SUPER GT 2025 Round3 - イベント・レースレポート

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SUPER GT 2025 Round3

2025年6月29日

12年ぶりのセパン戦、申し分のない戦略を味方にしたNo.37 Deloitte TOM’S GR Supraが今季初勝利達成


6月28日、マレーシアのセパンインターナショナルサーキットでSEPER GT第3戦「SUPER GT MALAYSIA FESTIVAL2025」の決勝レースが行なわれた。2013年以来となる復帰戦では、予選4番手スタートのNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)が見事な戦略を味方につけ、レース後半にトップを奪取。その後もペース良く走り切り、今シーズン初優勝を果たした。
 

今回の決勝は300kmでの戦い。しかし、亜熱帯地方の天候を加味して国内戦よりも遅い午後4時30分にスタートを切った。気温33度、路面温度42度のなかで55周の戦いが始まると、まずは前日の予選でポールポジションを手にしたNo.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)が順調にトップをキープしたまま周回を重ねていく。しかし、ペースが落ち始めたのを機に予選2番手のNo. 8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)が9周目に逆転に成功すると、そのままリードを広げて21周終わりにピットイン。ルーティン作業を済ませ、コースに復帰した。
 

8号車のピットインの前後で同じくドライバー交代するチームも多く、22周終了時点でピット作業を終えていないGT500クラス車両は残り5台。互いを牽制するようにピットインのタイミングを伺うなか、GT500車両で一番最後に作業を行なったのが37号車だった。37号車は32周終わりでピットインするも、前半スティントで相当な燃費走行をしていた模様。実に手際よく、また素早く作業を済ませてコースへ復帰。すると、アウトラップでもひと足先にピットインしていたライバルたちを押さえ切り、再びトップでレース復帰を果たした。
 

一方、比較的早めにピットインしていた8号車は、37号車のピットインをもって名実ともにトップへ躍り出ると予測されたが、実際には37号車に先行を許して2番手に。さらに、フレッシュなタイヤを装着する37号車との差は周回ごとに広がるばかり。逃げる37号車対して8号車も奮闘したが、逆転までには至らない。結果、37号車がチーム一丸で取り組んだ戦略を成功させてシーズン初優勝を達成。8号車は2位に甘んじたが、今シーズン初の表彰台に上がっている。続いてNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)が3番手でチェッカーを受けたが、レース中の攻防戦での他車への接触がペナルティの対象となり、タイムペナルティとしてレース結果に10秒が加算されることになり、6位にポジションを下げた。代わって3位に浮上したのは、No. 12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)。結果、12年ぶりのセパン戦の表彰台は、SUPER GTに参戦する3メーカーが仲良く表彰台を分けることとなった。
 

一方のGT300クラスは、予選でポールポジションを手にしたNo.18 UPGARAGE AMG GT3(小林崇志/野村勇斗)が好スタートを切るも、その背後から予選2番手のNo.52 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太)が果敢な攻めを披露し、オープニングラップでトップを奪ってみせる。
 

52号車は安定感ある速さを武器にクラストップを快走。だが、ルーティンのピット作業中、タイヤ交換でホイールナットが外れてコース上に転がるというミスが発生。これで築き上げたマージンが水泡に帰すことに。このタイムロスによって、再び18号車がクラストップを奪還した。その後も18号車の勢いは衰えることなくトップを死守。一方、ピット作業のハプニングで予定外の時間を要した52号車が、コース復帰を果たすと怒涛の追い上げ。レース序盤に築いた大量マージンにも助けられ、2番手で18号車の背中を追い続けた。これにより、終盤は再逆転の可能性も残しながらの激走となったが、惜しくも逆転までには至らず、18号車が逃げ切って今シーズン初優勝を遂げている。
 

なお18号車の小林は、前回のセパン戦(2013年)でも勝利しているため、12年越しの連勝を果たしたことに。また、コンビを組む野村は今シーズンからGT300に参戦するルーキー。参戦3戦目にして優勝を果たすこととなった。2位の52号車に続いたのはNo. 4 グッドスマイル 初音ミク AMG。今回はレギュラードライバー(谷口信輝、片岡龍也)がスパ・フランコルシャンでの24時間参戦のため欠場したが、ベテラン中山友貴とSUPER GT初参戦の奥本隼士がノーミスで戦い抜き、3位表彰台を手にする活躍を見せた。
 

