SUPER GT 2013 Round8
SUPER GT第8戦もてぎ、No. 6 ENEOS SUSTINA SC430がポール・トゥ・ウィン
爽やかな秋の天気の中で幕が開いたSUPER GT第8戦もてぎの決勝レース。シーズン最後の戦いで勝利の美酒に酔ったのは、ポールポジションからスタートを切ったNo. 6 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也/国本雄資組)だった。そして、最終戦までもつれ込んだシリーズチャンピオンは、3位でフィニッシュしたNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平組)の手の中に納められることとなった。
早朝のもてぎはうっすらと霧が広がり、フリー走行時には「ライトオン」の表示が出るコンディションだったが、次第に薄日が挿し、曇り空ながら安定した天候の中でセッションが進んだ。3万人の観客がタイトルの行方を見守る中、午後1時30分、53周のレースがスタート。ポールからスタートを切った6号車が早速頭一つ飛び出してレースを牽引する。その後方では、ポジションアップを狙う車両同士のつば迫り合いがヒートアップ。テール・トゥ・ノーズ、サイド・バイ・サイドと一触即発のパフォーマンスを繰り広げた。
ランキングトップの38号車は前日の予選で4番手に留まっていたが、序盤から果敢な攻めを見せ、早くも2番手へと浮上。だが、6号車までは手が届かない。結果、6号車はタイトル争いから圏外にあることから、以後はポジションキープに徹して、周回を重ねていくことになった。
迎えたルーティンワーク。今回は通常より早いタイミングでピットに戻るチームが多く、その第一弾は19周目終了時点に訪れた。予選2位スタートのNo.17 KEIHIN HSV-010(塚越広大/金石年弘組)にとって、タイトル獲得のためにはまず優勝することが必須。だが3番手で周回を重ねていたため、先陣を切ってのピットインを勇断。金石から塚越へとスイッチし、コースへと復帰した。一方2番手の38号車は20周終了でピットイン、みな順調に作業を終えて後半戦の戦いが再開した。
トップ6号車はライバル達から大きくタイミングをずらしてピットイン。以後もトップ安泰のまま周回を消化していく。一方で2位の38号車はペースアップが難しく、その後方から17号車のプレッシャーを受け続けた。勢いに勝る17号車は、ついに37周目の1コーナーで38号車を逆転! 気も新たにトップ6号車を追った。
しかしながら、6号車の独走を阻止するまでには至らず。結果、6号車が今シーズン初優勝を果たし、2位でチェッカーを受けた17号車はタイトル獲得とはならず、3位でフィニッシュした38号車がシリーズチャンピオンに! ドライバーのひとり、立川は自身3度目、そして平手は自身初となるタイトル獲得となった。
一方、GT300では予選2位スタートのNo.11 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組)が、レース5周目にポールスタートのNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太組)を早々に逆転。以後完全なる独走態勢でレースを消化。大量マージンは最後まで変わることはなく、開幕戦岡山以来となるシーズン2勝目を達成。ランキング争いでもポジションを一つ上げて2位を獲得することに成功した。
また、ランキングトップでレースに挑んだNo.16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)。予選3位から安定したペースでレースを重ねていく。ルーティンワークを終えると2位で周回を続け、そのままチェッカー。シーズン中の優勝こそ果たせなかったが、着実なポイント加算が実を結び、ハイブリッド車両での2シーズン目にチャンピオンのシートを手にすることに成功している。
■第8戦もてぎ 決勝結果
・GT500
1.No. 6 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也/国本雄資組)1:35’34.873 53L
2.No.17 KEIHIN HSV-010(塚越広大/金石年弘組)+11.640
3.No.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平組)+32.220
4.No.39 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明組)+33.293
5.No.36 PETRONAS TOM’S SC430(中嶋一貴/ジェームス・ロシター組)+33.405
6.No.37 KeePer TOM’S SC430(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ組)+43.352
・GT300
1.No.11 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組)1:36’39.089 51L
2.No.16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)+1Lap
3.No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太組)+1Lap

SUPER GT第8戦もてぎ、No. 6 ENEOS SUSTINA SC430
11月2日、栃木・ツインリンクもてぎにおいてSUPER GT第8戦「MOTEGI GT 250km RACE」予選が行われ、秋が深まる薄曇りの中、No. 6 ENEOS SUSTINA SC430がQ2でトップタイムをマーク、今シーズン初のポールポジションを獲得した。
