SUPER GT 2012 Round5
SUPER GT第5戦鈴鹿1000km、荒れたレースをNo.1 MOLA GT-Rが制する
8月19日、厳しい暑さが続く中、三重・鈴鹿サーキットにおいて、SUPER GT
第5戦「第41回インターナショナルPokka1000km」が行われ、2度にわたるセーフティカー導入の末、ポールポジションスタートのNo.1 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/R.クインタレッリ組)が勝利。荒れた展開の中でもブレない戦闘力を発揮した。
前日夜半から下り坂となり、しばし激しい雷雨に見舞われた鈴鹿界隈。朝8時からのフリー走行は、レインタイヤを装着するウェットコンディションでスタートが切られた。各チームは、路面が乾き始めるとスリックタイヤへとスイッチして走行。わずか30分ながら、セット変更を強いられるなど、慌ただしいセッションとなった。
幸い、午後12時30分からのレースは終始ドライコンディション。強い日差しに照らされて、1000km、173周先のチェッカーを目指すことになった。今回、ポールポジションからスタートを切った1号車GT-Rは、すぐさまスピードを武器に後続との差をぐんぐんと広げていく。盤石の態勢で周回を重ねるかと思われた1号車。しかしGT300との接触を気に緊急ピットイン、トップを明け渡してしまった。だが、レースは2時間を過ぎてセーフティカーが入るアクシデントが発生。これを味方に付けたのが1号車。レースが再開すると、トップを奪還し、再び2位を引き離した。
後半に入り、暑さを始めとする過酷な環境下に、レースアクシデントも続出。コースアウトや接触に留まらず、突然のタイヤバーストなど危険な状態も多く、まさにサバイバルレースへと変貌していった。それでもなお、力強くレースを牽引したのが1号車。最後のスティントを担当したクインタレッリ選手は、終盤になってファステストラップを連発する快走ぶり。他を寄せ付けぬ底地からを見せつけ、待望の今シーズン初優勝を果たすことになった。
トップチェッカーを受けた1号車は、ランキングでも2位へと浮上。それまで上位にいたライバルたちがリタイヤや僅かなポイント加算に留まる中、大きく飛躍した。
一方のGT300。こちらは、予選後の再車検で車両規定違反によるタイム抹消という悔しい思いをしたNo.66 triple a Vantage GT2(吉本大樹/星野一樹/吉田広樹組)が、とんでもない速さで完勝を果たした。
タイム抹消で最後尾スタートに甘んじた66号車。決勝はスタート直後から怒濤の走りを見せつける。周回のたびにポジションアップ。あっという間にクラス上位へと浮上し、有り余る力を存分に見せつけた。終盤には、なんとGT300車両全車をラップダウンするという快挙ぶり!前日の悔しさを結果で晴らすという、見事なリベンジぶりだった。
■第5戦鈴鹿1000km 決勝結果
・GT500
1.No. 1 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/R.クインタレッリ組)5:59’01.662 173Laps
2.No.35 KeePer Kraft SC430(国本雄資/A.カルダレッリ組)+15.076
3.No.24 D’station ADVAN GT-R(安田裕信/B.ビルドハイム組)+16.583
4.No.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/J-P.デ・オリベイラ組)+17.206
5.No.23 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/M.クルム組)+30.543
6.No.19 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/A.クート組)+31.549
・GT300
1.No.66 triple a Vantage GT2(吉本大樹/星野一樹組)5:59’30.406 160Laps
2.No.3 S Road NDDP GT-R(関口雄飛/千代勝正組)+53.633
3.No.88 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行組)+1Lap
Photo by カーチャンネル





