SUPER GT 2024 Round.7
”ワンデー”開催のオートポリス3時間レース、DENSO KOBELCO SARD GR Supraが勝利!
激しい雨や濃霧で土曜日に予選を行なうことができなかったSUPER GT第7戦オートポリス。翌日の10月20日に、朝一番に予選、そして午後から3時間レースを行なうという、”ワンデーレース”方式によるレースが開催された。結果、予選10位からスタートを切ったNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)が荒れたレースを味方につけ、トップチェッカー。今シーズン初優勝を果たしている。
予選
前日の予選日に実施される予定だったセッションが悪天候によりすべてキャンセル。迎えた日曜日はまず午前8時から予選が始まった。GT300、GT500両クラスとも30分間の計時予選が行なわれ、基本的に各チームは予選を担当するドライバーがひとりでアタックを行ない、そのベストタイムによって決勝のスターティンググリッドが決定した。
気温10度、路面温度13度、さらにウエット宣言下でスタートした予選では、早々からウェットタイヤでコースインし、フィーリングを確認した上でドライタイヤへとスイッチ。各タイヤメーカーによってタイヤピークが異なるのか、ばらつきはあったものの、早めのタイミングでアタックに挑むケースが多かった。ターゲットタイムとなったのは、No.17 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進)がマークした1分33秒801。セッション終了10分を切るなか、各車は自己ベストタイムを更新しながらラストアタックに向かう。残り3分、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zの名取鉄平が1分33秒162を間0区し、トップへ浮上。続いてNo.14 ENEOS X PRIME GR Supraは福住仁嶺が24号車に迫るタイムをマークする。だが、チェッカーが出るなかでトップ2台のタイムを更新するクルマは現れず。結果、24号車が今シーズン初、昨年第4戦富士以来となるポールポジションを掴み取った。なお、アタックを担当した名取にとっては、自身初のGT500クラスでのポールポジションでもあった。
一方、GT300クラスは、スタートからいきなりドライタイヤを投入し、路面コンディションの回復に合わせるようにタイムアップを果たそうとするチームも見受けられた。しかし、気温も路面温度も低く、クルマのコントロールもまだ難しい状況下でコースアウトするクルマも出るなど、不安定な状態がしばし続いた。すると、ドライタイヤでの周回を開始したばかりの車両がセッション終盤に痛恨のコースアウト。その状況から赤旗中断となってしまう。およそ4分の中断からセッションは再開したが、周回を重ねて温めていたタイヤが冷えてしまい、予定が狂うチームも続出。気を取り直してのアタック合戦が最後の最後まで繰り広げられるなか、とりわけNo. 6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)とNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(佐々木大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が激しいポールポジション争いを展開することに。交互にトップタイムを更新し続けた結果、6号車が1分46秒524のタイムでクラスポールを獲得。チームとして、また片山、ムンタン組として初の快挙となった。
第6戦SUGO 公式予選結果 各クラストップ3
GT500
1.No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)1’33.162
2.No.23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/ロニー・クインタレッリ)1′ 33.243
3.No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)1’33.326
GT300
1.No. 6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)1’46.524
2.No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(佐々木大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)1’46.785
3.No.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)1’47.176
決勝レース
計時予選からおよそ4時間半、瞬く間に迎えた3時間レース決勝。薄曇りながらときには日差しとともに青空が広がるなど、レース開催を待ちわびる関係者やファンを安堵させた。
午後1時20分、大分県警のパトロールカー、白バイによるパレードラップを経てフォーメーションラップがスタート。気温16度、路面温度23度のコンディションでの幕開けとなった。24号車がホールショットを決め、レースを牽引。だが、タイヤが温まってくると予選2位の23号車が躍進。12周目の第2ヘアピンでポジションが入れ替わった。トップに立った23号車はそこからハイペースで2位以1台がコースアウト。FCY(フルコースイエロー)が導入されると、その後、SC(セーフティカー)へと切り替わった。それからレース開始1時間を迎える前にレースはリスタート。このタイミングで早速1回目のルーティンピットを行なうチームも見受けられた。
