SUPER GT 2025 Round4
第4戦富士、Race2はNo.14 ENEOS X PRIME GR Supram(GT500)とNo.777 D’station Vantage GT3(GT300)が各クラス勝者に!
8月3日、前日に続いて静岡・富士スピードウェイを舞台に繰り広げられたSUPER GT第4戦「FUJI GT SPRINT RACE」。2日目のRace2は、GT300クラス、GT500クラスがそれぞれ単独での決勝レースを行なった。
SUPER GTでひとりのドライバーによる決戦を公式戦として実施するのは今回が初。この新たな取り組みに、どのようなレース展開になるのか期待が膨らむなか、まずは午前8時30分から公式練習が行なわれた。このセッションのみ唯一GT300とGT500両クラスがコース上で走行したが、終盤には各クラスの専有走行が行なわれ、GT300クラスではNo.777 D’station Vantage GT3の藤井誠暢が、またGT500クラスはNo.1 au TOM’S GR Supraの山下健太がそれぞれトップタイムを刻んだ。
第4戦富士 予選
GT300クラスの予選は午前11時にスタート。20分間の一発勝負のセッションだが、アタックに向かうのは残り時間10分を切ってから。満を持したようにトップタイムをマークしたのは777号車で、1分36秒888と公式練習よりもタイムを縮めた。2番手には前日のRace1で予選5位から決勝2位と躍進したNo. 4 グッドスマイル 初音ミク AMG。この日は谷口信輝が、連日の表彰台を狙って好位置を手にした。そして3番手に続いたのは、Race1でクラスポールを手にしたNo. 2 HYPER WATER INGING GR86 GT。表彰台を逃した平良の分も、と堤優威が気を吐いた。
GT300クラス予選から10分後にスタートしたGT500クラス予選。 1号車を担当する山下はこの日が自身誕生日とあり、ポールポジションを狙ってアタックを開始する。順調にタイムを削って暫定トップに立っていたが、最終盤でこれを上回ったのがNo.14 ENEOS X PRIME GR Supraの福住仁嶺。Race1では大嶋和也がオープニングラップでクラッシュを喫してリタイヤに終わっていたため、そのリベンジを果たすようにトップタイムをマークし、ポールポジションを掴み取った。これにより、山下が2位に続き、3番手には前日と同じくNo.38 KeePer CERUMO GR Supra。この日ドライブを担当する石浦宏明はGT500からの引退表明後、初のSUPER GTレースであり、パドックではサインを求めるファンの姿が多く見られた。
■第4戦富士:Race2 予選結果(各クラストップ3)
・GT500
1.No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(福住仁嶺)1’27.477
2.No.1 au TOM’S GR Supra(山下健太)1’27.675
3.No.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明)1’27.938
・GT300
1.No.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢)1’36.888
2.No. 4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝)1’37.275
3.No. 2 HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威)1’37.300
第4戦富士 決勝
午後に入るとやや曇り空がにわかに広がり、午後2時15分からのGT300クラス決勝は、気温32度、路面温度42度のコンディション下で幕を開ける。今回は50分の時間レースのため、Race1よりやや少ない周回での戦いになることが予想された。
2周のフォーメーションラップを経て、レッドシグナルからグリーンシグナルへと変わり、レースがスタート。1コーナーでは先頭の777号車に続き2号車が浮上。4号車は3番手からの追い上げを目指した。2号車は777号車に喰らいつく形で周回を続けたが、4号車はじわじわとその差が広がり、中盤に入ると後方から勢いよくポジションを上げてきたNo.65 LEON PYRAMID AMGの菅波冬悟から猛追を受ける。
チェッカーまで残り15分が近づくなか、TGRコーナーでは4号車と65号車が激しい攻防戦を繰り広げたが、勝負は65号車に軍配が上がる。さらに4号車はチェッカーまで残り8分の時点でNo. 5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号の木村偉織にも先行を許すことになり、連続表彰台のチャンスを喪失した。
レースはトップ2台が終始等間隔で周回を続け、その背後から65号車が迫る形となったが、チェッカーが近づき優勝争いに加わるまでには至らなかった。結果、777号車が前日のRace1とのダブルウィンを達成。ランキング争いでも暫定2位に浮上した。一方、2位の2号車に続いた65号車もRace1に続き連日3位となり、ランキング暫定トップをキープしている。
