SUPER GT 2014 Round.3
SUPER GT第3戦オートポリス、波乱の中、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rがポール・トゥ・ウィン!
大分県・オートポリスで迎えたSUPER GTシリーズ第3戦「SUPER GT IN KYUSHU 300km」の決勝レースは、6月最初の日曜日に行われた。前日同様、初夏を思わせるような夏日の中、レースは熱いバトルに留まらず、思わぬハプニングも続出。後半にはセーフティカー(SC)の導入もあり、波乱に包まれた一戦となった。そんな中、予選でコースレコードを更新したNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニークインタレッリ組)が安定した速さ、強さでライバルの追い上げを阻止。シーズン初勝利をポール・トゥ・ウィンで達成している。
予選日から好天気に恵まれたオートポリス戦。決勝日には2万4千人を超える観客が阿蘇の山間部にあるサーキットまで足を伸ばした。午後2時からの決勝は、65周・300kmのレースフォーマットでスタート。早速ポールスタートの23号車が後続を引離しにかかる。だが、23号車とNo.46 S Road MOLA GT-R(本山 哲/柳田真孝組)の2台は着かず離れずの間隔を保ち、その背後にはNo. 1 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/平手晃平組)が続くという形も変わらない。しかし、その真後ろから新たな動きを見せたのが、No.12 カルソニックIMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/安田裕信組)だった。ハイペースの12号車は一足先にレクサス勢とのバトルに決着をつけて、なおも3番手を狙う勢い。これには1号車も太刀打ちできず、3番手の座を明け渡した。
レースは25周を過ぎたあたりからルーティンワークが都度行われることに。トップ23号車がライバルよりも後のタイミングでピットインしたが、上位陣はいずれもスムーズにピット作業を終了。結果的にはそれぞれ互いの差を10秒以上築き上げるだけで、逆転のチャンスが生まれることはなかった。
しかし、レースは48周目に大きなアクシデントが発生。GT300の1台が第1コーナーでスピードに乗ったままコースアウト、その勢いでタイヤバリアを飛び越えて、車両はコース外のサービスロードへと不時着する。幸いにもドライバーは軽傷で済んだが、これを機にSCが導入され、8周にわたってレースがコントロール下に置かれた。
各チームともこれまで築き上げたマージンはこれで消滅。戦いは一からの仕切り直しとなる。2番手で様子を窺っていた46号車にとっては逆転のチャンス到来とも言えたが、レース再開後の大混雑の中ではそのチャンスをうまく生かすことができず、結果的には23号車の先行を許してしまった。よって、23号車がハプニングにも冷静に対応し、確実な走りでレースを完遂。シーズン初優勝を果たしている。2位の46号車は、チームとして久々の表彰台に上がっている。そして3位には序盤の追い上げが奏功した12号車が続き、結果としてGT-Rがトップ3を独占。日産としては1995年以来となる快挙となった。
一方のGT300。まず予選トップ3の車両がポジションキープで序盤の戦いを消化するも、次第にトップのNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(佐々木孝太/井口卓人組)を2番手のNo.55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)が追いつめていく。勝負の行方はレース後半、ルーティンワークでひとつの転機が訪れた。ライバルよりも先にピットに戻ったのは、61号車。その後ほどなくして55号車もピット作業を行ったが、この時間の差が、2台のポジションを逆転することになった。
ピット作業の時間差はおよそ2秒。結果として55号車がコースに復帰する際、61号車はまだストレートエンドを通過しておらず、逆に追う立場へ置かれた。その後、レース中の大クラッシュによるSCラン導入となり、トップ2台は再びテール・トゥ・ノーズの戦いへと身を委ねることになった。だが、今シーズン初のGT300フル参戦となった61号車の井口に対し、55号車の小林は先輩としての意地を見せて、後方からの猛追に対し、それを上回る速さで応戦。チームに昨シーズン第4戦以来となる勝利をプレゼントする活躍を見せた。トップ2台の攻防戦に遅れを取ったものの、3位にはNo.11 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組)が続き、開幕戦から連続表彰台に上がることになった。
■第3戦オートポリス 決勝結果
・GT500
1.No.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)1:58’46.067 65L
2.No.46 S Road MOLA GT-R(本山 哲/柳田真孝組)+5.788
3.No.12 カルソニックIMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/安田裕信組)+23.285
4.No.37 KeePer TOM’S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ組)+23.649
5.No.36 PETRONAS TOM’S RC F(ジェームス・ロシター/平川亮組)+23.649
6.No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/武藤英紀組)+44.576
・GT300
1.No.55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)2:00’20.424 60L
2.No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(佐々木孝太/井口卓人組)+2.257
3.No.11 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組)+1L

SUPER GT第3戦オートポリス、ポールポジションはNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rの手に!
