SUPER GT 2023 Round.1 - イベント・レースレポート

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SUPER GT 2023 Round.1

2023年4月17日

大荒れの天候を凌ぎ切ったMOTUL AUTECH Zが優勝


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4月16日、2023 AUTOBACS SUPER GT開幕戦『OKAYAMA GT 300km RACE』の決勝レースが行なわれ、雨による激しいコースコンディションの変化で大荒れの展開となったが、ポールポジションスタートのNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が巧みな戦略と冷静なレース運びを武器にトップチェッカーを受け、シーズン最初の勝ち名乗りを挙げた。23号車にとっては、2021年8月に行なわれた第3戦鈴鹿以来の勝利となる。
 

午前中は青空が広がった岡山国際サーキット。徐々に雲が張り出し、スタート進行が進むにつれて鉛色の雲が広がるようになる。午後1時30分、岡山県警のパトカーによるパレードランが始まると、コース上にぽつりぽつりと雨が落ち始めた。
 

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フォーメーションラップを経てレースが始まると、ポールポジションからスタートした23号車が盤石の態勢でホールショットをキープ。一方で後続では激しいポジション争いが繰り広げられ、予選2番手のNo.3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)に続き、3番手には予選5番手のNo.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)が続いた。さらには予選8番手のNo.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)が大きくポジションを上げ、4番手につけると、3周目のバックストレートエンドで19号車を逆転し、その勢いで3号車を追走し始めた。
 

だが、次第に雨脚が強まりスタート時に装着していたスリックタイヤでの走行が難しいコンディションになったことから、トップを走る23号車が15周終わりでピットイン。ウエットタイヤへと交換した。これに8台の車両が続き、その翌周には3号車を猛追中の100号車そしてスタート直後からポジションを落としていたNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)の2台がピットインしたが、この直前にはGT300車両が1コーナーでコースアウトしたことで導入されていたFCY下でのピットインと判断され、のちにペナルティが課せられる。コース上はなおも2台のGT300車両にトラブルが発生。FCYからセーフティカーランへと切り替わり、また上空からはスコールを思わせるほどの強い雨が降り始めた。幸いにして雨量は短時間で激減、19周目にピットレーンがオープンすると、3号車、19号車の暫定トップ2台がピットに飛び込みウエットタイヤへと交換、また1号車も作業に取り掛かる。なお、このタイミングで3号車はタイヤ交換のみならず、ガソリン補給を敢行。ライバルとは異なる戦略を採った。20周終わりでNo.16 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)がピットイン。これを持って全車両がウエットタイヤでの走行に切り替わった。
 

レースが再開したのは23周目。雨も小康状態で青空が見え始める回復ぶりだったが、この時点でのトップは100号車。しかしながら、天候が回復し、路面が乾き始めた途端、逆にペースが落ち始めるクルマが続出。タイヤコンディションの差が如実に表面化する。28周目、トップ100号車は36号車に逆転を許すと、その後ガクンとペースダウン。後続2台にも先行されてしまう。
 

その後、トップ争いが激しくなったのは、36周目。36号車を23号車が激しく攻め立て、41周に入ったばかりのメインストレートから1コーナーで逆転、トップ奪取に成功する。その後は後続を引き離す力走を続け、46周目にピットイン。松田がスリックタイヤでコースに向かった。その後、レースは2回目のFCYが48周目に導入されたが、この間に再び天候が悪化。FCY解除直後にアトウッドカーブでGT300車両同士の接触、クラッシュが発生したことで、再びSCランになってしまう。そんな中、23号車はFCY解除直後にピットイン。スリックからウエットタイヤへと交換を済ませた。このタイミングでポジションを一時的に落とすことになる。一方、雨脚が強まり、合わせて近隣での落雷が認められたことを受けて、レースは午後3時15分に安全確保のため赤旗が提示され、55周走行中に一時中断となる。午後3時35分にSCランによってレースが再開、雨降る中で続々とタイヤ交換のために各車がピットへなだれ込んだが、この状況の中、ひと足先にウエットタイヤを装着していた23号車はピットインするライバルを横目にトップへ返り咲くことに成功した。逆に暫定トップにつけていた36号車はピットでのタイヤ交換時にミスが発生。左フロントタイヤが正しく装着されておらず、2コーナーアウト側にクルマを止めざるを得なかった。結果、3号車が再び2位に復活、3位にはレース序盤、モノコック交換によるペナルティストップを課せられ、後方に沈んでいたNo. 8 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹)が浮上する。
 

