2015年11月16日
SUPER GT第8戦ツインリンクもてぎ、No.37 KeePer TOM’S RC Fが今季2勝目!
決勝を迎えたSUPER GT第8戦。前日からの雨が残り、午前9時にスタートしたフリー走行もウェットコンディションでのセットアップが続いた。一方で、思いの外気温が高く、コース上の場所によっては霧が発生する不安定な天候となる。決勝もこのままウェットでの決戦になるかと思われたが、お昼を前に雨が上がり、決勝がスタートするや日差しが照りつける天気へと激変。その慌ただしい状況を味方につけて勝利をさらったのは、ポールポジションからスタートを切ったNo.37 KeePer TOM’S RC F(アンドレア・カルダレッリ/平川亮組)だった。
フリー走行が終わり、雨が止んだもてぎ上空。このままスタートが切られれば、決勝中コース上の雨量が減り、レインタイヤからドライタイヤへと交換する可能性が格段高まる。しかしレースウィーク中まだ一度も装着していないドライタイヤでのバトルを繰り広げるには不安要素も多い。結果、決勝直前のウォームアップ走行が通常よりも10分延長されることになり、各チームとも変化するコンディションに合わせたクルマ作り、タイヤ選択に頭を悩ませた。
決勝直前、パレードラップが始まると、待ってましたとばかりに強くまぶしい日差しがもてぎのコースを照りつけた。そのままフォーメーションラップに入り、53周にわたるレースがスタート。高い水しぶきをあげて各車1コーナーへと向っていく。ポールポジションスタートのNo.37 KeePer TOM’S RC Fがトップを死守。その背後では激しいポジション争いが繰り広げられたが、中でも逆転チャンピオンを狙うNo.38 ZENT CERUMO RC Fの立川祐路、そしてNo.12 カルソニックIMPUL GT-Rのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラが激しい攻防戦を展開。38号車が一旦逆転を決めて先行したが、ルーティンワークのドライバー交代後、石浦宏明が痛恨のコースアウト。レース復帰は果たせたが、12号車をはじめライバル達に逆転を許してしまった。
一方でタイトル争いでガチンコバトルを見せた12号車とNo. 1 MOTUL AUTECH GT-R。12号車が36.9秒という好タイムでオリベイラから安田へとチェンジ、コースに復帰したが、その翌周にピットへ戻った1号車は33秒という驚異的な最速タイムでクインタレッリから松田へとステアリングが委ねられた。結果、1号車は12号車のみならず、セッション前半は前を走っていたNo.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTをも逆転。実質2番手の順位を確保し、後半戦に突入した。
その直後、GT500とGT300の車両が接触し、破損したパーツがコース上に散乱するアクシデントが発生。セーフティカーが5周にわたって周回したことから、各車のタイム差が消失。それぞれ1秒を切る僅差でのポジション争いが加熱する。2番手から1号車の松田はトップを守っていた37号車の平川を果敢にプッシュ。幾度かポジションが入れ替わるシーンが見られた。だが、37号車の平川も負けじと応戦。最終コーナーでオーバーランし、トップどころか3番手までポジションを下げるハプニングも跳ね除け、再びトップ争いに加わり、43周目のヘアピンで逆転に成功。このまま最後までトップを死守し、チェッカー!。開幕戦以来となるシーズン2勝目を挙げることになった。
一方、タイトル争いでは1号車が2位入賞を果たしたことから、シーズンチャンピオンを逆転で獲得。松田とクインタレッリのコンビで2シーズン連続戴冠を達成した。シーズン中、ランキングトップにつけていた12号車はレースを4位で終了、ランキング2位に終わっている。
GT300は予選でトップに立ったNo.31 TOYOTA PRIUS apr GT、さらには予選3番手スタートのNo. 0 グッドスマイル 初音ミク SLSが攻防戦を展開するかと思いきや、31号車が序盤から早くも独走体勢を確立、逆に0号車は予選2位のNo.11 GAINER TANAX SLSとメルセデス決戦に多くの時間を割くことになった。
快走を続ける31号車はその後も安泰のレース展開。多くのライバルたちがルーティンワークを済ませる中、そのタイミングを後に延ばして様子見する。だが、ここで思わぬハプニングが。GT500とGT300の接触によるSCランだ。これでタイミングを逃したことで一度は勝利が手からこぼれ落ちたに思われた。事実、待ちわびたルーティンワークを終えてコース復帰を果たすとポジションは4位まで下がっていた。だがしかし、序盤からの速さを武器にまたしてもライバル達を圧倒。瞬く間にトップを奪還する。終盤に入ると、2番手を手にしていた0号車の猛追に苦しんだが、もてぎのコースレイアウトを味方にトップを死守し、このままチェッカー。開幕戦岡山以来となるシーズン2勝目を手にした。
