SUPER GT 2024 Round.5
au TOM’S GR Supraがポール・トゥ・ウィンで2連覇達成
12月8日、三重・鈴鹿サーキットでSUPER GT第5戦(最終戦)の決勝レースが行なわれ、ポールポジションからスタートを切ったNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)がシーズンを通して見せてきた安定感ある速さ、強さを見せつけ圧勝。3勝目を挙げるとともに、36号車としての2連覇を果たしている。
前日よりも上空が曇天模様となり、寒い決勝日となった鈴鹿。強く冷たい風が吹き、気温、路面温度とも低温のなかで決戦が幕を開けた。午後12時40分、三重県警によるパレードラップを経てフォーメーションラップに入ったが、予定よりもさらに1周が追加されたことを受け、レースは本来の52周から1周原産の51周で号砲。ポールスタートの36号車を先頭に、予選2番手のNo.17 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進)がぴたりとマーク。なお、前日の予選で3番手タイムをマークしたNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)だったが、セッション中の他車の走路妨害に対してペナルティが課せられ、グリッド降格が決定。代わって予選4番手のNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)が3位のポジションからスタートを切った。だが、タイヤのウォームアップが厳しく、続々と背後のライバルたちに先行を許してしまう。結果、No.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)が3番手から周回を重ねていった。
9周目、2番手を走る17号車がGT300クラスとラインが交錯。FCYが導入され、2番手に100号車、3番手にNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)が浮上した。11周目にはリスタートとなったが、コンディションの影響か、早くも各陣営のピットではルーティンのタイヤ交換の準備が始まる。17周終わりで真っ先にピットインしたのが100号車。しかし、ピット作業でミスがあり、大きくタイムロス。後続のライバルに先行されてしまった。一方、トップを走っていた36号車は翌周の18周終わりでピットへ。難なく作業を終えてコースに復帰した。また、大半のチームがこの2周で作業を終了。最後にピットインしたのが20周終了時の24号車だった。
レースは折り返しを過ぎて、トップは36号車と変わらず。2位には7番手スタートから着実にポジションアップしてきたNo. 3 Niterra MOTUL Z(高星明誠/三宅淳詞)、そして17号車が3位まで挽回。序盤のミスを帳消しにするような追い上げを見せる。3号車はシーズン2勝目を目指し、果敢に36号車へとアプローチ。見せ場を作った。だが、そのなかでGT300クラスの1台がスローダウン。これで2回目のFCY導入となり、およそ5分後にリスタートとなったが、グリーンフラッグとなった矢先になんと3号車が痛恨のスピン! 優勝はおろか表彰台獲得の可能性が大きく遠のいた。
後続のライバルたちが落ち着かないパフォーマンスで”自滅”する一方で、トップ36号車は”安牌”の走りで1周また1周と残り周回数を減らしていく。終盤は、17号車が再び詰め寄り一攫千金の逆転を狙うも、見事にシャットアウト。前日の予選で年間チャンピオンを手にした36号車がシーズン3勝目のトップチェッカー。自らの手でタイトルに花を添えるパフォーマンスを披露した。17号車はシーズンベストとなる2位、そして3位にはNo. 12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)。大終盤に100号車を逆転し、シーズン2度目の表彰台に立つこととなった。
なお、シリーズランキング2位は100号車と変わらなかったが、最終戦の結果によって3号車が3位へとポジションアップした。
GT00クラスでは大逆転のシナリオが現実となる。鈴鹿戦を前に、ランキング暫定トップはNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗/黒澤治樹)。これにNo.88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が11点差で2番手につけていた。そのなかで前日の予選では88号車がクラスポールを獲得。点差を8点に縮めた。一方、65号車は予選10番手。しかし、ブリヂストンタイヤを履く65号車には、戦略面でレースでの”タイヤ無交換”という切り札がある。ヨコハマタイヤの88号車は無交換は難しく、リヤタイヤ2本交換になる可能性が高い。ピット戦略と安定した速さを武器に65号車が追い上げ、88号車にプレッシャーを懸けるのではないか、と思われた。なお、もう1台のチャンピオン候補であるNo.2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)は予選3位を獲得したが、65号車がノーポイント、88号車が4位以下になった上で自分たちが優勝することが条件だけに、そのハードルは相当高いと考えられた。
