SUPER GT 2023 Round.5
SUPER GT第5戦鈴鹿 プレビュー
シーズン後半戦がスタート! 勢力図に動きが出るか!?
8月上旬に行われた第4戦富士。不安定な天気でレース中のタイヤ選択、ピットインのタイミングなどによって結果に一喜一憂することとなった。いよいよ今週末に迎える第5戦鈴鹿は、シーズン3度目の450kmレース、しかも灼熱の暑さが待ち受ける。後半戦の幕開けとなる今大会ではどのようなドラマを繰り広げるのか。今シーズンはさまざまな展開を見せることが多いだけに、今回も見どころが多いはずだ。
シーズン一番の”アツい”戦いに!?
前回の富士大会で前半戦を終えた今シーズンのSUPER GT。8月最後、夏休み最後の週末の鈴鹿戦からシーズン後半戦へと突入する。この夏は厳しい暑さが続く一方、レース距離はすっかり”お馴染み”となった450km。前大会の富士より、また第3戦鈴鹿よりも当然のことながら、灼熱の暑さを覚悟しなければならない。その中で、これまで4戦を戦い、ランキング上位各車には、サクセスウェイトという名のウェイトハンデが重くのしかかっている。本来のパフォーマンスを見せたくとも見せられず、加えてタフな暑さが襲いかかるコンディションをどう凌ぐか。極端な表現を許してもらえるのであれば、”無事これ名馬”のように、粛々と無難にレースを”消化”することで、今後の戦いを優位に進めようという考えもあって当然だ。”アツい”思いはあっても、レースは努めてクールに……。そういう戦いになるやもしれない。一方、上位各車が”無難な戦い”に特化するのであれば、これをチャンスに! と意気込むのがサクセスウェイトの軽いチームであるのは言うまでもない。勝てそうで勝てない、あるいは、あともう一歩で上位ランキングに食い込むチャンスを持つチームとしては、是が非でも好成績を残したい。鈴鹿ではそれぞれの思いが真正面からぶつかる戦いになりそうだ。
鈴鹿との相性が良いと言われるのは、日産勢。前回の鈴鹿、第3戦でその連勝記録は途絶えてしまったが、レース中のパフォーマンスを見る限り、今大会でも強さ、速さを遺憾なく発揮してくるはず。前回の鈴鹿では、No.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)がレース終盤に大きなクラッシュを喫し、ドライバーの松田は、第4戦富士に向けてタフなリハビリを要したが、地元である鈴鹿で迎える一戦だけに、ファンの応援を力に換えて激走を誓っていることだろう。一方、第4戦富士で圧巻のパフォーマンスを見せたのが、No.3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)。目まぐるしく変化する天候と路面を味方につけて、申し分のない戦いをやってのけた。実のところ、前回の鈴鹿で一度は暫定表彰台の真ん中に立ったのは、この3号車。赤旗中断からのレース終了という予測不可能な結果により、その後、ピットイン義務の未消化というペナルティによって結果が覆ることになったが、相性の良さを武器にどのような走りをしてくるのか。ただし、3号車における現在のサクセスウェイトは、リミット(100kg)目前の98kg。”燃リス”と呼ばれる燃料流量リストリクターの口径が通常よりも3段階ダウンした小径タイプのものを装着しなければならない。これに合わせて実際の搭載ウェイトは48kgへと軽減されるが、パワーダウンが必至となるポテンシャルでどのようなアプローチをするのか。ここはチームとしての総合力に注目したい。そして、結果が欲しくて欲しくてたまらない……その思いが大きくなり過ぎているとも言えるのが、前回の鈴鹿で”幻のポールポジション”に泣いたNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平)。今シーズンは、これまでの”ウィークポイント”だった予選での一発が格段に向上。加えて決勝での安定感で表彰台、優勝の可能性も大いにあると言われ続けてきたが、実際は、レース中のもらい事故や車両トラブルなど、悔しすぎる要素があまりにも多すぎた。前回の富士では、鈴鹿の悔しさを跳ね除ける”正真正銘”のポールポジションを獲得、残すは優勝のみ! と意気込んだが、決勝当日の天候とタイヤとの相性があまりにも悪く、存分に力を発揮せぬまま戦いを終えている。車種こそ違えど、前回の鈴鹿では、24号車と同じヨコハマタイヤを履くNo.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)が予選2位から優勝を達成。同じアドバン勢として条件がバッチリ合えば、表彰台はもちろんのこと、悲願の優勝が手に入るやも知れない。