GT300クラスのバトルレースからおよそ2時間弱。いよいよ2日間にわたって繰り広げられたスプリントレースの最後を飾るGT500クラスのRace2がスタートした。気温29度、路面温度38度、また上空は曇り空のコンディションとなり、レースウィーク中で一番涼しいなかでの戦いとなった。
2周のフォーメーションラップを経て、ポールポジションの14号車から1号車、さらに38号車とトップ3のポジションに変動はない。だが、その後方では装着するタイヤの特性からか、若干の順位の入れ替えが見られた。
逃げる14号車に対し、1号車も変わらぬペースで追い立てるが、開始から15分も過ぎるとトップ3台は、それぞれ等間隔でギャップが開く状態に。これに対し、その後方では要所要所で激しい鍔迫り合いが繰り広げられ、各ドライバーが”腕の見せどころ”とばかり攻防戦を披露した。
いつもはGT300クラスを利用しての逆転劇が見られるSUPER GTだが、今回はガチバトル。ゆえにヒートアップした各車は通常よりアグレッシブな走りになったのか、走路外走行となる車両も多く、これを注意する白黒旗やタイムペナルティの判定など、違った意味で”荒れた”レース展開となった。
トップ3が不動のポジションで周回を重ねるなか、4位に浮上してチェッカーを受けたのはNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraの関口雄飛。スタートから果敢な攻めでポジションを上げ、最後まで4位を守り切った形だ。そして5番手に続いたのは、No. 12 MARELLI IMPUL Zの平峰一貴。予選7番手から間隙を縫う形で着実にポジションアップを果たしてみせた。オーバーテイクでの接触でタイムペナルティを課されながらも5位を掴み取っている。一方、厳しいレースウィークになったのはホンダ勢。今回の最高位は、No.64 Modulo CIVIC TYPE R-GTの大草りきによる8番手だった。
富士の戦いをもってシーズン前半戦を終了したSUPER GT。今月末には第5戦鈴鹿となり、いよいよ後半戦へと突入する。残暑厳しい鈴鹿は、300kmの戦い。サクセスウェイトの影響も出るなか、どのようなドラマを見せるのか。
■第4戦富士:Race2 決勝結果(各クラストップ3)
・GT500
1.No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(福住仁嶺)50’22.936 34周
2.No.1 au TOM’S GR Supra(山下健太)+0.728
3.No.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明)+20.508
・GT300
1.No.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢)50’58.204 31周
2.No. 2 HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威)+1.271
3.No.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥)+3.160
第4戦富士、GT史上初のスプリントレースのRace1でNo.1 au TOM’S GR Supraが勝利!
決勝
8月3日、静岡・富士スピードウェイにおいてSUPER GT第4戦が開幕。今回、通常のレースフォーマットとは異なり、スプリントレースでの一戦となるなかで、まず初日のレースをNo.1 au TOM’S GR Supraの坪井翔が制した。
通常、SUPER GTはふたりのドライバーが1台のクルマをシェア。GT300、GT500両クラスが混走で300km、3時間などのセミ耐久の戦いを繰り広げる。しかし、今回は土曜、日曜日各日にスプリントレースを実施。初日はGT300とGT500両クラス混走で35周を競った。
これに先立ち、午前中に公式練習および公式予選を実施。レーススケジュールとしては通常と同じだが、予選はノックアウト方式ではなく計時方式を採用。出走台数の多いGT300クラスは20分、GT500クラスは10分間のタイムアタックを行なった。
GT500では、公式練習で1号車がトップタイムをマーク。現在暫定シリーズランキングトップの1号車にとっては、ノーウェイトでのレースだけにより有利なポジションからのレースが可能となった形だ。だが、予選ではミスが響きタイムロス。2番手に留まった。代わってポールポジションを手にしたのは、No.19 WedsSport ADVAN GR Supraの阪口晴南。前回のセパンに続いて速さをアピールする結果となった。
一方、GT300クラスでは、公式練習でNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラがトップタイムをマークしていたが、予選で気を吐いたのはNo. 2 HYPER WATER INGING GR86 GTの平良響。2号車、そして平良にとってシーズン初のポールポジションを獲得している。
