SUPER GT 2014 Round.8
SUPER GT第8戦 もてぎ プレビュー
いよいよ今シーズンのラストレースを迎えることになった、SUPER GTシリーズ。11月15、16日に栃木・ツインリンクもてぎで行われる「MOTERGI GT 250km RACE」の戦いを経て、どのドライバーが王座につくことになるのか。緊迫の決戦は、秋深まるストップ&ゴーのサーキットで繰り広げられる。
■波乱の前戦から一転、最終戦はセオリー通りの戦いに!?
2009年からシリーズ最終戦に位置づけられることとなったツインリンクもてぎ。ストップ&ゴーのユニークなコースレイアウトを持つサーキットでほぼ毎シーズンチャンピオンタイトルが決定している。現在、チャンピオンタイトルを手にする可能性を持つのは、GT500で5組。さらには、シーズン最後をいい結果で終えたいと願う他のチームも優勝を狙ってくるのは言うまでもない。なにしろ最終戦はウェイトハンディもなく、まったくの同一条件での一戦。開幕戦以来のガチバトルが再燃するのだ。となれば、激しい攻防戦勃発も十分あり得る。抜きどころの少ないもてぎでは、ドライバーのヒートアップによってレース展開にも変化が訪れるはず。容赦ないせめぎ合いにぜひ注目して欲しい。
前回のタイ戦は未知のサーキットであったことから、決勝レースでは思いもしない戦略が飛び出した。なんと、予選で12位に甘んじていたNo.36 PETRONAS TOM’S RC F(中嶋一貴/ジェームス・ロシター組)が決勝でタイヤ無交換を敢行。この“時短作戦”が奏功し、夏の鈴鹿1000kmに続いて2連勝を達成、ランキングでもトップに躍り出ることになった。なお、36号車は中嶋が世界耐久レース(WEC)への出場で2戦をスキップ。よって、王者に輝く権利を持つのはロシターのみであるため、チームプレーが必須条件のS-GTに中嶋の協力は絶対に必要。幸い、安定した速さ、粘り強さを持ち合わせる心強いパートナーとしての素質は十分。援護射撃というよりも、ともに戦い、タイトルを獲りに行く走りを見せることだろう。
一方、レースそのものはシンプルになると考えられる。先に書いたようにウェイトハンディが撤廃され、みなイコールコンディション。さらにはレース距離が250kmと短めの設定なので、まずは予選で少しでも前のグリッドを手にし、決勝では逃げのレースに持ち込むことが理想のパターンだと言えよう。それだけに、ワンミスが命取りになる可能性も高い。シンプルながら緊張感たっぷりの戦いになるはずだ。
■チャンピオンの資格は?
ランキングトップは36号車のロシター。さらに次いでNo.37 KeePer TOM’S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ組)が3ポイント差でつけている。37号車はシーズン序盤から安定した成績を残してきた。それゆえ中盤以降はウェイトハンディに苦しみ、速さや強さをなかなかお披露目できずに地味な戦いが続いた。だがそこはS-GTならではの戦い方を着実に遂行。安定した成績を刻み続けることで、ランキング2位につけ、36号車ともども自力でのチャンピオン獲得を目論む。もちろん、僅差での戦いだけに王座を手にするには優勝しか道は残っていない。ライバルとの戦いは自分との戦いでもあるのだ。
この他、レースの展開次第でチャンピオンの可能性が開けるチームは3つ。2台のGT-Rと1台のNSX CONCEPT-GTが虎視眈々と逆転のチャンスにかける。GT-R勢はNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)とNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/安田裕信組)に、また、NSX CONCEPT-GTはNo.18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTにそのチャンスが残されている。ただし、18号車は第2ドライバーがシーズン途中から変更されており、また最終戦には伊沢拓也がスポット参戦を果たすため、資格を持つのは第1ドライバーの山本尚貴のみとなる。
■GT300も激戦必至!
今シーズンは大きな波もなく、比較的安定したポイント獲得を実現しているNo. 4 グッドスマイル 初音ミク Z4(谷口信輝/片岡龍也組)が現在ランキングトップのGT300。そして暫定ランキング2位は2台が顔を揃えている。1台は前回のタイ戦で2位に入ったNo. 7 Studie BMW Z4(ヨルグ・ミューラー/荒 聖治組)。そしてもう1台が緻密なレース戦略を得意とするNo.11 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組)だ。トップ4号車とは9ポイント差。GT500とは異なり、GT300では無理せず、盤石のレース運びをすれば4号車が王者奪還を果たす可能性は高い。シミュレーション上、3位以内でレースを終えることができれば、タイトルを手にすることができる。一方、7号車、11号車ともども、着実なレース運びでポイントを加算してきたが、シーズン中の優勝回数はゼロ。表彰台には上がるものの、“真ん中”が遠かった。それだけに、この最終戦で中央に上がることを第一の目標として挑んでくるのは当然のこと。まさしく有終の美を飾るのが狙いだ。
なお、金曜日にはSUPER GT公式テストを実施。これまでのシリーズ戦に比べて気温がぐっと下がり、コンディションが変化するこの季節に合わせたタイヤとクルマとのマッチングを確認するのに絶好のチャンスとなることだろう。ここで事前に準備したイニシャルセットがいい方向を示してくれるのであれば、レースウィークでの飛躍にも期待ができる。果たしてどのチームがライバルに先んじるのか。その点も気になるところ。そして、決勝でのタフな戦いで本領発揮となるのは、どのドライバーなのか。泣いても笑っても今シーズン最後の戦いから目が離せない。
■主なタイムスケジュール
11月15日(土)
07:40 – 08:30 オープンピット
09:00 – 11:00 公式練習
09:00 – 10:40 : GT500>300
10:40 – 10:50 : GT300
10:50 – 11:00 : GT500
12:00 – 13:00 ピットウォーク
13:30 – 14:00 ノックアウト予選_Q1
14:10 – 14:42 ノックアウト予選_Q2
15:45 – 16:15 キッズウォーク
11月16日(日)
09:15 – 09:45 フリー走行
09:55 – 10:10 サーキットサファリ
10:30 – 11:25 ピットウォーク
13:00 決勝250km・53Laps