5月31日、大分県・オートポリスにおいてSUPER GTシリーズ第3戦「SUPER GT IN KYUSHU 300km」の予選が行われ、朝の練習走行から好調だったNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)がコースレコードを更新して今季初のポールポジションを手にしている。
これまでシリーズ戦では秋の開催だったこの大会。今シーズンは梅雨入りを前にした季節に第3戦として開催されることに。当日は新緑がまぶしいレース日和となり、この日は時間の経過とともに気温もぐんぐん上昇。初夏を思わせる暑さとなった。
チームの多くは4月に行われたタイヤメーカーテストに参加。ニューマシンとオートポリスの相性を探るためのデータ収集を行っている。加えてポテンシャルが昨シーズンよりも格段に向上していることもあり、練習走行の時点から従来のコースレコードを更新する仕事ぶりを披露した。
迎えた午後の予選。Q1のセッションは終了が近づく中で1台の車両がコースアウトし、赤旗中断になるハプニング。各チームともまだ本格的なアタックに入る前だったため、Q2への進出を目指し、セッション再開後は我先にとコースへと向う姿が印象的だった。
そんな中、赤旗の原因を作った6号車をは始め、36号車、39号車らがQ1で敗退。レクサス勢が後方に留まった。
Q2になると、今度はGT-R勢の速さが圧倒的に目に付くようになる。まずは前回の覇者、No.12 カルソニックIMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/安田裕信組)がレコードタイムを更新し、暫定トップへ。だが、この数値をあっさり塗り替えたのがミシュランタイヤを装着する23号車と46号車だった。2台はラストアタックでも僅差のタイム争いを披露。その結果、23号車を駆るクインタレッリがトップタイムをマーク。これにわずか0.2秒の差でNo.46 S Road MOLA GT-R(本山哲/柳田真孝組)が続いた。好調なGT-R勢に対して気を吐いたのが、レクサス勢。ディフェンディングチャンピオンのNo. 1 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/平手晃平組)が奮闘し、3番手に続いている。
一方、GT300クラスでは、FIA GT車両に負けじと国産勢の優勢が続いている。前回、第2戦富士で予選2番手に甘んじたNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(佐々木孝太/井口卓人組)がトップタイムをマーク。アタックを担当した佐々木にとってGT300クラス最多となる11回目のポール獲得を実現させた。2番手にはNo.55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)。61号車のタイム更新までトップの座にいた55号車の高木は他車がアタックを終えている中、再度アタックを敢行。更新も可能な区間タイムを刻んでいたが、スピードを落とした車両に行く手を阻まれて万事休す。2番手に留まった。
■第3戦オートポリス 予選結果
・GT500
1.No.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)1’34.523
2.No.46 S Road MOLA GT-R(本山 哲/柳田真孝組)1’34.792
3.No. 1 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/平手晃平組)1’35.683
4.No.12 カルソニックIMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/安田裕信組)1’35.711
5.No.37 KeePer TOM’S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ組)1’35.892
6.No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/武藤英紀組)1’36.292
・GT300
1.No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(佐々木孝太/井口卓人組)1’45.335
2.No.55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)1’45.503
3.No. 3 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ルーカス・オルドネス組)1’46.551

SUPER GT第3戦 オートポリス プレビュー
