SUPER GT 2014 Round.5
SUPER GT第5戦富士、No.18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが完勝。Honda今季初勝利を達成!
8月10日、静岡県・富士スピードウェイにて開催されたSUPER GT第5戦「FUJI GT 300km RACE」の決勝レースが行われ、ポールポジションからスタートを切ったNo.18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)が落ち着かない天候、2度にわたるセーフティカーランをも跳ね除け、完勝。チーム今季初優勝は同時にHondaのNSX CONCEPT-GTによる待望の初勝利でもあった。
前日の予選日から北上を続ける台風11号の影響を受け、天候不順だった富士スピードウェイ。夏休み、さらにはお盆休みにもあたる週末で迎えたレースイベントだったが、残念ながら上空には一度も青空が広がることはなかった。
決勝が行われた日曜日は朝から断続的に雨が降り、時には強い雨を伴って振り続けることも。前回のSUGO戦同様に、不安定な天候をどこまで味方につけることができるかが、勝敗を分けるキーになると考えられた。今回、スタートは通常より1時間遅い午後3時。本来は避暑対策のための遅延だったが、残念ながら今回は有効に働くことはなかった。本降りの中、レースはセーフティカー先導によるスタートが切られる。2周を走り終えたSCがコースイン。3周目から事実上のレースが幕を開けた。序盤から激しいポジション争いを展開したのは、予選でも勢いのあった上位陣。中でも予選6番手スタートのNo.18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTの山本は、果敢に攻めの走りを続け、数少ない逆転のチャンスをものにしていく。一方、トップ争いも、ポールスタートのNo.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTの金石年弘とNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rのロニー・クインタレッリがバトルを展開。ここは不安定なウェットコンディションに存分な力を発揮するミシュランタイヤを装着する23号車に軍配が上がり、その後のレースを牽引していく。
23号車としてはこのままトップで順調に周回を重ねていきたいところではあったが、後方からは同じくミシュランユーザーの18号車がひたひたと迫り、ついには8周目にトップへと上り詰めた。だがその後、急激に雨脚が強まり、安全確保のために9周目からセーフティカーがコースに入った。だが雨量がさらに増えることになり、17周走行時に赤旗が提示され、コース上に全車車両を止めてしばし待機することになる。
レース再開は午後4時15分。雨はほとんど小康状態ではあったが風が強まっており、依然として天候は不安定なまま。一方で18号車と23号車のミシュランユーザー同士のトップ争いがどのような展開を見せるのかに注目が集まった。SC先導後にレースが再開し、18号車がタイミングをキチンと合わせて再スタートでのダッシュを見事に決めると、その後はひたすら逃げる一方。あっという間に後続との差を広げていく。
迎えたルーティンワークでは後続の23号車が先にピットイン。少ない雨量に対応するタイプのレインタイヤを選択した23号車は松田次生が巧みなタイヤマネージメントを披露する。対する18号車はその3周後にピットイン。SUPER GT参戦復帰2戦目ながら、巧みにNSX CONCEPT-GTを操るマコヴィッキィが冷静かつ攻めの走りを継続させた結果、全車がルーティンワークを終える頃には再びトップの座を奪還していた。
トップ18号車と2番手23号車との差は18秒弱。ともに似通うラップタイムで周回を重ねていたこともあり、レースはしばし膠着状態だったが、残り10周に入ったところで急激に天候が悪化。本降りの雨があっという間にサーキット一面を包み込んでしまった。コース上にはやや回復状態にあった路面コンディションを見越してスリックタイヤを選択した車両もいたことから、レースは安全面を考慮して59周目の途中で再びSCランが導入される。
序盤から戦略どおりに順調なレース運びを見せていたトップ18号車にとっては、まさかの展開。後続との間に築いた大量のマージンが帳消しとなったため、レースの行方が気になるところだったが、天候の回復が見込めないこともあり、結局このままSC先導のままレースはチェッカーを迎えることに。これによって、18号車が今季初勝利を手にし、また、Hondaが待ちわびたNSX CONCEPT-GTによる初優勝を果たすこととなった。
2位には終始安定した速さを見せ続けた23号車が入り、3位は不安定な天候を味方にダンロップタイヤを巧みにコントロールしたNo.32 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組)が続くことになった。
