10月18日、宮城・スポーツランドSUGOにおいて全日本選手権スーパーフォーミュラの第6戦決勝レースが行なわれ、ポールポジションからスタートを切ったアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM’S SF14)が序盤にトップを奪取、ハイペースの走りでパーフェクトなレース運びを展開。開幕戦以来となる今シーズン2勝目を挙げることとなった。
前日の予選同様、決勝日も秋晴れの好天気に恵まれたSUGO。朝のフリー走行時こそ薄曇りだったが、次第に日差しが出はじめ、絶好のレース日和となった。このセッションでは小暮卓史が好調の走りを見せていたが、予選ポールのロッテラーも小暮に負けじと劣らぬ速さを見せて、2番手につけていた。
アップダウンがありコース幅も狭いSUGOでは、決勝でのクリアスタートが必至。加えて、レース中はタイヤ交換も可能性としては少ないため、いかに自分のレース運びができるかどうかが鍵となった。そのスタート。難なく決めたのは、予選2番手の中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)。ポールのロッテラーも決してミスをしたわけではないが、クラッチが滑ったことで一貴の先行を許してしまった。このチャンスを機に逃げたい一貴だったが、勢いがあったのはロッテラー。14周目から15周目に入るメインストレートで逆転をはたしたロッテラーは、その後、あっという間に後続との差を広げ、独走を目指した。
一方、予選3番手だった石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)はスタートで後続車に遅れをとって4番手に後退。そこでポジション争いを意識し、上位陣の中では早めのタイミングとなる26周終了時にピットインを敢行した。するとその石浦と競っていた3番手の山本尚貴(TEAM 無限 SF14)もその翌周にピットイン。石浦よりも3秒以上短くピット作業を済ませてコースへ。再び石浦を先行するだけでなく、山本の後にピットインした一貴がコース復帰する前に1コーナーを駆け抜け、事実上2番手へとポジションを上げることになった。
レースは折り返しを過ぎ、トップのロッテラーが53周を終えてピットイン。暫定2位につけていた野尻智紀(DOCOMO DANDELIAN M40S SF14)も同一周回にピットへとクルマを戻す。ロッテラー同様にハイペースで走行を続けていた野尻だったが、コース復帰時には1コーナー先で山本とラインが交錯。山本が攻めの走りでこのチャンスをものにし、野尻の奮走を封じ込めることに成功した。
終盤に入ってもなお、ロッテラーの好走はいっそうの安定を見せてまさに独走態勢。加えて決勝でポジションアップを果たした山本、野尻が2、3位を死守、逆に予選2番手だった一貴はピットイン時にリアタイヤ2本を交換、作業時間がライバルたちよりも長引いたことが影響し、4位キープが精一杯だった。
ロッテラーは開幕戦鈴鹿以来のシーズン2勝目を達成。また2位に入った山本にとっては、2013年の最終戦以来となる表彰台を手にしている。また、3位の野尻も第2戦岡山以来の表彰台に上がることになった。一方で、シリーズチャンピオンを巡る争いは、今回5位入賞となった石浦が依然としてトップに君臨。だがランキング2位の一貴とのポイントは7点から6点差へと縮むことに。さらに3番手には今回勝利したロッテラー、そしてJ・P・デ・オリベイラが同ポイントで並び、最終戦の鈴鹿を迎える。
第6戦スポーツランドSUGO 決勝結果(TOP6)
1.No. 2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM’S SF14) 68L 1:17’52.551
2.No.16 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)+23.881
3.No.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELIAN M40S SF14)+24.666
4.No. 1 中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)+25.453
5.No.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)+28.371
6.No. 8 小林可夢偉(Team KYGNUS SUNOCO SF14)+47.546
10月17日、宮城・スポーツランドSUGOにおいて全日本選手権スーパーフォーミュラ第6戦の予選が行われ、ベテランドライバーであり、チャンピオン経験を持つアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM’S SF14)がQ3でトップタイムをマーク、待望の今季初ポールポジションを手にした。
秋晴れの青空がサーキット上空に広がったスポーツランドSUGO。秋本場の中、予選日は安定した天候に恵まれ、時折強い日差しも照りつけた。そんな中、まず朝のフリー走行でトップタイムをマークしたのは、小暮卓史(DRAGO CORSE SF14)。自身も得意とするSUGOで安定した速さを見せて、予選での快進撃に注目が集まった。
午後に入ると、さらに気温、路面温度が上昇。午前のフリー走行の流れをもとにセットアップを進めた各車は、ベストラップ狙いで果敢なアタックを開始する。だがしかし、開始3分ほどで1台のクルマがスピンオフ、エンジンストールを喫し、赤旗中断を招いてしまう。その後も3コーナーで1台がスピン、コーウアウトの末にそのまま自力でピットへとクルマを戻したが、これで赤旗2度目の中断。水を挿されるアタックとなったが、そこでうまくアタックをまとめ上げたのがロッテラーだった。従来のコースレコードを更新する1分5秒005を刻み、今季初めてのポールポジションを獲得することとなった。
