SUPER GT 2025 Round2
今季初の3時間レースを制したのは、KeePer CERUMO GR Supra!
5月4日、静岡・富士スピードウェイにおいて行なわれた「FUJI GT 3Hours RACE GW SPECIAL」の決勝。シーズン初の3時間レースを制したのは、ポールポジションからスタートを切ったNo.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)。序盤から速さを活かした戦いで、ライバルを寄せ付けないポール・トゥ・ウィンの完勝を果たしている。
予選日同様、決勝の富士も青空が広がる好天気に恵まれた。連日、サーキットには合計8万2500人ものファンが訪れることとなり、ゴールデンウィークらしい賑わいを見せた。
ウォームアップ走行を経て、気温24度、路面温度38度のコンディションのなか、午後2時10分に3時間レースの戦いが幕を開ける。ポールポジションから38号車がクリアスタートを決めると、これに2番手スタートのNo.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)、3番手のNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)と予選順位に沿って1コーナーへと向かう一方、初戦岡山での優勝によって最もサクセスウェイトを搭載するNo.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)は周りの車両にのみ込まれ、ポジションダウンを喫する。だが、タイヤが温まってくると、次々前のクルマを抜いて5番手までポジションの引き上げをしてみせた。
レースは序盤に短時間のFCY(フルコースイエロー)の導入があったが、大きなハプニングなどはなくスタートから1時間を迎える。しばらくすると、ルーティンのピット作業が始まり、多少ポジションの入れ替わりが見られたものの、依然として38号車がトップをキープする。ただ、チームによってドライバー交代の有無により、各車のギャップに差が生まれることにもなった。
44周目、GT500クラス全15台の最後の1台が1回目のピット作業に取り掛かる。これで再び38号車がトップに返り咲き、次いで、ライバルより早めのピットインを選んだNo. 8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)が2番手、3番手にはなんと1号車がつけて周回を重ねていく。ただ、レース中盤のスティントでは柔らかいタイヤがコースコンディションに合わないのか思うようなペースが確保できず、後続車両からの猛追に対してひたすら耐える戦いを強いられることに。それでも逆転だけは許さない激走を見せた。
いよいよレースも残り3分の1が迫るなか、72周終わりでトップの38号車が2回目のピットインを行なう。1回目のルーティン作業ではドライバー交代をせずダブルスティントの戦略を採ったため、ここで大湯から石浦へと交代。これを追うように2番手の8号車もピットインを行なったが、3番手を死守する1号車は80周終わりでピットへとクルマを戻し、山下から坪井へとドライバー交代を行なった。坪井はタイヤが温まると、前方の8号車をロックオン。86周の1コーナー飛び込みで鮮やかな逆転劇をやってのけた。
チェッカーまで残り1時間を切ってなお、トップ38号車は独走のまま。1号車との差は一時30秒弱まで広がり、盤石の態勢。逆に、1号車の後ろではNo. 12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)とNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)が激しいバトルを展開する。ともに前日の予選ではQ2進出を逃したが、決勝では粘り強くポジションアップを果たし、表彰台の一角を狙っての攻防戦を披露した。勝負がついたのは、106周目のダンロップコーナー。鮮やかな逆転劇を披露した100号車が3位をもぎ取ることに成功している。
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レースは、終始速さを見せつけた38号車が圧勝。前日は、5年ぶりのポールポジション獲得に成功したが、決勝では6年ぶりとなる勝利の美酒に酔うことになった。なお、石浦と大湯にとってはコンビ結成後、初の勝利となる。
 
GT300クラスは接触やトラブルなど、さまざまなハプニングが多発。ドラマチックな展開が最後の最後まで続いた。クラスポールのNo.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)が前日の予選同様、速さを武器にライバルとの差を広げようとしたが、予選2番手のNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)がしっかりと喰らいつき、緊迫の状態が続く。さらに、今シーズンから参戦するNo. 7 CARGUY Ferrari 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗/澤圭太)が予選3位の座をキープしながら周回を重ねていった。
そんななか、レース開始から40分ほどでFCYが導入され、各車のギャップが消滅することもあったが、トップを走る777号車は一切動じず。開始から1時間を過ぎ、最初のピット作業に着手した。
レースが中盤に入ると、タイヤトラブルに見舞われる車両が1台、また1台と現れる。その様子を尻目にトップ争いをしていた777号車だったが、あろうことか、タイヤ交換から20数周のタイミングで左リヤタイヤがバースト。緊急ピットインを強いられた。チームはこのタイミングでのドライバー交代も行なってコースに復帰したが、優勝争いからは一旦後退してしまう。だが、その後も驚異の速さをで再びトップ争いへと復帰。とはいえ、チェッカーに向けて燃料が必要で、残り10周程度でピットへと舞い戻ると、61号車がついにトップに立った。
着実なレース運びを続けていた61号車は2位に対して10秒近いギャップを築く。その一方で、背後には予選27位から圧倒的な速さで逆転に次ぐ逆転を見せてきたNo. 6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)が迫る。3時間まで残り10秒ほどの時点でGT500クラスのトップを走る38号車がメインストレートを通過。後方の61号車もフィニッシュまでさらに1周を重ねることになった。ところが、あろうことかダンロップコーナーでまさかの失速。エンジントラブルに見舞われ、クラストップでのチェッカーを受けるどころか、コースサイドにクルマを止めざるを得ないという失意の幕切れを迎えた。
結果、怒涛の追い上げを続けてきた6号車が奇跡の大金星。チーム結成後、初勝利となり両ドライバーが歓喜の声をあげた。また、トラブルを跳ね除けた777号車が表彰台の一角を取り戻して2位に。なお、安定感あるレース運びを見せていた7号車が3番手でチェッカーを受けたが、レース後にピット作業違反によるタイムペナルティが課され、No. 2 HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威/平良響)が繰り上げ3位の結果を掴んでいる。
シーズン2戦を終えたSUPER GT。今季から6年ぶりの海外戦が復活したことを受け、第3戦の舞台は日本を離れ、マレーシアにあるセパン・インターナショナル・サーキットとなる。夕方に向けてスタートを切るトワイライトレースなるため、日本での戦いとは異なる展開に注目が集まる。
・第2戦富士:決勝結果(各クラストップ3)
・GT500
1.No.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)3H01’22.811 116周
2.No.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)+11.969
3.No.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)+24.178
・GT300
1.No. 6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)3:01’52.942 107周
2.No.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)+28.788
3.No. 2 HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威/平良響)+43.174