SUPER GT 2024 Round.4
SUPER GT第4戦富士 プレビュー
夏本番、今季2度目の富士戦は350kmの戦い
年間全8戦でシリーズを戦うSUPER GT。その前半戦ラストレースが今週末、静岡・富士スピードウェイで開催される。梅雨も開け、連日猛暑日となるタフなコンディションだけに、一筋縄ではいかない展開になりそうだが、シーズン2度目の開催となる富士で、どのようなドラマが待ち受けるのか?
初の350kmはまず暑さとの戦いに!?
梅雨明け以降の日本列島。本当に厳しい暑さが続いている。35度を超える猛暑日に見舞われる日も多く、完全野外のサーキットでのレース開催は、条件的にどう考えてもハードだ。夏休みに開催されるイベントだけに、親子連れでの観戦も多いと思われるがくれぐれも熱中症対策はもちろんのこと、楽しい観戦になるよう周到に準備をしてサーキットへと足を運んでほしい。
前回、第3戦鈴鹿が開催されてからおよそ2ヶ月。シーズン中もっとも長いインターバルを経て迎える今大会。いわゆる前半戦の戦いを振り返り、改善策をしっかりと練ったチーム、ドライバーがその成果を見せるべく、富士での一戦に臨むこととなる。とはいえ、各車によってコンディションが異なるため、実力派チームといえども、クルマ本来が持つポテンシャルを100%披露できる状態とは限らない。そう、いわゆるサクセスウェイトを搭載するチームにとっては、今回のレースは”ガマン”の一戦になるからだ。たとえば、現時点でシリーズランキングトップに立つNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)。74ポイントを獲得するなか、燃料流量リストリクターを2ランク下げて40kgのサクセスウェイトを積む。長いメインストレートを有する富士のコースは、トヨタ・レクサスの”お膝元”ではあるが、本来の速さを披露するにはいささか厳しい状況だ。とはいえ、展開次第で荒れたレースになると、底力を活かして上位に食い込むチャンスもある。いずれにせよ、どのようなレース運びをやってのけるか、それを注視するだけでも面白いだろう。
SUPER GTでは、これまで300kmレースは数多く開催。今シーズンもすでに開幕戦の岡山で経験済みだ。一方、プラス50kmの350kmレースは初開催。富士スピードウェイでは77周を周回することになる。果たして、この長さがどれほどの影響を与えるのか。折しも暑さ厳しい天候のもとで繰り広げられる戦いでは、まずタイヤはじめクルマへの負荷が大きくなる。もちろん、中でドライブする選手に与える影響も計り知れない。いくらエアコンを完備しているとはいえ、激しい攻防戦のなかで集中力を保つにはそれ相応のタフさが求められる。すべてにおいて消耗の激しい一戦になることには違いない。それゆえ、事前に綿密な戦略を準備し、レースでは柔軟に対応する総合力が問われる戦いとなるだろう。
・上位陣が”耐える”なか、大量得点を狙う好機に
シーズン前半の最後の戦いは、シーズン中盤の一戦にも当たる。序盤、本領発揮が叶わなかったチームとしては、まだサクセスウェイトも軽く、350kmという長さをうまく活用し、できうる限り上位でチェッカーをうけたいと願っている。序盤戦の予選で好調だったものの、決勝で結果を残せず、辛酸をなめたチームなどはそのリベンジとばかり、しっかりと成績を求めるレースをしてくるだろう。この富士、そして続く鈴鹿で結果を出さなければ、シリーズ争いに暗雲が立ち込める。それゆえにまずは暑さを克服し、ライバルを蹴散らし、自分たちのベストな戦いを目指す一戦になるはずだ。
一方、メーカー別では、レクサス勢が第1戦と第3戦で勝利。前回の富士、第2戦では日産勢が優勝している。つまり、今シーズンからCIVIC TYPE R-GTを新たに投入したホンダ勢のみが未勝利の状態。それだけに早く勝ち名乗りを上げたいし、さらにシビック勢として”初優勝”を狙いたいと、同じメーカー同士による激闘も興味深いところだ。
・搭載ウェイトの上限が80kgから50kgになったGT300
緻密な戦略を繰り広げるGT300クラス。今シーズンから使用できるタイヤの本数制限が厳しくなるなか、昨年同様にタイヤ無交換での力走によって、現時点でシリーズランキング暫定クラストップに立つのが、No. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)。昨シーズン、手にできなかったクラスチャンピオンを今年こそ獲得しようと、文字通りチーム一丸となっての戦いを見せている。足下を支えるブリヂストンタイヤの功績も大きいが、ドライバーふたりの速さと強さがより強固になったことも好調の理由と思われる。
一方、今シーズンは、いわゆる”黒船”の活躍も目立つ。第2戦でNo.88 JLOC Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が、そして第3戦ではNo.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)が優勝。つねに表彰台の一角にはFIA-GT3勢が上がっており、その流れはこの先も続きそうだ。ただ、GT300クラスではこの富士大会からサクセスウェイトの上限が見直されている。これまで80kgだったものが、今大会から50kgへと変更。この先しばらくは表彰台争いよりも、着実な戦いを続けてコツコツとポイント獲得を狙う”地道な”レースを重ねることになりそうだ。
その間、大量得点を狙おうと目論んでいるその筆頭は、やはりNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(佐々木大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)か。今シーズンは、最低重量に悩まされて思うような結果を残すことができていない。それでもチャンピオン経験を活かしたアプローチをすることで、虎視眈々とビッグチャンスを狙ってくることだろう。そしてさらなるダークホースとして名を挙げたいのがNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT。予選での速さ、決勝での強さを見せていた61号車だが、今シーズンは”鳴かず飛ばず”の状況に甘んじている。第1戦と第3戦でかろうじて入賞はしたものの、表彰台が遠い状態となっている。そろそろファンを喜ばせるためにも、まずは予選から好位置を狙ってくるのではないだろうか。
真夏のレースはライバルとの戦いに留まらず、より多くの不確定要素を敵にしてのタフな一戦となる。様々な”天敵”をも足下に寄せ付けず、力強い走りを見せるのは、果たしてどのチームなのか。
■主なスケジュール
FUJI GT 350km RACE
8月3日(土)
09:00〜10:25 公式練習(GT300+GT500)
10:25〜10:35 公式練習(GT300専有)
10:35〜10:45 公式練習(GT500専有)
11:20〜11:50 サーキットサファリ
13:10〜13:55 ピットウォーク
14:25〜14:35 公式予選Q1 GT300 B組
14:43〜14:53 公式予選Q1 GT300 A組
14:58〜15:08 公式予選Q1 GT500
15:18〜15:28 公式予選Q2 GT300 Gr.2
15:36〜15:46 公式予選Q2 GT300 Gr.1
15:54〜16:04 公式予選Q2 GT500
17:00〜18:05 キッズウォーク
8月4日(日)
10:55〜11:40 ピットウォーク
11:50〜12:10 ドライバーアピアランス
13:00〜13:20 ウォームアップ
13:20〜14:30 スタート進行
14:30〜決勝350km・77周レース