2位に続いたのはロッテラーの僚友、中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)。これにランキングトップにつける石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)が3番手となり、トヨタエンジン搭載車がトップ3を占めた。
第6戦スポーツランドSUGO 予選結果(TOP6)
1.No. 2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM’S SF14)1’05.005
2.No. 1 中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)1’05.177
3.No.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)1’05.246
4.No.16 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)1’05.314
5.No.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELIAN M40S SF14)1’05.324
6.No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)1’05.344
ついにセミファイナル戦。杜の都・仙台へ
朝夕の冷え込みもしっかりと感じられるようになり、すっかり秋本番となった日本列島。近づく紅葉の季節を前に、みちのく仙台で繰り広げられるのは、SUPER FORMULAシリーズ第6戦。前回の九州決戦から開催サーキットとしては本州最北端にある、スポーツランドSUGOでセミファイナル戦を迎えることになる。アップダウンあり、コンパクトなコーナーあり、そして高度なテクニックを必要とするユニークなコースレイアウトを持つSUGOでどのような戦いが繰り広げられるのか。シーズンもいよいよ大詰め、新たなドラマに期待がかかる。
■アップダウンのレイアウトを持つSUGOはハードな一戦に
SUPER FORMULAが開催される国内サーキットとしては最北端となる宮城・スポーツランドSUGO。山の中に設営されたサーキットだけに、アップダウンがきつく、コンパクトなレイアウトを持つ独特のコースでもある。どちらかと言えば距離も短く、周回数を多く重ねるだけに、なにかと慌ただしさを感じやすい。タイトなだけにレース中はバトルも生じやすく、だがしかし逆転に持ち込むには巧みな駆け引きも必要とあり、挑むドライバーとしては難コースであるともいえる。
ドライバーのインプレッションを聞く限り、このチャレンジングなコースを好む傾向が強く、果敢な走りを見せることになる。しかしその攻めの行動によって引き起こされるアクシデントも決して少なくはない。また、コンパクトなコースで最速タイムを狙うためには、緻密なセットアップも要求される。駆け引きを味方に付けることができれば優位な立場に立てるだろうが、その裏では大きなリスクが待ちかまえている。つまりは、まず攻めることができるクルマを手に入れること。そして僅かな差でライバルを制するためにもつねに精度の高い走りを見せること。これらがキチンと揃ってこそ、このサーキットでトップに立てる可能性が格段高くなるはずだ。
チャンピオンシップも大詰め
一方、今シーズンのタイトル獲得を巡る争いにはまだまだ不確定要素が残されている。現時点で複数の優勝を飾っているのは、石浦宏明ただ一人。残る3人(アンドレ・ロッテラー、J.P.デ・オリベイラ、中嶋一貴)は1勝ずつだが、みなチャンピオン経験者。一方の石浦はまだタイトルを手にしたことはない。この構図が終盤戦になってどのように作用するのかも見どころと言えるだろう。これまでのシリーズ戦で厳しいタイトル争いでしのぎを削ってきた経験値が活きてくるのか、はたまた初タイトルを熱望するその勢いで突っ走ることができるのか、様々な思惑が見え隠れしているのは言うまでもない。
もちろん、今シーズンまだ勝利の美酒に酔っていないドライバーにもチャンスは残されている。その中でもファンからの期待を集めるのが、小林可夢偉ではないだろうか。決勝結果だけを見れば、第2戦で2位、第5戦で3位と表彰台に上がってはいるが、その他はアクシデントなどの不運もあってポイントの計上は果たせてはいない。しかし予選では、第4戦で3番手、第5戦で2番手と徐々に調子を上げてきている。ヨーロッパで武者修行を重ねF1を転戦した小林にとって、どこかしらヨーロッパのオールドコースの雰囲気を継承するSUGOは、実戦の経験値こそ少ないものの積極的な走りを引き出しやすい可も知れない。
チーム戦略にも注目
先述のとおり、ドライバーにとって難コースのSUGO。だがセットアップが決まればドライバビリティをしっかり発揮した攻めの走りが可能となる。さまざまな要因がうまく組み合ってこそ、初めて速くて強い戦いを繰り広げることができるというわけだ。となれば、まずはチームとしての総合力を確固たるものとして成立させることが大事。天候、気温の変化は間違いなくタイヤマネージメントに影響を及ぼすだろうし、また、狭いピットでのルーティンワークのタイミングにも気を遣う必要がある。自分たちが理想とするレース運びができれば申し分のない展開へと導くことができるだろうが、レースは水物、相手次第で筋書きも変わってくる。そのときにいかなる対応ができるか否か。そこでチームとしての総合力が問われるというわけだ。いずれにせよ、シナリオなきドラマチックな展開を心待ちにするとしよう。
主なタイムスケジュール
・10月17日(土)
09:00~10:00 フリー走行
11:50~12:35 ピットウォーク
13:45~ 公式予選(ノックアウト方式)
13 : 45~14 : 05 Q1(19台→14台)
14 : 15~14 : 22 Q2(14台→ 8台)
14 : 32~14 : 39 Q3
16:25~16:55 キッズピットウォーク
・10月18日(日)
09:05~09:35 フリー走行
10:50~11:55 ピットウォーク
14:30~ 決勝(54Laps)