10月9日、タイ・ブリラム県に位置するチャン・インターナショナル・サーキットにおいて、2016年SUPER GT第7戦タイ戦・決勝レース「BURIRAAM SUPER GT RACE」が行われた。前日の予選で、自身初のGT500ポールポジションを手にしたNo.19 WedsSport ADVAN RC F(関口雄飛/国本雄資組)が決勝でも快進撃を見せる活躍。盤石なレース運びで圧巻の独走。関口・国本コンビによる悲願の初勝利を達成した。
前日より格段に強い日差しが照りつけた決勝日。朝のフリー走行からじりじりと暑さを感じる天気となり、その後、気温・路面温度は午後3時からの決勝に向けて上昇傾向が見られた。そんな中、19号車は関口がクリアスタートを決め、オープニングラップからトップを快走。緩急をついた走りで後続車との差をぐんぐんと広げていく。10周を過ぎると2位との差は5秒以上となり、改めて速さ、強さをアピールするレースをしてみせた。
一方、19号車に喰らいつこうと意地を見せたのが、予選3番手スタートのNo.12 カルソニックIMPUL GT-R。スーパーフォーミュラでは僚友のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラが2位をキープ、3番手には、予選2位のNo.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTの武藤英紀が続いた。
32周目、快走中の関口に異変が起こる。急に挙動が乱れ、走行ラインが不安定に。実は左リアタイヤがバーストしており、交換が必要な状態になっていたのだ。幸い、最終セクションでのハプニングだったことで、そのまま関口はピットへとダイブ。待ち受けたスタッフも迅速にルーティンワークをこなし、関口から交代した国本を送り出した。大きなタイムロスもなく、コースへと復帰した19号車に対し、アンラッキーだったのが12号車。トップ争いの中、一番最後のピットインとなった12号車だが、作業中、ウィンドシールがうまく剥がれないというハプニングが発生! その作業をサポートしようとドライバーのオリベイラが残るシールを剥がしたが、すでに燃料補給が始まっており、これがピット作業違反の対象となってしまう。結果、50周目を目前にした12号車にはドライブスルーペナルティが科せられることになり、ポジションダウンに甘んじた。
これにより、19号車は独走状態。2位に浮上した15号車との差は20秒強と安泰だったが、今度はGT300とGT500が入り乱れての接触が発生。黄旗区間が発生し、またレース終盤ということもあり、19号車がタイヤマネージメントの走りへとスイッチしたことでトップ2台の差が縮まった。とはいえ、2位を走る15号車の牧野任祐は、今回がGT500での初レース。必死にプッシュするも、さすがにトップの背後につけるまでには至らず。しかしながら、15号車として最高位の結果を導く大役を果たすことになった。3番手に入ったのは、No. 6 WAKO’S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組)。予選6番手のスタートから序盤はタイヤマネージメントで若干苦しいレース展開を見せていたが、ライバル勢の脱落、その後の安定感ある走りで3位表彰台をもぎ取っている。なお、今シーズン好調だったGT-R勢だが、今回、12号車の4位が最上位となり、初めて表彰台を逃すことになっている。
一方のGT300クラス。ポールポジションからスタートしたNo.25 VivaC 86 MCの土屋武士が、スタート直後の2コーナーで、予選2位のNo. 3 B-MAX NDDP GT-Rのヤン・マーデンボローに先行を許す形で幕を開けた。さらに予選3番手のNo. 0 GAINER TANAX GT-Rのアンドレ・クートにも逆転を許し、3番手で周回を重ねていく。まず、23周を終えた3号車がピットイン。タイヤ交換を含むルーティンワークを行い、コースに復帰。一方、0号車は最終コーナーでGT500ら多くの車両の大混乱の中に巻き込まれ、接触を起こしてダメージを負うことに。そして25号車は26周終わりでピットインすると、タイヤ交換はせず、ドライバー交代と燃料補給だけでコースに復帰。ライバル達とは作業内容でタイムを稼ぐ作戦に出た。結果、25号車がトップを奪還。そこに25号車同様、タイヤ無交換を敢行したNo.18 UPGARAGE BANDOH 86(中山友貴/山田真之亮組)が2位まで浮上していたが、GT500とGT300が混戦する中で多重クラッシュに巻き込まれ、万事休す! 表彰台を取り逃すこととなった。これにより、25号車との直接対決に再び挑んだ3号車だったが、惜しくもあと一歩及ばず。25号車が荒れたレースを勝ち抜き、初優勝を果たしている。
■第7戦タイ 決勝結果
・GT500(TOP6)
1. No.19 WedsSport ADVAN RC F(関口雄飛/国本雄資組)1:37’58.745 66Laps
2.No.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀/牧野任祐組)+2.917
3.No. 6 WAKO’S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組)+17.583
4.No.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)+24.166