レースが始まると、ポールスタートの88号車が着々と後続との差を広げる走りを見せる。FCY導入で、再び2位以下とのマージンがなくなると、加えて65号車が15周終わりという速さでピットイン。ドライバー交代だけでコースに舞い戻ってプレッシャーをかけた。すると88号車は18周終了時にピットへ。想定どおり、リヤタイヤ2本交換でコースに復帰を果たした。また、2号車は25周を終えてピットイン。当然ながらタイヤ無交換でコース向かうと、クラストップに浮上した。
レース後半に入ると、3番手走行中お88号車が次第にペースアップ。34周目に2位へと浮上、またたく間に2号車との差を縮めると、38周目のメインストレートで逆転し、ついにトップへと躍り出た。なお、この時点で65号車は4位を走行。2位以上でなければ88号車の逆転を許すことになる。ライバル2台がタイヤ無交換でペースアップが難しい状態のなか、88号車は最後まで力強いパフォーマンスを見せて、トップチェッカー。第7戦から驚異の3連勝、シーズントータルで4勝を挙げ、チーム初のクラスチャンピオンに輝いた。なお、JLOCチームにとっては、レース参戦から30年目で実現した初戴冠でもあった。
レースは2号車が踏みとどまって、2位チェッカーを受け、ランキングは3位。そして逆転を許した65号車は4位のままフィニッシュ。4点差のランキング2位となった。
第5戦鈴鹿 決勝結果 各クラストップ3
GT500
1.No.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)1:44’15.090 51Laps
2.No.17 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進)+1.513
3.No. 12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)+9.342
GT300
1.No.88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)1:45’03.710 47Laps
2.No.2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)+9.250
3.No.31 apr LC500h GT(小高一斗/中村仁/根本悠生)+11.685
最終戦鈴鹿、au TOM’S GR Supraのポール獲得、タイトル決める
12月7日、三重・鈴鹿サーキットにおいてSUPER GT第5戦の予選が行なわれ、ランキングトップのNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)が合算タイムでポールポジションを獲得。これにより、明日の決勝を待たずして、今シーズンのGT500クラスチャンピオンを獲得した。
今シーズンの第5戦として開催される”最終戦”の鈴鹿大会。もともと8月31日、9月1日での開催だったが、折しも台風10号接近の影響を受けて開催延期となった経緯がある。このため、シリーズ戦としては”季節はずれ”のカレンダーにて実施されることとなった。
まず、午前9時15分からの公式練習は気温11度、路面温度12度という寒さのなかでスタート。コースに向かった各ドライバーは細心の注意を払いながら、タイヤを温めクルマのフィーリングを確認し始めた。開始から1時間が近づくなか、1台の車両がスプーンカーブでスピン、コースアウトしてグラベルにストップ。これで赤旗となり、およそ9分間にわたりセッションが中断した。その後はおよそ3分間のフルコースイエロー(FCY)練習を挟んで、GT300クラスとの混走を終了する。GT300クラス専有走行後に行なわれたGT500クラス専有走行に入ると、続々と各車が従来のコースレコードを上回るタイムを連発。そのなかでNo.17 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進)がトップタイムをマーク、2番手にはNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)が続き、逆転チャンピオン獲得に向けていい形でセッションを終えることとなった。なお、ランキングトップの36号車も4番手のタイムをマーク。ライバルを牽制する結果を残している。