第8戦ツインリンクもてぎ 決勝結果
GT500(TOP6)
1.No.37 KeePer TOM’S RC F(アンドレア・カルダレッリ/平川 亮組)53周 1:43’10.687
2.No. 1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)+0.591
3.No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)+1.389
4.No.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)+1.630
5.No.38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組)+3.112
6.No.39 DENSO KOBELCO SARD RC F(平手晃平/ヘイキ・コバライネン組)+4.375
GT300(TOP3)
1.No.31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一組)50L 1:44’47.407
2.No. 0 グッドスマイル 初音ミク SLS(谷口信輝/片岡龍也組)+0.976
3.No.11 GAINER TANAX SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組)+1Lap
2015年ドライバーランキング
GT500(TOP6)
1.No. 1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)79点
2.No.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)74点
3.No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)60点
4.No.38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組)59点
5.No.37 KeePer TOM’S RC F(アンドレア・カルダレッリ/平川 亮組)56点
6.No.46 S Road MOLA GT-R(本山 哲/柳田真孝組)50点
GT300(TOP3)
1.No.10 GAINER TANAX GT-R(アンドレ・クート)94点
2.No.10 GAINER TANAX GT-R(千代勝正)74点
3.No.31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一組)69点
2015年11月15日
SUPER GT第8戦もてぎ、No.37 KeePer TOM’S RC Fが今季2度目のポールをゲット!
ついに今シーズンのファイナルラウンドを迎えたSUPER GT。8戦目となる最終の舞台は栃木・ツインリンクもてぎが舞台となる。わずか2週間という短いインターバルを挟み挑むこととなったもてぎの予選は雨の一日となった。ストップ&ゴーのレイアウトを持ち、パッシングポイントも少ないと言われるもてぎでは、予選で少しでも前のポジションを手にすることが決勝で強いレースをすることへとつながる。それだけに雨という不確定要素を多く含んだ予選アタックでは、悲喜こもごものドラマを生むことになった。そんな中、ポールポジションを手にしたのは、No.37 KeePer TOM’S RC F(アンドレア・カルダレッリ/平川 亮組)。Q2に出走した平川が絶好のタイミングでアタックを快走。開幕戦・岡山に続く、今季2度目のトップタイムをマークすることに成功している。
雨とはいえ、さほど寒さは感じないもてぎ。終日気温は11~13度、路面温度は13~16度と思ったほど低くならなかったことから、雨量に合わせて時折霧が出て視界の確保が充分でなくなることもあった。その中で、各チームともウェットコンディションのセッティング調整に余念がない状態だった。まず朝の公式練習でトップタイムをマークしたのは、No.64 Epson NSX CONCEPT-GT。小雨での強みを持つダンロップタイヤをうまくコントロールした中嶋が、ポテンシャルを引き出すことに成功した。
