SUPER GT 2016 Round.5
SSUPER GT第5戦富士、No.12 カルソニックIMPUL GT-Rが待望の今季初勝利
8月7日、静岡・富士スピードウェイにおいて、2016年SUPER GT第5戦決勝レース「FUJI GT300km RACE」が行われた。前日の予選で、圧倒的な速さを武器にポールポジションを獲得したNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)が、決勝でも盤石の走りを披露。文句ナシのトップチェッカーを果たし、待ちわびた勝利を手にしている。
前日同様、湿度が高く、強い日差しに見舞われた富士スピードウェイ。決勝日の朝のフリー走行もじりじりと日が照りつけ、決勝はライバルだけでなく、コンディションともシビアな戦いを強いられる状況となった。
そんな中、スタート直後から順調なレース運びを見せたのが12号車。まず最初にステアリングを握ったデ・オリベイラ選手は思うがままにレースをコントロール。2位以下との差を周回ごとに刻んでいく。トップ3はGT-Rが独占する中、その後方にはHonda NSX勢が続き、今回予選の時点から勢いを欠いたRC F勢はなかなかポジションアップの機会に恵まれずにいた。だが、トップ17周目走行中、GT300の車両同士が接触。2コーナー立ち上がりで1台のボンネットが外れ、コース上に落としたことから、セーフティカーが導入された。トップを快調に走っていた12号車にとっては、想定外の展開となったが、25周にリスタートされた後も、なんなく後続車との差を築き上げ、ライバルを牽制。すると、2位以下が順次ルーティンのピットインを行なうようになった。
ライバル達の作業がひと段落すると、満を持して12号車がピットイン。33周を終え、ライバル勢よりも明らかに速いピット作業で新たに安田を送り出した。いよいよ後半戦に向けて2番手につけるNo.46 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山 哲/千代勝正組)とバトルになるかと思われたのだが…。なんと46号車の千代が35周目の1コーナーでコースアウト。勢いよくクラッシュパッドにツッコミ、万事休す。12号車同様、今季初優勝を狙っていた46号車の夢が潰えた。これでトップ安泰となった12号車はひとり旅へと形を変えて周回。最後は25秒強の差をつけて、待望の今季初優勝を達成した。なお、NSX勢同士による2位争いは、抜きつ抜かれつの攻防戦の末に、No.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/小暮卓史組)が先行。No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)が3位で続き、2台のNSXが揃って今季初表彰台をつかんでいる。
一方のGT300。ポールポジションスタートのNo.55 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組)に喰らいついたのが、予選2番手のNo.21 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/藤井誠暢組)。前半は高木と藤井が攻防戦を、そして終盤は小林とライアンによる一騎打ちを展開。特に終盤、タイヤをセーブしていた21号車が残り10周を機にペースアップ。最後の最後に勝負を挑むも、少し足りず。結果、55号車が今季初優勝を遂げ、2位の21号車に続いたのは、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)だった。
■第5戦富士 決勝結果
・GT500(TOP6)
1.No.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)1:51’53.223 66L
2.No.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/小暮卓史組)+25.424
3.No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)+28.650
4.No. 1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)+28.940
5.No.36 au TOM’S RC F(伊藤大輔/ニック・キャシディ組)+30.831
6.No. 8 ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮/野尻智紀組)+36.730
GT300(TOP3)
1.No.55 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組)1:52’48.623 62L
2.No.21 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/藤井誠暢組)+0.106
3.No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)+10.762
SUPER GT第5戦富士、No.12 カルソニックIMPUL GT-Rがトップタイムをマーク!
第5戦を迎えた今シーズンのSUPER GT。舞台となる静岡・富士スピードウェイでの一戦は、「
前回のSUGO戦からわずか2週間。8月6日に行われた予選は、
午後に入ると、ますます気温が上昇。湿度も高く、
続くQ2で勢いづく46号車にストップをかけたのが、
一方、GT300クラスは、Q1アタック中、
・第5戦富士 予選結果
GT500(TOP6)
1.No.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)1′
2.No.46 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山 哲/千代勝正組)1’28.934
3.No. 1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)1’28.
4.No.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/小暮卓史組)1’29.251
5.No.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀/オリバー・ターベイ組)1′
6.No.24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹/柳田真孝組)1’29.664
GT300(TOP3)
1.No.55 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組)1’37.545
2.No.21 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/藤井誠暢組)1’37.889
3.No.51 JMS LMcorsa 488 GT3(都筑晶裕/新田守男組)1’37.908
SUPER GT第5戦富士 プレビュー
三連戦の第2弾は高速サーキットの富士!
5月に開催された第2戦に続き、夏休みで盛り上がる中、第5戦を迎える静岡・富士スピードウェイ。前回のSUGO戦から僅か2週間のインターバルで再び激戦が繰り広げられようとしている。SUGOでは、セーフティカーの導入、そして赤旗中断の末にレース終了というアクシデントやハプニングを生み出した「魔物」が今年も健在、波乱の展開となった。その余韻が残る中で迎える富士は今シーズン2度目の戦いではあるが、天候次第で厳しい夏の暑さを敵に回して戦わなければならない可能性もある。前回は500kmというセミ耐久スタイルだったが、今回は通常の300km。サーキットの特性を活かしてレースをリードするのは、果たしてどのチームなのか?