■第4戦富士:予選結果(各クラストップ3)
・GT500
1.No.19 WedsSport ADVAN GR Supra(阪口晴南)1’28.167
2.No.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔)1’28.220
3.No.38 KeePer CERUMO GR Supra(大湯都史樹)1’28.456
・GT300
1.No. 2 HYPER WATER INGING GR86 GT(平良響)1’37.094
2.No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(山内英輝)1’37.314
3.No. 7 CARGUY Ferrari 296 GT3(小林利徠斗)1’37.341
決勝
お昼にかけて日差しが強まったサーキット。自ずと気温、路面温度も上昇し、午後3時15分に幕を開けたRace1は厳しい暑さの下で35周の戦いが始まった。
19号車がクリアスタートを切る一方、予選3番手No.38 KeePer CERUMO GR Supraの大湯都史樹が好スタートを決め、1号車に迫り逆転に成功する。だが、19号車に先を塞がれた形となり、再び1号車が先行。また、オープニングラップでNo.14 ENEOS X PRIME GR Supraの大嶋和也がクラッシュし、セーフティカーがコースイン。5周を終えてリスタートしたが、その後はスピードに勝る1号車が19号車を抜き去り、徐々に後続との差を開いていく。一方、38号車も2番手に浮上し、1号車を追ったが差を詰めるまでには至らなかった。
レースは終盤に入ると、1号車が3秒超の差をつけ周回。後方では激しい3位争いを繰り広げていたために38号車もまた単独で悔しい2位のチェッカーを受けている。1号車としては盤石のレース運びでの勝利だったが、予選アタックでミスをしてポールポジションを逃した坪井にとっては、悔しさの残る勝利となったようだ。そして終盤まで続いたNo.37 Deloitte TOM’S GR Supraの笹原右京とNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraのサッシャ・フェネストラズの3番手争いは、先に39号車がチェッカーを受けたものの、レース中に他車との接触があって5秒のタイムペナルティが課されたため、37号車が残る表彰台の一角を手にし、Supra勢が表彰台を独占する形となった。
GT300クラスは、クラスポールの2号車がリスタート後もトップを牽引。予選4番手スタートのNo.777 D’station Vantage GT3のチャーリー・ファグ、さらにNo. 6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIのロベルト・メリ・ムンタンらが激しい追い上げを見せていたが、6号車がSCリスタート時の追い越しでのペナルティを受けて後退。逃げる2号車を777号車が僅差で追い立てた。
やや薄曇りの空からポツポツと雨が落ち始めたのは、レース中盤を迎えた頃。路面が完全に濡れるまではいかなかったが、この影響を受けたかペースが落ちた2号車に777号車、さらには予選5位のNo. 4 グッドスマイル 初音ミク AMGの片岡龍也が急接近。1コーナーでのブレーキング競争の末に777号車がクラストップを奪取した。
ペースの良い777号車がリードを築き、今シーズン待望の初優勝を達成。これに4号車が続いたが、逆に2号車はポジションを守りきれず。その背後で様子を伺っていたNo.65 LEON PYRAMID AMGの蒲生尚弥が3番手を奪い、このままチェッカーを迎えた。
■第4戦富士:決勝結果(各クラストップ3)
・GT500
1.No.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔)57’40.012 35周
2.No.38 KeePer CERUMO GR Supra(大湯都史樹)+2.529
3.No.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京)+20.924
・GT300
1.No.777 D’station Vantage GT3(チャーリー・ファグ)59’06.170 33周
2.No. 4 グッドスマイル 初音ミク AMG(片岡龍也)+0.785
3.No.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥)+0.450
SUPER GT 第4戦富士プレビュー
第4戦富士、SUPER GT初のスプリントレース開催へ
およそ1ヶ月強のインターバルを経て今シーズン4戦目の戦いを迎えるSUPER GT。次なる舞台は静岡・富士スピードウェイ。今回はSUPER GT”らしからぬ”!? 特別フォーマットでの開催となる。いつもの戦いとはひと味もふた味も異なりそうな予感がする。