伝統の鈴鹿1000km、No.1 MOLA GT-Rがポールポジション獲得!
薄曇りながら、気温、路面温度ともに真夏のサーキットで迎えた予選。まずは午前中に公式練習が2時間にわたって行われ、そのセッションで各チームとも入念なセットアップに取り組むこととなった。
午後の予選はノックアウト方式を採用。Q1、Q2、Q3と進むにつれ、徐々に出走台数が絞り込まれていくもの。レギュレーションの関係で、Q2のセッションで中古タイヤを装着するチームが多く、そこで思うようなアタックコンディションに恵まれず、タイムアップを伸ばすチームも少なくなかった。
そんな中、順調にタイムを伸ばしていたのが、ディフェンディングチャンピオンの1号車。強い日差しが照りつける中、安定した速さを見せてQ2、Q3とトップタイムを死守。待望の今シーズン初となるポールポジション獲得に成功した。
一方、GT300では朝の公式練習から速さを披露していたNo.66 triple a Vantage GT2(吉本大樹/星野一樹組)が予選でも力走。Q3でアタッカーを務めた星野がコースレコードを更新する快走を見せ、トップに浮上した。ところが、予選終了後の再車検で車両違反が判明。燃料タンクの容量の違いを指摘され、タイムを抹消されてしまった。これによってポールポジションの座は、No.16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中嶋大祐組)の手に。16号車は参戦わずか2戦目の、さらにハイブリッド初となるポール獲得を果たすこととなった。
明日の決勝は午後12時30分にスタートが切られ、173周・1000kmの戦いを繰り広げることになる。
■SUPER GT第5戦 予選結果
・GT500
1.No.1 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/R.クインタレッリ組) 1’51.554
2.No.39 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明組)1’51.875
3,No.6 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也組) 1’51.951
4,No.23 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/M.クルム組) 1’51.975
5,No.12 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/J-P.デ・オリベイラ組) 1’52.337
6.No.17 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大組)1’52.381
・GT300
1.No.16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中嶋大祐組)2’02.130
2.No.3 S Road NDDP GT-R(関口雄飛/千代勝正組)2’02.885
3.No.0 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也組)2’02.987
Photo by カーチャンネル

