SUPER耐久 2013 Round6
スーパー耐久第6戦鈴鹿は、スプリントの3レースに!
台風一過のあとに迎えるスーパー耐久シリーズ第6戦。三重・鈴鹿サーキットを舞台に繰り広げられる戦いは、世界ツーリングカー選手権(WTCC)と同日開催のビッグイベントになる。5時間、7時間、そして3時間レースと耐久レースならではのドラマを見せてきた今シーズンのS耐だが、この鈴鹿はまたいつもと趣向が異なるレースをお披露目することになる。
■タイヤもガソリンもセーブの必要なし!のバトルに
今回、鈴鹿のイベントスケジュールを見ると、S耐における決勝レースは3回。土曜日に第1レース、そして日曜日に第2、第3レースが行われることになっている。そして1レースの時間は、なんとわずか40分! 「スーパー耐久レース」が、「スペシャルスプリントレース」に変化する貴重な一戦となりそうだ。
同時併催のWTCCも決勝時間がおよそ30分と短く、今週末の鈴鹿はどのレースも超スプリントで行われることから、いつも以上にギュッと詰まったドキドキワクワクの盛り上がりを期待していいだろう。ちなみに、昨年は1時間のレースを2回実施。またレース中は給油作業はなかったものの、ドライバー交代が義務付けられていた。しかしながら、今年の40分レースではピット作業が一切行われない。つまり、1ドライバーがよーいドンすれば、あとはフィニッシュラインを目指すのみだ。
となれば、日頃はドライバー編成によって見る機会がないようなドライバー同士のガチンコバトルが大いに期待できる。プラチナドライバー同士が攻防戦になれば、絶妙な駆け引きを見せてくれるだろうし、また、車両による特性の違いがコース上で見られるかもしれない。つまり、日頃とはひと味もふた味も違ったドラマが様々なところで起こるはず。鈴鹿戦ならではの「おトク」な観戦をぜひ体感して欲しい。
また、富士、岡山戦では突如天候の悪化により、様々な影響が出て、ひやひやするアクシデントなども見られた。しかしながら、今週末は少なくとも雨の心配はない模様。秋晴れの中、百花繚乱のバトルを存分に楽しむチャンスだ。
■予選も決勝グリッドもスペシャルに
ここで3度のレースに出走するドライバーはどうやって決めるのか、ふと疑問に思ったアナタ。ここで今回のスペシャルルールをお伝えしよう。土曜日のスケジュールだが、今回はピットウォークの時間に先立ち、予選が実施される。なお、A、Bドライバーのタイムアタックは、前回18分に延長されたが、今回は以前の15分で行われることになっている。Cドライバーの予選はいつもと変わらず20分行われる。では、決勝グリッドはどのように決まるのか。これも変則的になっており、説明する必要がある。
Aドライバーの予選結果が反映されるのは、第2レースの決勝グリッド。そして、Bドライバーのそれは第1レースのグリッドに適用されることになる。この時点で、すでにどのドライバーをどのレースに投入するか、チームはライバルの動向をも気にしながら選手登録する必要がある。タイムアタックを前にすでに水面下では熱い戦いが進んでいるというわけだ。一方、第3レースはどのようにグリッドを決定するのか? それはS耐でお馴染の「合算タイム」を利用することになっている。A、B両ドライバーの最速タイムを合算し、そのタイム順に第3レースのグリッドが決められるのだ。
さらに、細かな設定があり、第2、第3レースにおいて同じドライバーが主訴すすることは認められていない。つまり、同日に同じ選手が決勝を戦うことはご法度。初日の土曜に1度、日曜日に1度、という形はOKになっている。3選手がエントリーしているチームであれば、それぞれのレースに3選手を次々投入することになるだろうが、登録ドライバーが2名のチームはこういった点にも考慮し、編成を組むことになる。ちなみに、「腕に覚えアリ」のプラチナドライバーにはさらに厳しいルールが。3レースのうち、出走できるのは1レースのみ。残念ながら腕を奮う機会は3レース中1回に限られている。
■最終戦を待たずして、チャンピオン決定の可能性は?
今シーズンのセミファイナルラウンドとなる今回。最終戦を前に、はやくもクラスチャンピオンが決まる可能性があるクラスはあるのだろうか? トップクラスのGT3は、目下、1号車のPETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3がその最有力候補だ。といっても、3レースすべて、あるいは最低でも2勝する必要がある。僚友の28号車との駆け引きがどこまで白熱するのか、こちらも見どころとなるだろう。
一方で、スプリントレースだからこそ、優勝を目論むライバルチームも虎視眈々とチャンスを狙っている。その最たる候補が81号車のGTNET ADVAN NISSAN GT-R。速さは存分に披露済みだが、決勝レースでは思わぬトラブルに巻き込まれるケースが続いている。しかし、スプリントレースとなれば、「逃げ切り先行」のレース運びも可能とあり、表彰台での美酒に酔う準備も進んでいると思われる。さらには、同じGT-Rを駆る24号車のスリーボンド日産自動車大学校GT-Rも同様にチャンスを待っている。勢いある若手ドライバーの飛躍に期待したい。
スーパー耐久はモチロン、併催のWTCCもクルマとクルマがまるで取っ組み合いのケンカをするかのような、アグレッシブなバトルが楽しめるレースとして知られる。秋晴れの中、ホットな戦いの行方を見守って欲しい。
◎主なタイムスケジュール
・9/21(土)
09 : 00 – 09 : 30 WTCCフリープラクティス1
09:50 – 10:05 S耐予選A-1
10:05 – 10:20 S耐予選A-2
10:35 – 10:50 S耐予選B-1
10:50 – 11:05 S耐予選B-2
11:20 – 11:40 S耐予選C
12 : 00 – 12 : 30 WTCCフリープラクティス2
12:50 – 13:40 ピットウォーク
14:10 - S耐第1レース(40分間)
15 : 30 – 15 : 50 WTCC予選1回目
15 : 55 – 16 : 05 WTCC予選2回目
・9/22 (日)決勝日
08:00 – 08:30 S耐フリー走行
08:50 – 09 : 05 WTCCウォームアップ
09:45 - S耐第2レース(40分間)
11:00 – 11:50 ピットウォーク
12:35 - S耐第3レース(40分間)
14 : 30 – WTCCレース1(東コース26周)
15:30 – WTCCレース2(東コース26周)
記事:島村元子/ TEXT : Motoko SHIMAMURA