■SUPER GT史上初のレースフォーマット
シングルシーターで戦うフォーミュラレースと違い、SUPER GTは1台のクルマを2人のドライバーがコンビを組んで戦うスタイルであり、その距離は今シーズンの場合、300kmあるいは3時間でのセミ耐久レースとして開催されている。そのSUPER GTがこの第4戦でまったくことなるレースを実施するとあり、今年はシーズン当初から賛否両論の声がチームやドライバーからも多数聞かれた。果たして、今大会の「2025 AUTOBACS SUPER GT Round4 FUJI GT SPRINT RACE 夏休みスペシャル」はどのようなレースを行なうのだろうか。
通常、土曜日にノックアウト方式の予選を、そして日曜日には2選手によるドライバー交代や給油、さらにはタイヤ交換等を含むピット作業を絡めながら決勝レースを行なう。だが、今回は土曜日、日曜日にそれぞれ予選と決勝を実施する。土曜日の決勝では、GT300クラスとGT500クラスの混走レースとなるが、ドライブするのは1台につき1選手。当然ながら予選から決勝までひとりで戦う。決勝はピット作業を伴わない35周のレースとなり、スタートすればひたすらチェッカーを目指すわけだが、GT500クラスとしては、途中からバックマーカーとしてコース上に存在するGT300車両をうまくかき分けながらライバルとの戦いをすることになる。速さ、技術ともにアピールする戦いになりそうだ。
一方、日曜日は予選は土曜日と同じ形で進められるが、決勝はGT300、GT500それぞれ分けて実施される。つまり、今回は2日間で3度SUPER GTのレースを見ることができるという”お得”なイベントでもある。ちなみに、決勝はGT300、GT500両クラスとも各50分間(およそ25周)の時間レースとなる。
なお、予選フォーマットだが、これも通常のノックアウト方式ではなく計時方式を採用。GT300クラスは組分けなしで20分間、そしてGT500クラスは10分間でのアタック合戦に。タイミングを見計らい、一発勝負でのタイムアタックに注目したい。なお、ここで気になるのがサクセスウェイトではないだろうか。第3戦までの戦績によってチームによって課されるサクセスウェイトや燃料流量リストリクター(GT500クラス)、そしてサクセス給油リストリクター(GT300クラス)は今大会では適用されず、ノーウェイト状態で戦うことになる。まさに開幕戦同様の”ガチンコ勝負”がシーズン中盤の第4戦でも見られるというわけだ。
■第4戦ならではの見どころは
もちろん、シーズン途中でウェイトなしの戦いになるのは、SUPER GT史上初のこと。近年は相当のサクセスウェイトを搭載してもなおトップ争いを繰り広げる上位ランカーも珍しくないだけに、現時点で上位につける強豪チームにとっては、今大会のレースフォーマットが追い風になるやもしれない。
一方、夏本番での戦いのなか、難しいと言われるのがタイヤマネージメントだ。たとえば予選一発の速さは発揮できても、長丁場の戦いでは厳しい展開を強いられる可能性が高かったチームにとって、今回のスプリントレースでは、存分にポテンシャルを披露できるのではないだろうか。暑い中での短期決戦で強さを見せるのがどのチームになるのか、こちらも気になる。
GT300クラスでは、メインストレートが長く高速サーキットという富士の特性をうまく味方しやすいのは、FIA-GT3車両。だが、スプリントレースならではの強みをGTA-GT300車両等が活かせることになれば、レース展開にも変化が生まれるはず。
いずれにせよ、今大会はなにもかもが今までのSUPER GTのシリーズ戦としては行なわれなかった新たなフォーマットでの一戦となる。その歴史の目撃者として大いにレースを楽しんでもらいたい。
■主なスケジュール
FUJI GT SPRINT RACE 夏休みスペシャル
8月2日(土)
08:30〜09:00 公式練習(GT300+GT500)
09:00〜09:10 FCYテスト
09:10〜09:20 公式練習(GT300専有)
09:20〜09:30 公式練習(GT500専有)
09:40〜10:10 サーキットサファリ
11:40〜12:00 公式予選 GT300
12:10〜12:20 公式予選 GT500
12:40〜13:25 ピットウォーク
14:00〜15:10 スタート進行
15:10〜Race1 GT500>300混走 35周
8月3日(日)
08:30〜09:00 公式練習(GT300+GT500)
09:00〜09:10 FCYテスト
09:10〜09:20 公式練習(GT300専有)
09:20〜09:30 公式練習(GT500専有)
11:00〜11:20 公式予選 GT300
11:30〜11:40 公式予選 GT500
12:00〜12:45 ピットウォーク
13:10〜14:20 スタート進行
14:20〜Race2 GT300 50分
16:00〜17:10 スタート進行
17:10〜Race2 GT500 50分