一方、GT300では、ポールポジションからスタートを切ったNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTがダントツの速さを披露。スタートを務める佐々木孝太が序盤から後続車をまるで置き去りにするかのような強さを見せる。雨量増加によるSCランになって、築いたマージンが水の泡になろうとも、再スタートで再び同じような力走でライバルを寄せ付けず。ルーティンのピットインを迎える頃には後続車に大差をつけ、パートナーの井口卓人へとスイッチを果たした。トップを明け渡すことなくトップを死守した井口はそのままトップチェッカーを完遂。待望の今季初優勝を果たした。なお、2位には不安定な路面で終始安定したタイムを刻み、雨を味方につけたNo.11 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組)が入り、3位にチーム力でポジションアップに成功したNo.86 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3(細川慎弥/山西康司組)が続いた。
■第5戦富士 決勝結果
・GT500
1.No.18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)2:56’20.543 66L
2.No.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)+2.129
3.No.32 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組)+3.570
4.No.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/金石年弘組) 5.106
5.No.36 PETRONAS TOM’S RC F(中嶋一貴/ジェームス・ロシター組)5.775
6.No.46 S Road MOLA GT-R(本山哲/柳田真孝組)+6.804
・GT300
1.No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(佐々木孝太/井口卓人組)2:56’39.765 62L
2.No.11 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組)+3.320
3.No.86 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3(細川慎弥/山西康司組)+5.362

SUPER GT第5戦富士、No.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTが今季初ポール!
8月9日、静岡・富士スピードウェイにおいてSUPER GT第5戦「FUJI GT 300k RACE」の予選が行われた。折しも台風11号がゆっくりと沖縄・九州地方から北上しており、つねに不安定な天候の中で走行セッションが進められることとなったが、午後の予選では、突然降り始めた雨に翻弄される車両が続出。その中から、雨を力でねじ伏せたNo.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/金石年弘組)が今シーズン初となるポールポジションを獲得した。
台風による影響を受け、終日ぐずついた天候になった富士スピードウェイ。午前中の公式練習は薄曇りの中で走行が可能だったが、午後に入るとポツポツと雨が降り始め、公式予選はウェット宣言下での出走となった。
まだ路面はドライコンディションをキープしていたことから、スリックタイヤでのアタックが開始される。ピット内でしばし待機していた車両が次々とコースへと向いはじめたのが、開始7分過ぎ。ところがひと足先にセッションを終えていたGT300の車両がピットレーン入口でストップ。セッションが赤旗中断となる。思わぬハプニングでウォームアップに水を差されたGT500の車両は、その後10分間のセッションとして再開。今度は早めにクルマがコースへと向った。
そんな中、トップタイムを奪ったのは、No.39 DENSO KOBELCO RC F(石浦宏明/オリバー・ジャービス組)。これにNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)、No.18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)が続き、前回のSUGOから復活の片鱗を見せていたホンダ勢を含む3メーカーがトップ3を分けることになった。
そして迎えたQ2。先にアタックを行ったGT300のセッションでポツポツと雨が落ちはじめてはいたが、まだスリックタイヤでのアタックが可能な状態。雨を避けるためにも早々にコースへと向った8台の車両だったが、なんとそれを見届けるかのように雨がしっかり降り始めた。これを機にすぐピットへと戻り、レインタイヤを装着するチーム、またそれを確認してから追随するチームなどそれぞれ戦略が分かれたが、セッション終盤に向けてレインタイヤへ置換したチームが上位へ名を刻みはじめる。
