8月11日、青空の広がる中、静岡・富士スピードウェイにおいてスーパー耐久シリーズ第4戦「SUPER TEC 富士スーパー耐久7時間レース」の決勝が行われた。序盤こそ予選でファーストローを獲ったGT-R勢がレースを牽引するも、徐々にメルセデスSLSを駆るPETRONAS SYNTIUMチームの2台が本領を発揮する展開となった。
ポールポジションスタートのNo.81 GTNET ADVAN NISSAN GT-R(星野一樹/青木孝行/尾本直史/吉田広樹組)が好ペースで逃げる中、プラチナドライバーを最初に投入したNo.28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3(F・ハイルマン/J・レスター/片岡龍也組)が2番手に浮上、その僚友である1号車が3位につけてレースが進んでいった。そのトップ争いの形が変わったのは、レース開始22周目。最終コーナー立ち上がりでクラッシュし、動けなくなった車両が出たためにセーフティカー(SC)が導入される。これを機に即座にピットへ向ったのが81号車。ドライバー交代せず2スティントを敢行する作戦に出た。その後、レースはPETRONAS SYNTIUMの2台と81号車がトップ3を形成、ルーティンのピットインによる順位変動はあるものの、ともに牽制しながら周回を重ねてくことになった。
だが、7時間という長丁場のレースゆえ、様々なハプニングも出て来るもの。まず28号車はルーティンワーク時のミスがペナルティの対象となり、20秒のピットストップが言い渡される。さらにはファンベルトが切れてオーバーヒートを引き起こしたため、緊急ピットイン。その後も走行中のスピン、クラッシュなどが影響し、完全にトップ争いから脱落してしまった。そして何よりもレースの行方を大きく揺さぶったのは、途中で降り出した雨だろう。不安定な足下を気にせず攻めの走りを見せる1号車の谷口からバトンを受け取ったのはアン。スリックタイヤでスタートを切ったがその後も雨は一向に止まず、やむなく再びピットへと戻り、レインタイヤへと交換した。この間にトップとの差を詰めたのが81号車の青木。レース開始から5時間過ぎにトップを奪還したが、加えて雨が上がり路面が乾きはじめると、1号車のアンが逆襲。逆転を果たし、最後のルーティンワークのためにピットイン、モーへとステアリングを委ねた。
一方、81号車もすぐにピットインしてスリックへと交換するかに思われたが、戦略上、青木が引き続きドライブすることが必要となり、ガマンの周回を重ねることに。結果、チェッカーまで残り1時間を切ってからようやく星野へとスイッチ、その星野はファステストラップを更新し続けながら目前のモーを追いつめていく。懸命の追い上げに、1分弱あった2台の差が15秒を切るまでに至ったが、7時間レースの残り5分を切って、81号車にドライブシャフトのトラブルが発生。ペースダウンを余儀なくされ、万事休す。波乱万丈のレースを1号車が制し、前戦に続いての連覇を達成。手負いの81号車は最終ラップにNo.3 ENDLESS・ADVAN・PORSCHE(YUKE TANIGUCHI/峰尾恭輔/TOSHI ARAI/山内英輝組)の逆転を許すも、3位で完走することになった。
スーパー耐久シリーズ第4戦・富士 決勝結果(トップ3はすべてGT3)
1.No.01 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3(D・アン/谷口信輝/M・モー組)225L 7:01’35.367
2.No.03 ENDLESS・ADVAN・PORSCHE(YUKE TANIGUCHI/峰尾恭輔/TOSHI ARAI/山内英輝組)+1Lap
3.No.81 GTNET ADVAN NISSAN GT-R(青木孝行/星野一樹/尾本直史組)+2Laps
・各クラストップタイム(総合トップ3はのぞく)
ST-1 No. 9 Faust Racing Team(佐藤茂/山野直也/堀主知ロバート組)210L
ST-2 No.59 STURM・MOTUL.EDインプレッサ(大澤学/吉田寿博/松田晃司組)204L
ST-3 No.80 PETRONAS TWS GS350(佐藤晋也/吉本大樹/脇阪薫一組)207L
ST-4 No.41 TRACY SPORTS ings S2000(植松忠雄/井入宏之/筒井克彦組)200L
ST-5 No.15 DIXCELアラゴスター・NOPROデミオ(谷川達也/小原健一/野上達也/野上敏彦組)182L
8月10日、静岡・富士スピードウェイにおいてスーパー耐久シリーズ第4戦が開幕し、その予選が実施された。暑さ厳しい中、予選でのタイムアタックでは、No.81 GTNET ADVAN NISSAN GT-R(星野一樹/青木孝行/尾本直史/吉田広樹組)がポールポジションを獲得している。
真夏の一戦を迎えた今シーズンのスーパー耐久。日本屈指のメインストレートを誇る富士スピードウェイでの戦いは7時間というシリーズ最長レース。予選スタイルこそ、A、Bドライバーの合算タイムで競うものだったが、登録できるドライバーは各チーム4名までと長期戦ならではの編成が可能。そんな中、予選でA、Bドライバーが揃って安定した速さを披露したNo.81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rが合算タイムでトップに立ち、幻に終わった第1戦以来のポールポジションを獲得している。
なお、7時間レースの決勝グリッドにおいてはGT-R勢がフロントローを独占。一方で、現在GT3クラスのポイントトップに立つNo.1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3(D・アン/谷口信輝/M・モー組)は3番手に甘んじている。日曜日の決勝は、午前11時にスタート。7時間先のフィニッシュを目指し、文字通りホットな戦いが繰り広げられる。
スーパー耐久シリーズ第4戦・富士 予選結果(タイムはA、Bドライバー合算による)
1.No.81 GTNET ADVAN NISSAN GT-R(星野一樹/青木孝行/尾本直史/吉田広樹組)3′23.846
2.No.24 スリーボンド日産自動車大学校GT-R (GAMISAN/佐々木大樹/千代勝正/藤井誠暢組)3’24.101
3.No.01 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3(D・アン/谷口信輝/M・モー組)3’24.407
・各クラストップタイム(総合トップ3はのぞく)
ST-1 No. 51 DIAMANGO BMW Z4(余郷敦/坂本祐也/石原将光/池田大祐組)3’35.083
ST-2 No.20 RSオガワADVANランサー(大橋正澄/阪口良平/窪田俊浩/花岡翔太組)3’44.049
ST-3 No.14 岡部自動車KYOSHIN計測 Z33(小松一臣/杉林健一/松田芳信/相良栄作組)3’47.559
ST-4 No.41 TRACY SPORTS ings S2000(植松忠雄/井入宏之/筒井克彦組)3’54.358
ST-5 No.36 エンドレスアドバントラストヴィッツ(後藤比東至/井尻薫/木村正治/碓井久彦組)4’16.235
7月中旬の第3戦から一ヶ月も経たないうちに迎えるスーパー耐久第4戦。8月10-11日の静岡・富士スピードウェイにおいて、「FUJI SUPER TAIKYU 7 Hours Endurance Race – SUPER TEC -」が開催される。前回、もてぎに続き、真夏のレースイベントとして、シーズンのヤマ場となることは必至だ。
今シーズン最長の7時間開催!