レースはその後、SCラン中にGT300車両にトラブルが発生。車両回収の作業に危険が伴うという判断から61周目には2回目の赤旗中断となる。レース継続中の車両はメインストレート上に留め置かれ、午後4時20分からSC先導で再開したものの、63周目に入った時点で3度目の赤旗が提示され、レースは中断。結果、これをもってレース終了の決定がなされた。
 

まさに波乱万丈の荒れた展開となったシーズン初戦。その中で冷静な戦略を完遂した23号車がポール・トゥ・ウィンを達成。今回の優勝によって、松田は自身が持つGT500での最多勝記録を24勝にした。また、2位に続いたのは3号車。これに8号車が3位に入り、日産ホンダが表彰台を分け合った。トヨタ勢トップは、昨年まで2年連続で岡山大会を勝利したNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)。4位でチェッカーを受けている。
 

GT300では、ピットインのタイミングや装着するタイヤによって状況が大きく変わるレース展開となった。その目まぐるしい変化を味方につけたのがNo.18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)だった。
 

レースはクラスポールスタートのNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)が安定の走りでレースを牽引。これに予選2番手のNo. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)と3番手のNo. 7 Studie BMW M4(荒聖治/ブルーノ・シュペングラー)が続いた。一方、中団グループは激しいポジション争いを繰り広げていたが、ほどなくして本格的に雨が降り始めると、ドライからウエットタイヤへと交換するため、ピットインする車両が出始めた。また、濡れた路面に足元をすくわれコースアウトする車両も続出。さらにマシントラブルでレースを離脱する車両も現れる。立て続けのトラブルを受けてコース上ではFCYが導入され、その後は天候悪化も加わり、SCランに切り替わるほどだった。
 

なおSCラン中にピット作業を行ない、ウエットタイヤへ交換したチームも多く、これにより順位も大きく変動。その中でNo. 9 PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG(阪口良平/リアン・ジャトン)やNo. 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)、さらにはNo.18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)がポジションアップを成功させた。
 

レースは22周目にリスタート。雨は降っていたが日差しが戻り、路面もこれに合わせて次第にドライアップする。これを受け、再びピットインし、ドライタイヤに戻すチームも見受けられたが、その中でも予選18番手スタートから4番手まで大きくジャンプアップしていた18号車が37周終わりのドライバー交代に合わせて敢行。翌周には、クラストップをキープしていた65号車も同様にルーティン作業でドライタイヤへの交換を行なった。
 

レースは午後3時を前に、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)がヘアピンでコースアウト。グラベルで動けなくなり、FCYの導入となる。このタイミングでまた雨が強くなったが、午後3時5分にはFCY解除に。だが、このタイミングで6番手争いを展開していた9号車とNo.88 JLOCランボルギーニGT3(小暮卓史/元嶋佑弥)がコースアウト。9号車はコースで動けなくなり、またもSCランに切り替わる。すると、午後3時15分には2度目の赤旗が提示され、レースが一時中断となった。これはサーキット近隣で落雷があったことを受けての安全確保のためだとした。
 

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その20分後にはSC先導によってレースが再開したが、降り続く雨の中、大半の車両が装着するドライタイヤでの走行は難しく、ほぼすべてのチームがピットインしてウエットタイヤへと交換する。コース上ではまだSCランが続く中、今度は2号車の左リアタイヤが脱落。車両回収の間にまたも天候急変、悪化に伴う赤旗が提示され、2度目の中断を迎える。レースは午後4時20分に再開を迎えたが、依然として強い雨が続いたため、午後4時25分には3度目となる赤旗が提示され、これをもってレースは終了することとなった。
 

