SUPER FORMULA 2023 Round.9
SUPER FORMULA 最終大会鈴鹿 プレビュー
シーズンラストの戦い、チャンピオンは誰の手に!?
早いもので、2023年の全日本スーパーフォーミュラ選手権が、今週末の10月28、29日に最終大会を迎える。三重・鈴鹿サーキットを舞台に開催されるのは、第8、第9戦の2戦。1日に予選と決勝を行なう”ワンデーレース”が連日繰り広げられる。シーズン2回目の2日間にわたるワンデーレース、しかもタイトル争い、またシーズン最後の集大成ともなれば、どのドライバー、チームにとっても”落とせない”戦いになる。果たしてどのようなドラマが待ち受けるのか。
タイトルを巡る争いは、ルーキー、成長株、そして第一人者の3選手
第7戦を終えて、ポイントランキングトップに立つのは、No.37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)。今シーズンここまで2勝をマーク、また”表彰台率”も高く、安定感が光る。確実に速さと強さをまとめ上げた戦いが形を成し、気がつけばチャンピオンタイトルにランキングトップとして王手をかけるまでになった。現在、スーパーフォーミュラとともに参戦中のSUPER GTでも、最終戦を前にしてランキングはトップ。両カテゴリーにおけるダブルタイトルの可能性がある唯一のドライバーだけに、鈴鹿での戦いはなんとしても勝たなければならない。来シーズンは海外レースへのフル参戦も視野に入っており、そろそろ正式なアナウンスがあるのでは、という噂も絶えないだけに、理想的な形でシーズンを終えて来年以降の活躍に弾みをつけたいところだろう。
ランキング2番手につけるのは、No.15 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)。トップ宮田とのポイント差は8点となる。優勝の回数こそ宮田より1回多い3回だが、ポイントを落としたレースがあり、そこで宮田に差を広げられることになった。シーズンが進むにつれ、尻上がりに好成績を残している宮田に対し、ローソンは浮き沈みが大きく、その結果が今のポイント差に直結していると言っても良いだろう。特に、前回のもてぎでは予選3番手につけながらも決勝ではノーポイントという”イタい”戦いとなってしまった。伸びしろたっぷりのルーキーには違いないが、当の本人は日本のレースに留まっているつもりはない。優勝して再び欧米へ舞い戻るためにも今大会での勝利は”必要不可欠”となる。
そして、ランキング3番手から、シリーズ3連覇に向けて大きく巻き返しを図ってきたのがNo. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)。これまで圧倒的な速さと強さを遺憾なく発揮し、バランス良く戦いを進めてシリーズ2連覇を達成し、”第一人者”となった野尻。今シーズンは、チームメイトとしてローソンが加入。速くて勢いのある若手ドライバーからの刺激を十分に受けつつ、開幕・富士大会での2レースでは2戦連続でポールポジションを獲得、レースでは2位と優勝という結果を残し、最善のスタートを切った。だが、第3戦鈴鹿では、SUPER GTで今シーズンからコンビを組むNo.53 大湯都史樹(TGM Grand Prix)とレース中に接触し、リタイヤ。さらに、第4戦オートポリスはサーキット入りしてから肺気胸を発症し、まさかの欠場という波乱に見舞われた。しかし、およそ1ヶ月後の第5戦SUGOでは、予選3位からの2位表彰台を獲得し、存在感を示す。また、前戦第7戦のもてぎでは、ポール・トゥ・ウィンを披露。完全なる復活劇にさすがのライバルも舌を巻いたに違いない。レースの流れを引き寄せる勝負強さを味方に、気がつけばランキングでも3位まで上昇。トップ宮田とのポイント差は10点だけに、第8、第9戦の2戦で十分逆転する可能性も高い。幾度となく緊迫のタイトル争いを乗り越えてきた者としての強みを、今大会でも披露してくれそうだ。
”ワンデーレース”をどう戦うか、が焦点に
今大会は、開幕の富士大会以来となる、2レース制。土曜、日曜にそれぞれ予選と決勝を行なうことから、金曜日には専有走行が実施される。とはいえ、与えられた時間は午後2時から1時間30分のみ。それぞれ土曜日は午前9時30分、さらに日曜日は午前8時50分という早い時間に予選が実施されるため、おそらく気温や路面温度は、金曜の専有走行時と似て似つかぬシチュエーションではないだろうか。10月も下旬を迎え、朝晩の寒暖差がはっきりと現れるようになっているだけに、当日の予選では、専有走行での予選シミュレーションをどう合わせ込むのか。そのあたりはクルマを仕上げるエンジニアの采配による部分も大きいだろう。あとはドライバーが自身の腕でどこまでアジャストするか。シングルシーターの戦いとはいえ、チーム一丸の壮絶な戦いになることは違いない。とりわけ毎回、大接戦となるQ1からQ2にかけての”ノックアウト”は、よりいっそう白熱したものとなるはずだ。また、タイトル獲得の可能性がある3選手にとっては、予選トップ3に与えられる3−2−1点も大事となるだけに、1周のアタックに賭ける各選手の熱い走りに注目したい。
最終戦第9戦は”JAFグランプリ”のタイトルが懸かる一戦に
土曜日の第8戦を経て迎えるシーズンのラストレース第9戦は、JAGグランプリレースとして開催される。レースでは、タイヤについてのルールが変更され、前日使用できたタイヤ6セットのうち、4セットを持ち越すことができ、加えて新しいタイヤが2セット供給される。土曜日は3セット−3セットの組み合わせだったものが変更されることが、各ドライバーにどのような影響を与えるのか。前日の結果を受け、シーズン最後の戦いに臨むドライバー心理も相まって、どんなタイム合戦となるのか、その当たりも見どころとなるだろう。
チャンピオン争いの3人に留まらず、各ドライバーがシーズン集大成のパフォーマンスを披露し、来シーズンに向けていい形で幕引きしたいと思う中、レースはどのような形で動くのか。クライマックスの行方をぜひ見届けていただきたい。
主なタイムスケジュール
10月27日(金)
14:00 – 15:30 専有走行
10月28日(土)第8戦
09:30 – 09:40 予選Q1・A組
09:45 – 09:55 予選Q1・B組
10:05 – 10:12 予選Q2
14:30 - 決勝レース 31周/最大75分
10月29日(日)第9戦
08:50 – 09:00 予選Q1・A組
09:05 – 09:15 予選Q1・B組
09:25 – 09:32 予選Q2
14:30 - 決勝レース 31周/最大75分