SUPER FORMULA 2023 Round.2
スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿、大湯都史樹が自身2度目のポールを手にする!
4月22日、三重・鈴鹿サーキットにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手権鈴鹿大会の予選が行なわれ、No.53 大湯都史樹(TGM Grand Prix)がQ1・A組、そしてQ2でトップタイムをマーク。今シーズン初、また自身2度目のポールポジションを手にしている。
ちょうど2週間前、静岡・富士スピードウェイで開幕した2023年シーズン。短いインターバルで戦いの舞台が鈴鹿サーキットにやってきた。天候は朝から快晴に恵まれるものの、強い風が吹く一日となる。今大会は2輪との併催のため、スケジュールは当然のことながら路面コンディションも通常とはやや異なる状況のため、さまざまな”調整”を必要とするセッションになった。
まず、当初の予定より5分遅れとなる午前11時から90分間にわたって行なわれたフリー走行でトップタイムをマークしたのは大湯。これにNo.38 坪井 翔(P.MU/CERUMO・INGING)、No.3 山下健太(KONDO RACING)と、開幕の富士大会で復調の活躍を見せたドライバーが続き、午後からの予選に向けて一層期待が膨らむことになった。一方、シーズンをまたぎ、4戦連続でのポールポジションを手にしているNo.1 野尻智紀(TEAM MUGEN)は、15番手でセッションを終了。午後からの予選で5戦連続の記録がかかるだけに、黄信号が点滅した結果となった。
午後からも日差しに恵まれた鈴鹿。しかし依然としてメインストレートには強い追い風が吹き付けた。2輪の決勝レースを経て始まったノックアウト予選は、Q1・A組が午後3時55分にスタート。いつになく遅い開始だったが、気温は19度、路面温度34度のコンディションとなる。
10分のセッションで、真っ先にターゲットタイムをマークしたのがNo.14 大嶋和也(docomo business ROOKIE)。これを境にして続々各車ベストタイムを更新。チェッカーが出る中、大湯が1分36秒534と、午前のフリー走行で自身がマークしたトップタイムを大幅に更新。後続車がこのタイムを上回れず、トップ通過となった。2番手にはNo.37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、3番手に開幕戦で劇的なデビューレース・ウィンを披露したNo.15 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)が続いた。一方、No.64 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)やNo.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)といったベテランがQ2進出を果たせずに終わっている。
続くQ1・B組には野尻が出走。10分のセッションで残り5分を切るとアタックラップがスタート。No.36 ジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)がチェッカーと同時に1分36秒893をマークし、暫定トップへ。そんな中、坪井が1分36秒413をマークし、トップを奪取する。その後チェッカーを受けるドライバーは坪井のタイムを上回れずセッションが終了。坪井、アレジに続き、No.65 佐藤 蓮(TCS NAKAJIMA RACING)が3番手につけた一方、野尻はタイムを伸ばせず7番手に。Q2への進出が断たれたと思われたが、5番手時計だったNo.7 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)のアタックラップが走路外走行と判定され、ベストタイム抹消に。結果、野尻が繰り上がりQ2へと駒を進めるチャンスを掴み直した。
ポールポジションを決定するQ2は午後4時35分にスタート。路面コンディションを把握したドライバーたちがいよいよアタックラップに向かう。ライバルに先んじてアタックラップに臨んだのがNo.5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。1分36秒280でトップに経つが、このあとすぐに大湯が1分35秒792をマークし、他を圧倒。各車、続々とチェッカーラップを終えるも誰一人として大湯のタイムを上回れず。ポールポジション獲得を決めた。2番手には野尻。トップ大湯との差はわずか0.043秒だった。Q1で首の皮一枚つながった野尻は3番手に。昨シーズンの第10戦から前回の富士大会まで4戦連続でポールポジション獲得していた野尻だったが、連続PP獲得記録を更新することは叶わなかった。なお、5番手タイムをマークしていた宮田だが、セッション後に走路外走行の判定を受け、ベストタイムが抹消されて12番手に順位を下げることになった。
翌日の決勝は、午後3時45分に号砲。31周の戦いとなる。
第3戦鈴鹿サーキット・予選結果 トップ3
1.No.53 大湯都史樹(TGM Grand Prix)1’35.792
2.No.38 坪井 翔(P.MU/CERUMO・INGING)1’35.835
3.No.1 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’36.906
富士大会、第2戦は野尻がポール・トゥ・ウィン!