午後の予選を迎える頃には、気温、路面温度ともに上昇。気温14度、路面温度24度のなか、午後1時50分にスタートしたQ1。No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zが挙動を乱してヒヤリとさせたが、無事コースに復帰、アタックを続ける。一方、ライバルたちが各車ベストタイム更新を続けて17号車、さらには36号車とトップが入れ替わったが、最後の最後に24号車が1分43秒670のタイムでトップを奪取。これにNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)が2番手に続き、36号車が3番手となった。なお、今シーズンをもって、SUPER GTの活動終了を発表したNo.23 MOTUL AUTECH Zのロニー・クインタレッリは、担当したQ1を15番手で終えることになった。
GT300クラスのQ1を挟み、GT500クラスのQ2がスタート。気温は変わらず、路面温度が約3度下がるなか、セッションの幕が上がった。ワンラップアタックを意識するチームも多く、なかなかコースインせずピット内で待機する姿が見られたが、満を持してアタックへ。各車ペースアップするなかでチェッカーフラッグが振られると、まず100号車がトップタイムをマークしたが、すぐさまNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)が1分43秒143と大幅に既存のコースレコードを塗り替える好タイムをマーク。2番手には17号車が続き、注目の36号車は3番手に留まったが、Q1との合算タイムで総合トップへと浮上。これにより、新たに3点を追加し、明日の決勝を待たずして今シーズンのシリーズチャンピオンを手にすることとなった。また、総合2番手には17号車、3番手は14号車が続いている。なお、Q2でトップに立った14号車だが、走行中に他車の妨害となるようなスロー走行のペナルティを取られ、予選結果より5グリッド降格の形で決勝のスタートを切ることになる。
GT300クラスでは、公式練習でNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)がトップタイムをマーク。今シーズンの初ポールポジション獲得に期待が集まった。一方、大逆転チャンピオンを狙うNo. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)も2番手タイム、そしてRanking2位からタイトルを目指すNo.88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)も3番手につけるなど、予選に向けて皆、静かな闘志を燃やす結果となった。
迎えた予選。大逆転がかかる2号車だったが、自己ベストタイムを更新する走りを見せるなか、デグナーカーブで痛恨のスピンを喫してしまう。これで万事休すかと思われたが、コース復帰を果たして再アタック。4番手までポジションを挙げてQ1を終えている。一方、トップタイムをマークしたのは、88号車。9番手に終わったランキング暫定トップのNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)にプレッシャーをかけるパフォーマンスを披露する。
Q1で上位14台に入ったクルマで競うことになるQ2_U14。予選開始より気温は1度、路面温度は8度下がるなかでのセッションとなったが、88号車が暫定トップタイムをマーク。好調さをしかとアピールした。だが、最後にトップタイムを叩き出したのは、チャンピオン経験車のNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(佐々木大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)だった。とはいえ、合算タイムでは88号車がトップを奪取。ポールポジションに与えられる3点を加え、65号車とのポイント差を11点から8点へと縮めることに成功している。2位につけた61号車に続き、2号車は3番手。可能性としては極めて厳しい状況ながら、まだタイトルの可能性を残し、翌日の決勝に迎える。一方の65号車は10位からチャンピオンを目指すことになった。
第5戦鈴鹿 予選結果 各クラストップ3
GT500
1.No.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)3’27.008
2.No.17 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進)3’27.208
3.No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)3’27.364
GT300
1.No.88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)3’50.338
2.No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)3’50.796
3.No. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)3’51.046
SUPER GT第5戦(最終戦)プレビュー
シーズン最終決戦は、真冬の鈴鹿で!