実のところ、このタイミングでピットインしてタイヤ交換を行なったNo. 3 Niterra MOTUL Z(高星明誠/三宅淳詞)は、スタート直後からじりじりとポジションを落としていたが、交換したタイヤがコースコンディションにマッチし、その後、”復活”。多くのクルマは33〜34周終わりでピットインしたが、この状況をも味方にポジションを挽回する。一方、2回目のSC導入後もトップを快走していた23号車は、60周終わりで2度目のピットイン。ここでドライバー交代を含むフルサービスを行なう一方で、2番手まで浮上していた3号車も翌61周終わりにフルサービスのピットイン。また、ペース良く周回して確実にポジションアップを果たしていた39号車もピットへ。こちらはダブルスティントでコース復帰に向かったが、これとほぼ同じタイミングでレース3回目のSCがコースへ。ちょうど、3コーナーでNo.64 Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき)がクラッシュしており、レースは再びSCのコントロール下に置かれることになってしまう。まさに、3号車と39号車にとっては、願ってもないタイミングでのSCとなり、とりわけ39号車は給油とタイヤ交換のみの作業だったことで、3号車よりも先にコース復帰を果たしただけでなく、2回目のピット作業を終えたクルマのなかでトップに立つこととなった。
レースは残り1時間を切った午後3時38分、66周終了時にリスタート。思わぬ形で2位にポジションを落とした23号車はトップの39号車を猛プッシュ。しかしペースでも23号車を上回り、追随を許さない。逆に23号車は100号車や3号車が背後に迫っており、レース終盤は厳しい立場で戦うことを強いられ、39号車との差が開いてしまった。
波乱続きだったレースは、終了まで残り15分を迎えてなお2回目のFCYが導入され、その後、4回目のSCへと切り替わることに。メインストレート上ではGT300、GT500両クラスの隊列を整える作業が行なわれ、再びSC先導による周回がスタート。92周走行中にスタートから3時間が経過したため、このまま第7戦のゴールを迎えることとなった。39号車は今季初優勝。チームとしては、4年ぶりの勝利となった。また、2、3位にはNISMOの2台が続き、ホンダ勢トップは、4位フィニッシュした100号車となった。
GT300クラスはクラスポールの6号車に代わり、クラス3位スタートのNo.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・フ
ァグ)がトップを奪取。さらにNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(佐々木大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)もペースアップし、2番手へ。逆に6号車は後続に飲み込まれてしまった。
GT500クラスとは異なり、タイヤの特性を活かすように他車とは大きく異なるタイミングでのピットインを行なうチームも多く、戦略的にさまざまな動きが見られるなか、序盤はNo.96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)もレースをリード。しかし、FCY〜SC導入の影響も大きく、その分、ポジションの入れ替えも続いた。
レース開始から折り返しを前に、No. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)が一旦トップに立つが、リスタート時にGT500車両との間を広げすぎたことでSC手順違反のペナルティとなり、ドライブスルーを課せられる。これで再びクラストップ争いが混沌としたものとなったが、その後、クラッシュ車両発生によって3回目のSCが導入される。このSCのリスタートを使い、2号車はペナルティを素早く消化。また、ほかの上位陣も2回目のピット作業を済ませ、いよいよ大詰めを迎える。
チェッカーまで残り30分が迫るなか、66周にNo.88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)がクラストップへと浮上。予選15番手スタートながら、ハイペースの周回を続けて着実にポジションアップを果たす健闘が光った。88号車はこのまま後続に大差をつけてレース終盤は独走態勢へ。4回目のSC導入後は、SCランのまま3時間を迎えたことから、88号車が第2戦富士に続くシーズン2勝目を挙げ、シリーズランキングでも3番手への浮上を果たしている。2位で続いたのは、2号車。レース序盤にオーバーラン、さらには後半にはドライブスルーペナルティを受けるなど波乱万丈の展開になりながらも、速さを武器に都度”復活”。ランキングは2位に変わりはないが、この結果によってトップランカーのNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)とのポイント差を15点から5点まで縮めた。3位には、序盤から手堅いレース運びを見せたベテランコンビの9号車が続いた。ふたりが揃って表彰台に上がったのは、2010年第6戦以来(2位)。実に14年ぶりの躍進を披露したことになる。
悪天候を経て行なわれた3時間レース。その内容も荒れ模様となったが、2戦を残してチャンピオン争いも佳境を迎えることに。続く第8戦もてぎはわずか2週間後に開催。サクセスウェイトが半減されるなか、果たしてどのような攻防戦を繰り広げるのだろうか。
第6戦SUGO 決勝結果 各クラストップ3
GT500
1.No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)3H01’11.604 92周
2.No.23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/ロニー・クインタレッリ)+0.885
3.No. 3 Niterra MOTUL Z(高星明誠/三宅淳詞)+2.966
GT300
1.No. 88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)3H01’28.683 88周
2.No. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)+4.005
3.No.96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)+14.971