SUPER GT 2024 Round.1
SUPER GT第1戦岡山 プレビュー
24年シーズン開幕! 初戦を制するのはどのチーム?
ここ数日、冷たい雨に見舞われた日本列島だが、2024年のSUPER GTが開幕を迎える今週末の岡山は、穏やかな春の陽気に包まれる模様。新車参戦、レギュレーションの変更そして、新しいコンビによるチームが見せるパフォーマンスを見逃す手はない。ウェイトハンディもなく、”まっさらな”コンディションで繰り広げられる一戦を堪能しよう!
GT500は新コンビがいっぱい!
GT500クラスは参戦チーム全15台のうち、10台が新コンビに。なかでもシビック・タイプR-GTで新シーズンに臨むホンダ系チームは5台のうち4台のコンビが一新されている。新しいクルマで新たなパートナーと戦うとなれば、どのチームよりもいち早くしっかりとしたコミュニケーションを取りたいところ。そんな中で、いくつか注目したいチームを紹介しよう。まず、No. 8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8。ARTAの絶対的エースのような存在である野尻智紀と松下信治が新コンビを結成。松下は、昨シーズンまでホンダ系のリアルレーシングに在籍していたが、レースで速さ・強さをしっかりアピールできる実力派ドライバーであることは証明済み。さらに、ふたりは松下が幼少時代からの知り合いで、ともにカート時代からつきあいがある。どんなレースをするのか、どういう考えで戦いに挑むのか、親しい間柄だからこそしっかりと本音を語りながらクルマ作りを進めているといい、絶好のコンビネーションに期待が集まる。スーパーフォーミュラでは、2シーズン連続でタイトルを手にしている野尻にとっては、そろそろGTの王座もつかみ取りたいだけに、気心知れた”相方”と強い戦いを見せるのではないだろうか。
続いて、ニッサン系チーム。4台中3台がコンビを変更している。そのなかから、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)を紹介したい。NISMO系の2台、3号車および23号車に長年装着されていたミシュランが昨シーズンをもってSUPER GTから撤退。ブリヂストンタイヤへとスイッチした。ニッサン系といえば、12号車での活躍が知られるところだけに、NISMOの2台が加わって3台体制になれば、より強固な体制を敷けるはず。それだけに、ニッサン系チームで唯一ヨコハマタイヤを装着する24号車に一目置きたい。これまで予選での速さはあるものの、決勝では刻々と変化する路面コンディションに苦戦するなど、レースでの強さに精彩を欠くこともあった。予選でのパフォーマンスが徐々に向上するなかで、決勝での強さにも少しずつ磨きをかけており、今シーズンはその成果を見せてくれるのでは、という期待が募る。なにしろ、NISMOで長らく勝ち星を上げてきた大ベテランの松田が移籍し、さらにGT300でキャリアップを目指してきた伸び盛りの名取がタッグを組むだけに、それぞれの強みが合わさって、好結果を生む可能性も高い。2016年から遠ざかっている勝利を渇望するチームの思いを背負って戦うシーズンとなりそうだ。
昨シーズン、No.36 au TOM’S GR Supraがシリーズチャンピオンンを獲得したトヨタ系チームは6台中3台は不変のコンビ。一方で、36号車は宮田莉朋が欧州でのレースに拠点を移したため、山下健太が坪井翔とコンビを組む。ともにF3時代から切磋琢磨した間柄。チームこそ違えど、山下はチャンピオン経験者でもある。ヒリヒリした戦いの中で、王座を掴み取るプレッシャーを共有できるふたりだけに、チャンピオン候補としての名も挙がっている。ライバルからの警戒も強いだろうが、速さを武器にした走りを見せてくれることだろう。
GT300クラスは新車に注目!