4月9日、前日に続いて静岡・富士スピードウェイにおいて2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第2戦が行われ、予選で他者を圧倒するタイムでポールポジションを手にしたNo. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)が文句なしのレース運びを見せてトップチェッカー。今シーズン自身初優勝を果たした。
Round.2 予選
土曜日に行われた第1戦は、その前日の悪天候によって専有走行が実施されず、計時予選によるレース運営となったが、大会2日目は青空が広がる好天気に恵まれ、まだ残雪が残る富士山もきれいな勇姿を見せた。
午前9時、シーズン初のノックアウト予選がスタート。気温10度、路面温度20度とまだ少し寒さが残る中でセッションが始まる。まずはQ1・A組の11台がコースへと向かい、コンディションの確認を済ませるとニュータイヤへとスイッチし、アタックに入っていく。今シーズンから採用された新スペックタイヤでどうアプローチするか、またタイヤの温まりをどう見極めるか。様々な要素を踏まえたアタックに挑む11台。ターゲットタイムとなる1分22秒後半のタイムをNo.37 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)がマークすると、No.5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がこれを更新。さらに野尻が1分22秒579とタイムアップしてトップに浮上。後方でアタックしていた各車も自己ベストタイムを更新してチェッカーを受けたが、野尻のタイムを上回れず。結果、Q1・A組は野尻を先頭に、宮田、No.3 山下健太(KONDO RACING)がトップ3となった。
続くQ1・B組には、前日の初戦でセンセーショナルなデビューウィンを達成したNo.15 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)が出走。真っ先に1分22秒台に入れたNo.12 福住仁嶺(ThreeBond Racing)をターゲットタイムに続々と各車ベストタイムをマークする中、No.39 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)が1分22秒057と大きくタイムを縮めた。だが、セッションはこのまま終わらない。ライバルよりやや遅くコースインし、タイミングを見計らうようなアタックを見せたローソンはワンアタックラップで1分22秒021をマーク。B組トップでQ1を終えた。また、阪口に続いて3番手につけたのはNo.53 大湯都史樹(TGM Grand Prix)だった。
続くQ2はQ1より3分短い7分間で行われる。出走台数はQ1各組上位6台の計12台。大会初日から好調なTEAM MUGENの2台_野尻とローソンはセッション序盤からコースへ。これに4台が加わり、少し間を置いて残る6台がコースに向かった。タイヤをどうウォームアップさせるかでコースインのタイミングが異なることになったが、開始7分過ぎにまず福住が1分22秒前半のタイムをマークすると、その直後に山下がこの日初となる1分21秒792でトップタイムを塗り替えた。さらに坪井が1分21秒731でトップを奪取、これを境にして続々と21秒台を刻むドライバーが現れる中、クリアラップを味方にした野尻が1分21秒196とダントツの速さを披露。文句なしにトップに立った。これで野尻は前日の第1戦に続いてポールポジションを獲得。通算15回目へとまたひとつ記録を伸ばした。2番手には宮田。なんと、自身8度目の2番手グリッドに甘んじる結果となっている。3番手には大湯。第1戦では序盤にポジションを下げてしまった悔しさを、第2戦の決勝でどうリベンジするか期待がかかる。
【第1戦富士 予選結果 トップ3】
1.No. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’21.196
2.No.37 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)1’21.570
3.No.53 大湯都史樹(TGM Grand Prix)1’21.590
Round.2 決勝