今年4月に岡山で幕を開けた2024SUPER GTシリーズ。ようやくシーズンのラストレースを迎えることになる。夏の終わり、9月1日に開催予定だった鈴鹿大会が台風10号接近の影響を受けて延期されたため、その戦いが今週末、「SUZUKA GT 300km RACE GRAND FINAL」として同じ三重・鈴鹿サーキットにて開催される。第5戦ではあるが、シーズン最終戦となるこの戦い。もちろん、ドライバー、チームそろってタイトルがかかった重要な一戦でもある。例年とは異なり、12月という冬本番のコンディションとなるなか、果たしてどのような展開を見せるのか。いつも以上のドラマが待ち受けているのか、大いに気になるところだ。
4チームが目指すシーズンタイトルの行方
過去7戦で2勝をマークしたのは、2チーム。現時点でランキングトップにつけるNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)とその僚友でもあるNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)。だが、37号車は優勝以外でのポイント取りこぼしが多く、ランキングは4位でトップ36号車との差も23点と大きな開きがある。SUPER GTでは、予選のトップ3、そして決勝でのトップ10、つまり入賞した車両に対してポイントが授与されるルールとなっているため、たとえば予選でポールポジションを獲り、決勝レースで優勝_よく言われる”ポール・トゥ・ウィン”を達成すれば、フルマークの23点を手にすることができる。もし、この鈴鹿で37号車がポール・トゥ・ウィンを達成し、36号車がノーポイントに終われば、37号車は36号車に並んで74点となる。レースでは同ポイントとなった場合、優勝回数の多い方が有利となるため、37号車が大逆転のタイトル獲得を果たすことになる。まさに痺れるようなドラマとなるわけだが、残る3台も手ぐすね引いてチャンスを狙っているだけに、決して生易しいものではないことは明らかだ。なにしろ、シーズンを通して36号車の安定感は際立っている。最終戦でも速さと強さをバランス良く披露すれば、タイトルを手にするのは決して難しいことではないだろう。とはいえ、他のライバルも黙ってはいない。いずれにせよ、どのチームも優勝がマストとハードルは高いが、ランキング2位につけるNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)にとしては、今シーズン投入されたCIVIC TYPE R-GTでの初タイトルがかかっている。デビューイヤーでのタイトル獲得ほど、大事なものはない。それゆえ、全身全霊で勝負をかけてくることだろう。また、ランキング3位のNo.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)は、新コンビで挑んだシーズンであり、CERMOとしても久々のタイトルをかけた戦いとなるだけに、試合巧者の強みを活かそうと燃えていることだろう。シーズン後半にかけて調子を上げてきたチームによる1年の締めくくりに期待が膨らというものだ。
23号車のエースの走りに注目!
鈴鹿の戦いを前に、Nissan Z NISMO GT500勢のエース車両、No.23 MOTUL AUTECH Zを駆るロニー・クインタレッリが今シーズンをもってSUPER GTから退くことを発表。SUPER GTで4度にわたるシリーズチャンピオンとなったのは、現時点ではクインタレッリのみ。長きにわたる活躍の見納めとなるが、23号車は2位表彰台が2度あったものの今シーズンは未勝利。このため、ラストレースで文字通り有終の美を飾るべく、勝利を渇望しているはずだ。優勝で引退の花道を飾るべく、チームとして総力を挙げて戦う姿にも注目してもらいたい。
GT300クラスは3台がタイトル争い
GT300クラスでは、暫定ランキングトップのNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)に対し、同2位のNo.88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が11点差、また同3位のNo. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)とトップは20点差の状態。GT500クラスの37号車のように、2号車にとってはかなりハードルの高いタイトル争いではあるが、勝負ごとはすべてが終わるまでが戦い。何があっても不思議ではなく、SUPER GTにおいても、過去に目を疑うようなまさかの展開に泣き崩れ、呆然としたチームがいたし、天にも昇るような気持ちで大逆転王者となったチームもある。ライバルとの競争ではあるが、最後の一戦は自分たちのベストレースをして、結果を待つ。まさに”人事を尽くして天命を待つ”心境で戦いに臨むことだろう。
シーズンラストレースは、コンディションとの戦いに!?