黒船参戦に新顔が見られるGT300クラス。フェラーリ296 GT3が2台、アストンマーチン・バンテージGT31台の3台が”襲来”することになった。これを迎え撃つ新車としては、GTA GT300規則のニッサンZが登場する。百花繚乱状態のGT300だが、新たな戦闘マシンの登場は、ファンの興味をひくことだろう。
そして、昨シーズンはGT500クラスだけに留まった新燃料…カーボンニュートラルフューエル(CNF)が、いよいよGT300クラスにも導入される。GT500クラスは化石燃料を一切使わない合成燃料「GTA R100」が供給されているが、GT300クラスは合成燃料50パーセントの「GTA R50」の使用する。GTAが掲げるカーボンニュートラル推進を目指した「SUPER GT Green Project 2030」の一環として、新たなチャレンジが始まることになる。
安全面の取り組みとして、GT300クラスでは、BoPと言われる車両別の性能調整を取り入れているが、これとは別に追加重量が設定された。車体そのものが重くなることを受け、サクセスウェイトの見直しがなされ、上限は100kgから80kgへと軽減。合わせて第2戦から第6戦までのウェイトも1ポイントあたり3kg計算だったのが2kg、第7戦では1kgになった。
レギュレーション変更による”変化”がカギに!?
昨シーズン、レースウィーク中に使用できるタイヤセット数が削減されたが、今シーズンはさらに1セット削減が進み、最大4セットになる。もちろん天候不順でウェットコンディションになれば、このルールは適応されないが、タイヤマネージメントが最重要課題になる可能性もある。そして、使えるタイヤが少なくなるのなら、セッション中の走行を極力控えようとするチームの動きを読んでか!? GTAは予選方式の変更にも着手。予選から決勝スタートまでの間、使用できるタイヤをたった1セットに制限したのだ。
さらには予選結果はノックアウト予選に変わってQ1とQ2のタイムを合算する方式を導入。自動的に全ドライバーがQ1もしくはQ2でタイムアタックを行なうことになった。サーキットに来るファンは、ドライバー全員のタイムアタックが見られるという楽しみに繋がったが、チームやドライバーとしては一気にハードルが上がってハードワークを強いられることに。いかに上手にタイヤを使うか、どのタイミングでアタックするか…さまざまな駆け引きが必要となり、頭脳戦にもなりそうだ。
なお、GT300クラスの予選はさらに特徴あるものに変わった。Q2のグループ分けは、Q1での結果によって、上位16台(グループ1)とそれ以外の11台(グループ2)に区分してアタックを実施。さらに、セッション後は、グループ1の下位4台と、グループ2の上位4台のタイムを速い順から「順位入れ替え」を行なうとしている。この結果に泣き笑いが起こり得るだけに、ちょっとしたドラマが見られるかもしれない。
さまざまな変化を味方に、ライバルより先んじて好成績を残したいのが開幕戦。なにしろ、ノーウェイトで挑む貴重な一戦であり、ファンもまた、各マシンの”素性”をしっかり見てみたい。蓋を開けてみなければわからない部分も多い開幕戦だが、それだけにチームとしての総合力も問われる。どこでどんなドラマが見られるのか。観る側としても、ハラハラドキドキ感たっぷりの岡山戦になるだろう。
主なスケジュール
OKAYAMA GT 300km RACE
4月13日(土)
09:30〜10:55 公式練習(GT300+GT500)
10:55〜11:05 公式練習(GT300専有)
11:05〜11:15 公式練習(GT500専有)
12:20〜13:20 ピットウォーク
14:00〜14:10 公式予選Q1 GT300 A組
14:18〜14:28 公式予選Q1 GT300 B組
14:33〜14:43 公式予選Q1 GT500
14:53〜15:03 公式予選Q2 GT300 Gr.2
15:11〜15:21 公式予選Q2 GT300 Gr.1
15:29〜15:39 公式予選Q2 GT500
16:30〜17:00 キッズウォーク
4月14日(日)
09:50〜10:50 ピットウォーク
10:50〜11:15 ドライバーアピアランス
11:30〜11:45 オープニングセレモニー
12:00〜12:20 ウォームアップ
12:20〜13:30 スタート進行
13:30〜 決勝 300km RACE(82周)