大会2日目も前日同様に予選終了から4時間あまりで決勝を迎えた。今回も41周の戦いで給油作業はない。一方、午後から日差しに恵まれ、気温は13度とさほど上がらなかったが、路面温度は32度まで上昇する。
ポールポジションの野尻は今日も完璧なスタートを決めて見せる。だが、前日と同じくロケットスタートを決めた予選3番手の大湯がすぐさま野尻に急接近。サイド・バイ・サイドに持ち込むと、コカ・コーラコーナーで逆転を果たしてトップへ躍り出た。これでオープニングラップは、大湯、野尻、そして予選2番手の宮田がトップ3を構築する。一方、宮田の背後には予選5番手スタートのNo.38 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)が迫り、2周目には逆転に成功。ペースアップが難しいのか、宮田はその後も後続車との攻防戦に追い込まれ、4周目の1コーナーでは予選6番手スタートのNo.3 山下健太(KONDO RACING)にも逆転を許した。
緊迫のレースが動いたのは8周目。1コーナーでNo.36 ジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)が痛恨のスピン。タイヤ後輪がコースサイドに落ちてしまい、スタック。これを受けてセーフティカーが導入される。そして、車両回収が続く中でレースは10周目へ突入すると、続々とタイヤ交換のためにピットへ各車が舞い戻ってくる。トップ大湯と2番手野尻のピット作業タイムに大差はなかったが、大湯は後続車両がピットに戻ってくるタイミングと重なり、少しばかりコース復帰が遅れてしまう。これに対し、チャンピオンチームである野尻のピットはピット出口に一番近いため、難なくコースへ。結果、野尻はコース復帰直前でトップ奪還に成功。大湯が2番手に下がり、以下、坪井、山下、宮田、ローソンのオーダーで再び戦いが始まった。なお、このタイミングでステイアウトをしたのは6周目にペナルティストップを消化して遅れを取ったNo.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)のみだった。
レースは12周終わりで再開となり、野尻の前に出たい大湯は再び1コーナーで勝負に出る。ブレーキを激しくロックさせ、一旦前に出た大湯だったが、野尻もこれに応戦してトップを死守する。このあと大湯は傷んだタイヤのマネージメントに苦戦することとなり、14周目には後続の宮田に逆転され、さらに20周を過ぎるとローソン、山下らの先行を許してしまう。ついに27周目にはタイヤ4本交換のためにピットインを強いられ、実質戦力外に甘んじた。
平川がピットインを先延ばしする中、実質上のトップは野尻のまま。これにおよそ2秒差で坪井、さらにローソンと続く。ローソンは次第に坪井との差を縮める力走を見せたが、タイヤ交換のピットイン時に前方車両との差を大きく取りすぎたことがペナルティの対象となってしまう。結果、レース後の結果に5秒のタイム加算が科せられた。レース中にこのペナルティを知ったローソンは、少しでも有利な状況に持ち込もうと前方の坪井に接近して勝負に挑んだが、坪井はこれを見事にシャットアウトし、2位チェッカーを受けた。
結果、野尻がトップを守り切って今シーズン初優勝。坪井はシーズン初表彰台の2位に。ローソンは3番手でチェッカーを受けたが、ペナルティ加算によって5位へドロップ。代わって3位に山下が続き、2020年開幕戦以来となる表彰台に立った。
2戦とも波乱に富む展開となった開幕の富士大会。新車両、新たなスペックでのタイヤをどう使いこなすか、また、新たに導入された「SF go」のシステムを駆使したチーム戦略によってレースが動く大会となっただけに、今シーズンはコース外で繰り広げられるチーム同士の駆け引きにも注目が集まりそうだ。早くも第3戦鈴鹿大会は4月22、23日に開催される。
【第2戦富士 決勝結果 トップ3】
1.No. 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)1:03’04.489 41L
2.No.38 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)+3.102
3.No. 3 山下健太(KONDO RACING)+3.693
SUPER FORMULA第1・2戦富士 プレビュー
23年SF開幕! 新車での第1、2戦は富士で!