青空が顔を出したのはほんの僅かな時間ではあったが、最終戦の予選日は比較的安定した天気になった。そんな中、まず朝の公式練習でトップタイムをマークしたのは、No.38 ZENT CERUMO SC430。今シーズン尻上がりに調子を上げ、一時はチャンピオン争いから脱落したかに思われたが今やランキングトップで最終戦を迎えている。今回は3戦連続のポールポジション獲得に注目が集まったのだが、予選でトップタイムをマークしたのは、6号車だった。
なお、気になるチャンピオン争いだが、現在トップの38号車が予選4位からスタートするのに対し、ランキング2位のNo.36 PETRONAS TOM’S SC430(中嶋一貴/ジェームス・ロシター組)は予選13位に甘んじており、明日の決勝ではタイトルを巡る過酷な戦いが展開されそうな気配だ。
一方、GT300では暫定トップのNo.16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)は予選3番手。ランキングでは5位とやや劣るNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太組)が今季5度目のポールポジションを獲得。S-GTからの勇退を発表した山野が有終の美を飾れるかどうかも注目の的となる。
・GT500
1.No. 6 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也/国本雄資組)1’41.367
2.No.17 KEIHIN HSV-010(塚越広大/金石年弘組)1’41.490
3.No.23 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ組)1’41.514
4.No.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平組)1’41.582
5.No.39 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明組)1’41.598
6.No.100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史組)1’42.144
・GT300
1.No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太組)1’48.264
2.No.11 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組)1’48.354
3.No.16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)1’48.389

SUPER GT第8戦もてぎ プレビュー
ついに最終決戦を迎える2013年のSUPER GT。例年より増してシリーズタイトルの行方がはっきりせず、チャンピオン争いが渾沌としたまま第8戦が幕を開けることになる。前回のセミファイナル戦、第7戦オートポリスでは土曜日に予定されていた予選が天候不良によりキャンセルされ、日曜日に予選と決勝を行うというワンデーレースになったことから、よりいっそう落ち着かない戦いへと変貌。最後の最後まで勝負の行方がわからないというレースの醍醐味を引き出す一戦となった。結果的としてタイトル争いに残ったのは、GT500が8台、GT300が5台。大波乱の末、一発逆転による王者決定という可能性も大いにあり得るもてぎ戦から目が放せない!
■シンプルな最終決戦は、火花散るバトルに!?
最終戦を待たずしてオートポリスでGT500のシリーズチャンピオンが決定した昨シーズンと大きく異なり、今シーズンはタイトル獲得の可能性を持っているのが8チームと、類い稀な激戦になっている。なにしろ、最終戦を前にポイントランキングトップに立っているNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平組)においては、序盤、中盤と本来ならばどこかで勝利してもおかしくないチームにも関わらず、一度も勝利することなく苦戦が続いていた。他車との接触、ルーティンワークのタイミングで不運に襲われるなど、とかく流れが悪かった。だがようやく今季2度目の第6戦富士で遅ればせながらの今季初優勝を果たすと、続くオートポリスで2位を獲得。終盤の怒濤の追い上げが実を結び、つにランキングトップに躍り出ることに。予選での速さ、決勝でのしぶとさに秀でるチームがもてぎで狙うのは、もちろん優勝。長い悪夢から目を覚ましたチームの勢いほど手強いものはない。立川&平手コンビでの新チャンピオン獲得を目指す。
一方、38号車に4ポイント差で続くのがNo.36 PETRONAS TOM’S SC430(中嶋一貴/ジェームス・ロシター組)。前回のオートポリスは予選10番手と低迷しながらも決勝では粘りを見せてポジションアップに成功。さらにラスト3周でトップを奪取し、第2戦富士以来となるシーズン2勝目をもぎ取った結果、ランキングも2位へと一気に浮上するという飛躍ぶりだ。これに対し、ランキング3番手につけるNo.18 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)は小刻みにポイント加算をしてきたチーム。もちろん、第5戦で待望の初優勝を果たし、方向性もしっかりと見えている中での最終戦とあって、士気も相当高い。同ポイントで同メーカーのNo.17 KEIHIN HSV-010(塚越広大/金石年弘組)と競っている点でも最終戦は“負けられない”戦いを見せてくることだろう。さらにメーカー別で見ると、日産勢トップにいるのがディフェンディングチャンピオンドライバーを擁するNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ組)。トップ38号車とのポイント差は11点と決して小さくはないが、終わってみるまではわからないのがレースというもの。筋書きのないドラマの開幕が今か今かと待たれる。
■レースフォーマットもシンプル。開幕戦以来となるガチバトルに注目!
