの走りが奏功したNo.38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組)が続いた。
一方のGT300もGT500同様に、装着タイヤによるポジション変動が見られることに。本来のパフォーマンスを発揮できずに後退するフロントローの2台に対し、No.31 TOYOTA PRIUS apr GTの嵯峨宏紀が理想の走りを披露。タイヤのうまくコントロールして、後続に大量リードを築いてピットインを行った。バトンを受け継いだ中山雄一もフル参戦初戦ながら、落ち着いた走行でマージンを構築。終盤の雨をうまく味方につけ、トップでフィニッシュしている。
■第1戦岡山 決勝結果
・GT500
1.No.37 KeePer TOM’S RC F(アンドレア・カルダレッリ/平川亮組)2:12’00.419 82L
2.No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)+42.663
3.No.38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組)+44.265
4.No. 8 ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮/野尻智紀組)+48.768
5.No.39 DENSO KOBELCO SARD RC F(平手晃平/ヘイキ・コバライネン組)+54.612
6.No.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/オリバー・ターベイ組)+1’08.923
・GT300
1.No.31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一組)2:12’24.300
2.No.55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)+42.376
3.No.21 Audi R8 LMS ultra(リチャード・ライアン/藤井誠暢組)+1Lap

■SUPER GT第1戦岡山、No.37 KeePer TOM’S RC Fがポール獲得!
2015年SUPER GTの開幕戦を迎えた岡山国際サーキット。
天気予報では雨になると言われた土曜日だったが、
午後からのノックアウト予選。Q1でNo.38 ZENT CERUMO RC Fの石浦宏明が、
一方、参戦台数が増加したGT300クラス。No.10 GAINER TANAX GT-Rをドライブする千代勝正がコースレコードをマークして、
■第1戦岡山 予選結果
1.No.37 KeePer TOM’S RC F(アンドレア・カルダレッリ/平川亮組)1’19.008
2.No. 6 ENEOS SUSTINA RC F(大嶋和也/国本雄資組)1’19.106
3.No.38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組)1’19.370
4.No. 1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)1’19.
5.No.36 PETRONAS TOM’S RC F(伊藤大輔/ジェームス・ロシター組)1’19.658
6.No.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/オリバー・ターベイ組)1′
GT300(TOP3)
1.No.10 GAINER TANAX GT-R(アンドレ・クート/千代勝正組)1’26.532
2.No.11 GAINER TANAX SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組)1’26.828
3.No.55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)1’26.837

SUPER GT第1戦岡山 プレビュー
3月最後の週末にはスーパー耐久シリーズが開幕し、ついに2015年度のモータースポーツシーズンが始動。春休み最後の週末には岡山県美作市にある岡山国際サーキットでSUPER GT第1戦「OKAYAMA GT 300km RACE」が開催される。天気予報からすると春の陽気を期待するのはやや難しそうだが、さらにパワーアップしたモンスターマシン同士のバトルに興じてみてはいかがだろう。
■去年より今年。さらに激しいバトルに注目
昨シーズンは新車投入、レギュレーションの改正等、さまざまな変更が重なって例年のスケジュールでは存分な準備ができなかったのか、シーズン序盤は思いもよらないトラブルなどに悩まされるシーンもみられた。だが、今シーズンは違う。昨シーズン終了後は、さっそく2015年度の戦いに向けてミッションがスタート。車両の改良に取り組みつつ、国内外のサーキットでテストを実施、綿密なデータ取りを行っている。空力面、足回り等、クルマの性能を最大限に活かすための改善も着々と進み、オフシーズン中につきものの低温のコンディションでも好タイムをマークするなど、どのメーカー、チームも手応えを感じているようだ。
■コンビネーションによる変化はいかに?
SUPER GTの醍醐味のひとつ。それは、ドライバーをはじめ、チーム総合力の戦いだ。とりわけその軸となるのが、ふたりのドライバー。3メーカーのうち、日産勢は比較的変更は少なく、強いていえばNo.24 D’station ADVAN GT-Rをスペイン人のルーカス・オルドネスがドライブするくらい。オルドネスは昨年GT300でフル参戦し、優勝も経験済み。伸び盛りのスパニッシュは、24号車のベテラン、ミハエル・クルム選手欠場する第1~3戦で戦うチャンスが与えられた。ルーキーとして伸び盛りのチームメイト、佐々木大樹とのコラボは見どころのひとつとなるだろう。
一方、レクサスとホンダの両陣営はメーカー内でのドライバー・シャッフルを敢行。世界耐久シリーズへのフル参戦を表明したTEAM TOM’Sの中嶋一貴に代わり、シスターカーをドライブしていたベテラン伊藤大輔がTOM’Sのエースカー、No.36 PETRONAS TOM’S RC Fを操る。このほか、元F1ドライバーのヘイキ・コバライネンがGT初見参! No.39 DENSO KOBELCO SARD RC Fをいかに扱うか、そのスキルにも注目したい。
ホンダ勢では、野尻智紀がGT300からステップアップ。No.8 ARTA NSX CONCEPT-GTを駆る。昨年はスーパーフォーミュラでルーキーながら1勝を挙げている実力派だ。さらに、ポテンシャルアップしたNSX CONCEPT-GTを武器に、久々の優勝を目論むのは小暮卓史。チームドラゴへの移籍で心機一転、韋駄天の復活に期待が集まる。
■GT300は参加増で激戦必至!
昨年もユニークな車両の参戦で盛り上がったGT300クラス。今年はさらに賑わいを見せる。チャンピオンチームのNo.0 グッドスマイル初音ミクはBMWからメルセデスSLSに車両をスイッチ。これも話題のひとつとなったが、これでトップ争いがさらに激化しそうだ。というのも、つねにタイトル争いをしていたライバルが同じSLSユーザーのNo.11 GAINER TANAX SLSであるため。この“強くて速い”車両を投入するチームも増加。GT500と見まごうほどの迫力ある車両が続々参戦することで、いっそう戦いが難化するのは言うまでもない。一方、今年デビューを果たすGT300マザーシャシーベースのトヨタ86やマザーシャシーのレイアウトに準じたロータスなどもデビューを迎える。GT300クラスは、クルマ好きにとって魅力が満載といえるだろう。
■主なタイムスケジュール
4月4日(土)
07:00 – 07:50 オープンピット
09:00 – 10:45 公式練習
09:00 – 10:25 : GT500 & GT300
10:25 – 10:35 : GT300
10:35 – 10:45 : GT500
11:00 – 11:20 サーキットサファリ
12:25 – 13:25 ピットウォーク
14:50 – 15:25 ノックアウト予選_Q1
14:50 – 14:05 : GT300
15:10 – 15:25 : GT500
15:35 – 16:07 ノックアウト予選_Q2
15:35 – 15:47 : GT300
15:55 – 16:07 : GT500
17:20 – 18:05 GTキッズウォーク
4月5日(日)
09:00 – 09:30 フリー走行
12:00 – 13:00 ピットウォーク
13:20 – 14:30 ウォームアップ走行、スタート進行
14:30 - 決勝レース(82Laps)
16:40 – グランドフィナーレ