午後に向けて一旦雨脚も弱まったものの、依然としてサーキットは雨模様。午後2時にスタートしたGT300クラスからのQ1アタックでは小雨のコンディションを保っていたが、Q2に向う頃には次第に本降りへ。こうなると、コースインのタイミングひとつとってもチームにとっては重要な問題となる。タラ・レバは禁物とはいえ、どのタイミングでコースインしタイムアタックしたかによって、結果に明暗が分かれることとなった。朝から安定した速さを見せていた64号車も中嶋が着実にトップタイムへと標準を合わせてきたが、それを上回ったのが37号車の平川。負けじとラストアタックで64号車の中嶋も自己ベストタイムをマークする。が、0.125秒差でトップ奪還はならず。結果、37号車が今季2度目のポールポジション獲得に成功した。
一方、GT300クラスはNo.31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一組)が朝から安定した速さをキープ。ライバルたちも果敢に攻めの走りで脅かそうとするも、叶わず。GT500同様、こちらも開幕戦以来となる今季2度目のポールポジションを手にした。
第8戦ツインリンクもてぎ 予選結果
GT500(TOP6)
1.No.37 KeePer TOM’S RC F(アンドレア・カルダレッリ/平川 亮組)1’49.738
2.No.64 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組)1′49.863
3.No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)1’49.981
4.No.36 PETRONAS TOM’S RC F(伊藤大輔/ジェームス・ロシター組)1’50.023
5.No.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)1′50.256
6.No.38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組)1’50.317
GT300(TOP3)
1.No.31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一組)2’00.602
2.No.11 GAINER TANAX SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組)2’02.566
3.No. 0 グッドスマイル 初音ミク SLS(谷口信輝/片岡龍也組)2’02.752
2015年11月12日
SUPER GT第7戦オートポリス プレビュー
ついに2015年度の王者が決定。その瞬間を見逃すな!
11月もまもなく中旬を迎えるとあって、朝晩の冷え込みはもちろんのこと日中に吹く風もどこかしら冷たくなってきた今日この頃。SUPER GTはいよいよ最終決戦を迎えることになった。11月14-15日、栃木・ツインリンクもてぎで開催されるSUPER GT第8戦では、ついに今シーズン最強のドライバーが決定する。
最終戦はノーウェイト・ガチンコバトル!
前回のオートポリス戦からわずか2週間。慌ただしい中で最終戦を迎えることになった今回がいよいよ最終決戦。まもなく火蓋が切られることになる。レギュレーションに則り、前回まではシーズンを通して得たポイントがハンディウェイトとして車両に搭載されてきたが、このもてぎはこれまでのウェイトをすべて降ろし、開幕戦以来となるノーウェイトでの一戦となる。一方でクルマはシーズンを通してさらなる進化を遂げており、1年の総括戦にもなるのがこのもてぎだ。季節を考慮すると気温や路面温度が低くなり、持ち込んだタイヤの性能をうまく引き出すことも問われる。ウェイトは無くなったものの、バランスのよいクルマに仕上がっているかどうかが戦いにおいて大きなキーポイントになるのは言うまでもない。
また、もてぎのコースレイアウトを考えると、特色あるサーキットでの戦いはやはり難しいというもの。ちなみに前回のオートポリスでは、タイヤへの攻撃性が高いレイアウトに加え、車両の搭載ウェイトの問題さらには低い路面温度など様々な要因が交錯。チームによっては本来の実力を思うように発揮できずに終わったところもあった。もてぎはタイヤのピックアップ問題はオートポリスほど起らないと考えられているが、ストップ&ゴーというレイアウトが各メーカーのクルマとの相性に影響がある模様。加速と減速の繰り返しでブレーキへの負担が増加するため、GT500においてはライバルよりも元々の車重が重いHonda勢にとって不利になるのではないかという声も聞こえる。いずれにせよ事前に万全の態勢を作れるか否か、まずは土曜日朝の公式練習における各車のポジション争いに注目だ。