タイトル争いがかかる重要な一戦だが、このほかにも心配なことがある。それが、冬のコンディション対策だ。気温が低く、路面温度も大きく下がるなか、うまくタイヤを温めて予選、そして決勝に挑まなければならない。例年、11月上旬に行なわれてきた最終戦が丸々一ヶ月遅れたことで、天候が与える影響は決して少なくない。しかも、タイヤウォーマーの使用は認められず、いかにタイヤを発動させるかが、ドライバーとしての腕の見せどころにもなってくる。
さまざまな状況を踏まえ、普段の300kmレースよりは1セット多くタイヤを使用することができるため、チームとしてはできる限りリスクを少なくする戦術をもって戦いの準備を進めることになるだろう。その一方で、ドライバーたちが期待しているものがある。それはラップタイムの向上だ。寒い季節になると往々にしてラップタイムが上がる。となれば、予選でのファステストラップに注目も集まるというもの。長らく更新されていない鈴鹿のコースレコードが生まれる可能性もある。シーズン途中からルール変更によって、予選Q1、Q2でそれぞれニュータイヤを投入することができるようになったため、ドライバーたちもしっかりとアタックに集中できるというもの。しかも、もともと第5戦としてオンタイムで開催されていれば、サクセスウェイトが搭載されていたが、今大会は開幕戦以来となるノーウェイト。クルマ本来のパフォーマンスを引き出せるコンディションだけに、ここはひとつ注目したい。
本格的な寒さのなか、繰り広げられるシーズン最後の一戦。最後に笑顔で戦いを終えることになるのは、果たしてどのチームなのか。その行方をしっかりと見守ってほしい。
主なスケジュール
SUZUKA GT 300km RACE GRAND FINAL
12月7日(土)
09:15〜10:40 公式練習(GT300+GT500)
10:40〜10:50 公式練習(GT300専有)
10:50〜11:00 公式練習(GT500専有)
11:15〜12:05 ピットウォーク
13:50〜14:05 公式予選Q1 GT500
14:13〜14:38 公式予選Q1 GT300
14:48〜15:03 公式予選Q2 GT500
15:11〜15:26 公式予選Q2 GT300 L15
15:34〜15:49 公式予選Q2 GT300 U14
16:05〜15:35 キッズウォーク
12月8日(日)
09:30〜10:20 ピットウォーク
10:30〜10:50 ドライバーアピアランス
11:10〜11:30 ウォームアップ
11:30〜12:40 スタート進行
12:40〜 決勝300kmレース(52Laps)
SUPER GT第5戦鈴鹿 プレビュー
夏休み最後の週末は、鈴鹿で350kmレース!
いよいよ、2024年シーズン後半戦へと突入するSUPER GT。その幕開けの舞台となるのは三重・鈴鹿サーキット。今シーズン2度目の鈴鹿では、前回の富士に続いての350kmレースとなる。猛暑続くなか、スプリントレースでの一戦はどんな展開を見せるのか? サクセスウェイトはじめ、今大会から変更されるレギュレーションが与える影響はあるのか? いろんな意味で気になる点が満載のレースになりそうだ。
“不公平のない、よりわかりやすい”レースのために
線状降水帯が発生するなど、大雨や雷雨を伴う荒れた天候が頻繁に続く日本列島。8月最後から9月に向かう週末に開催される鈴鹿の一戦も、まだまだ残暑厳しいコンディションになるのではないだろうか。
さて、その鈴鹿だが、前回の富士で一部予選方式等の変更が発表され、そのルールに則っての初の戦いとなる。その”変更”だが、特筆すべきは予選で使用できるタイヤセットが増えたこと。今シーズンからマーキングされた1セットのタイヤで2回の予選、そして決勝スタートを切ることをルールに定めたが、今大会からQ1用にフロント最大2本、リヤ最大2本を「A」タイヤとして、そしてQ2用にもフロント最大2本、リヤ最大2本を「B」タイヤとしてマーキングすることになった。つまり、最大4本のニュータイヤをQ1とQ2の両セッションで装着することができる。Q2でもニュータイヤを投入できれば、合算タイムでより強みを発揮できるチームも多いと見られるため、これまで以上に予選セッションが盛り上がりそうだ。
加えて、GT300クラスでは予選時の組分けにも変更が加えられた。
Q1での組分けを廃止し、全27台によるアタックを実施する。このため、時間は従来の2倍である20分に延長された。これまで2組に分かれていたGT300クラスのQ1では、路面状況等に差が生じやすいという声が上がっており、今シーズンから導入された合算タイムでは、不公平に繋がるという見解に繋がっていた。結果、よりイコールコンディション下でのセッションを提供するため、Q1でのクラス分けを撤廃するという。Q2では、Q1の上位14台(アッパー14)と、以下の車両(ロワー15)に区分。合算タイムのみ採用し、これまでのアッパーとロワー各4台の入れ替えも廃止された。実のところ、合算タイムに対しても賛否両論あるというが、今シーズンから導入した予選方式の根幹そのものをシーズン途中で廃止、変更するには変化が大きすぎるという理由から変更は見送られたとのこと。いずれにせよ、参加する側/観る側の双方にとって、よりよいSUPER GTを目指すなかでの変更であると考えられる。
ルール変更で頭を悩ますのは…!?
