SUPER GT 2023 Round.6
SUPER GT第6戦SUGO プレビュー
タイトル争いを握る一戦。戦いの舞台はSUGOへ!
連日猛暑日が続いた8月からいくつか台風を経て、9月も中旬を迎える中、SUPER GT第6戦が9月16、17日に宮城・スポーツランドSUGOにおいて開催する。特徴のある”難コース”のSUGOでは、例年思いもしないドラマが待ち受けることもあり、まさしく筋書きのないレース展開になることが多い。シリーズタイトルを巡る戦いも佳境を迎える一戦は、緊迫の戦いになること必至だ。
■カギはサクセスウェイト
シーズン全8戦のおよそ”3分の2戦目”の戦いにあたる今大会。シーズン前半から順調に結果を出しているチームにとっては、シーズン最も重いサクセスウェイトが搭載される一戦となる。コースは1周4kmを切るため、国内のサーキットとしてはショートコースに属し、また、アップダウンに富む中高速コーナーが多いレイアウトとあって、度胸試し的な感じということもあり、難コースにチャレンジすることを望むドライバーも少なくない。
とはいえ、レース結果においてその”成果”の代償のように搭載されるのがサクセスウェイト。ウェイトである限り、うれしくないのはもちろんのことだが、ルールはルール。条件付きのクルマをどうドライブするか、レースをいかにマネージメントするかもドライバーとして、またチームとしては腕の見せどころとなる。サクセスウェイトもなんのその、チーム総合力で一矢報いる戦いをしてこそ、SUPER GTに挑む価値があると言っても過言ではないだろう。
現在、そのサクセスウェイトがわずか10kgにとどまっているのは、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平)。昨シーズンまでは、予選一発の速さに欠いいたが、今シーズンはその弱点を克服。ポールポジションを手にしている。だが、その一方で、結果を残せず苦しいシーズンを過ごしている。レース中のトラブルやアクシデント、さらにはコース上でハプニングに遭遇したりと、なぜかツキに恵まれない。ジグソーパズルに例えると、すべてのパーツが整い、あとは然るべき場所にはめ込むだけなのに、最後の最後になって、そのひとつが”行方不明”になってしまう……そんな感じのレースが続いている。予選での一発の速さ、決勝レースでの安定した速さが手に入った今シーズン、あとはレースでの強さがあと少しあれば、もう表彰台の真ん中に立てるはず。日産勢としてSUGOとの相性も悪くはないので、ライバルたちがサクセスウェイトを軽減させる次戦までに、このSUGOでシーズン最高の結果を残したいところだ。
24号車の他にも、前回の鈴鹿戦では予選で速さを見せたNo.8 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹)や、今シーズンでGTラストレースを宣言している立川祐路が石浦宏明とともにドライブするNo.38 ZENT CERUMO GR Supraの躍進にも注目したいところだ。
■タイトル争いの行方は?
第5戦を終えた時点で、ランキングトップはNo.3 No.3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)。サクセスウェイトは98kgとなる。次いでランキング2位はNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)で、90kgのウェイトを搭載する。このトップ2台の得点差はわずか4点。がっぷり四つの状態でタイトル争いを展開中だが、さすがに今大会は”凌ぐ”レースになりそう。ウェイトを下ろす代わりに燃料流量リストリクターが3段階絞られるため、高低差のあるSUGOではボディブローのように影響を受けるため、速さを追求するのは難しい。荒れ模様の展開になれば、着実に好機をものにして、ライバルを上回る結果を残すことが第一の目標になるだろう。
一方で、ランキング3番手につけるのは、No.16 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)。前回、待望の勝ち星を挙げ、一気にランキングも上昇した。これに4番手には前回の鈴鹿でシーズン初の表彰台に上がったNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)が続く。そして、14号車とはわずか1点差につけるのがNo.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)。この2台はチャンピオン経験者がドライブするだけに、終盤戦に向けて、勝負強さを発揮するには絶好のチャンスといえる。
■サクセスウェイトもなんのその、上位争いはいっそう過酷に!?
今シーズンのGT300では、序盤から安定した強さを見せて、好成績を残し続けるチームが多い。結果、サクセスウェイトが上限の100kgでSUGO戦を迎えるのが4チームとなる。波乱のレースをうまく味方につけて好成績を残す戦略で結果を残すチームもあり、まさに、GTレースならではのチャンピオン争いとなっている。
知見を生かしたレースの進め方は、いまやGT500に限ったことではない。逆にクルマの特徴を活かしたアプローチを完遂させることで、より強いレースをすることが可能になっているのだ。前回の鈴鹿で勝利したNo.18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)やNo.7 Studie BMW M4(荒聖治/ブルーノ・スペングラー)がそうであり、ワンチャンスを引き寄せる強さを持っている。これに真っ向から対抗するように地力を見せるのが、ランキングトップの18号車と2点差でランキング3位のNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/名取鉄平)。前回の鈴鹿はタイヤトラブルに泣いたが、シリーズ終盤は、2020、2022年のチャンピオンチームらしい戦い方で、上位ランカーのライバルに迫るに違いない。一方、ランキング5位につけるNo.2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)は、GTA-GT300車両の強みを活かすピット戦略でライバルとは異なる動きを見せることで、好結果を残してきた。シーズン途中でピットインに関する規定が若干変わったことで、序盤のような勢いは少し鳴りを潜めた感じはあるが、若手ドライバーコンビの勢いをフル活用し、チャンピオン争いに踏みとどまって欲しいものだ。このほか、サクセスウェイトが軽く、実力あるチームも粛々と逆襲の狼煙を上げようと”その時”を待っている。SUGO戦は、チームによって異なる条件を如何に克服するか。その戦いにもなることだろう。秋空が広がるSUGOの一戦は、いつも以上にドラマチックになるやもしれない。
主なスケジュール
SUGO GT 300km RACE
9月16日(土)
09:15〜10:40 公式練習(GT300+GT500)
10:40〜10:50 公式練習(GT300専有)
10:50〜11:00 公式練習(GT500専有)
11:10〜11:30 FCYテスト
11:45〜12:45 ピットウォーク
14:40〜14:50 公式予選Q1 GT300 A組
14:58〜15:08 公式予選Q1 GT300 B組
15:13〜15:23 公式予選Q1 GT500
15:33〜15:43 公式予選Q2 GT300
15:51〜16:01 公式予選Q2 GT500
16:30〜17:00 キッズウォーク
9月17日(日)
10:10〜11:10 ピットウォーク
11:30〜11:45 ドライバーアピアランス
12:00〜12:20 ウォームアップ
12:20〜13:30 スタート進行
13:30〜 決勝 300km RACE(84周)