SUPER GT 2022 Round.8
SUPER GT第8戦もてぎ
大詰めの第7戦オートポリスでの大逆転劇から1ヶ月あまり。ついに、シーズン最後の決戦が11月5、6日に栃木・モビリティリゾートもてぎで開催される。秋も深まり、コンディションが大きく変化する中で各車どのようなパフォーマンスで最終戦に挑むのか。また、GT500、GT300両クラスの混沌とするタイトル争いの行方はどうなるのか。筋書きのないドラマの結末をしかと見届けたい。
3年ぶりのもてぎ最終戦
今年、モビリティリゾートもてぎへと名称変更がなされた旧”ツインリンクもてぎ”。SUPER GTの最終戦の舞台として初めて開催されたのは、2009年から。シリーズ戦以外のイベントが他のサーキットで開催されることもあったが、公式戦としての最終戦は以降2019年まで続いた。そんな中、2020年には世界的に広まった新型コロナウイルス感染症の影響を受け、レースイベント開催そのもののスケジュールが見直されることになった。これまで、基本的に全8戦6箇所のサーキットを使用していたが、20年は富士、もてぎ、鈴鹿の3サーキットのみで開催。その流れで最終戦が富士に移行した。続く2021年は19年までと同様に6箇所のサーキット開催が復活したが、前年に続いて富士での最終決戦となった。一方、昨シーズンは7月と11月上旬の2度にわたり、もてぎでの2開催が実施されていた。
その中で、今シーズンは1戦開催となったもてぎだが、代わって最終決戦の舞台としてスポットライトを浴びることに。晩秋のもてぎは天候に恵まれたとしても気温が大きく下がり、決してコンディション的には穏やかでないと容易に想像がつくだけに、各チーム、ドライバーにとってはハードワークが待ち受けるだろうが、そのぶん、より白熱の攻防戦が期待できるというもの。まさに文字通り筋書きのないドラマを期待したい。
Nissan Z、なるかデビューイヤータイトル
現在、ポイントランクトップにつけるのは、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)。これを、同じZ勢のNo.12 カルソニックIMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)がわずか2.5点差で追う。前回のオートポリスでも両車は6位(12号車)、7位(3号車)とお互いを意識したような結果を残しており、まさに実力伯仲の状態。そして、トップ2台を追うのが、前回のオートポリス戦で大逆転勝利という”メイクドラマ”を演じたNo.17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治組)。トップ3号車との差は4点と決して大きくない。獲得ポイント差からして、自力でのタイトルをつかめるのは、この上位3台となるが、なにしろどのような展開になるかは誰もがわからない。前回のオートポリス同様、ことによってはまさかまさかの激動の結果とてあり得る。それほど”先の読めない”レースを繰り広げているのが、SUPER GTの魅力であり、醍醐味といえるだろう。
昨シーズンまでの戦闘車両だったGT-Rと比べ、どのサーキットでも安定感ある速さと強さを発揮している印象が強いNissan Z。トップ2台がミシュラン(3号車)、ブリヂストン(12号車)と、異なるメーカーのタイヤを装着していることも、レースでの行方をより一層不確定なものにしているとも言える。レースウィーク中のコンディションを想定して持ち込んだタイヤが、どこまで的確なパフォーマンスを出せるか否か。ここも大きなポイントになることは間違いない。
ライバル勢の反逆はあるのか
一方、迎え撃つホンダ勢、トヨタ勢にも充分にチャンスはある。というのも、Nissan Zにとって、もてぎは初の実戦の場。過去のデータがない中で、どこまで持ち込みセットを決め込んでくるかがカギとなる。それを踏まえれば、ホンダ勢のNSX-GT、そしてトヨタ勢のGR Supraは経験値を活かした準備をもってライバルをしっかりと牽制できるはず。初日の最初の走行セッションとなる専有走行で各車両がどのようなタイムを刻んでくるか、まずはお手並み拝見というところだろう。
ただ、タイトル獲得という視点から見ると、俄然有利なのはNissan Z。ホンダ勢としては、相手次第で王者の可能性を残すNo.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)、またGR Supra勢はNo.37 KeePer TOM’S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋組)とNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)も同様だ。ただし、Supra勢はより厳しい条件がつくが、毎シーズン、最終戦で信じられないようなドラマを繰り広げてきたSUPER GTだけに、ファイナルラップそしてチェッカーフラッグが振り下ろされるまで、”なにもわからない”という目線でレースの行方を見守る必要があると言える。
GT300は連覇か奪還か
最終戦を前に、GT300クラスのランキングトップはNo.56 リアライズ 日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)。これをわずか2.5点差で追うのがディフェンディングチャンピオンのNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)だ。56号車は2020年のクラス王者で、今シーズンも確実なレース運びだけでなく、サクセスウェイトを搭載しながらも予選から常に上位につけるという、申し分のないレース運びを見せている。ただ、中盤以降は厳しい展開も少なくなく、じわりじわりと61号車との点差が縮まっている。追われる側と追う側のプレッシャーの違いなのか、実力伯仲の2台のタイトル争いは、最終戦でなお激しいものとなるだろう。
一方で、条件付きによるタイトル獲得の可能性を持つのは他に4チームある。クルマ、タイヤがそれぞれ異なるため、得手不得手もあるだろうが、思い切った戦略を採って相手を出し抜くようなチームがあるやもしれない。いずれにせよ、最終決戦ではそれぞれの意地とプライドがかかる戦いになるはずだ。
これまで多くのクルマを悩ませてきたサクセスウェイトからも解放される中で迎える最終戦。レギュレーションとしては、タイヤ4本交換が義務付けられたことで、無交換作戦は使えないが、ファンをうならせるような戦略と、ハラハラドキドキするようなバトルに期待したい。
主なスケジュール
FAV HOTEL AUTOPOLIS GT 300km RACE
11月5日(土)
09:35〜11:00 公式練習(GT300+GT500)
11:00〜11:10 公式練習(GT300専有)
11:10〜11:20 公式練習(GT500専有)
12:05〜12:40 ピットウォーク
14:20〜14:30 公式予選Q1 GT300 A組
14:38〜14:48 公式予選Q1 GT300 B組
14:53〜15:03 公式予選Q1 GT500
15:13〜15:23 公式予選Q2 GT300
15:31〜15:41 公式予選Q2 GT500
16:15〜16:45 キッズピットビューイング
11月6日(日)
09:25〜09:45 ドライバートークショー
10:45〜10:25 ピットウォーク
10:45〜11:10 ドライバーアピアランス
11:40〜12:00 ウォームアップ
12:30〜13:30 スタート進行
13:00〜決勝(63周)