いよいよ、国内トップフォーミュラである全日本スーパーフォーミュラ選手権が今週末に開幕戦を迎える。新車を投入し、カーボンニュートラル対応レーシングタイヤを装着した”新たな装い”で各車が激しいバトルを繰り広げることになりそうだ。
全7大会、9レースでの開催に
昨シーズン同様、7箇所のサーキットで大会を繰り広げるスーパーフォーミュラ。開幕の富士大会および最終戦の鈴鹿大会のみ、土曜、日曜にそれぞれ予選と決勝を実施することから、レース数としては全9戦になるが、大会数は昨年と変わらない。北は宮城・スポーツランドSUGOから南は九州の大分・オートポリスにかけて、5箇所のサーキットで開催される。また、昨シーズン同様レースフォーマットに大きな違いはない。しかしながら、今シーズンの難しさは「SF23」への対応ではないだろうか。
既存のSF19をベースに、新たなエアロパッケージが装着されて出来上がったSF23。昨年の車両と比較すると、全体的にダウンフォースが削られており、合わせて車体広報に流れる空気がセンター寄りとなったことで乱流が軽減。結果として、これまで以上にスリップストリームを活用したパッシングが見込めるようになるという。SFオリジナルのオーバーテイクシステム(OTS)と併用すれば、激しいポジション争いをさらにホットなものにしてくれることだろう。なお、このOTSだが、これまではドライバーがOTS機能を使う際にボタンを押すと、”使用中”がわかるうようにロールオーバーバーおよびリヤのクラッシャブルストラクチャーのライトが点滅する仕組みとなっていた。しかし、今シーズンからはライト点滅を廃止。作動しているかどうかは、外部からの判断が難しくなったことで、ドライバー同士による接近戦の駆け引きを面白くすることが狙いのようだ。ちなみに、どのタイミングで使用しているか、手持ちの残り時間等を把握するには、デジタルプラットフォーム「SFgo」を使用すれば確認可能とのこと。昨シーズン中は開発を兼ねて各チームが使用していたが、今シーズンから正式運用されるこのメニューを使えば、把握可能としている。
海外ドライバーも参戦へ
開幕戦の舞台となるのは静岡・富士スピードウェイ。今年は例年になく桜の開花が早かったこともあり、おそらくそのピークは過ぎているだろうが、顔を揃えるドライバーたちの布陣はまさに百花繚乱といえるはず。過去3シーズンが、新たな外国人ドライバーを迎え入れることが難しかったが、規制もなくなった今シーズンは、新しく3人の外国人ドライバーが島国ニッポンでの新たな挑戦をスタートさせることになった。
ニュージーランド出身のリアム・ローソン(TEAM MUGEN)、イギリス出身のラウル・ハイマン(B-Max Racing Team)、そしてトルコ出身のジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)はいずれも世界のステップアップカテゴリーにおいて腕を磨いてきた”ツワモノ”たち。タイヤマネージメントが難しく、僅差のバトルが多いスーパーフォーミュラでみっちりと腕を磨き、再び国際レースの舞台へ”舞い戻る”ことも視野に入れてチャレンジしてくるはず。一方、”先輩”ドライバーとしてジュリアーノ・アレジもフルシーズン2年目を迎える。センセーショナルだったスポット参戦を経て、昨シーズンは伸び悩んだ形となったが、そのリベンジとばかり意気込んでいることだろう。
新パッケージでの予選アタックに注目!
新たなエアロ、開発された新たなタイヤをまとったSF23で迎える初戦。なんといっても見どころは、ノックアウト予選だ。短い時間で多くの車両がタイムアタックを行うセッションは、ちょっとした”何か”によって、泣き笑いが生じるシビアな時間でもある。テストで収集したデータを活かしつつ、予選セッション当日のコンディションもしっかり把握し、無駄のないアタックをしなければならない。限られた時間をどのドライバーが最大限フル活用して、セッションをコントロールするのか、目が離せない。
また、今回の富士は土曜日、日曜日にそれぞれ予選と決勝が行われる。
この”短期決戦”こそが、レースをより難しく面白くさせる要素となっている。ありとあらゆる条件を味方につけたものがポディウムの真ん中に立てるだけに、ドライバーだけでなくチームとしての総合力も問われることになるだろう。筋書きのないドラマと言われるレースだが、開幕戦はそのドラマのシナリオも予測不可能なものになる気配がしてならない。
主なタイムスケジュール
4月8日(土)第1戦
09:20 – 09:30 予選Q1・A組
09:35 – 09:45 予選Q1・B組
09:55 – 10:02 予選Q2
14:15 - 決勝レース 41周/最大75分
4月9日(日)第2戦
09:00 – 09:10 予選Q1・A組
09:15 – 09:25 予選Q1・B組
09:35 – 09:42 予選Q2
14:30 - 決勝レース 41周/最大75分