第3戦もてぎでは、5時間レースが実施された今年のスーパー耐久。第4戦富士では、さらに2時間延長された「7時間」での競争が繰り広げられることになる。夏の暑さ、長期に渡るドライブ、そして国内最長のメインストレートを持つコースでのバトル…。すべてがタフな戦いとなってドライバー、チームに襲いかかってくることもあるだろう。
なにしろ、今回の富士戦にはシリーズ最多となる53台がエントリーしているという。その中には、FIA GT3車両を筆頭に、ST-5クラスのヴィッツやデミオに至まで、スピードもパワーも異なるまさに百花繚乱の車両が同じコース上を周回するのだから、レース展開も容易ではない。同じクラス同士でバトルをし、順位争いには影響がないものの、コース上では互いのスピードを把握した上でクリーンなバトルを展開しなければならない。高度なレーシングスキルを持ってレースに挑まなければならないのだ。当然、思わぬドラマが生まれる可能性も大いに高まる。
7時間レースの展開はいかに?
前回、5時間レースのときにはレギュレーションの一部変更が行われ、登録ドライバーは最高4人まで、そしてピットストップの義務回数が3回以上となった。そして今回はさらに2時間長いぶん、義務回数は4回に改められている。なお、登録ドライバーは前回と同様の4人となる。前回、2人のドライバーのみで走破したチームも見受けられたが、さすがに今回は厳しい。最低でも3名のドライバー編成をもって挑むことになる。なお、4回のピットストップ、5スティントでの走行を実践すると、ひとりのドライバーが一度に走行できる時間は、7時間÷5回という計算で84分という数字が出る。1時間30分弱のドライブなら、クルマとしても、ドライバーとしても何ら支障はない。ガチでのバトルも存分に可能となる。
その一方で、燃費が気になるチーム、あるいは、GT3やST-1クラスに多い「プラチナドライバー」をかかえるチームは、さらに綿密なシミュレーションをもってレースを組み立てる必要があるだろう。「念には念の」戦略をもって長丁場の戦いに挑むものが栄光の勝利を掴むことができるのだから。
各クラスとも激闘、好バトルに期待!
前回、GT3の覇者となったのは#1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3。だが、レース中のほとんどをリードしていたのはその僚友である28号車だった。5時間という長い時間のわずかラスト5分で28号車が痛恨のスピンを喫しなければ…。ドライバーによるミスという形で苦汁をなめた28号車は、今回、そのリベンジに燃えているはず。そして待望のシーズン初勝利を手にした1号車とて、今回も真っ向勝負に挑んでくるのは言うまでもない。同チーム内での激しい攻防戦に、まず期待だ。
モチロン、他のGT3車両だって黙ってはいない。ポテンシャル、速さにすっかり安定感が増した日産GT-Rが最たるライバルとなるだろう。前回、予選で驚愕のレコードタイムを出した#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-R、そしてレースでは安定感をアピールし、表彰台の一角をもぎとった#81 GTNET ADVAN NISSAN GT-Rなど、表彰台の真ん中を目指し、勝負をかけてくる。
この他、他のクラスにおいても見どころたっぷりのバトルが予想される。日頃、 SUPER GTに参戦するドライバーはもちろん、耐久慣れしているハイレベルなアマチュアドライバーが入り乱れての7時間レースで、最後に表彰台の真ん中で誰が、どのチームが、勝利の女神からの祝福を受けるのか? 請うご期待!
◎主なタイムスケジュール
・8/10(土)
10:30 – 11:10 ピットウォーク
13:40 – 13:55 予選A-1
13:55 – 14:10 予選A-2
14:20 – 14:35 予選B-1
14:35 – 14:50 予選B-2
15:00 – 15:15 予選C-1
15:15 – 15:30 予選C-2
15:40 – 16:00 予選D
・8/11 (日)決勝日
08:00 – 08:20 フリー走行
09:35 – 10:10 ピットウォーク
10:25 - コースイン
11:00 – 18:00 決勝(7時間)
18:15 - 暫定表彰式
◎併催レース
・NISSAN GT-R Prestige Cup シリーズ 第3戦
・ロードスター/86&BRZクラス シリーズ 第3戦
・86&BRZ チューニングカーレース 8Beat 第1戦
・GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race 2013 関東シリーズ 第3戦
記事:島村元子/ TEXT : Motoko SHIMAMURA