4月上旬の開幕戦を皮切りに、毎月、サーキットで熱戦を披露してくれている今シーズンのSUPER GTシリーズ。序盤のヤマ場ともいえる第3戦「SUPER GT IN KYUSHU 300km」が大分・オートポリスで開催される。ニューマシンによるポテンシャルの大幅アップにより、勢力図にも変動が見られる。梅雨入りを前に、阿蘇山麓に位置するサーキットで、どのようなエキサイティングな戦いが繰り広げられるのだろう。
■シーズン序盤で迎えるオートポリス戦
九州唯一のサーキットであるオートポリス。山あいにあるサーキットは秋深まる例年シーズン終盤に開催されてきたが、今シーズンからは大きくスケジュールが早まり、6月1日に決勝を迎える。標高高いこのサーキットはエンジンに厳しいコースであることが知られるが、4月下旬にはタイヤメーカーテストも行われ、各チームとも着々と闘いに向けての準備を進めてきた。とはいえ、“水モノ”であるレース本番、ニューマシンが初めて味わうタフな戦いがどのように動いていくかは、そのとき次第。シナリオのないドラマにぜひ注目したい。
さらに、ヨーロピアンスタイルと多くのドライバーが言うように、ユニークなコースレイアウトを持つこのサーキットでは、コーナリングマシンが優位に立つと言われているが、テストを経て、各チームはニューマシンによるコーナリング攻略のポイントを掴んだという話だけに、予選ではまずコースレコードの更新をはじめ、決勝ではモンスターマシンによる駆け引きがコーナーのあちこちで見受けられるかもしれない。
なお、GT500では、6月2週目にフランスのル・マン24時間レースに参戦することから、今大会を欠場するドライバーがいる。ちょうど同日にテストデーが実施されるためだ。結果、No.36 PETRONAS TOM’S RC Fには中嶋一貴に代わって、第2戦富士と同様に平川亮がジェームス・ロシターとともにドライブすることになっている。
■レギュレーション変更で選択肢が広がる
これまでSUPER GTでは、決勝での結果によってウェイトハンディを課すという規則があった。早い話、勝てば勝つほど車重が重くなる、という“足かせ”がある。今シーズンもそのレギュレーションに変化はない。しかしながら、そのハンディが50kgを超過すると、今シーズンからその50kg分を燃料流量リストリクターを絞ることで“なかったことに”してくれる。結果、実際に搭載するのは、その差分のみ。リストリクターが絞られる方を取るか、ウェイトを軽くするか。その選択はチームの決断次第。だが、ここオートポリスはアップダウンのキツいコースとしても知られるだけに、果たしてどんな戦略を立ててくるのだろう。ランキング上位チームの動向にも注意したい。
標高の高さによるエンジンの息苦しさは、ターボエンジンによりやや解消されたとはいえ、依然としてオートポリスの特徴である「タイヤに厳しいコース」には変わりない。各メーカーのニューマシンがこのサーキットとどう仲良くしていくのか、楽しみだ。
■GT300はまたもBMWの快走に?
開幕戦に続き、第2戦の岡山でも力強いパフォーマンスで連勝を果たしたNo.4 グッドスマイル初音ミクZ4(谷口信輝/片岡龍也)。“試合巧者”であるふたりのドライバーが勝利をたぐり寄せた部分もあるが、その土台となるのがクルマの安定した速さと強さであることには違いない。昨シーズンのBoPに比べると、今シーズンはやや優位な点も多いのか、現時点で着実にポイント加算を続けている。そんな中、国産車勢として気を吐いているのが、ハイブリッド車のプリウス、およびCR−Z GTだが、あと一歩で力負けしている感は否めない。そこでオートポリスで台頭してきそうな車両はどれかと考えると、やはりターボエンジンを搭載するGT-Rの存在は外せない。
爽やかな天候の中、国内最西端のサーキットで味わうGTレース、序盤でその存在感をしかとアピールするのはいったいどのチームになるのか、目が離せない。
■主なタイムスケジュール
5月31日(土)
07:15 – 08:05 オープンピット
09:00 – 11:00 公式練習
09:00 – 10:40 : GT500 & GT300
10:40 – 10:50 : GT300
10:50 – 11:00 : GT500
12:15 – 13:00 ピットウォーク
14:00 – 14:30 ノックアウト予選_Q1
14:00 – 14:15 : GT300
14:15 – 14:30 : GT500
14:40 – 15:12 ノックアウト予選_Q2
14:40 – 14:52 : GT300
15:00 – 15:12 : GT500
16:50 – 17:30 GTキッズウォーク
4月6日(日)
09:00 – 09:30 フリー走行
09:40 – 10:00 サーキットサファリ
11:40 – 12:25 ピットウォーク
12:50 – ウォームアップ
14:00 - 決勝 65Laps