11月8日、三重・鈴鹿サーキットにおいて全日本選手権スーパーフォーミュラの第7戦の決勝が行なわれた。今シーズンの最終戦を迎えた鈴鹿は2レース制のイベントとなり、午前に20周の、そして午後から28周のスプリントレースを実施。あいにくの雨となり、荒れた展開の中でレースの美酒に酔ったのは、アンドレ・ロッテラー(レース1/PETRONAS TOM’S SF14)と山本尚貴(レース2/TEAM 無限 SF14)のふたりだった。
天気予報どおり、決勝日の鈴鹿は前日夜遅くから雨が降りはじめた。今シーズンのスーパーフォーミュラでは、フルウェットでのレースはしておらず、予選でのタイムアタックもしくはスタート前のウォームアップでしかレインタイヤを装着していない。つまり、今年の最終戦が今季初のレインレースになったわけだ。その点を考慮したか、レース1はなんとセーフティカーランによる幕開けとなり、ごく普通の無難な戦いが始まった。問題なくトップをキープしたロッテラーは、自身が得意とする雨の一戦を独走。もちろん、タイトル争いでポイントリーダーである石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)も予選2番手からトップ奪取を狙ったが、ロッテラーの速さには及ばず。逆に、後方のジェームス・ロシター(FUJI x D’station KONDO SF14)の猛追に苦戦、ただ、水煙を上げて周回を重ねるコース上での逆転はそう簡単ではなく、総体的にほぼポジションキープの戦いが続いた。レース後半、トップのロッテラーはすでにひとり旅状態。2番手石浦は後方にいたロシターが痛恨のコースアウトとなり、代わって3番手に上がった小林可夢偉(Team KYGNUS SUNOCO SF14)からも猛追にあうタフな展開を強いられたが、僅差で凌ぎ切ってチェッカー。タイトル争いをする中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)が4位に入ったため、タイトル決定はレース2へと持ち越され、獲得ポイントから石浦と中嶋の一騎打ちに絞られた。
正午前に雨が弱くなり、このまま天候の回復に期待がかかったが、午後3時からのレース2も降雨の中で28周の争いが繰り広げられることになった。レースを前に、今シーズンでスーパーフォーミュラへのタイヤ供給を終了するブリヂストンタイヤに対し、長年にわたる功績を称えるセレモニーが行われた。なお、来シーズンからは横浜タイヤ・アドバンによるタイヤ供給が正式にアナウンスされている。
レース2は28周にて実施。ドライコンディションであればタイヤ4本の交換義務があったものの、ウェットレースでの交換義務はないため、28周によるガチンコバトルがのスタートが切られた。ただし、今回はスタンディングスタート。濡れた足下をうまくコントロールして飛び出したのは、ポールスタートの山本尚貴(TEAM 無限 SF14)と予選4番手の中嶋一貴、予選5番手のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)だった。逆に予選2番手のロッテラーはクラッチミートでミスを生じて出遅れてしまう。1コーナーへは山本と一貴がガチバトル。レース後、一貴に「山本から気迫を感じた」と言わしめるほど、山本の堅持な気持ちがトップを奪うこととなった。逆に2番手の一貴はいまひとつペースが伸びず、2位死守が精一杯。さらには3番手の野尻智紀(DOCOMO DANDELIAN M40S SF14)からのプッシュに苦戦した。だがその後、野尻は電気系トラブルを発症。惜しくも戦列を離れている。これで代わって3番手につけたのがオリベイラ。しかし、前を走る中嶋をプッシュするまでには至らず。難しい雨のコンディションでトップを守り抜いた山本が待望の今季トップチェッカーを受け、Honda陣営に勝利をもたらした。2位一貴、3位オリベイラに続き、石浦が4位でチェッカー。この結果によって、石浦が2015年ドライバーズチャンピオンを獲得。続いてランキング2位は一貴、3位にロッテラーが続くこととなった。
第7戦鈴鹿サーキット 決勝結果(TOP6)
<レース1>
1.No. 2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM’S SF14)1’38.354
2.No.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)1’38.392
3.No. 8 小林可夢偉(Team KYGNUS SUNOCO SF14)1’38.482
4.No. 1 中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)1’38.592
5.No.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELIAN M40S SF14)
6.No.34 小暮卓史(DRAGO CORSE SF14)
<レース2>
1.No.16 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)1’37.963
2.No. 1 中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)1’38.262
3.No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)1’38.459
4.No.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)
5.No. 7 平川 亮(ACHIEVEMENT Team KYGNUS SUNOCO SF14)
6.No.18 中山雄一(KCMG Elyse SF14)