スーパーGT 2018 Round.4
おまたせ!No.39 DENSO KOBELCO SARD LC500が今季初勝利!
2018年 SUPER GT第4戦タイ「Chang SUPER GT RACE」の決勝を迎えたタイ・ブリラム県にあるチャン・インターナショナル・サーキット。7月1日に行われた66周の決勝レースは、予選3番手から逆転を果たしたNo.39 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/小林可夢偉組)が待望のシーズン初勝利を達成。速さと強さをしかとアピールする戦いを見せた。
決勝日は朝から雲ひとつない青空が広がり、気温もみるみるうちに上昇。気温32度、路面温度47度の中、午後3時に66周に渡る戦いの火蓋が切って落とされた。ポールポジションからスタートを切ったNo.16 MOTUL MUGEN NSX-GTだが、これを上回るスピードで背後に迫ったのが39号車だった。19周目にトップを奪うと、あっと言う間に後続を引き離しにかかった。これに対し、16号車はその後も後続の猛追に遭い、次第にポジションを下げていく。さらにはルーティンのピットインではドライバー交代時に開けたドアが閉まらず大きくタイムロス。これで勝機を完全に失うこととなった。また、16号車を含め、他のホンダ勢にも暗雲が立ち込めた。予選2位の17号車はペースアップに苦しみ、さらに5番手スタートの100号車はドライバー交代直後に2度目のピットイン。ステアリングを握っていた山本尚貴によると、大きな振動があり、クルマに不具合を感じたためだったというが、外的要因は見つからず。だが、イレギュラーピットインの代償は大きく、レース終了時にはトップから1周遅れでのチェッカーに甘んじることとなった。
レースは後半に入り、39号車が安定した走りでトップを死守。だが、その後方で逆転のチャンスをうかがっていたのがNo. 6 WAKO’S 4CR LC500。後半担当の大嶋和也が、トップをひた走る小林可夢偉を射程距離に捕らえ、何度かしかけるも逆転には至らない。逆にラインを乱した隙に差を広げてしまった。すると今度は予選10番手から着実にポジションアップしてきたNo.36 au TOM’S LC500が驚異の猛プッシュ。ドライバーの関口は数少ない逆転のチャンスを確実に活かしてまずは6号車を料理。周回ごとにトップとの差を縮めていく。60周目の時点で2台の差は僅か0.1秒。だがここで36号車に不運が訪れる。ガス欠症状が出始め、じわりじわりとトップが逃げることになり、変わって後続を気にしなければならない状態に追いやられる。なんとかこのままチェッカーを受けたい36号車だったが、セミファイナルラプの1コーナーで急激にペースダウン。そのまま36号車はコースサイトに車両を止めてしまった。これにより、39号車は文句なしのトップチェッカーを受け、待望のシーズン初優勝。また、小林にとっては国内レース復帰後初めてとなる勝利を手にすることとなった。39号車
に続いたのは6号車。そして19号車が3位となり、レクサス勢がトップ3を独占する結果となった。
一方のGT300クラス。ポールポジションスタートのNo.65 LEON CVSTOS AMGを早々に逆転してトップを奪ったのは、No.21 Hitotsuyama Audi R8 LMS。昨シーズンのタイ戦でも好調な走りを見せていたが、マシントラブルに見舞われただけに、是が非でも今シーズンは優勝! の思いで周回を重ねていたが、ピットイン前にコース上でGT500車両との接触に見舞われ、それが起因して後に修復を強いられることとなり、万事休す。今シーズンもタイ戦で結果を残すことができなかった。また、他の上位争いもマシントラブル等でポジションを下げることになり、気がつけば予選4位スタートのNo.11 GAINER TANAX GT-Rがトップを奪取し、今シーズン初優勝。さらには2位にNo.31 TOYOTA PRIUS apr GTが続き、No.60 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3が3位を手にするという、粘り強さがモノをいう結果となっている。
・第4戦タイ 決勝結果 各クラストップ3
GT500
1.No.39 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/小林可夢偉組)1:36’42.825 66L
2.No. 6 WAKO’S 4CR LC500(大嶋和也/フェリックス・ローゼンクヴィスト組)+2.860
3.No.19 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資/山下健太組)+12.969
GT300
1.No.11 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信組)1:38’01.838 61Laps
2.No.31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/平手晃平組)+3.569
3.No.60 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3(吉本大樹/宮田莉朋組)+8.712
SUPER GT第4戦タイ、No.16 MOTUL MUGEN NSX-GTが今季初ポール!