5.No.64 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組)+26.506
6.No.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/小暮卓史組)+26.703
GT300(TOP3)
1.No.25 VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允組)1:38’15.820
2.No. 3 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ヤン・マーデンボロー組)+1.189
3.No.55 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組)25.879

第7戦を迎えた今シーズンのSUPER GT。日本を離れ、タイの東北部・ブリラム県にあるチャン・インターナショナル・サーキットでの開催を迎えた。薄曇りながら湿度の高いコンディションの中で行われた予選では、朝から好調だったNo.19 WedsSport ADVAN RC F(関口雄飛/国本雄資組)がコースレコードを更新してポールポジションを獲得。関口、国本両コンビによる初ポールを手にすることとなった。
10月8日に行われた予選。前夜遅くから雨が降り、翌朝雨は上がったものの、サーキットはセミウェット状態。まず最初に行われた公式練習は、急激に気温、路面温度とも上昇するタフなコンディションとなった。そんな中、まずNo.19 WedsSport ADVAN RC F(関口雄飛/国本雄資組)がトップタイムをマーク。予選に向けて好スタートを切った。これに1000分の6秒差でNo.24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹/柳田真孝組)が続き、ともにアドバンタイヤを装着する2台が躍進を見せた。
午後に入り、次第に薄曇りの空が広がり始めたサーキット。日差しはないものの高い湿度に重い空気が流れ始める。スコールの可能性もあるため、セッション中はいつもよりやや早めにアタックを開始する姿が見られた。まずQ1でトップタイムをマークしたのは、No. 6 WAKO’S 4CR RC Fの大嶋和也。これにNo. 8 ARTA NSX CONCEPT-GTの野尻智紀、さらにNo. 8 ARTA NSX CONCEPT-GTの平川亮が続く一方、シーズンを通して好調なGT-R勢はその後方に留まっていた。
Q1よりもさらに気温、路面温度が下がったQ2。ここで会心のアタックを披露したのが、19号車の関口だった。SUPER FORMULAで今季ただひとり2勝目を挙げ、勢いに乗っている関口。朝の公式練習で得ていた手応えをそのまま走りに反映させるパフォーマンスを見せ、トップタイムをマーク。コースレコードも更新する文句ナシの仕事をやってのけた。2番手に続いたのは、No.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTの牧野任祐。オリバー・ターベイに代わり、GT500へと大抜擢されたルーキーが大役を果たすこととなった。3番手はNo.12 カルソニックIMPUL GT-R。Q1を8番手ギリギリで通過したものの、Q2ではジョアオ・パオロ・デ・オリベイラが渾身の一発を披露。今季2勝目実現に向けて、好位置につけている。
一方のGT300クラス。No.25 VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允組)が公式練習から安定した速さを見せていたが、Q2でもその力走は変わらず。Q1こそ4番手に甘んじたが、きっちり帳尻を合せ、クラスポールを手にすることとなった。
・第7戦タイ 予選結果
GT500(TOP6)
1. No.19 WedsSport ADVAN RC F(関口雄飛/国本雄資組)1’24.307
2.No.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀/牧野任祐組)1’24.340
3.No.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)1′24.466
4.No. 8 ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮/野尻智紀組)1’24.483
5.No.46 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山 哲/千代勝正組)1’24.593
6.No. 6 WAKO’S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組)1’24.462
GT300(TOP3)
1.No.25 VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允組)1’32.102
2.No. 3 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ヤン・マーデンボロー組)1’32.797
3.No. 0 GAINER TANAX GT-R(アンドレ・クート/富田竜一郎組)1’32.949
