ほぼ1ヶ月ぶりのレース開催となるSUPER GT。第7戦の舞台オートポリスは、大分県と熊本県の県境にほぼ近く、阿蘇山麓の山間部に位置する九州唯一のサーキットとして知られる。中盤戦はシリーズポイントで上位を固めていたチームが思うようなレース展開ができず、苦戦。その間に別のチームが躍進し、さらに前回の富士でも未勝利だったチームが表彰台の真ん中に上がったため、ますますタイトルの行方が渾沌としてきた。とはいえ、今シーズンの戦いはこのオートポリスを含め、あと2戦を残すのみ。いよいよ、タイトル獲得に向けてのラストスパートが本格化する。
■APで勝利するにあたり、大事なものは?
山間の中にあるオートポリス。ヨーロッパにあるサーキットに似ているとドライバーの中でも人気が高く、アップダウンが大きいテクニカルなースレイアウトでは、うまくセットアップをまとめることが最速のレースをする上で必至となる。
また、かつてはコースのサーフェイス(路面)も荒くてバンピーのためタイヤに厳しいことでも有名だったが、路面舗装が一新された昨年以降、その心配は大きく軽減された。しかしながらレイアウト自体はやはりタイヤに厳しいものであるから、各チームとも土曜日朝の公式練習でその仕上がり具合を確認しなければならない。早くも緊迫の戦いが始まるというわけだ。
一方でその重要な戦いをよりいっそう魅力あるものにするのが、ウェイトハンディの半減だろう。第6戦まではレース結果によって、獲得ポイントを2倍にした計算方法でウェイトと搭載してきた。つまり、ポイント10点なら20kgのウェイトというものだ。それが今回のオートポリス戦では、獲得ポイントにkgをつけたものがウェイトとなり、10点の場合は10kgになる。アップダウンの多いレイアウトを颯爽と走るには、足かせのウェイトが少ないほうが負担も小さく、タイヤへの攻撃性も低くなるのは言うまでもない。となれば、もともとベースとなる車両のポテンシャルに大差はないわけだから、まずは持ち込んだセッティングで当日の路面コンディションをいち早く考慮し、最終的なセットアップを見出したチームが、ライバルを出し抜くことができるはずだ。
■APを得意とするのは、どのチーム?
2011、12年とここのサーキットを制したのは、日産GT-R。得意なサーキットで勝利し、最終的にはシリーズタイトルを手に収める活躍を見せたのは記憶に新しい。もちろん、ライバルも黙ってはいない
。ホンダHSV-010もオートポリスを得意としており、現時点でのランキングトップはホンダのNo.18 ウイダー モデューロHSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)なだけに、ここで鈴鹿1000kmに続く2勝目を挙げることになれば、両ドライバーにとっての初タイトルがぐっと近づくことになる。また、2番手にはNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)がつける。トップとポイントは同点だが上位の入賞回数で2番手に甘んじてはいるだけで、今回、18号車より先にチェッカーを受ければ、単独でランキングトップに躍り出ることも可能なだけに、ヒートアップしそうだ。もちろん、SC430勢の存在も忘れてはならない。前回富士戦でNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平組)は、遅ればせながら今季待望の1勝をマーク。ランキングでも上位に返り咲き、現在はトップと僅か3ポイント差の4位につけている。なお、3番手のNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ組)もトップとの差は僅か2ポイント。稀に見るタフなシリーズタイトル争いに向けて、オートポリスは必勝体制のチーム同士の丁々発止に注目が集まる。
■GT300は、王者決定? それともライバルが阻止?
SUPER GTのオートポリス戦に先立ち、GT300クラスは富士スピードウェイで開催されたアジアン・ル・マンシリーズ第2戦に参戦。そのときに獲得したポイントがシリーズポイントに加算されるという「ボーナス」があった。結果、チャンピオン争いで一歩リードすることになったのが、No.16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)。これをNo.11 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組)が追うが、その差は16点と大きい。シーズン中、毎回入賞でポイントを積み重ねてきた成果がしっかりと生きている。ただ、そのチームが未だ果たしていないのが、SUPER GTでの勝利。アジアン・ル・マンでは表彰台の真ん中に立ったが、その勢いで、ぜひシリーズ戦でも初優勝を、というのが今回の最大目標であろう。もちろん、ライバル達も虎視眈々と勝利に向けて戦いに挑んでくる。サバイバルレースともなれば、実力伯仲の強者達が続々とそのチャンスを狙ってくるだろう。
なお、レースウィーク中は、サーキット内で自動車メーカーのコンセプトカーや市販車も展示される。日頃、目にする機会が少ない希少車などが見られる可能性もありそうだ。さらには、イベント広場において、LEXUS Racingブースが出展。ドライバーサイン会やくま吉も来場予定とのことだ。
■主なタイムスケジュール
10月5日(土)
06:00 – ゲートオープン
07:15 – 08:05 オープンピット
09:00 – 11:00 公式練習
09:00 – 10:40 : GT500 & GT300
10:40 – 10:50 : GT300
10:50 – 11:00 : GT500
12:15 – 13:00 ピットウォーク
14:00 – 14:30 ノックアウト予選_Q1
14:00 – 14:15 : GT300
14:15 – 14:30 : GT500
14:40 – 15:12 ノックアウト予選_Q2
14:40 – 14:52 : GT300
15:00 – 15:12 : GT500
16:20 – 17:00 GTキッズウォーク
10月6日(日)
07:00 - パドックオープン
09:10 – 09:40 フリー走行
09:50 – 10:10 サーキットサファリ
11:35 – 12:20 ピットウォーク
12:50 – ウォームアップ
14:00 - 決勝 65Laps(300km)