海外戦を終えたSUPER GTは、再び日本へと戦いの舞台を移す。次戦第4戦は、今シーズン2回目の開催を迎える富士スピードウェイ。8月上旬の一戦は、土曜、日曜にそれぞれスプリント形式でのスプリントレースを行なう。初の試みとなるだけに、どのようなドラマが待ち受けるのか、期待したい。
 

第3戦セパン:決勝結果(各クラストップ3)

・GT500
1.No.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)1:48’01.698 55周
2.No. 8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)+19.046
3.No. 12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)+23.582
 

・GT300
1.No.18 UPGARAGE AMG GT3(小林崇志/野村勇斗)1:49’02.023 51周
2.No.52 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太)+0.933
3.No. 4 グッドスマイル 初音ミク AMG(中山友貴/奥本隼士)+34.298
 



2025年6月28日

第3戦マレーシア・セパン、ポールポジションはNo.19 WedsSport ADVAN GR Supraが獲得


6月27日、マレーシア・セパンインターナショナルサーキットにおいてSUPER GT第3戦の予選が行なわれた。12年ぶりの開催となるなか、GT500クラス15台と、ワイルドカードの2台を含むGT300クラス19台の計34台が参戦し、GT500では、No.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)が今シーズン初となるポールポジションを手にしている。
 

2014年から2019年までの5年間、タイで海外戦を実施してきたSUPER GT。2020年からは再びその舞台をマレーシアのセパンに移す計画だったが、コロナ禍で中止に追い込まれていた。それがようやく復活を遂げたことで、2013年以来、12年ぶりのSUPER GTを開催された。
 

GT500クラスはオフシーズン中にテストを実施しているが、季節的にも異なるため、不確定要素の多い戦いになることが予想されたが、そのなかで安定した速さを披露したのが19号車だった。
 

セパンでは、通常よりも走行セッションを増やし、まず開催初日の木曜日午後にに1時間半の公式練習を実施。ここでトップタイムをマークしたのはNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)。続く金曜日午前の公式練習では、No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)がトップタイムをマークしたが、午後の予選で気を吐いたのが19号車だった。
 

気温33度、路面温度40度と日本の夏のレースと似通ったコンディションでスタートした公式予選。まずはGT300クラスのQ1が2組に分けて行なわれ、その後、GT500クラスのQ1が始まった。まず最初にトップタイムを刻んだのは、100号車だったがチェッカーが振られるなかでトップに立ったのはNo.17 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/小出峻)。だが、その後、1分50秒856をマークした19号車がトップを奪取した。一方、快調をアピールしていた100号車は最終的に11番手となり、Q2進出を逃している。
 

Q2を迎える頃には気温31度、路面温度38度と若干数値も下降をたどり、いよいよセパンでのポールポジション獲得を目指して上位10台が出走を始める。
 

そんななか、2回目の公式練習でトップタイムをマークしていたNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)に車両トラブルが発生。白煙を出しながらコースサイドにクルマを止めてしまう。結果、セッションは赤旗中断となり、39号車を除く残り9台は気持ちを入れ替えて再びアタックモードへと突入した。
 

各車、チームベストを刻みながらタイムを講師。チェッカーが振られるなかでトップにつけていたのはNo.64 Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき)。これにNo. 3 Niterra MOTUL Z(佐々木大樹/三宅淳詞)、No.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)と続いたが、なおも自己ベストタイムを更新する車両が後を絶たず、そのなかですべて区間タイムで最速ラップをマークしたのが19号車だった。1分49秒748と大幅にレコードラップを更新して文句なしのトップタイムをマーク。19号車にとってはシーズン初のポールでもあった。
 

日本から17台、地元マレーシアのワイルドカード参戦車両2台の計19台が出走してポールポジションを競ったGT300クラス。まず、10台が出走したQ1・A組では、ワイルドカード参戦のNo.611 EBM GIGA 911 GT3がトップタイムをマークして見せる。一方、Q1・B組は、No.87 METALIVE S Lamborghini GT3がトップ通過を果たした。
 

