SUPER FORMULA 2023 Round.7 - イベント・レースレポート

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SUPER FORMULA 2023 Round.7

2023年8月21日

スーパーフォーミュラ第7戦もてぎ、野尻が開幕戦以来の勝利達成!


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8月20日、酷暑の中、栃木・モビリティリゾートもてぎにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦の決勝レースが行われた。37周で競うレースは、スタート直後に多重クラッシュが発生する波乱の幕開けとなり、その後も混乱を含む荒れた展開となったが、ポールポジションから好スタートを切ったNo. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)が理想的なレース運びを見せて優勝。開幕戦以来となる勝利を手にしている。
 

厳しい暑さが続いたレースウィーク。決勝日を迎えたもてぎは強い日差しが照りつけ、決戦を目前に、気温は33度、路面温度は46度とタフなコンディションとなった。その中で、ポールシッターの野尻はクリアスタートを決めたが、自身キャリアハイの予選2位につけていたNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)はまさかのエンジンストール。一気に後続車に飲み込まれてしまう。さらに、ポイントランキング暫定トップ、予選8番手から追い上げを狙っていたNo.37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)も出遅れを喫してしまった。
 

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一方、野尻に続いたのは予選3番手のNo.15 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)。2コーナーまでに野尻と横並びになって3コーナーへと向かったが、ローソンがアウト側へと大きくはらみ、縁石にタイヤを落とした勢いで挙動を乱してスピン。回転しながらコース中央近くへ戻ったことで、後続車がパニック状態に。これでNo.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、No.5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、No.50 松下信治(B-Max Racing Team)の3台が次々と接触。中でも、関口と牧野の車両は宙を舞うように回転、ともに大きなクラッシュとなる。幸い、ドライバー2名に大きな怪我はなかった。
 

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この多重クラッシュを受けてレースは赤旗中断に。また、車両回収やコース設備の安全確保の確認などで長い時間を要し、午後3時50分にセーフティカー先導によるリスタートを迎える。一方、ローソンはダメージを受けながらもピットへと帰還、中断の最中にピットで修復作業が着々と進められ、ピットスタートを果たしている。その後もペース良く周回を重ねることはできたが、赤旗中のピット作業に対してペナルティが科されたため、ポイント圏外で戦いを終えている。
 

レースは、セーフティカーによる2周の先導を経て、4周目から再開。野尻を先頭に、No.53 大湯都史樹(TGM Grand Prix)、さらにスタート直後の混乱をうまくくぐり抜けたNo.20 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、No.7 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、No.64 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、No.65 佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)がトップ6を形成。今季初優勝を狙う大湯は野尻をマークする走りを見せたが、じわりじわりとその差を広げられてしまう。そんな中、ルーティンのピット作業が可能となる10周が終了。このタイミングで大湯が勝負をしかけるように真っ先にピットインを敢行。これに3台が続いたが、うち、ピットを離れようとした佐藤とピットへと戻ってきた太田が接触。両車ともクルマにダメージを負い、最終的には戦列を離れる結果に終わった。
 

スタート直後から落ち着きなく混乱が続く展開は、その後もあちこちに”飛び火”。3番手にポジションを上げた小林だったが、ピット作業で右リアタイヤ交換に手間取り、ポジションダウン。またコース上では「V字コーナーあたりで降雨」との情報が入り、ウエット宣言が出されたが、その中でも動じることなく圧巻の走りを見せたのが野尻。先にピット作業を済ませ、見えない好敵手となった大湯とのタイム差を意識しつつ周回、25周終わりでピットにクルマを戻すと、待ち構えたスタッフは7.2秒で作業を完遂。見事大湯の前でコース復帰を果たし、逆転の隙を与えなかった。一方、野尻の背後にいた平川は26周終わりでピットイン。右リアタイヤ交換でミスが生じて9.4秒と出遅れ、大湯の背後でコース復帰となる。すると、コース上では、ひと足早くピット作業を済ませていた山本とテール・トゥ・ノーズの接近戦となり、2台は90度ターンで接触。イン側にいた山本は左フロントの足回りに大きなダメージを負い、先の1コーナーでコースを逸れてクルマを止めてしまった。
 