GT500クラスの場合、予選で投入できるニュータイヤのセット数が増えたことを受け、Q1、Q2共、よりアグレッシブにアタックするというシンプルな予想が立つ。なお、今シーズンいまだ勝利していないタイヤメーカーから供給を受けているチームに関しては、持ち込みセット数がさらに2セット増えることになった。該当するのは、ダンロップおよびヨコハマタイヤを装着する3チーム(No.19 WedsSport ADVAN GR Supra、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z、No.64 Modulo CIVIC TYPE R-GT)。シーズン中のタイヤテストが限られる現状を踏まえると、プラス材料になるはずだ。
一方、GT300クラスは予選から激しい駆け引きが想定される。何しろ、Q1では20分間に全27台がアタックしなければならない。キャリア豊富なドライバーにとっても至難の業になりそうだ。まず自分たちの手持ちのタイヤコンディションをしっかりと把握するのは当然だが、コースインするタイミングはじめ、他のクルマがどこでアタックしているのか、タイヤのウォームアップをしているのか…つまり、周りの状況をも味方にする必要が出てくる。GT500クラスと異なり、ジェントルマンドライバーの出走もあるGT300クラスだからこそ、の難しさが存在するのだ。ドライバーの技量にだけでなく、チームの総合力をフル活用して”渾身の一発”に臨めるようにしなければならない。各チームとも、頭を悩ませながらのアタックになるのか否か。思わぬドラマが見られる可能性もありそうだ。
シーズン後半戦スタート。まずは確実なポイント獲得を
サクセスウェイトがじわじわとボディブローのように効いてくるのが、シーズン後半戦。しかも、酷暑の中、晴れれば前回の富士より鈴鹿のほうがよりタフなコンディションになることは明確だ。レース距離は、前回の富士同様に350kmのスプリントレースのため、ある程度は”攻め”の走りが可能になるとはいえ、様々なマネージメントに尽力して戦うことが求められるだろう。というのも、チームによって獲得ポイントなどの”コンディション”が異なるからだ。
シーズン前半にポイント獲得に成功し、ランキング上位にいるチームは直近のライバルより上位でチェッカーを受けることが大事になるし、一方、前半戦で思うように結果を残せなかったチームは大量得点を目指す必要がある。自分たちが掲げる”理想の結果”を目指してそれぞれ尽力することになる。小さなミスからチャンスがこぼれ落ちることなどないよう、厳しい暑さという敵にも負けることなく奮闘するドライバー、チームスタッフの活躍に注目してほしい。そして、レース後には、夏の風物詩_高く打ち上がる花火を堪能しよう!
主なスケジュール
SUZUKA GT 350km RACE
8月31日(土)
09:45〜11:10 公式練習(GT300+GT500)
11:10〜11:20 公式練習(GT300専有)
11:20〜11:30 公式練習(GT500専有)
11:40〜11:55 FCYテスト
12:05〜12:20 サーキットサファリ
12:35〜13:25 ピットウォーク
15:15〜15:35 公式予選Q1 GT300
15:43〜15:53 公式予選Q1 GT500
16:03〜16:13 公式予選Q2 GT300 L15
16:21〜16:31 公式予選Q2 GT300 U14
16:39〜16:49 公式予選Q2 GT500
17:10〜17:55 キッズウォーク
9月1日(日)
12:05〜12:55 ピットウォーク
13:05〜13:25 ドライバーアピアランス
13:45〜14:05 ウォームアップ
14:05〜15:15 スタート進行
15:15〜 決勝350km・60周レース
18:30〜 打ち上げ花火