SUPER GT 2025 Round1
シーズン初戦の岡山で、au TOM’S GR Supraが勝利!
4月13日、岡山国際サーキットで決勝レースが行なわれた「OKAYAMA GT 300km RACE」。前日と打って変わり雨模様の中で始まった戦いは、予選2位スタートのNo.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)が思い通りのレース展開を披露。強い戦いで昨年に続き、開幕戦ウィナーになった。
前日夜遅くから降り出した雨は翌日の決勝になっても残り、なかなか上がることはなかった。逆に時折雨脚が強まり、冷たく荒れた風が吹くなど不安定な天候に見舞われた。
レーススタートを前に行なわれる地元警察車両によるパレードランもキャンセルされるなか、午後1時10分に号砲。セーフティカースタートの形がとられ、5周目からいよいよレースが始まった。だが、早速に2コーナー先で多重クラッシュが発生。予選6番手スタートのNo.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)、その後方のNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)、そしてNo. 12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)の3台がほぼ戦わずして戦列を去った。
このアクシデントを受け、最初はFROが出動したがその3分後には赤旗が提示され、セッションが停止する。レース再開はそのおよそ30分後。雨は上がっていたが、気温は11度、路面温度は16度とかなり低く、路面のドライアップにも時間を要するようなコンディションだった。
再びセーフティカーによる先導でリスタート。11周目にレースが再開したが、狙いすましたように、2番手の1号車がトップ14号車をダブルヘアピンひとつ目で逆転。着実にマージンを築く走りを行なう。一方、レースは不安定なコンディションの影響か、単独スピンや接触が続き、荒れ模様に。午後2時10分にはコースアウトした車両を受けてセーフティカーランとなり、GT300クラス車両の送り出し作業等が行なわれた。これにより、各車が築き上げたマージンは消滅。4周後にレース再開となったが、その後はFCY(フルコースイエロー)の導入もあり、慌ただしい状況が延々と続いた。
33周目、3番手を入っていたNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)がピットイン。路面がまだドライアップしておらず、100号車はウェットタイヤを選択したが、ピット作業で思いの外時間を要してしまう。その後、トップ争いを続ける2台は、51周終わりに14号車がピットイン。するとこれを見届けたように1号車が翌周にピットへ戻ると14号車よりも早く作業を終わらせてコースに復帰。トップをキープしたまま、レース後半に向かった。
1号車による逃げ切りの展開になると思われる一方で、路面はドライアップが本格的に始まっており、今度はいつスリックタイヤへ交換するかが勝負のカギを握ることに。すると、最初のピットストップ同様に、またしても100号車が先陣を切ってピットに戻り、55周終わりでスリックタイヤへと交換した。しばし静観していたライバルたちも100号車のタイムアップを見て、ピットイン。トップを走る1号車もタイヤ交換から10周足らずでスリックへとチェンジした。結果、1号車は引き続きトップをキープ。2番手14号車とは20秒近くの大差がついており、まさに盤石のレース運びを見せつけていた。
そんななか、コース上の1台がスピンアウト。コース復帰を狙うなか、クルマから火の手が上がったため、レースは2度目のFCYが導入され、その後、SCランへと切り替わる。結果、1号車が築き上げた大量リードは水泡に帰すこととなり、レースは残り10周のスプリントレースでリスタートを迎える。
逃げる1号車を追い立てる14号車。ファステストラップを塗り替えてのバトルが距離の短い岡山のコース上で繰り広げられ、あちこちで激しい攻防が見られたが、1号車は巧みなコントロールで14号車をシャットアウト。最後の最後まで速さと強さをバランスよく見せつける走りでトップチェッカーを受け、昨シーズンに続いて岡山での連勝を達成。また、1号車として連覇のかかるなか、最高のスタートダッシュを決めている。
No.4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)を先頭にスタートが切られたGT300クラスもまた、多くの波乱が見られる展開となった。SC先導でレースが始まるも、多重クラッシュの影響で赤旗が提示されて一時中断。なお、この直前には、予選2番手のNo.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)がクラストップのNo. 4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)をかわしてトップを奪っている。
レース再開後、周回を重ねるなかで4号車が777号車に追いつき、再びトップを奪取に成功。だが、この際、2台は接触しており、777号車はグラベルに停止。よって、のちに4号車はドライブスルーペナルティが課された。この流れを受け、クラストップに経ったのは、No.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)。予選4位から安定感ある走りを続けると、レース後半へと向かうなか、2番手につけるNo.18 UPGARAGE AMG GT3(小林崇志/野村勇斗)に対し、9秒近い差をつけて周回を続けた。
その後はレース折り返しを過ぎたGT300クラスの43周目でピットイン。なんとタイヤ交換をせず、そのままウェットタイヤでの装着を継続させる。一方、それからほどなくしてペナルティで後退していた4号車がスリックタイヤを選択。路面が次第にドライアップしていくなか、スリックタイヤでタイムアップした18号車が65号車を逆転に成功する。結果、65号車は再度ピットインし、スリックタイヤを選択し、懸命の追い上げに入った。
レースはGT300クラスの64周を迎えるころ、FCYが導入されたのは、トラブルでコース上にストップしたGT500クラス車両が発生したため。追うようにSC導入へと変わり、結果として各車のギャップがほぼ消滅する。
結果、レース再開は残り10周でのスプリントレースになったが、逃げる18号車と猛追の65号車がサイド・バイ・サイドの末に接触。65号車はコースにとどまったが、18号車は押し出される形でポジションを下げてしまい、また、この行為に対しては、すぐさま65号車には5秒のタイムペナルティが発表された。
課されたペナルティを”ご破算”にして勝利するために、65号車はその後もペースを落とすことなく攻めの走りでレースを完走。そのままトップで走り切り、ペナルティ消化後も2位に続いたNo.26 ANESTS IWATA RC F GT3(イゴール・オオムラ・フラガ/安田裕信)に対し、9.7秒という大差をつけて、初戦のウィナーとなっている。
天候、レース内容ともに波乱の多い一戦となった岡山大会。シーズン第2戦は、舞台と富士スピードウェイへと移し、3時間レースで開催される。ゴールデンウィーク中の一戦も多くのドラマが待ち受けているのだろうか。
第1戦岡山:決勝結果(各クラストップ3)
・GT500
1.No.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)2H55’17.063 82Laps
2.No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)+2.859
3.No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)+12.368
・GT300
1.No.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)2H56’29.657 79Laps
2.No.26 ANESTS IWATA RC F GT3(イゴール・オオムラ・フラガ/安田裕信)+9.718
3.No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/平手晃平)+15.561