Q2にはA、B両組の上位6台、計12台が出走。10分のセッションの残り1分を切ってから多くの車両が続々とタイムを更新し、そのなかでNo.18 UPGARAGE AMG GT3がトップタイムとなる2分02秒110をマークし、シーズン初のクラスポールに輝いた。なお、アタックを担当したのはルーキーの野村勇斗。初セパンはもとより、SUPER GT3戦目ながら、大きな金星を手にしている。
 

翌日の決勝も予選開始同様に、午後4時30分を予定。55周の戦いは亜熱帯の暑さを伴い、また不確定要素の多いタフな一戦になりそうだ。
 

第3戦セパン:予選結果(各クラストップ3)

・GT500
1.No.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)1’49.748
2.No. 8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)1’50.350
3.No.64 Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき)1’50.388
 

・GT300
1.No.18 UPGARAGE AMG GT3(小林崇志/野村勇斗)2’02.110
2.No.52 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太)2’02.475
3.No. 0 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)2’02.603



2025年6月23日

SUPER GT 第3戦マレーシア プレビュー


タイからマレーシアへ。第3戦はセパン開催
 

ゴールデンウィークのなか開催された第2戦富士から2ヶ月近く経つなか、ようやく第3戦を迎える今年のSUPER GT。なんとこの度は日本を離れてマレーシアへ。かつてF1GPも開催されたことがあるセパン・インターナショナル・サーキットが戦いの舞台となる。シーズン序盤の締めくくりとも言える一戦だが、いつも以上に不確定要素が多くなりそうだ。
 

シリーズ戦開催は12年ぶり

SUPER GTではコロナ禍前まで海外でのレースを行なっており、2014年から2019年まではタイのチャーン・インターナショナル・サーキットで開催されていた。しかし、コロナを機に状況が一転。今年、ついに6年ぶりとなる海外戦が復活することになった。一方、その場所もタイからマレーシアへと”お引越し”。実のところ、タイで開催する前は、ここセパンが舞台であったため、SUPER GT開催は実に12年ぶりとなる。
 

初開催は2000年。当時はまだSUPER GTではなく、全日本GT選手権だったころ。2000、2001年はエキシビションレースという形で実施され、2002年からシリーズ戦に組み込まれるようになった。一方、2003年にはアジア圏で広まったSARSの感染拡大のあおりを受け、開催はキャンセルされることもあった。だが、2004年には復活を遂げ、2013年までの10年間は熱戦が繰り広げられた歴史を持つ。
 

F1開催サーキットだけに、コースを設計したのはサーキットの設計者として著名なヘルマン・ティルケ氏であり、富士スピードウェイも手掛けたことでも知られる。スタンドを挟んでV字型に配された2本の直線が印象的なレイアウトで、中高速コーナーが多いテクニカルコースだ。コース全長も約5.6kmと長い方。GT500クラス車両はオフシーズンにタイヤ開発テストで走り込んでおり、サーキット走行未経験者はいない。だが、SUPER GTでの一戦が12年ぶりともなると、実戦は初めて、というドライバーもいるだけに、酷暑のなかでウェイトを搭載した車両を操り、かつGT300クラスとの混走をどうマネージメントするのかが見ものに。いち早く適応できることが求められる戦いとなるだろう。
 

キャリア豊富なドライバーの活躍に注目

12年ぶりの開催ながら、ここセパンと相性が良いドライバーもいるようだ。昨シーズンからNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zをドライブする松田次生は、ホンダ系ドライバーだったときからセパンと相性が良いドライバーだ。まだJGTCだった2002年、Mobil1 NSXを駆って優勝。その後、日産系ドライバーとなっても2010年と2013年にはカルソニックIMPUL GT-Rで勝利。3勝を誇る。そして、その松田が現在所属するKONDO RACINGは、セパンで2勝を挙げた実績があるため、松田とKONDO RACINGの強力タッグが今大会でいい結果を導き出す可能性もありそうだ。今シーズンの24号車は予選での速さを見せてきているが、今季は決勝での入賞がまだ一度もない。それだけに、このセパンで好成績を残してシーズン中盤に向けて弾みをつけたいところだろう。
 

