SUPER GT 2025 Round2
SUPER GT 第2戦富士 プレビュー
今シーズン初の3時間レースを富士で開催
ゴールデンウィーク真っ只中の5月3、4日に、静岡・富士スピードウェイでSUPER GT第2戦が開催される。開幕戦からまだ1ヶ月も経たないうちに迎える今大会は、シーズン初の3時間レースとなる。開幕戦で得たデータをもとに、長距離レースの戦いに向けて各チームともしっかりと準備をして臨む一戦となりそうだ。
岡山のリベンジ目指し
開幕戦の予選では、No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)にポールポジションの座を譲ったものの、決勝では序盤にトップを奪取したのが、ディフェンディングチャンピオンであるNo.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)。レースはその後、赤旗、FCY、SCと荒れた展開になったが、そのなかでも速さ、強さ、そしてチームワークにおいて安定感を見せつけ、優勝。チーム、また坪井にとって目標となる3連覇に向け、理想的なスタートを切った。ポールポジションを逃した坪井は、勝利して満面の笑みを見せたが、一方の14号車は取り逃がした勝利に悔しさを募らせ、明暗が分かれる結果となった。
表彰台に上がった上位3台は、それぞれ1号車が40kg、14号車が32kg(ポールポジションの1点を含む)、そして3位に続いたNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)が22kgのサクセスウェイトを搭載するため、今回の富士では、また異なるチームが上位を狙って躍進する可能性が大きい。なかでも、No.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)やNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)あたりに注目が集まる。シーズンオフのテストからGR Supra勢が優位だという声が聞こえており、また富士がホームサーキットということも味方し、当然ながら優勝を強く意識しているに違いない。38号車は岡山で痛恨のスピンからクラッシュを喫しており、また37号車も後方スタートながら決勝で上位までポジションアップを果たすも、レース後にタイムペナルティを課されたため、5位に甘んじている。そのリベンジ戦として富士を見据えているはずだ。
もちろん、他メーカーのライバルとて黙っていない。久々のタイトル奪還を目指すNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)は岡山を4位で終えており、同じくCIVIC勢としてはNo. 8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)もコンビ2年目で互いの長所を活かす戦いができるようになってきた。そして日産勢としては、No.23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/高星明誠)に注目したい。昨年は別のチームながら、この富士3時間レースで高星が優勝(No. 3 Niterra MOTUL Z)、千代が2位(No.23 MOTUL AUTECH Z)という結果で終わっており、ドライバーとしてもまたクルマとしても相性の良さを感じさせる。ミシュランからブリヂストンへとタイヤがスイッチして2シーズン目ということも、追い風になりそうだ。
■3時間へのアプローチ
昨シーズン、新たな予選方式として、Q1、Q2でのタイム合算によるグリッド採用が導入されたSUPER GT。第2戦の段階では、Q1、Q2でのアタックにおいて同じタイヤを装着することが義務付けされていた。また、そのタイヤで決勝スタートを切るため、タイヤマネージメントに神経を尖らせていたと言っても過言ではない。だが、今シーズンは2023年シーズンと同じくノックアウト予選が復活。併せて、Q1、Q2でそれぞれニュータイヤを投入してのアタックも認められている。決勝スタートで装着するタイヤは、Q2進出チームにおいてはQ1、Q2どちらかで使用したものになる(抽選によって決定)が、昨年のような予選での”力加減”は不要になったと考えられる。
今シーズンのノックアウト予選では、Q1で上位10台がQ2へと進出できるようになり(2023年までは上位8台)、ポールポジション獲得の可能性が広がった。3時間と長時間レースではあるものの、スピードレースになりつつある昨今、予選上位車両がそのまま決勝でも速さを見せて結果に繋げるケースも多くなっていることを考えると、なんとしてもQ1突破を果たし、Q2ではさらにポジションアップを狙うのがセオリーになりそう。岡山での結果によるサクセスウェイトの影響も多少あるだろうが、その状態でどれほどの速さを見せてくるのか、各車のパフォーマンスをとくとご覧いただきたい。
一方、レースでのピット戦略はどうだろうか。予選のポジション次第でギャンブル的なアプローチをするチームがいてもおかしくはないが、原則的にはオーソドックスな均等割をベースに戦略を立ててくるだろう。岡山では慌ててピット作業がルーズになるチームも見受けられたが、今回は2度のピット作業がマストとなるため、ドライバーのがんばりに応えようとするピットマンの活躍からも目が離せない。
GT300クラスは戦略の違いに注目
GT500クラス以上に、クルマの特性が大きく異なるのがGT300クラス。GTA-GT300、GT300MCとオリジナリティ豊かな車両はじめ、海外レースでも幅広く活躍するFIA-GT3車両が混在しており、まさに群雄割拠の状態。サーキットのレイアウトや特性によって、得意/不得意もある。そこに様々なタイヤメーカーが参戦しており、条件がそれぞれ異なることが、レースをより混沌としたものにしている。
そんな”いろいろな”クルマが3時間という長丁場を戦うのだから、レースでのアプローチも異なって当然。また、GT300クラスでは、タイヤ無交換を敢行するチームも存在する。今回は2度のピットインが義務付けられているが、タイヤ交換については規制がなく、給油のみ義務化している。これにより、スタートからゴールまで少なくともタイヤ交換は1回のみに留まるチームも出てくるだろう。ピットイン〜ピット作業〜ピットアウトにかかる時間の違いがポジションにも影響を及ぼすことから、各車の速さだけでなく、とりわけ今回は総合力が問われる一戦でもある。
海外戦を前にした一戦。好結果を残したい
コロナ禍で海外戦を中断していたSUPER GT。ついに今シーズン、海外戦が復活する。場所はマレーシア・セパンインターナショナルサーキットだ。かつてF1GPも開催されたことで知られるサーキットだが、SUPER GTとの繋がりも長く、2000年から2013年まで(全日本GT選手権を含む/2003年はSARSの影響を受けて中止)開催されていた歴史を持つ。2014年から2019年まで、タイのチャン・インターナショナル・サーキットへと場所を移していたが、2020年には再びセパンでの開催に調印。だが、残念ながらコロナの猛威に水を挿され、実現が先述べになっていた。今回は2024年に改めて調印を行ない、6月28日・土曜日にナイトレースとしての開催が予定されている。つまり、今回の富士戦は、マレーシアでの戦いを前にした一戦。マレーシア戦が終わると、今度は8月上旬までインバーバルが空く。だからこそ、いい形で国内戦を締めくくりたいだけに、今シーズンの序盤戦ながら、白熱の戦いを期待する要素はたくさんありそうだ。
主なスケジュール
FUJI GT 3 Hours RACE GW SPECIAL
4月12日(土)
09:00〜10:25 公式練習(GT300+GT500)
10:25〜10:45 FCYテスト
10:45〜10:55 公式練習(GT300専有)
10:55〜11:05 公式練習(GT500専有)
11:15〜11:45 サーキットサファリ
13:10〜13:55 ピットウォーク
14:30〜14:40 公式予選Q1 GT300 A組
14:48〜14:58 公式予選Q1 GT300 B組
15:03〜15:13 公式予選Q1 GT500
15:23〜15:33 公式予選Q2 GT300
15:41〜15:51 公式予選Q2 GT500
16:15〜17:20 キッズウォーク
4月13日(日)
09:05〜10:00 ピットウォーク
10:20〜10:40 ドライバーアピアランス
11:10〜11:25 オープニングセレモニー
12:40〜13:00 ウォームアップ
13:00〜14:10 スタート進行
14:10〜17:10 決勝 3時間 RACE