2018年のシリーズ第4戦を迎えたSUPER GT。戦いの舞台は日本を離れ、タイ・ブリラム県に位置するチャン・インターナショナル・サーキットへ。時折ジリジリとした強い日差しが照ることもあったが、ほぼ終日蒸し暑い薄曇りの一日となった。加えて、ノックアウト予選1回目直前に雨が降り、セッションは15分遅れでスタート。急転した路面コンディションをしっかりと見極めた上で戦略を立てたチームが好タイムをマーク。そんな中、No.16 MOTUL MUGEN NSX-GTがシーズン初ポールポジションを手にすることとなった。
午前中に実施された公式練習。セッション開始時の気温は30度、路面温度は38度と場所柄を考慮すれば、予想以上に低い数値といえる。その中で各車はまずクルマのセッティング確認からスタート、さらにはタイヤのチェックを実施するなど午後からの予選に向けて着々と準備を進めた。終盤には予選アタックをシミュレート。そこでトップタイムをマークしたのは、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R。これまでのコースレコードを上回るタイムを叩き出し、予選に向けてはずみをつけた。
迎えたノックアウト予選。15分ディレイの上に始まったが、すでに雨で濡れた路面がまたたく間に乾き始め、ウエットタイヤからドライタイヤに交換してアタックする車両も見受けられた。一方、上位ランキングにつける車両は重いウェイトに手を焼くなど、厳しい状況。結果、Q2進出を果たせずに終わる車両もいた。
気温26度、路面温度33度と午前中よりも低い数値の中、最後のアタックQ2がスタート。まず、アタックラップでNo.17 KEIHIN NSX-GTが1分23秒458をマーク。トップに躍り出た。その直後から好タイムを刻んでいたのが、16号車。着実にタイムを削り、ラストアタックで1分23秒341をマークし、トップを奪取した。なお、チームは、シーズン初のポールポジション。さかのぼれば、GT500クラスポールポジションは2001年の岡山大会以来だった。2位にはわずか0.1秒差でNo.17 KEIHIN NSX-GT。3番手にはレクサス勢としてNo.39 DENSO KOBELCO SARD LC500が続いている。
一方のGT300クラス。まず、No.88 マネパ ランボルギーニ GT3がトップタイムとなる1分32秒554をマーク。すると、No.65 LEON CVSTOS AMGがこれを追って同タイムをマークした。ところが、セッション終了後の再車検で88号車に車両違反が発覚。惜しくもクラスポールを取り逃す事態となっている。
・第4戦タイ 予選結果 各クラストップ3
GT500
1.No.16 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐組)1’23.341
2.No.17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史組)1’23.458
3.No.39 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/小林可夢偉組)1’23.676
GT300
1.No.65 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組)1’32.554
2.No.21 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/富田竜一郎組)1’32.840
3.No.55 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/ショーン・ウォーキンショー組)1’32.845
前半戦締めくくりは、南国タイで!