終盤に入ると、トップ野尻と2番手大湯との差は開く一方。逆に、山本との接触でハーフスピンを喫したものの、ダメージはなかった3番手の平川が大湯との差を縮めていく。すると、33周目のS字コーナーで一気に仕留め、鮮やかな逆転劇を披露。その後もペース良くトップの野尻を追ったが、時すでに遅し。結果、野尻が待望の今季2勝目を上げてチェッカーを受け、現役ドライバーとしては最多の通算10勝目を挙げている。前日のポールポジションと合わせて、今大会で13点を一気に計上した野尻。ポイントランキングは3位と変わらないものの、2番手ローソンがノーポイントで終わったため、その差は2点まで縮まることに。2位には平川が続き、3位に続いた大湯は、今シーズン初の表彰台に上がった。4位には宮田が続き、前日の予選後にはローソンと同ポイントとなっていたが、再び8点差でランキングトップに立つこととなった。
 

ついに最終大会鈴鹿に向かう今シーズンのスーパーフォーミュラ。9月はレース開催がなく、10月28、29日に最終決戦を迎える。3連覇がかかる野尻が大逆転を見せるか、暫定トップの宮田がそのまま逃げ切るのか。あるいは、虎視眈々と王者を狙うローソンが意地を見せるのか。どのようなドラマになるか、期待は膨らむばかりだ。
 

第7戦モビリティリゾートもてぎ・決勝結果 トップ3

1.No.1 野尻智紀(TEAM MUGEN)1H31’13.699 37Laps
2.No.20 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)+7.439
3.No.53 大湯都史樹(TGM Grand Prix)+15.456
 

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2023年8月19日

スーパーフォーミュラ第7戦もてぎ、野尻智紀が復活ポール!


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8月19日、栃木・モビリティリゾートもてぎにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦の予選が行われた。台風一過から蒸し暑い天気となった現地では、厳しいポジション争いの予選が繰り広げられた。その中でトップタイムをマークしたのは、ディフェンディングチャンピオンのNo. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)だった。
 

早くも今シーズンの終盤戦に突入した今シーズンのスーパーフォーミュラ。残り2大会、3戦のレースでなんとしても結果を残したいと目論むドライバーが闘志を剥き出しにして挑むのが、今大会となる。ストップ&ゴーのユニークなレイアウトは、ハードブレーキングが求められ、酷暑という厳しい条件が重なる中での戦いだけに、まさにサバイバルレースになると考えられる。
 

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まず、午前9時20分から1時間30分にわたって行われたフリー走行では、気温30度、路面温度は41度というコンディション。湿度も高く、タフな環境であることは明らかだ。不安定な路面コンディションなのか、セッション開始から30分を前にして、グラベルストップした車両が出たため、赤旗中断となった。だが、再開後は、各車セットアップを重ねながら、アタックシュミレーションへと向かっていく。結果、トップタイムとなる1分33秒488をマークした野尻を筆頭に、以下、前大会のポールシッターであるNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、さらにNASCAR参戦から帰国したNo. 7 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)がトップ3を形成した。一方、前回のウィナーであるNo.15 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)は、8番手にとどまった。
 

ノックアウト予選は午後2時50分から。強い日差しが照りつけるサーキットは、気温33度、路面温度46度の中で幕が上がった。厳しいコンディション下でのアタックとなるだけに、タイヤのウォームアップをどのように行うのか、”一発”に向けてのアプローチも気になるところだ。まず、Q1・A組では、小林がフリー走行からの好調をキープし、1分33秒469をマーク。フリー走行トップタイムを上回るこのタイムをターゲットに各車続々とアタックに入ると、最終的に32秒台までタイムアップ。結果、牧野が1分32秒983でトップ通過を果たし、これにNo.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、ローソンが続いた。その後、Q1・B組に入ると、やや上空に雲が張り出し、薄曇りの状態に。もてぎは、日差しによって路面コンディションの変化を受けやすいと言われており、果たしてどの程度影響があるのか、気になるところ。まず、ターゲットタイムとなる1分33秒439をマークしたのは、No.18 国本雄資(Kids com Team KCMG)。ここから、続々とタイムアップした各車がチェッカーを受け、トップも次々に変わっていく。そのなかで最後の最後にチェッカーフラッグを受けたNo.53 大湯都史樹(TGM Grand Prix)が1分32秒387のタイムでトップ通過を果たした。2番手には現在のランキングトップであるNo.37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が続き、野尻は3番手となった。
 