鈴鹿との相性の良さで言えば、トヨタ勢、GR Supraの存在も忘れてはならない。これまでは日産勢に押され気味ではあったが、前回の鈴鹿で19号車に続いて2位チェッカーを受けたのは、No.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)。ともに予選から好調をアピールし、そつなくレースを戦い、好成績を収めた。現在の36号車はサクセスウェイトが88kg、3号車と同様に”3リスダウン”が適用され、実搭載は35kgとなっており、やはり優勝、表彰台は厳しいものの、確実に入賞してポイント加算、というプランを進めてくるはずだ。一方、実力あるチームの反撃にも注目したい。例年、チャンピオン争いに加わるNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)、さらにはNo.38 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)も注目株だ。GT現役ドライバーとして最多勝を誇る立川は、先日引退を表明したばかり。2016年の鈴鹿1000kmでは、同じトヨタ勢で熾烈な大接近戦を繰り広げ、またレース終盤になって一時急激な雨となり、最後の最後まで結果が読めないほどの波乱に富んだ戦いを制しているだけに、今回も、コンビを組む石浦とドラマチックなパフォーマンスを見せるべく、意気揚々とこの戦いに臨むのではないだろうか。
そして、日産、トヨタの躍進に待ったをかけるのが、ホンダ勢。ランキング3番手につけるのは、No.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)だが、安定感が特筆すべきNo.17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)は、軽いウェイトを武器に上位を狙ってくる勢い。さらに、1週間前のスーパーフォーミュラ第7戦でポール・トゥ・ウィンを達成した野尻智紀と、今シーズン3位初表彰台に上がった大湯都史樹がコンビを組むNo.8 ARTA MUGEN NSX-GT の”上り調子”からも目が離せない。シーズン前半で”いいところ”がなかったチームとドライバーの逆襲に注目してほしい。
GT300クラスは、前大会のリベンジ戦に!?
第4戦富士で強さと速さをバランス良く見せていたNo.4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)。不安定な天候をも跳ね除ける勢いで優勝まっしぐらだったが、思わぬミスでノーポイントに。ベテランふたりの力走に”アツく”なったファンの声が、悲鳴に変わったことは、まだ記憶に新しい。4号車は、昨年の第5戦鈴鹿を制しているだけに、富士でのリベンジとしてきちんと帳尻を合わせるような戦い方をしかけてくることだろう。また、同じようにこの鈴鹿で結果を残したいのが、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)。速さはあるものの、決勝での結果になかなか繋がらないのが今シーズンの61号車。どう立て直しを図り、後半戦でポイントを計上していくのか。チーム力が問われそうだ。
一方、ポイント争いでは、前回の富士を制したNo.7 Studie BMW M4(荒聖治/柳田真孝:鈴鹿戦ではブルーノ・スペングラーが参戦)に、ディフェンディングチャンピオンのNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/名取鉄平)が続くも、ともに100kgを超えるサクセスウェイトとなっており、今大会はガマンの一戦になりそう。いずれにせよ、上位2台に加え、今シーズンはレース序盤のピットインを武器に、好成績を残してきたNo.2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規)とNo.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)などは、”凌ぐ”戦いで、少しでもポイント加算を狙ってくるはずだ。
後半戦のスタートにあたる鈴鹿で波に乗り、秋のSUGO、オートポリス戦へと向かう各チーム。様々な試練を乗り越え、表彰台の真ん中で笑顔を見せるのは、果たしてどのチームになるだろうか?
主なスケジュール
SUZUKA GT 450km RACE
8月26日(土)
09:15〜10:40 公式練習(GT300+GT500)
10:40〜10:50 公式練習(GT300専有)
10:50〜11:00 公式練習(GT500専有)
11:10〜11:25 サーキットサファリ
11:25〜11:40 FCYテスト
12:00〜12:45 ピットウォーク
15:10〜15:20 公式予選Q1 GT300 A組
15:28〜15:38 公式予選Q1 GT300 B組
15:43〜15:53 公式予選Q1 GT500
16:03〜16:13 公式予選Q2 GT300
16:21〜16:31 公式予選Q2 GT500
17:55〜18:25 キッズウォーク
8月27日(日)
11:35〜11:50 ドライバーアピアランス
12:00〜12:45 ピットウォーク
13:15〜13:35 ウォームアップ
13:35〜スタート進行
14:45〜決勝 450km RACE(77周)