土曜日のピットウォークの様子

GT300クラスポールポジションをゲットした#16 MUGEN CR-Z GT

GT500クラスのポールポジションは、#1 S Road REITO MOLA GT-R

晴天の中、予選が行われた。
レースプレビュー・SUPER GT第5戦鈴鹿
SUPER GT最長の1000kmレース、4年ぶりの復活へ!
早いもので夏休みも大詰め。厳しい暑さが続くが、今週末はその暑さに負けないほどの“ホットな”戦いが三重・鈴鹿サーキットで繰り広げられる。8月18-19日に開催されるSUPER GT第5戦「International Pokka 1000km」は、伝統の一戦として知られるだけでなく、いつも思わぬドラマが待ち受けるレースでもある。後半戦の幕開けは、果たしてどのような戦いが繰り広げられるのだろうか?
今年の鈴鹿は、4年ぶりの1000kmレース
鈴鹿で開催される真夏の一戦として知られる「鈴鹿1000km」。なんと、今年で41回目の開催を迎えるという伝統の一戦でもあるのだが、実のところ近年は1000kmの長距離を確保できずにいた。さまざまな社会情勢の影響を受けていたためだ。2009年、アメリカから始まったリーマンショックを発端に、昨年の東日本大震災まで距離を700kmや500kmへと短縮。近年のマシンポテンシャルの向上とも相まって、通常のスプリントレースとさほど変わらぬ戦いを見せていた。しかし、今年は4年ぶりに1000kmレースが復活。もちろん、SUPER GTシリーズ戦での最長レースとなる。
ひと言で1000kmと聞いても、ピンとこない人も多いだろう。SUPER GTでは通常1レース250kmで開催することが多いことから、その約4倍のレースと考えればいいわけだが、1イベントで4レース分を戦うと思えば、どれほど過酷なレースになるか想像もつくのではないだろうか。
さらに、過酷な夏の暑さがドライバーの体力、集中力を奪っていくことも考えられる。このため、鈴鹿戦では第3ドライバーの登録も容認されており、主にルーキーがS-GTデビューのチャンスを掴むことが多い。一昨年はGTデビューのルーキーがポールポジションを獲得するというサプライズもあったが、果たして今年はキラ星のような活躍のチャンスがルーキーに訪れるのだろうか。
シリーズチャンピオンを意識したレースに
長丁場の戦いとはいえ、実力伯仲だけにレースは激戦必至。さらにシリーズ争いを考えると、この一戦は「絶対に」落としたくない、つまり上位フィニッシュがどのチームにとっても目標となる。厳しい条件下を戦う様子は、観客にとって迫力たっぷり、GTレースならではの醍醐味を存分に味わういいチャンスだが、戦う側はいつも以上にハードになる。ということで、レース結果にはボーナスポイントが与えられる。当然ながら後半戦に突入したシリーズ争いを考慮すれば、少しでもたくさんのポイントを獲得したい。とりわけ今シーズン、未勝利の実力チームなどはノドから手が出るほど欲しいのが、優勝ということになる。結果、火花が飛び散る激戦になることは避けられない。
その優勝争いだが、まずはGT-Rの初優勝に期待するファンも多いのではないだろうか。開幕から2戦連続でLEXUS SC430勢が勝利。第3戦セパンではホンダHSV-010 GTが完勝。そして、第4戦SUGOでは、再びSC430が優勝を果たしている。と書くと、GT-Rの存在が見えてこないが、さにあらず。確かに、優勝こそ果たしてはいないが、前回のSUGOでは不運とも言える同士打ちで戦線を離脱しただけで、その速さは直前の公式テストでも実証済み。搭載ウェイトではライバルより軽いため、この鈴鹿でのチャンスはライバルたちよりも多い。ここで大きく飛躍するのか、期待がかかる。
中でも、去年のディフェンディングチャンピオンのNo.1 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ組)は去年も夏の3連戦でグンと勢いづき、チャンピオンロードを突破した経緯がある。今年は前回のSUGOでようやく表彰台に上がった1号車。もはや狙うは優勝のみ、の強い思いで戦いへと挑むことだろう。決勝での距離が長いだけに、予選順位そのものが戦いに反映されることは少ないと思われるが、予選でのタイムアタックにも注目してほしい。
GT300も混戦必至!?
先日の公式テストは鈴鹿ではなく、静岡・富士スピードウェイにて実施された。GT300ではこのテストで好走を見せたNo.16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中嶋大祐組)の躍進に着目したい。今シーズンからレース参戦が始まったハイブリッド車としては、No.31 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀組)が先輩格だが、この31号車もレースごとに実力をつけてきており、まさに実績に基づいた力強いレース展開を披露している。前回のSUGOがデビューレースだった16号車は長距離レースならではの信頼性にやや不安要素は残るものの、テストでの安定感を尊重し、真夏の過酷な戦いをどう生き抜くのかが楽しみだ。
一方、昨年の常勝チームNo.0 GSR 初音ミクBMW(谷口信輝/片岡龍也組)だが、今年はなかなか思うような結果が残せず、苦戦中。しかし、燃費の良さ、巧みな戦略などを駆使し、試合巧者としての結果を残すことを目論む。それは、多くのFIA GT車両においても同様のことが言えるはず。富士のテストでは、No.911 エンドレスTAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝組)が驚異的な速さを見せたというだけに、GT500に負けじと劣らず、GT300でも激戦が繰り広げられることだろう。
伝統の1000kmレースは、お祭りモード満載!
これまでの1000kmは、ナイトランを含むものだった。レース終盤になるとクルマがライトオンされ、薄暮から完全に日が落ちると、まぶしいヘッドライト、そして高温に達したブレーキロータがオレンジ色の明かりを放つ幻想的なシーンを見ることができた。しかし、残念ながら今年はスタート時間が繰り上がり、12時30分に号砲を迎える。ナイトランの予定はないが、もうひとつの伝統は今回も実施される。それが大輪の花火だ。臨場感たっぷりのお祭りモードを体感することができる。
さまざまなドラマが待ち受ける鈴鹿1000km。スケジュールは以下のとおりだ。
主なスケジュール
・8月18日(土)
07:45 – 08:25 オープンピット
09:20 – 11:20 公式練習
09:20 – 11:00 : GT500 & GT300
11:00 – 11:10 : GT300
11:10 – 11:20 : GT500
12:50 – 13:40 ピットウォーク
14:00 – 15:35 ノックアウト予選
<Q1>
14:00 – 14:15 : GT300
14:15 – 14:30 : GT500
<Q2>
14:40 – 14:50 : GT300
14:50 – 15:00 : GT500
<Q3>
15:10 – 15:20 : GT300
15:25 – 15:35 : GT500
17:55 – 18:35 キッズウォーク
18:30 – 20:00 ポッカ1000km復活祭
・8月19日(日)
08:00 – 08:30 フリー走行
10:00 – 11:00 ピットウォーク
12:30 – 決勝 (173Laps)