SUPER GT 2025 Round3
12年ぶりのセパン戦、申し分のない戦略を味方にしたNo.37 Deloitte TOM’S GR Supraが今季初勝利達成
6月28日、マレーシアのセパンインターナショナルサーキットでSEPER GT第3戦「SUPER GT MALAYSIA FESTIVAL2025」の決勝レースが行なわれた。2013年以来となる復帰戦では、予選4番手スタートのNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)が見事な戦略を味方につけ、レース後半にトップを奪取。その後もペース良く走り切り、今シーズン初優勝を果たした。
今回の決勝は300kmでの戦い。しかし、亜熱帯地方の天候を加味して国内戦よりも遅い午後4時30分にスタートを切った。気温33度、路面温度42度のなかで55周の戦いが始まると、まずは前日の予選でポールポジションを手にしたNo.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)が順調にトップをキープしたまま周回を重ねていく。しかし、ペースが落ち始めたのを機に予選2番手のNo. 8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)が9周目に逆転に成功すると、そのままリードを広げて21周終わりにピットイン。ルーティン作業を済ませ、コースに復帰した。
8号車のピットインの前後で同じくドライバー交代するチームも多く、22周終了時点でピット作業を終えていないGT500クラス車両は残り5台。互いを牽制するようにピットインのタイミングを伺うなか、GT500車両で一番最後に作業を行なったのが37号車だった。37号車は32周終わりでピットインするも、前半スティントで相当な燃費走行をしていた模様。実に手際よく、また素早く作業を済ませてコースへ復帰。すると、アウトラップでもひと足先にピットインしていたライバルたちを押さえ切り、再びトップでレース復帰を果たした。
一方、比較的早めにピットインしていた8号車は、37号車のピットインをもって名実ともにトップへ躍り出ると予測されたが、実際には37号車に先行を許して2番手に。さらに、フレッシュなタイヤを装着する37号車との差は周回ごとに広がるばかり。逃げる37号車対して8号車も奮闘したが、逆転までには至らない。結果、37号車がチーム一丸で取り組んだ戦略を成功させてシーズン初優勝を達成。8号車は2位に甘んじたが、今シーズン初の表彰台に上がっている。続いてNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)が3番手でチェッカーを受けたが、レース中の攻防戦での他車への接触がペナルティの対象となり、タイムペナルティとしてレース結果に10秒が加算されることになり、6位にポジションを下げた。代わって3位に浮上したのは、No. 12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)。結果、12年ぶりのセパン戦の表彰台は、SUPER GTに参戦する3メーカーが仲良く表彰台を分けることとなった。
一方のGT300クラスは、予選でポールポジションを手にしたNo.18 UPGARAGE AMG GT3(小林崇志/野村勇斗)が好スタートを切るも、その背後から予選2番手のNo.52 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太)が果敢な攻めを披露し、オープニングラップでトップを奪ってみせる。
52号車は安定感ある速さを武器にクラストップを快走。だが、ルーティンのピット作業中、タイヤ交換でホイールナットが外れてコース上に転がるというミスが発生。これで築き上げたマージンが水泡に帰すことに。このタイムロスによって、再び18号車がクラストップを奪還した。その後も18号車の勢いは衰えることなくトップを死守。一方、ピット作業のハプニングで予定外の時間を要した52号車が、コース復帰を果たすと怒涛の追い上げ。レース序盤に築いた大量マージンにも助けられ、2番手で18号車の背中を追い続けた。これにより、終盤は再逆転の可能性も残しながらの激走となったが、惜しくも逆転までには至らず、18号車が逃げ切って今シーズン初優勝を遂げている。
なお18号車の小林は、前回のセパン戦(2013年)でも勝利しているため、12年越しの連勝を果たしたことに。また、コンビを組む野村は今シーズンからGT300に参戦するルーキー。参戦3戦目にして優勝を果たすこととなった。2位の52号車に続いたのはNo. 4 グッドスマイル 初音ミク AMG。今回はレギュラードライバー(谷口信輝、片岡龍也)がスパ・フランコルシャンでの24時間参戦のため欠場したが、ベテラン中山友貴とSUPER GT初参戦の奥本隼士がノーミスで戦い抜き、3位表彰台を手にする活躍を見せた。
海外戦を終えたSUPER GTは、再び日本へと戦いの舞台を移す。次戦第4戦は、今シーズン2回目の開催を迎える富士スピードウェイ。8月上旬の一戦は、土曜、日曜にそれぞれスプリント形式でのスプリントレースを行なう。初の試みとなるだけに、どのようなドラマが待ち受けるのか、期待したい。
第3戦セパン:決勝結果(各クラストップ3)
・GT500
1.No.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)1:48’01.698 55周
2.No. 8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)+19.046
3.No. 12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)+23.582
・GT300
1.No.18 UPGARAGE AMG GT3(小林崇志/野村勇斗)1:49’02.023 51周
2.No.52 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太)+0.933
3.No. 4 グッドスマイル 初音ミク AMG(中山友貴/奥本隼士)+34.298