GT300はシード権所有のチームが参戦

国内のレースと異なり、セパン戦では出走台数に制限が設けられている。これは現地サーキットのピット数が関係しているのだが、GT500クラスはフルエントリーの15台が参加するものの、GT300クラスはAシード権を所有する18台に出場権が与えられている。これにマレーシアのチームによるワイルドカード_いわゆる現地特別枠が2チーム分あるため、フルグリッドは35台となる。しかしながら、日本からGT300クラスで出場するのは17台。実は、5月13日に鈴鹿サーキットで行なわれたGTエントラント協会(GTE)主催の合同テストにおいてNo.20 シェイドレーシング GR86 GTが走行中に車両火災に見舞われ、車両い大きなダメージを負ったことから、参戦を取り消しているのだ。結果、セパンでは合計34台でのレースが行なわれる。
 

なお、現地参戦チームの2台は、No.333 EBM Vantage GT3とNo.611 EBM GIGA 911 GT3。チームドライバーはGTワールドチャレンジ(GTWC)のオーストラリアやアジアシリーズにも参戦する実力派ドライバーで、4選手のうち2選手がマレーシア出身で、あとはフランス人と中国人で編成されている。車両はSUPER GTでもおなじみのアストン・マーティン・バンテージGT3、ポルシェ911 GT3R。走りなれたセパンで日本からのSUPER GT車両とどのような攻防戦を繰り広げるのか、そのパフォーマンスにも注目したい。
 

GT500クラスでは、松田次生が現役ドライバーとして最多の3勝を挙げているが、GT300クラスにも”猛者”がいる。No.96 K-tunes RC F GT3をドライブする高木真一は過去2勝を挙げており、また、2013年にはポールポジションを手にしている。松田に劣らず相性の良さを活かして久々の復活戦で躍進を遂げたいところだ。
 

シーズン中盤戦に向けての重要な戦い

このマレーシア戦が終われば、車両は船便で日本への帰路につく。そして迎える第4戦の舞台は富士。第2戦と同じサーキットではあるが、レースのフォーマットはガラリと変わり、スプリントレース方式での実施となる。SUPER GTのシリーズ戦としては初めての試みとなる。サクセスウェイトやレースフォーマットが異なる中盤戦の戦いを前に、セパンでしっかりと結果を残し、チャンピオン争いにも食い込みたいところ。それゆえチーム一丸となってノーミスでの戦いを目指したい。未知数が多い上、熱帯雨林気候に属すなかで日中のスコールも珍しくはない。不確定要素がいつも以上に多く、緻密な戦略よりも、多くの引き出しから最適解をライバルより早く導くことが、好成績に繋がるのか。レースは筋書きのないドラマとよく言われるが、どのような大どんでん返しが起こるのか、はたまた出来すぎたストーリーになるのか。いずれにせよ、セパンならではのレース展開で盛り上がってくれることを楽しみたい。
 

なお、国内戦とはスケジュールが異なり、決勝スタートは土曜日の午後4時30分のため、日本でのTV観戦の際には、気を付けてほしい。
 

主なスケジュール

SUPER GT MALAYSIA FESTIVAL 2025
 
6月26日(木)
16:30〜17:30 公式練習(GT300+GT500)
17:30〜17:45 公式練習(GT300専有)
17:45〜18:00 公式練習(GT500専有)
18:10〜18:40 サーキットサファリ
 

6月27日(金)
10:30〜11:30 公式練習(GT300+GT500)
11:30〜11:45 FCYテスト
11:55〜12:25 サーキットサファリ
16:30〜16:40 公式予選Q1 GT300 A組
16:48〜16:58 公式予選Q1 GT300 B組
17:03〜17:13 公式予選Q1 GT500
17:23〜17:33 公式予選Q2 GT300
17:41〜17:51 公式予選Q2 GT500
18:05〜19:05 ピットウォーク
 

6月28日(土)
13:00〜14:50 ピットウォーク
15:10〜15:30 ウォームアップ
15:30〜16:30 スタート進行
16:30〜決勝 300km・55周





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