結果、18号車が優勝を果たし、小林にとっては2018年以来の自身2勝目を挙げることに。チームとしては、NSX-GTでの初優勝となった。2位はクラスポールスタートだった65号車。3番手には予選12位スタートのNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞)。多くのGT300車両がタイヤ交換になだれ込むタイミングを逆手に取り、大きくジャンプアップ。21年第3戦鈴鹿以来の表彰台に上がった。
 

チーム総合力、そして装着したタイヤパフォーマンスが結果に大きく影響した今大会。コンディションによって目まぐるしく順位が変わることになった。第2戦富士は450kmの長丁場。ドライコンディションであれば、今回とは異なる展開になる可能性が高いだけに、期待が集まる。
 

第1戦岡山 決勝結果 各クラストップ3

GT500
1.No.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)2H44’47.342 61Laps
2.No. 3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)+1.496
3.No. 8 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹)+4.788
 

GT300
1.No.18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)2H45’26.030 59Laps
2.No.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)+3.592
3.No.244 HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞)+15.613
 

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2023年4月17日

’23年シーズン開幕!岡山のポールはMOTUL AUTECH Zに!


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4月15日、岡山国際サーキットにおいて2023年SUPER GT第1戦が開幕。春の不安定な天候によってウェットコンディションとなった予選は、雨量と装着タイヤが明暗を分ける結果になった。ポールポジションを手にしたのは、No.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)。ベテラン松田が自身2度目、13年ぶりにトップタイムを刻むパフォーマンスを披露した。
 

長らく続いた新型コロナウイルス感染拡大防止のガイドラインも撤廃され、ほぼ2019年シーズン同様のレースイベントとなった今大会。今シーズン最初の公式セッションから雨模様となったのは残念だったが、各車新たなカラーリングをまとい、来場したファンにお披露目するかのようにコースへと繰り出した。
 

午前9時10分に始まった公式練習では、GT300との混走時からコースアウトする車両が続出。そんな中、開始から30分ほど経った時点でNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)がモス”S”で雨の影響か。挙動を見出してコースアウト。タイヤバリアにヒットし、空中を回転しクラッシュする。幸い、ドライブしていた中山は大事なかったが、激しく破損した車両回収のためにセッションは赤旗となり、一時中断。再開後はさらに天候が悪化したため、午前10時34分に赤旗となり、そのままセッション終了となった。
 

なお、公式練習では存分な走行が確保できず、持ち込みタイヤの見極めはじめ予選に向けて十分な準備もできなかったことを受け、午後からのノックアウト予選は、各セッションとも時間が5分延長されることになった。
 

フルウェットコンディションの中、まずGT300・A組のQ1がスタート。午後2時の時点で気温は14度、路面温度は15度。タイヤのウォームアップに時間を要することから各車両が慌ただしくコースインしていく。だが、本格的なアタックラップを前に雨脚が強くなったため赤旗が提示され、このままセッションが終了する。その後、GT300・B組Q1を経て、午後2時53分にGT500クラスQ1がスタートする頃には、雨が一旦落ち着く。しかしながらやはりタイヤが温まるには時間が必要のため、各車しっかりとウォームアップに時間をかけてアタックモードへと突入した。チェッカーが振られるタイミングでトップに躍り出たのはダンロップユーザーのNo.64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/太田格之進)。しかし次々とこのタイムを更新するクルマが出て、最終的にQ1トップ通過を果たしたのは、ベテランのロニー・クインタレッリがドライブするNo.23 MOTUL AUTECH Zだった。
 

続くQ2も似通ったアタックコンディションとなる。できる限り条件のよい状態でのアタックを狙うドライバーたちは、他車とのポジション取りにも気を遣いながらコースインすることとなる。セッション折返しを前にトップに立った23号車の松田は、ラップを重ねるごとにタイムアップ。セッションが終わってみれば2番手のNo. 3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)に対して1.175秒という大差をつけてポールポジションを手にした。なお、松田にとっては、2010年第4戦セパン大会以来となる自身2度目の快挙に。結果、NISMOの2台がフロントローを独占、3番手にQ1から好調だった64号車が続き、4番手には過去2大会連続で岡山を制しているNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)がつけた。
 

GT300クラスでは、Q1・B組でトップを奪ったNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)が、Q2でも安定した速さを見せて、最速タイムをマーク。アタックを担当した蒲生が、自身4度目のポールポジション獲得を果たした。No. 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)、No. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)が続く結果となり、ブリヂストンユーザーがトップ3を独占している。
 