今シーズン、開催カレンダーのスケジュールに変更が見られたSUPER GT。真夏の祭典として長らく親しまれてきた鈴鹿戦は第3戦としてすでに5月に終了。そして昨年セミファイナル戦として実施されたタイ戦がこの週末、第4戦として開催される。年間8戦に渡って繰り広げられるシリーズ戦のちょうど前半戦の締めくくりに位置するだけに、シーズンの流れを確立したいと願うチームも多いはず。厳しい暑さの中、どのような戦いが待ち受けるのだろうか。
■南国タイと相性がいいLC500
全8戦中、3戦を終えて優勝回数が一番多いのはホンダのNSX-GT勢。開幕戦と第3戦鈴鹿で勝利している。今シーズン、一番波に乗っていると断言したいところだが、一方でタイでの戦歴を見ると、ダントツなのが、レクサスのLC500勢。タイ・ブリラム県にあるチャン・インターナショナル・サーキットでのSUPER GTは2014年から。過去4年間の戦いで最多の3勝をマークしている。開催時期はシーズンによって6月だったり秋だったり、とバラつきがあるにもかかわらず、高い確率で勝利していることを考えれば、おそらくはパッケージとしての相性の良さがあると思われる。
一方で、今シーズンのLC500勢は開幕戦以来いまだ勝ち星には恵まれず。昨シーズンの快進撃からすれば地団駄を踏みたくもなるであろう結果だが、これからハンディウエイトによる影響力が増していくだけに、ひと足先に好成績を残してきたライバルたちが戦闘力を存分に発揮できなくなる中で、着々と開いたポイント差を縮めてくることだろう。そのチャンスとなるのが、このチャンでのレースになるとも考えられる。また、注目したいのが、先のル・マン24時間レースで悲願のトヨタ優勝に大きく貢献した中嶋一貴、さらに2位でチェッカーを受けた小林可夢偉らの活躍。ル・マンで掴んだ”いい流れ”を継続できるのか、見逃せない。
では、ライバル達はどのような手を打ってくるのか。まず優位に立っているホンダ勢だが、実のところチャンとの相性はいまひとつ。過去の大会を振り返っても優勝には恵まれておらず、昨シーズンはお家芸のように連発していたポールポジション獲得すらこのコースでは達成していない。戦闘力アップを果たしている今シーズンこそ、悲願の目標をクリアしたいと願っていることだろう。ただ気になるのが、タイヤのピックアップだ。NSX-GTとブリヂストンタイヤのコンビネーションで時折問題視されるピックアップがチャンのコースで発生するか否かで状況は大きく変わってくるはず。路面状況、天候にも大きく左右される内容のため、一概には判断できない部分ではあるが、問題点がレースの行方を左右する可能性も高いだけに着目点のひとつとなるだろう。
そして第2戦富士で優勝した日産GT-R勢。安定感はあるものの、今シーズンは、ここ一発の速さや強さに欠ける感が強い。ただ、ミシュランタイヤ装着車の2台(No.23 MOTUL AUTECH GT-RとNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R)は、天候のコンディション次第で大きく躍進できるチャンスもある。まさに”粘りどころ”の戦いになるのではないだろうか。
■GT300クラスはGT3が本領発揮!?
タイ戦では、昨シーズンまでGT500クラスで活躍したドライバーが代役としてSUPER GTに復帰する。No.88 マネパ ランボルギーニ GT3から今年SUPER GTにデビューしたマルコ・マペッリに代わり、ステアリングを握るのはアンドレア・カルダレッリ。イタリア人のカルダレッリは、ランボルギーニのワークスドライバー。今シーズンはブランパンGTシリーズやADAC GTマスターズに参戦しているが、GT300、そしてランボルギーニでいかに戦うのか。興味は尽きない。
レース展開としては、サーキットの特性を考えると、マザーシャシーに分があるような感じ。フラットなテクニカルコースがお得意なだけに、ウェイトが軽い車両がここぞとばかりチャンスをつかみにくるだろう。もっとも、タイヤマネージメントも必勝には欠かせない。さらに不安定なコンディションになればなるほど、マシンパッケージだけでなく、チームの総合力が問われる一戦になる。
前半戦の締めくくりでライバルより先手を打つことができれば、8月中旬に始まる後半戦に向けての流れを構築することも容易となるSUPER GTシリーズ。チームごとの戦略を意識し、レース展開を見届けてほしい。
■主なタイムスケジュール(現地時間)
6月30日(土)
08:00 – 09:00 オープンピット
10:00 – 11:45 公式練習
10:00 – 11:25 : GT500 & GT300
11:25 – 11:35 : GT300
11:35 – 11:45 : GT500
13:15 – 14:15 ピットウォーク
15:00 – 15:35 ノックアウト予選_Q1
15:00 – 15:15 : GT300
15:20 – 15:35 : GT500
15:45 – 16:13 ノックアウト予選_Q2
15:45 – 15:55 : GT300
16:03 – 16:13 : GT500
10月8日(日)
11:15 – 11:40 SUPER GT選手紹介
11:55 – 12:35 ピットウォーク
13:25 – ウォームアップ走行、スタート進行
15:00 - 決勝レース(66Laps)