まずNo.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTの小暮卓史が最速タイムをマーク。NSX勢として初ポールを手にしたかに思われたが、直後には自己ベスト更新車両が続発。そんな中、レインタイヤを選択せず、ひたすらコースに踏みとどまってアタックのタイミングを見計らっていた17号車の塚越が1分37秒636の好タイムをマーク! 驚異の活躍で手にしたシーズン初ポールは、同じくNSX CONCEPT-GTにとっても記念すべき初ポールとなった。なお、2番手に続いたのは、雨でのパフォーマンスに定評のあるミシュランタイヤを装着する23号車のR.クインタレッリ。さらにNo. 8 ARTA NSX CONCEPT-GTのV.リウッツイ、そして100号車の小暮が続き、これまで辛酸を舐めてきたホンダ勢が一気に飛躍する結果を残している。
一方、GT300はQ1でNo.55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)とNo. 0 MUGEN CR-Z GT(中山友貴/野尻智紀組)による、CR-Z対決となったが、Q2で本領発揮となったのが、やはりミシュランタイヤユーザーであるNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT。これにNo.31 OGT Panasonic PRIUSの新田守男が喰らい着き、同タイムをマークするという珍しい展開もあったが、最終的には61号車の佐々木が翌周にベストラップを更新。文句ナシの活躍で自身の記録でもあるGT300通算最多ポール数を12回へと伸ばしている。
■第5戦富士 予選結果
・GT500
1.No.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/金石年弘組)1’37.306
2.No.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)1’37.636
3.No. 8 ARTA NSX CONCEPT-GT(ヴィタントニオ・リウッツイ/松浦孝亮組)1’37.822
4.No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/武藤英紀組)1’37.857
5.No.39 DENSO KOBELCO RC F(石浦宏明/オリバー・ジャービス組)1’38.151
6.No.18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)1’38.723
・GT300
1.No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(佐々木孝太/井口卓人組)1’38.256
2.No.31 OGT Panasonic PRIUS(新田守男/嵯峨宏紀組)1’38.414
3.No. 0 MUGEN CR-Z GT(中山友貴/野尻智紀組)1’38.641
SUPER GT第5戦 富士スピードウェイ プレビュー
雨と霧に翻弄された前回・第4戦SUGOからまだ1ヶ月も経たずして開催される真夏の決戦第二幕。SUPER GTは8月末の鈴鹿1000kmに向けてますます過酷な戦いを迎えることになる。今回の舞台は、今シーズン2度目となる富士スピードウェイ。シリーズ後半戦へと突入する大事な一戦は、果たしてどのようなドラマを繰り広げるのだろうか。天気もレースも、ズバリ「ホット」なものとなりそうだ。
■魔物の棲むSUGOから、暑さと戦う富士へ
予選日から雨に祟られた第4戦SUGO。強い雨が止むと霧が立ち込めるなど、安全を確保するには十分といえないコンディションが長らく続き、土曜日のセッションは朝の公式練習のみに留まった。結果、予選は決勝日、つまり日曜日の朝に各チーム1ドライバーのみのアタックを実施するイレギュラーなものに。また、ウェットコンディション下でのタイムアタックは、GT300、GT500のクラスによって濡れ具合が異なるなど、それぞれのタイヤ選択がレースに向けての順位を大きく左右することになった。
さらに決勝レースでも雨は様々なドラマを演出。まさに泣いたり笑ったり、波乱たっぷりのレースだった。
そのSUGOから再び富士へと戻ってくるSUPER GT。猛烈な暑さはおそらく避けては通れないはず。ただ現在、台風11号がゆっくりと九州地方から北上しており、その影響を受ける可能性もある。しかしその一方で、台風通過の関係から蒸し暑さが続くことが考えられる。そうなれば、高温下での各車の戦いは必至。いずれにせよ、先を十分に見越した上でライバルよりも善戦することが求められる。
■富士スペック車両のタイムアタックに注目!