戦いの舞台、もてぎは「ストップ&ゴー」と呼ばれるレイアウトを持つユニークなコース。比較的距離の短いストレートとハードブレーキングを要する数々のコーナー。難コースゆえにクルマのセットアップも難しく、またドライバー泣かせでもある。当然、パッシングポイントも多いとは言えない。目の前にライバルがひしめいていたとしても、抜きにくいコースではストレスが多いに溜まる。決勝では、思わぬミスやアクシデントを呼ぶ可能性も高い。となれば、できる限り予選での好位置獲得が必須事項になる。
さて、その予選だが、前回まで搭載されてきたハンディウェイトがすべて撤廃され開幕戦同様のガチバトルの再演となる。熟成が進んだクルマにシーズンを通して増えた戦い方の引き出しをいかに賢く使うかによって、戦いの行方が見えてくるはずだ。しかも、GT500においては、来シーズンから新型車両が導入されるため、今回の戦いが公式戦におけるラストレース。ここでの勝利、そしてシリーズチャンピオンがチームやドライバーにとって何よりの名誉となるだけに、例年以上の激しいバトルになるのではないだろうか。
■GT300は、国産車のチャンピオン獲得なるか!?
GT300のポイントリーダーに立つのは、No.16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)。なんと開幕戦からこれまですべてのレースで入賞を果たし、ポイントを着実に積み重ねている。しかも第2戦から3戦連続で2位を獲得。高得点をしっかりと稼ぐことに成功しているのが強みだ。さらには、任意参戦ながら、アジアン・ル・マンシリーズにも出走し、ここでは優勝を果たしてさらにポイント加算に成功しており、まさにチャンピオン街道を突き進んでいる感じだ。前回のオートポリス戦は苦心したものの、安定したレース展開がなんといっても強みの16号車だけに、最終戦でも同様の戦いに徹するものと思われる。
そこに待ったをかけるのが、No.4 GSR初音ミクBMW(谷口信輝/片岡龍也組)。第7、8戦で連勝という驚異の追い上げを見せ、大量ポイント加算に成功。4号車は第5戦鈴鹿でクラストップチェッカーを受けたものの、その後の再車検で車両違反が見つかり失格という経緯があるだけに、なおさら、最終戦でキチンと勝利し、2011年以来となるクラスチャンピオンを獲得したいという思いも強いはず。前回のオートポリス戦のように、不安定な状況になればなるほど底力を発揮するという大きなアドバンテージがもてぎでも活きるのかどうか。注目が集まる。
もちろん、ランキング3位以下のチームにもまだ逆転のチャンスは残されている。さらには今シーズン一度も優勝を果たしていないチームが、なんとしても今季初勝利を! と躍進する可能性もあるだけに、渾沌とした戦いの行方の中から頭ひとつ抜け出すチームがどこになるか、手に汗握る250kmにおよぶドラマのエンディングを見守りたいものだ。
■主なタイムスケジュール
11月2日(土)
07:15 – ゲートオープン
07:40 – 08:10 オープンピット
09:00 – 11:00 公式練習
09:00 – 10:40 : GT500 & GT300
10:40 – 10:50 : GT300
10:50 – 11:00 : GT500
12:25 – 13:25 ピットウォーク
14:00 – 14:30 ノックアウト予選_Q1
14:00 – 14:15 : GT300
14:15 – 14:30 : GT500
14:40 – 15:12 ノックアウト予選_Q2
14:40 – 14:52 : GT300
15:00 – 15:12 : GT500
16:15 – 16:45 GTキッズウォーク
11月3日(日)
07:00 - ゲートオープン
08:50 – 09:20 フリー走行
09:30 – 09:45 サーキットサファリ
11:00 – 11:50 ピットウォーク
12:20 – ウォームアップ
13:30 - 決勝 53Laps(250km)
16:15 – 16:30 グランドフィナーレ