12人によるポールポジション争いとなるQ2は、午後3時25分から7分間のアタックとなる。引き続き、薄曇りの状態で、Q1・B組と似通ったコンディションでのアタック競争が始まった。開始から比較的早い段階で各車がコースイン。インスタレーションラップを終え、状況を見定めてコースへ。チェッカーフラッグが振られるとほぼ同時にフィニッシュラインを通過した小林が1分32秒370をマークし、トップへ。No.38 坪井 翔(P.MU/CERUMO・INGING)や宮田がその直後にチェッカーを受けるも、小林のタイムを更新できず。そんな中、戻ってきた野尻は、1分31秒955をマークしてトップの座をさらう。
 

その後もアタックを終えた各車がフィニッシュラインを通過。その中で、2番手時計をマークしたのは、No. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。前大会の富士でも予選3位を獲得しているルーキーが、再びキラリと光るパフォーマンスを披露した。3番手には野尻の僚友であるローソン。4番手の大湯はローソンとわずか1000分の1秒差という結果だった。
 

予選3番手に滑り込んだローソンは1点を計上。予選8番手に甘んじた宮田は予選でポイント加算ができなかったため、ポイント争いでは同点となっている。明日の決勝レースは、午後3時にスタート。厳しい暑さとの戦いにもなる37周の決戦を制するのは、どのドライバーか。
 

第7戦モビリティリゾートもてぎ・予選結果 トップ3

1.No.1 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’31.955
2.No.6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’32.178
3.No.15 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)1’32.237
 

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2023年8月15日

SUPER FORMULA 第7戦もてぎ プレビュー


シーズン終盤戦、タイトル争いに向けて大詰めの一戦に
 

4月上旬に今シーズンの開幕を迎えた全日本スーパーフォーミュラ選手権。以降、毎月のように全国各地のサーキットにおいてバトルを繰り広げてきた。まだまだ真夏の酷暑が続いているが、シーズン争いは終盤を迎えており、チャンピオンの座を巡る戦いも熾烈を極めている。今回、第7戦の舞台となるストップ&ゴーという特色あるモビリティリゾートもてぎでの戦いは、予選順位が結果に大きな影響を与えるといっても過言ではないコースだけに、予選から激しい火花が飛び散る激戦になるだろう。
 

灼熱の暑さ、不安定な天候

8月に入ってから、不安定な天候が断続的に続く日本列島。沖縄周辺では台風6号と線状降水帯が長く居座り、災害はもちろん公共交通にも大きな影響が出ていた。また、沖縄や九州地方が豪雨や暴風に見舞われているなかで、新たに台風7号が発生。この間、日々猛暑が続き、日中の気温が35度を軽く超えることとなり、まさに日本列島が”茹で上がる”ような暑さに見舞われている。そんな中、お盆休みに合わせたかのようなタイミングで台風7号が近畿地方に接近。15日には上陸・通過する可能性が出ており、風雨が強まったり、関東地方では台風に向かって吹き込む湿った空気の影響を受けて雨雲が発達する可能性も高く、地域によっては土砂降りの雨になっている。
 

週末にもてぎで迎える第7戦開催までには台風も近畿から北陸地方に北上し、日本海を通過すると言われているため、レース日程に大きな影響は出ないと思われるが、今は、台風に吹き込む強風や雨雲が残すであろう”爪痕”の被害が出ないことを、ただ祈るのみだ。
 

仮に、”台風一過”で蒸し暑い天気になれば、盆地のような立地条件のもてぎは酷暑の一戦になるだろうし、逆に雨雲が入り込むような気圧になれば、急な土砂降りが待ち受けるやもしれない。SUPER GTとは異なり、ワンメイクタイヤでの競争であるため、天候によって生まれる”タイヤ選択の泣き笑い”はないのだが、それでも走行セッション時の天候は誰もが気にするところ。少なからずともクルマのセットアップには影響があるため、ギリギリまで状況を見極めてアタックに臨むことになるだろう。
 