予選日の夜には一旦雨は上がったものの、決勝日の天気も不安定という予報があることから、決勝レースも再び波乱の展開になりそうだ。
 

第1戦岡山 予選結果 各クラストップ3

GT500
1.No.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)1’27.860
2.No. 3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)1’29.035
3.No.64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/太田格之進)1’29.347
 
GT300
1.No.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)1’36.038
2.No. 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)1’36.749
3.No. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)1’36.751
 

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2023年4月14日

SUPER GT第1戦岡山 プレビュー


23年シーズン号砲! 勢力図に変化は見られるか!?
 

桜の開花が例年以上に早く感じられた2023年の春。いよいよ待ちに待ったSUPER GTのシーズンが幕を開ける。戦いの舞台は”晴れの国”・岡山国際サーキット。不確定要素もまだ残る中、サクセスウェイトのない、イコールコンディションでのガチバトルは開幕戦ならではの面白みが満載となるだけに、見逃す手はない!
 

伝統あるチームが変わった!?

長年”カルソニックインパル”の名前で親しまれてきたTEAM IMPUL。昨シーズン、平峰一貴とベルトラン・バゲットのふたりによって悲願のシリーズチャンピオン、しかもNissan Z GT500のデビューイヤーにタイトルを掴み取ったことは、まだ記憶に新しい。今シーズンもこの”青いイナズマ”は健在だが、ファンにとっては新たな”変化”を受け止めなければならないシーズン初戦となるはずだ。
 

というのも、IMPULといえばカルソニック、そしてカーナンバーは12、というのがレースファンにしっかりと刻み込まれている認識。だがしかし、チャンピオンタイトルを手にした以上、12というナンバーは一旦脇に置き、今シーズンはディフェンディングチャンピオンの証として栄光のナンバー1をつけることになった。加えて、総監督の星野一義氏が現役ドライバーだった時代からスポンサードしてきたカルソニックが社名変更を行なったことから、車名もマレリへと変わった。これにより、今シーズンはNo.1 MARELLI IMPUL Zとして参戦を果たすことになる。長年親しんだ車名とゼッケンが変わってしまうのはさみしいものの、”新生”IMPULの活躍にはさらなる期待が集まるだけに、昨シーズン以上に楽しみをもって見守ることができそうだ。
 

各チームの顔ぶれは?

チャンピオンチームのIMPUL含め、4台体制の日産勢はドライバーのコンビも変わらず昨シーズンを踏襲する。デビューイヤーの昨シーズンは、全8戦で3勝をマーク。一発の速さだけでなく、レース中の強さも目立つ活躍だっただけに、さらに体制を強化して鉄板の布陣で戦いに臨んでくることだろう。中でも、日産のエースカーでありながら勝利に貢献できず苦汁をなめたNo.23 MOTUL AUTECH Z (松田次生/ロニー・クインタレッリ)は、虎視眈々と復活を狙っているはずだ。
 

一方、日産と同じくシーズン3勝を挙げたホンダ勢。しかしうち1勝は第2戦大荒れの富士でハーフポイントの勝利だっただけに、手放しでは喜べない内容だった。そのホンダは5チームのうち3チームでドライバーをシャッフルするなど編成を改めた。昨シーズンまで異なるチームだったARTAとTEAM MUGENがタッグを組み、ARTAとして2台体制を確立。ARTA MUGEN NSX-GTの8号車には野尻智紀と大湯都史樹、そして16号車に福住仁嶺と大津弘樹が収まることになった。大湯と大津は昨シーズンまでダンロップタイヤで開発を進めてきたドライバーで、ブリヂストンタイヤでのGT500は初挑戦となる。だが、速さあふれる若手ドライバーとしてのパフォーマンスで2台体制となったARTAに新風を巻き起こすことになりそうだ。また、ホンダ勢としては、NSX-GTラストイヤーとなるシーズンでもある。どのチームも是が非でもタイトルを手に、有終の美を飾ろうと意気込んでいることだろう。
 

