SUPER GT 2024 Round.5
au TOM’S GR Supraがポール・トゥ・ウィンで2連覇達成
12月8日、三重・鈴鹿サーキットでSUPER GT第5戦(最終戦)の決勝レースが行なわれ、ポールポジションからスタートを切ったNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)がシーズンを通して見せてきた安定感ある速さ、強さを見せつけ圧勝。3勝目を挙げるとともに、36号車としての2連覇を果たしている。
前日よりも上空が曇天模様となり、寒い決勝日となった鈴鹿。強く冷たい風が吹き、気温、路面温度とも低温のなかで決戦が幕を開けた。午後12時40分、三重県警によるパレードラップを経てフォーメーションラップに入ったが、予定よりもさらに1周が追加されたことを受け、レースは本来の52周から1周原産の51周で号砲。ポールスタートの36号車を先頭に、予選2番手のNo.17 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進)がぴたりとマーク。なお、前日の予選で3番手タイムをマークしたNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)だったが、セッション中の他車の走路妨害に対してペナルティが課せられ、グリッド降格が決定。代わって予選4番手のNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)が3位のポジションからスタートを切った。だが、タイヤのウォームアップが厳しく、続々と背後のライバルたちに先行を許してしまう。結果、No.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)が3番手から周回を重ねていった。
9周目、2番手を走る17号車がGT300クラスとラインが交錯。FCYが導入され、2番手に100号車、3番手にNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)が浮上した。11周目にはリスタートとなったが、コンディションの影響か、早くも各陣営のピットではルーティンのタイヤ交換の準備が始まる。17周終わりで真っ先にピットインしたのが100号車。しかし、ピット作業でミスがあり、大きくタイムロス。後続のライバルに先行されてしまった。一方、トップを走っていた36号車は翌周の18周終わりでピットへ。難なく作業を終えてコースに復帰した。また、大半のチームがこの2周で作業を終了。最後にピットインしたのが20周終了時の24号車だった。
レースは折り返しを過ぎて、トップは36号車と変わらず。2位には7番手スタートから着実にポジションアップしてきたNo. 3 Niterra MOTUL Z(高星明誠/三宅淳詞)、そして17号車が3位まで挽回。序盤のミスを帳消しにするような追い上げを見せる。3号車はシーズン2勝目を目指し、果敢に36号車へとアプローチ。見せ場を作った。だが、そのなかでGT300クラスの1台がスローダウン。これで2回目のFCY導入となり、およそ5分後にリスタートとなったが、グリーンフラッグとなった矢先になんと3号車が痛恨のスピン! 優勝はおろか表彰台獲得の可能性が大きく遠のいた。
後続のライバルたちが落ち着かないパフォーマンスで”自滅”する一方で、トップ36号車は”安牌”の走りで1周また1周と残り周回数を減らしていく。終盤は、17号車が再び詰め寄り一攫千金の逆転を狙うも、見事にシャットアウト。前日の予選で年間チャンピオンを手にした36号車がシーズン3勝目のトップチェッカー。自らの手でタイトルに花を添えるパフォーマンスを披露した。17号車はシーズンベストとなる2位、そして3位にはNo. 12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)。大終盤に100号車を逆転し、シーズン2度目の表彰台に立つこととなった。
なお、シリーズランキング2位は100号車と変わらなかったが、最終戦の結果によって3号車が3位へとポジションアップした。
GT00クラスでは大逆転のシナリオが現実となる。鈴鹿戦を前に、ランキング暫定トップはNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗/黒澤治樹)。これにNo.88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が11点差で2番手につけていた。そのなかで前日の予選では88号車がクラスポールを獲得。点差を8点に縮めた。一方、65号車は予選10番手。しかし、ブリヂストンタイヤを履く65号車には、戦略面でレースでの”タイヤ無交換”という切り札がある。ヨコハマタイヤの88号車は無交換は難しく、リヤタイヤ2本交換になる可能性が高い。ピット戦略と安定した速さを武器に65号車が追い上げ、88号車にプレッシャーを懸けるのではないか、と思われた。なお、もう1台のチャンピオン候補であるNo.2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)は予選3位を獲得したが、65号車がノーポイント、88号車が4位以下になった上で自分たちが優勝することが条件だけに、そのハードルは相当高いと考えられた。
レースが始まると、ポールスタートの88号車が着々と後続との差を広げる走りを見せる。FCY導入で、再び2位以下とのマージンがなくなると、加えて65号車が15周終わりという速さでピットイン。ドライバー交代だけでコースに舞い戻ってプレッシャーをかけた。すると88号車は18周終了時にピットへ。想定どおり、リヤタイヤ2本交換でコースに復帰を果たした。また、2号車は25周を終えてピットイン。当然ながらタイヤ無交換でコース向かうと、クラストップに浮上した。
レース後半に入ると、3番手走行中お88号車が次第にペースアップ。34周目に2位へと浮上、またたく間に2号車との差を縮めると、38周目のメインストレートで逆転し、ついにトップへと躍り出た。なお、この時点で65号車は4位を走行。2位以上でなければ88号車の逆転を許すことになる。ライバル2台がタイヤ無交換でペースアップが難しい状態のなか、88号車は最後まで力強いパフォーマンスを見せて、トップチェッカー。第7戦から驚異の3連勝、シーズントータルで4勝を挙げ、チーム初のクラスチャンピオンに輝いた。なお、JLOCチームにとっては、レース参戦から30年目で実現した初戴冠でもあった。
レースは2号車が踏みとどまって、2位チェッカーを受け、ランキングは3位。そして逆転を許した65号車は4位のままフィニッシュ。4点差のランキング2位となった。
第5戦鈴鹿 決勝結果 各クラストップ3
GT500
1.No.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)1:44’15.090 51Laps
2.No.17 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進)+1.513
3.No. 12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)+9.342
GT300
1.No.88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)1:45’03.710 47Laps
2.No.2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)+9.250
3.No.31 apr LC500h GT(小高一斗/中村仁/根本悠生)+11.685