僅差でのタイトル争い
現時点でランキングトップを行くのは、No.12 カルソニックIMPUL GT-R。そしてそれを僅か2ポイント差で追随するのがNo.1 MOTUL AUTECH GT-R。タイトル争いの可能性は6チームあるが、ランキング3位以降がタイトル獲得を達成するには、上位2台がノーポイントでレースを終えない限り実現しない、いわば“他力本願”が前提となる。もちろん、自身が優勝することが大前提となる。ちなみに、シーズン中盤にはランキングトップに踊り出て、その後トップを死守し続けた12号車だが、なんと今シーズンまだ1勝も挙げていない。これまでの7戦中4戦で表彰台に上がってはいるが、ここまで未勝利のままポイント重ねてこの地位についている。一方、2番手の1号車はというと、今シーズン第2戦富士そして前回の第7戦オートポリスで勝利し、勝ち星は2つ。仮にもてぎの結果によって12号車と1号車が同じポイント数になれば、優勝回数を優先するルールに則り、1号車にタイトルが転がり込むことになる。
実のところ、前回のオートポリスでは決勝直前まで12号車がダントツの速さ、強さを見せており、当然のことながら決勝でも一番勝利に近いポジションで周回を重ねていた。中でも12号車のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラは、フォーミュラレースでのタイトルは保持しているものの、SUPER GTでは無冠。彼自身、GTでの戴冠に望みを抱いており、だからこそオートポリス戦で是が非でも優勝するのだという強い気持ちをアピールし続けていた。だがレース後半、12号車は1号車との攻防戦に巻き込まれ、接触を伴う壮絶なバトルの末にトップを奪取されてしまう。結果、1号車がシーズン2勝目を挙げることとなり、2位に甘んじた12号車は悔し涙に濡れた。
今回、たかが2点されど2点の僅差の決着は、決勝での結果次第。シンプルに1位でレースを終えれば、いとも簡単に決着がついて自動的にチャンピオンの座が手に入るため、タイトルを巡るガチンコバトルが激しく繰り広げられることになるだろう。その壮絶戦を有利にするためには、まず予選での好順位が必須。もともとGT-Rはもてぎのコースを得意とするが、抜きどころも少ないレイアウトゆえ、まずは予選からライバルをしっかり牽制しなければならない。たとえティル・トゥ・ノーズの展開になったとしても、後方車両が勢いをつけて逆転を果たすのは、そう容易いことではない。ライバルのミスなど、多少の運も必要になってくる。さまざまな要因をうまく駆使して戦いをリードする強さが問われることになるだろう。
タイトルが決定済みのGT300はランキング競争へ
今シーズン、安定していい波に乗り続けてきたNo.10 GAINER TANAX GT-R。前回のオートポリスでは予選で出遅れたものの、ハプニングが多発した戦いを粘り強く走破。2位でチェッカーを受けたことにより、メインドライバーのアンドレ・クートが最終戦を待たずしてドライバーズタイトルを獲得。併せてチームタイトルも手にする結果に終わった。このようにチャンピオン争いは決着がついたものの、ランキング争いは当然継続中。加えて、年間最多勝利を狙うチームが10号車とNo.3 B-MAX NDDP GT-Rの2台となり、こちらの行方が気になるところだ。3号車は第3戦タイと前回のオートポリスで勝利しており、終盤に入って再び波に乗っている。奇しくもGT500同様、GT300もGT-R勢同士の戦い。果たしていかなる展開が待ち受けるのか、大いに期待がかかる。
主なタイムスケジュール
11月14日(土)
06:50 – 07:35 オープンピット
08:50 – 10:35 公式練習
10:45 – 11:00 サーキットサファリ
11:45 – 12:30 ピットウォーク
14:00 – 14:35 ノックアウト予選_Q1
14:00 – 14:15 : GT300
14:20 – 14:35 : GT500
14:45 – 15:17 ノックアウト予選_Q2
14:45 – 14:57 : GT300
15:05 – 15:17 : GT500
16:20 – 16:50 GTキッズウォーク
11月1日(日)
09:00 – 09:30 フリー走行
10:45 – 11:45 ピットウォーク
13:40 - 決勝 53Laps
15:30 – 16:30 グランドフィナーレ
15:55 – 16:40 コースウォーク