そして6台体制と一番参戦台数が多いトヨタ勢は、TEAM TOM’Sでドライバー変更が行われた。昨シーズンまでSUPER GTに参戦していた再び海外でのレース参戦に拠点を移したサッシャ・フェネストラズが”卒業”。かわって、ホンダ勢として参戦してきた笹原右京がジュリアーノ・アレジとともにNo.37 Deloitte TOM’S GR Supraをドライブする。一方の36号車はau TOM’S GR Supraとして坪井翔と宮田莉朋が新コンビを結成。速さと勝負強さを併せ持つ両者がタッグを組んだことで、ライバルたちの警戒レベルも急上昇。前評判に恥じない戦いを見せてくれるに違いない。一方、No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)は2021、22年と連続で開幕戦の岡山を勝利している。昨シーズンは最後までタイトル争いに残ることができなかった悔しさを晴らすシーズンにしようと意気込む。山下は、1週間前に富士スピードウェイで開幕したスーパーフォーミュラで3年ぶりの表彰台へと上がっただけに、この上昇気流を活かすパフォーマンスを見せてくれることだろう。
 

新シーズンは新燃料で幕開け

昨シーズンの最終戦を終えてすぐに始まったのが、新燃料を使用しての走行テスト。今シーズンからGT500クラスでは全15台にカーボンニュートラルフューエル(CNF)である「GTA R100」が供給される。エンジン本体は昨シーズンと同じものであるため、各メーカーはテストを重ねてCNFへ適応できるよう調整を続けてきた。燃費などまだまだ未知数な部分もあるが、戦いを重ねて行く中で”これからのGTレースの在り方”が次第に確立されていくい違いない。
 

百花繚乱のGT300。安定感がカギに!?

GT500では開幕戦からCNF導入が始まる一方で、GT300においては導入延期が開幕戦を前に発表されている。もともとGT500と違い、豊富な車種、エンジン型式であるために、新燃料への対応には時間がどうしてもかかってしまう。エンジンへの負荷が心配されることもあって、導入は第3戦の鈴鹿からを予定している。
 

その中で開幕戦を制するのはどのチームになるのか。昨シーズンは劇的な結末によってクラスチャンピオンの奪還に成功したNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R。今シーズンは、ベテランのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラとルーキーの名取鉄平による新コンビで挑むことになる。フルシーズン参戦のチャンスを手にした名取は伸び代が未知数とはいえ、大先輩の”JP”に引っ張られる形で”大化け”しそう。クルマ、チーム、タイヤとすべてのポイントにおいて進化から深化に向かうチームにとって、新チャレンジで新たな風が吹きそうな感じではないだろうか。この他、日本人コンビとして最強なのはNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)。ポールポジションを量産した昨シーズンだったが、優勝回数含め、あと一歩でトラブルに泣くレースもあり、消化不良のシーズンになってしまった。今年はそのリベンジになるはずだ。ただ、事前の岡山での公式テストで車両をクラッシュさせているため、開幕戦ではどこまで帳尻をあわせてくるか。こちらも気になるところだ。このほか、LEXUS LC500hをベースとした新型車両もお目見えする。”黒船”軍団と国産車両との戦いも健在。今シーズンもタイヤ競争とともに条件が異なる中でのバトルで盛り上がることだろう。
 

主なスケジュール

OKAYAMA GT 300km RACE

4月15日(土)
09:10〜10:35 公式練習(GT300+GT500)
10:35〜10:45 公式練習(GT300専有)
10:45〜10:55 公式練習(GT500専有)
12:30〜13:30 ピットウォーク
14:00〜14:10 公式予選Q1 GT300 A組
14:18〜14:28 公式予選Q1 GT300 B組
14:33〜14:43 公式予選Q1 GT500
14:53〜15:03 公式予選Q2 GT300
15:11〜15:21 公式予選Q2 GT500
17:00〜17:50 キッズウォーク
 

4月16日(日)
09:50〜10:50 ピットウォーク
10:50〜11:15 ドライバーアピアランス
11:30〜11:45 オープニングセレモニー
12:00〜12:20 ウォームアップ
12:20〜13:30 スタート進行
13:30〜     決勝 300km RACE(82周)





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