SUPER GT 2023 Round.3
SUPER GT第3戦鈴鹿 プレビュー
450kmの鈴鹿戦、シーズン序盤を締めくくる一戦に
全8戦で開催されるSUPER GT。今シーズンはうち5大会が450kmレースでの戦いとなる。すでに前回の第2戦富士で最初の450kmレースが行なわれたが、今大会の鈴鹿も450kmの一戦。本格的な夏を前にした季節だが、天候によっては難しい戦略、知略を活用することが求められる戦いになりそうだ。
鈴鹿を得意とする日産勢が”来る”!?
近年、鈴鹿をもっとも得意とするメーカーはどこか? それは日産。2020年第3戦と第6戦、さらに2021年第3戦でワークスチームである23号車のGT-Rが鈴鹿3連勝を果たし、Nissan Z GT500が新たに投入された昨シーズンでも第3戦で3号車、第5戦で12号車の日産系チームが勝利。つまり、2020年以降は負けなしの状態が続いている。GT-RでもZであっても、鈴鹿との相性は問題ないようだ。当然ながら、今シーズンも2大会ある鈴鹿での戦いで連勝を狙っているのは言うまでもない。
一方で、気になるのがクルマのパフォーマンスをいかに引き出せるか、各車における”現状のコンディション”であろう。No.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は、開幕戦の岡山で勝利。No.3 Niterra MOTUL Z:千代勝正/高星明誠)も2位に続き、現在ランキングで1−2番手につける。つまり、最重量とその次に重いウェイトを搭載するチームに該当するため、正直レースでの優勝の実現は、相当ハードルが高い。もちろん、チェッカーを受けるまでどのようなドラマが待ち受けるかわからないのがレースだが、順当にレースが進んだ場合は、ライバルの台頭を許すことになると考えられる。
そこで白羽の矢が立つ車両が2台。今シーズン、いいパフォーマンスを見せながらもミスやアクシデントで結果を残せていないNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平)、そして”なぜか”速さに精彩を欠いて苦しむディフェンディングチャンピオンのNo.1 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)にとっては、悪い流れを断ち切る絶好のチャンスになるはず。シーズン序盤最後の一戦は、彼ら2チームにとってはいつになく重要なレースウィークになることだろう。
サマーブレイクを前にした一戦
第3戦鈴鹿でシーズン序盤が終わると、第4戦開催まで与えられた時間はおよそ2ヶ月。SUPER GTにおけるサマーブレイクと言えよう。開幕戦以降、慌ただしくレースに挑み、都度データ解析とレース戦略の準備に明け暮れたチームにとっては、ようやくひと息つける時間が巡ってくる。とはいえ、文字通りの”お休み”ではなく、この先じっくりとシーズン中盤戦以降をどう戦っていくか、様々な角度から検証を進め、次なる準備に取り組む時間に充てることができるという意味での”ブレイク”になる。そのためにも、この鈴鹿で納得いく結果を残し、次の準備へと駒を進めることが理想だけに、是が非でも好成績を狙うチームが多いはずだ。開幕以降、あと一歩で優勝もしくは表彰台を逃しているチームは尚更だろう。
中でもリベンジのような気持ちで鈴鹿に挑むのは、ホンダ勢ではないだろうか。No.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)は第2戦でポールポジションを手にしたが、レースではコース上のアクシデント発生時にピットインを選択したことで、当初の戦略を変更せざるを得ない状況となり、最終的には2位に甘んじた。勝てるチャンスが手からこぼれ落ちた悔しさをバネに鈴鹿では”忘れ物”を取りに来るはずだ。加えて、No.17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)も同じく今シーズン初優勝を狙う一台。着実にステップアップを果たしているが、昨年の鈴鹿戦は2戦とも2位となっているだけに、より鈴鹿との相性も良さそうだ。果たして、ホンダ勢で最初に勝ち名乗りを上げることができるだろうか。見どころのひとつと言えよう。
日産勢、ホンダ勢だけでなく、もちろんトヨタ勢も黙ってはいない。若干鈴鹿には苦手意識はあるものの、昨シーズンの鈴鹿戦では、2回ともトヨタ勢が3位入賞を果たしている。サクセスウェイト等諸条件でより優位なポジションに立つチームが台頭してくることだろう。
GT300クラス、FIA GT3が強さをアピールするか?
昨シーズンの鈴鹿では、FIA-GT3車両がそれぞれの戦いで勝利したが、今年もその流れは変わらないと思われる。SUPER GTドライバーとしてのキャリアが抱負で、かつチームも巧みな戦略で攻め入る。チームやドライバーの実力に加え、レースの展開をも味方にして組み立てる知略が強い味方となりそうだ。一方、マザーシャシー含め、GT300規定車両の躍進も見逃せない。展開次第でしっかり上位に食い込む実力派が多いため、目が離せない。
なお、この鈴鹿大会から導入予定だった新燃料だが、5月上旬の専有テストを経て、鈴鹿での使用が見送られた。ハルターマン・カーレス社製のカーボンニュートラルフューエル『GTA R100』だが、まだ一部の車両において導入のリスクが見られるようだ。すでにGT500クラスでは問題なく使用されているだけに、今後、GTAがどのように対応していくのかも気になるが、この先のシリーズ戦を見据えて着実にアプローチしていくことになるだろう。
残念ながら!? 5月29日の時点で、気象台から九州北部、四国、中国、近畿さらに東海地方が梅雨入りしたと見られるという発表があった。これは、各地で平年より1週間ほど早く、昨年比では2週間前後早い梅雨入りになるという。なかでも近畿、東海地方が5月中に梅雨入りするのは10年ぶりとのこと。現時点の週間天気予報でも鈴鹿サーキット周辺の天候はあまり良くない模様。初夏を感じさせる日差しはもとより、どの程度の雨が降るのか。新しい規定に基づくウェットタイヤの使用本数のことも気になりつつ、どのようなドラマが待ち受けるのか。しっかりと見届けたい。
主なスケジュール
SUZUKA GT 450km RACE
6月3日(土)
09:10〜10:35 公式練習(GT300+GT500)
10:35〜10:45 公式練習(GT300専有)
10:45〜10:55 公式練習(GT500専有)
11:05〜11:25 FCYテスト
11:35〜11:50 サーキットサファリ
12:45〜13:30 ピットウォーク
15:05〜15:15 公式予選Q1 GT300 A組
15:23〜15:33 公式予選Q1 GT300 B組
15:38〜15:48 公式予選Q1 GT500
15:58〜16:08 公式予選Q2 GT300
16:16〜16:26 公式予選Q2 GT500
17:50〜18:20 キッズウォーク
6月4日(日)
10:20〜10:35 ドライバーアピアランス
10:45〜11:30 ピットウォーク
12:00〜12:20 ウォームアップ
12:20〜13:30 スタート進行
13:30〜 決勝 450km RACE(77周)