■レクサス勢はホームサーキットで戦う雪辱戦に
第2戦以降、富士ではタイヤメーカーテストが行なわれ、厳しいコンディションに対処するタイヤ作りが進められているだろうが、今シーズンの戦いを見れば、第1戦岡山、第2戦富士、そして前回の第4戦SUGOと全3戦(第3戦オートポリスは熊本地震の影響で中止に)において、なんと日産GT-Rが勝利し続けている。SUGOでは、No.6 WAKO’S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組)がポールポジションを獲得、さらに上位陣に数多くのRCFが並んだが、決勝レースではライバルにトップの座を譲渡。表彰台は2、3位に甘んじた。それを考えれば、この富士は是が非でも優勝しなければならないところ。ところが、今季快進撃を続けるGT-R勢と異なり、RCFに思わぬなジンクスがあった。それが富士での未勝利である。
SUPER GTにRC Fがデビューしてから早や3年。しかし、この間にRC Fの富士勝利は一度もないのだ。速さがあることを考えれば、レクサス勢としてのボトムアップ、見直しも進歩し続けているはず。なのに、いざ決戦となると勝利が手からこぼれ落ちている。今回は搭載されるハンディウェイトの差によって、各チームの戦闘力に変化が見られるため、どちらかといえば、ウェイトが軽いチームがより優位に立てるはず。装着するタイヤにもよるだろうが、SUGOの決勝で目の覚める走りをしたことが記憶に新しいNo.19 WedsSport ADVAN RC F(関口雄飛/国本雄資組)など、まずは予選で上位ポジションを狙っていきたいところだ。
■GT-R勢はRCFの躍進阻止なるか
ホームサーキットの富士でレクサス RCFが未勝利、という「七不思議」のようなものがある一方、快進撃続きなのが、日産GT-R勢といえるだろう。第1、第2戦こそNo.1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)が2連勝を飾ったが、第3戦は予選タイムアタックでQ1敗退。しかもアタック中にコースアウトするという思い掛けない幕引きに、他のGT-R勢も追随したかのように全車がQ2進出を果たせなかった。まさに「ニッサン・ショック」的ハプニングだったが、決勝では別のハプニングを味方につけたのは、ある1台のGT-Rだった。それが、No.24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹/柳田真孝組)だ。路面コンディションにマッチしたタイヤ、そしてルーティンワークのピットインでは補給とドライバー交代だけに留め、タイヤは無交換でレースを敢行。ライバル勢を出し抜く戦略が見事にハマり、およそ1年ぶりに優勝を達成した。結果、シーズン開幕からGT-R勢は3連勝を実現。この富士では、まだウェイトが軽い他のGT-R勢が、新たな勝ち名乗りを上げようと目論んでいる。
さらにそれを実証するのが、富士におけるGT-R勢の活躍だ。これまでの戦いをたどると勝率が高く、今回はNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)がその第一候補になるのではないか。前回第2戦では、トップを快走しつつもチェッカーを前にしてトラブル発生、涙を飲んだ。以降、上位での戦いが実現せず、現時点でのウェイトはGT-R勢最少の14kgに留まっているだけに、まっさきにリベンジを狙ってくることだろう。
■GT300は今度こそ、FIA GT3が躍進!?
パワーサーキットに区分される富士で、クルマのパフォーマンスを最大限引出せるのは、FIA GT3勢。単純に考えても強みを発揮できるのは、前回の富士戦で上位の成績を収めた車両を筆頭に、ハンディウェイトが少ないFIA GT3勢らの可能性が高い。一方で、ランキング上位にいるJAF GT勢は搭載ウェイトが重く、富士の特性をカバーする走りを期待するのは正直難しい。とはいえ、夏の一戦ゆえの突発的な“何か”が、筋書きのないドラマを生み出すかもしれない。いずれにせよ、シーズン後半に向けての流れを作り出す注目の一戦になるはずだ。
■主なタイムスケジュール
8月6日(土)
07:00 – 07:45 オープンピット
08:50 – 10:35 公式練習
08:50 – 10:15 : GT500 & GT300
10:15 – 10:25 : GT300
10:25 – 10:35 : GT500
10:45 – 11:00 サーキットサファリ
11:50 – 12:30 ピットウォーク
14:25 – 15:00 ノックアウト予選_Q1
14:25 – 14:40 : GT300
14:45 – 15:00 : GT500
15:10 – 15:42 ノックアウト予選_Q2
15:10 – 15:22 : GT300
15:30 – 15:42 : GT500
17:45 – 18:35 GTキッズウォーク
8月7日(日)
09:00 – 09:30 フリー走行
11:15 – 12:15 ピットウォーク
12:05 – 12:55 ウォームアップ走行、スタート進行
14:35 – 決勝レース(66Laps)
18:05 – 18:45 コースウォーク