最終ラウンドに向けて、最後のビッグチャンス

もてぎは距離が長いサーキットでなく、どちらかといえば中距離のサーキット。しかし、ストップ&ゴーという独特のレイアウトをしているため、抜きどころが少ないと言われる。前のクルマに詰め寄ったところで、お世辞にも広いとは言えないコース幅だけに勝負に持ち込むこともそう簡単ではなく、またブレーキを多様するコースレイアウトでもあるため、背後から前のクルマを猛追するドライバーにとっては、とてつもなくストレスが溜まるコースでもあるのだ。再三にわたって前を走るライバルを追い詰めたとしても、逆転までには至らない……そんな展開を避けるためにも、まずは予選で好位置につけることが求められる。そうしない限り、決戦で主導権を握ることも叶わないのだ。
 

予選中の路面温度をしっかりと把握し、タイヤのパフォーマンスを最大限引き出せるようなタイミングでアタックを開始する。もちろん、ドライバーはミスなく、しかもライバルに走行ラインを邪魔されずに理想的なレコードラインを疾走……これができれば、文句なしにトップタイムを刻むことができるはず。と言ってしまえば、簡単な話だが、昨今のスーパーフォーミュラは0.1秒、あるいはそれ以下の僅差で勝負がつくパターンも少なくない。瞬きする間もない短い時間に、複数台のクルマが生き残りをかけてタイムアタックに臨んでいるだけに、当日も同じような展開が繰り広げられることだろう。ドライバーに求められる速さはもちろんだが、そのドライバーがストレスなくしっかりとアタックできるクルマを作り、しかるべきタイミングでコースに送り出すのはチームの仕事。総合力でシビアな一戦に挑むことになる。
 

現在、ランキングトップを走るのは、No.37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)。もともと速さには高評価があったドライバーだが、今シーズンは勝負強さが加わり、レース巧者としてのパフォーマンスを披露するようになった。SUPER GTでも安定感ある強さを見せているだけに、まさに今が”旬”のドライバーとして注目を集めている。一方、その宮田に1ポイント差で2位につけるのは、No.15 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)。去年のチャンピオン、No.1 野尻智紀(TEAM MUGEN)のチームメイトであり、F1ドライバーに近い選手のひとりでもある。未知数と言っても良い日本のサーキットで戦うだけでも、充分にディスアドバンテージといえるが、そこはやはりF1に近いドライバーだけに、適応能力の高さがキラリと光る。駆け引きの旨さ、勝負感、度胸の良さが伴い、チームとしても期待通りのパフォーマンスを見せているといえるだろう。その証拠に、トップ宮田の2勝に対し、ローソンは3勝。ただ、優勝できなかったレースは入賞こそするが、表彰台には上がっていないパターン。これに対し、宮田は開幕の富士大会こそ苦心したが、以後、優勝できない場合でも2位もしくは3位で戦いを終えるという、驚異のハイアベレージを示している。現時点で野尻が3番手につけるが、トップ宮田とは25点差と大きく開いているだけに、宮田とローソンがもてぎで手堅く大量得点するレースを見せれば、野尻の3連覇達成には黄信号が灯ることになるのではないだろうか。いずれにせよ、このもてぎ戦が終わると、次はおよそ2ヶ月後に鈴鹿サーキット出迎える最終大会、第8、第9戦の2連戦となる。しばし休息モードになる戦いを前に、どのドライバーも、しっかりと結果を残したいと願っていることだろう。
 

予選結果の遅れを決勝で取り戻すような、目を見張るパフォーマンスを見せるドライバーの奮闘もスーパーフォーミュラの魅力のひとつだが、抜きどころの少ないもてぎでどのようなドラマが繰り広げられるのか。現地観戦の方は暑さだけでなく、あらゆる天候対策も抜かりなく準備し、戦いの行方を見守っていただきたい。
 

主なタイムスケジュール

8月19日(土)
09:20 – 10:50 フリー走行1回目
11:40 – 12:20 ピットウォーク
14:50 – 15:00 予選Q1・A組
15:05 – 15:15 予選Q1・B組
15:25 – 15:32 予選Q2
16:40 – 17:20 キッズピットウォーク
 

7月16日(日)
09:25 - 09:55 フリー走行2回目
11:15 – 11:55 ピットウォーク
15:00 – 決勝レース 37周/最大75分





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