SUPER GT 2013 Round2
SUPER GT第2戦富士、500kmの長距離レースを制したのは、No.36 PETRONAS TOM’S SC430!
ゴールデンウィーク前半に開催されたSUPER GT第2戦。4月29日、戦いの舞台となった静岡・富士スピードウェイは、様々なドラマがちりばめられた500kmのレースの行方を見守るべく、大いに盛り上がった。そして、前半は逃げのレースで、終盤はジリジリと迫り来るライバルとの攻防戦を展開し、長くてハードな戦いを制することに成功したのは、ポールポジションからスタートを切ったNo.36 PETRONAS TOM’S SC430(中嶋一貴/ジェームス・ロシター組)だった。
開幕戦の不安定な天候とは打って変わり、レースウィーク中の富士はさわやかな行楽日和に恵まれた。決勝日も時折薄曇りの空が広がるも、終始ドライコンディションでセッションが進み、各チームともそのコンディションに見合ったクルマを用意するため、決勝直前までセットアップに勤しむ姿が見られた。
午後2時、フォーメーションラップによりレースがスタート。500km、110周の戦いの火ぶたが切って落とされた。予選2番手、No.39 DENSO KOBELCO SC430の石浦宏明がスタート早々からポールポジション、No.36 PETRONAS TOM’S SC430の中嶋に詰め寄るという激しい展開となったが、36号車は冷静に対応。しかし、その少し後ろのグループではせめぎ合いの末に接触事故を誘発。開幕戦2位のNo.17 KEIHIN HSV-010の塚越広大がフロントカウルを激しく損傷、早くも戦線離脱となった。しばし団子状態にあったグループも徐々にバラけはじめたが、再びトップ36号車には39号車が喰らい着き、一瞬トップに立つほどの攻防戦を見せた。だが、速さに勝る36号車が再びトップを奪還。以後ジリジリと後続との差を開いていく。
最初のルーティンワークは、レースの3分の1を前にした35周前後から激しくなり、次々とピットイン。上昇し始めた路面温度に対応できるタイヤを選び、コースに戻っていくが、気がつくと、今回はレクサス・SC430勢が台頭。上位5台を独占するという存在感を見せた。一方で、上位争いに限らず、長丁場ならではのバトルも場内を沸かせた。
レースは終盤に入ると順位こそ変動はないが、互いの車間距離が次第に縮まってくる。とりわけ戦いの行方が注目されたのは、トップを快走し続ける36号車と追随するNo.38 ZENT CERUMO SC430。逃げる中嶋に対し、試合巧者のベテラン立川祐路が攻め立てる。一時は1秒を切る僅差に詰め寄った立川。だが、装着していたタイヤはほぼ限界に近い状態。互いの気力と気力がぶつかりあう戦いの末、軍配が上がったのは、終始トップをひた走った36号車の方だった。
前日の予選でチームに2004年以来のポールポジションをもたらした中嶋だったが、決勝では2010年以来の勝利をプレゼント。また、自身そしてコンビを今季から組むジェームス・ロシターにとってはGT500初めての勝利となった。
一方のGT300クラス。開幕戦に引き続きNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTがポールポジションからスタートを切るも、駆動系のトラブルに見舞われ、なんと3周でレースを終えるというハプニングが起こる。そんな中、代わってトップに浮上したのが、ハイブリッドカーとしてシーズン2年目を迎えたNo.16 MUGEN CR-Z GTだった。しかもこれに喰らいついてきたのが、同じくハイブリッド車のNo.31 Panasonic apr PRIUS GT。昨シーズンはFIA GT3車輌に好き勝手させた印象が強いGT300だが、今シーズンはJAF GT車輌が奮闘。スピードはあるものの、走行中にタイヤバーストやマシントラブルを引き起こし、ポジション後退やリタイヤに追い込まれる「黒船」たちを尻目にトップ争いを繰り広げた。
16号車は終盤になると40秒近い大差を2位以下につけ、独走態勢。このまま優勝を果たすかに思われたのだが…。突然クルマが激しい振動に襲われ、タイヤに異変が起こったとドライバーが判断。まさかの緊急ピットインが行われた。そしてトップの座を31号車に奪われてしまう。実のところ、16号車はタイヤカスを拾っただけで、ガマンの走行をしていればそのまま逃げ切ることができた可能性もあったはず。しかし、瞬時の判断によってハイブリッド車輌のレース結果はくっきりと明暗が分かれた。ラッキーな部分があるとはいえ、2位という好位置にいたからこそ、31号車はハイブリッド車輌としてGT300クラスで初勝利を果たし、16号車は2番手でレースを終了。3位にはトラブルフリーで安定した走りを続けたNo.86 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3(山西康司/細川慎弥/坂本雄也組)が続くことになった。
■第2戦富士 決勝結果
・GT500
1.No.36 PETRONAS TOM’S SC430(中嶋一貴/ジェームス・ロシター組)2H56’05.647 110L
2.No.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平組)+3.373
3.No. 6 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也/国本雄資組) +20.075
4.No.39 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明組) +24.320
5.No.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組) +41.542
6.No.37 KeePer TOM’S SC430(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ組) +42.964
・GT300
1.No.31 Panasonic apr PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀組)2H57’27.210 103L
2.No.16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組) +17.403
3.No.86 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3(山西康司/細川慎弥/坂本雄也組) +1Lap