今シーズン、GT500にはGTAで指定された空力パーツが2種類あり、富士ではローダウンフォース仕様のものを装着することが義務付けられている。当初、富士以外のサーキットでは、通常のエアロパーツ装着を予定していたのだが、コーナリングでスピードアップが成されたことから第3戦オートポリス、そして前回の第4戦SUGOでも安全面を最優先し、富士同様のパーツが装着されてきた。それだけに、今回迎える富士ではその実践データが存分にあることから、よりいっそう秀でたセットアップデータをもとにクルマを仕上げてくるはず。となれば、その成果を見ることができるのは、土曜日の朝一番に行われる公式練習。これは見逃すわけにはいかないだろう。もちろん、緊迫した中で行われるノックアウト予選も同様だ。
一方で、各チームは現在背負っているハンディウェイトによってクルマのコンディションが異なってくる。GTAでは、今シーズンからハンディウェイトが50kgを超過すればその50kg分を燃料リストリクターで相殺できるルールを採用している。ウェイトを降ろす代わりに燃料の流量が規制され、パワーを制限するというものだ。少々速さではライバルに後れを取るが、軽量化のほうがクルマへの負荷が軽減されると解釈すれば、より安全なレースを強く意識していることがわかるはずだ。
これにより、勢力図にも若干の影響が見られることだろう。なにせ、富士スピードウェイは日本屈指のロングストレートを持つコース。加えて後半部は中低速のテクニカルコーナーが待ち受けるサーキット。現在、ランキング上位につけるチームはリストリクターの制限によりストレートを利用したトップスピードを味方することは難しいはずだ。となれば、レースでは新たに活躍するチームが現れる可能性も高い。ちなみに、第2戦はGT-Rの勝利に終わっているが、富士をお膝元とするレクサス勢の逆襲にも注目したい。
■GT300はBoP変更を受けてどう変わる?
今回、GT300でBoP(バランス・オブ・パフォーマンス:性能調整)を受けたのは5車種。アウディ、アストンマーチン、BMW、マクラーレン、ポルシェがそれぞれ対象となるが、車重で軽減されたのは、アウディ(10kg)、アストン(20kg)さらにBMW(5kg)の3車種。一方、増加の対象となったのは、マクラーレン(5kg)とポルシェ(10kg)の2車種だった。
SUGO戦では、拮抗する車両同士の激しいバトルが数多く展開され、接触の末にポジションを後退させるチームもあった。一方第2戦富士ではFIA-GT勢が底力を見せる戦いをしていることから、今回も同様の展開を見せる可能性が高い。しかしながら、暑さを考慮したタイヤマネージメントなど、トータル的に強いレースをする戦略が何よりも大事。チーム力の高さを見せつけるチームが現れるかもしれない。
なお、夏休み真っ最中ということもあり、土曜日の夜はサーキット内でイベントが行われる。雑誌auto sport誌などによるイベント「SUPER NIGHT in FUJI2014」がそれだ。決勝目前のドライバーたちによるトークショーで盛り上がりそう。さらにレースクイーンが登場する「ギャルパラ サマーナイト2014@富士スピードウェイ」も実施されるなど、レース以外のお楽しみも用意されている。
■主なタイムスケジュール
8月9日(土)
07:20 – 08:10 オープンピット
09:00 – 11:00 公式練習
09:00 – 10:40 : GT500 & GT300
10:40 – 10:50 : GT300
10:50 – 11:00 : GT500
12:05 – 12:55 ピットウォーク
14:00 – 14:30 ノックアウト予選_Q1
14:00 – 14:15 : GT300
14:15 – 14:30 : GT500
14:40 – 15:12 ノックアウト予選_Q2
14:40 – 14:52 : GT300
15:00 – 15:12 : GT500
16:45 – 17:45 GTキッズウォーク
4月6日(日)
09:00 – 09:30 フリー走行
09:40 – 09:55 サーキットサファリ
11:00 – 11:55 ピットウォーク
13:50 – ウォームアップ
15:00 - 決勝 81Laps
17:05 – 18:05 コースウォーク