SUPER GT 2024 Round.3
鈴鹿初の3時間レース、Deloitte TOM’S GR Supraがポール・トゥ・ウィン!
6月2日、三重・鈴鹿サーキットにおいて「SUZUKA 3Hours RACE」の決勝レースが行なわれ、ポールポジションからスタートを切ったNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)が安定感ある走りで勝利。両選手とも自身初となるGT500での勝利を達成した。
前日の予選は、絶好のレース日和となった鈴鹿だが、九州地方からの梅雨前線と低気圧の影響を受け、上空の大気が非常に不安定な状況となり、決勝日は朝から時折パラパラと雨が降る落ち着きのない空模様となった。
薄曇りから正午を前にして雨雲が到来。瞬く間にコースをウェットコンディションへと変えてしまい、決勝目前のウォームアップ走行においては、全車がシーズン初のウェットタイヤによるセッションを強いられた。決勝に向けて最後のセット調整をする予定だった各チームも、ウェットタイヤの確認を強いられ、まさにてんやわんやの状態に。ところが、セッション終了を待っていたかのように雨が上がり、その後、全車がグリッドにつき、スタート進行が行なわれる頃になると、再び上空には青空が広がり、まぶしい日差しが戻ってくる。
これにより、午後1時30分からの決勝レースは、ドライコンディションにて進行。全車の足元には予選を戦ったユーズドタイヤが装着され、3時間という長い戦いに向けての号砲を迎える。前日比で気温が4度低い24度、路面温度は12度も低い31度というコンディションのなか、ポールポジションスタートの37号車がレースを牽引、これに予選3番手のNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)がNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)号車をパスして2番手へ浮上。逆に16号車は予選4番手のNo. 8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)にも追い立てられる走りが暫し続き、厳しい序盤戦となった。
レース開始から30分が過ぎると、トップ37号車とこれに続く14号車が頭一つ抜け出した状況となり、3位以下に10秒超の差をつける。そんななか、開始1時間というタイミングでパラパラと降雨があったが、大きな影響はなし。これに先立ち、GT500クラスのなかで真っ先に1回目のルーティン作業を行なうべくNo.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)が22周終わりでピットに向かうと、以後、35周にかけて各車1回目のピットインが始まる。この時、上位陣でダブルスティントを選択したのは、トップ37号車。14号車は、アンダーカットを狙って37号車よりも先にピットイン。ドライバー交代も含む”フルサービス”のピット作業を済ませていたが、逆転叶わず、再び37号車の背中を追うことになった。
レースは、その後折り返しを前にした午後3時前、初めてのフルコースイエローが導入される。これは、GT500勢同士による接触が原因。8号車とNo.23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/ロニー・クインタレッリ)号車がシケインでブレーキング勝負となるなか、23号車が止まりきれずに前方の38号車に追突。もらい事故の38号車のリヤカウルが大破したことでが原因だった。なお、その後23号車には、ドライブするーペナルティが課せられている。幸い、FCYは2分ほどで解除となり、今度はトップ37号車と猛追する14号車が激しい攻防戦を見せた。
2回目のルーティン作業は、レース終盤の時点に集中。チェッカーまで残り1時間となる57周を目処に各車がピット作業に取り組んだ。そのなかで上位陣として先手を打ったのが37号車。直前まで2番手14号車とは1秒を切るデッドヒートを展開していたが、状況を変えようと60周終了時にピットイン。フルサービスを38秒という早さで終えてコース復帰を果たす。すると14号車はその2周後にピットへと戻り、こちらもフルサービスを実施、38.6秒で作業を終えてコース復帰を果たした。だが、ピットを離れた際、すぐ背後にピットレーンを走るNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)がおり、14号車はアンセーフリリースのペナルティとして、後ほどドライブスルーが課せられてた。第3スティントになってようやく暫定トップに立ったものの、ペナルティ消化のピットスルーを終えてコース復帰すると、ポジションは4番手にドロップ。チームピットにも重い空気が流れた。
この時点でトップは再び37号車がキープ。この後ろには16号車、そして重いサクセスウェイトをうまく”手なづけ”たNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)が3番手まで浮上していたが、ペナルティ消化後、怒涛の追い上げを見せていた14号車があれよあれよと36号車に詰め寄り、72周目のバックストレートエンドで逆転を果たし、3番手まで復帰する。さらに、この勢いで16号車に迫り、78周にはシケインのイン側へとダイブ。昨シーズンまでコンビを組んで戦っていた16号車を豪快に料理し、2番手に返り咲いた。
チェッカーまで残り25分。トップを追う14号車は約13秒の差を詰めようと懸命の追い上げを見せたが、逃げる37号車も安定した速さでミスなく周回。このまま3時間が経過、92周目の戦いが幕を下ろした。
37号車は待望の初優勝。笹原、アレジともGT500初の勝利をポール・トゥ・ウィンで達成することに。2位の14号車もシーズン初表彰台となり、トヨタ陣営がワン・ツーフィニッシュを成し遂げた。3位には16号車。惜しくもホンダお膝元のサーキットである鈴鹿でシビックの初勝利を果たすことはできなかった。
GT300クラスでは、前日の予選でライバルたちを圧倒する速さでクラスポールを掴んだNo.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)が、決勝でも変わらぬ速さで圧巻の勝利を達成。これに対し、予選クラス2位のNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)は後半に入って間もなく駆動系トラブルでペースダウン。そのまま200Rのアウト側にクルマを止めてしまった。
上位陣は777号車の独走に揺さぶりをかけるべく、タイヤ無交換やレース終盤のスプラッシュ作業など、2度目のルーティンワークでさまざまな戦略を披露。だが、トップ777号車の快走は揺るがない。結果、チェッカーまで残り30分強の時点でピットへ戻り、最後は給油作業のみを行なった2号車が2位争いをモノにし、3位には大終盤に激しいバトルでポジションアップに成功したNo. 6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)が続き、シーズン初表彰台に立つこととなった。
シーズン序盤の3戦が終わったSUPER GT。このあとサマーブレイクの期間へと突入する。第4戦は8月3、4日に静岡・富士スピードウェイにて開催予定だ。
第3戦鈴鹿 決勝結果 各クラストップ3
GT500
1.No.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)3:00’22.971 92周
2.No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)+10.968
3.No.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)+24.573
GT300
1.No.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)3:00’58.681 85周
2.No. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)+38.030
3.No. 6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)+45.886